売買契約から引渡しまでにやること|決済当日の流れ
執筆・監修:野上俊彦株式会社おもいで不動産 代表取締役/宅地建物取引士
執筆・監修:野上俊彦代表取締役/宅地建物取引士売買契約が済み、決済と引渡しの日が決まった福岡市の売主に向けた記事です。
契約書に署名した時点で、売却の山は越えたように感じます。
実際には、そこから引渡しまでの1〜2か月に、売主にしかできない作業が残っています。
引越し、残置物の処分、電気・ガス・水道の届出、マンションなら管理組合への通知の4つです。
どれか一つでも決済日に間に合わないと、その日に鍵を渡せません。
この記事では、契約の翌日から決済当日までを、順番どおりに並べました。
2. 決済当日は何をしますか?
3. 引越しと残置物は、いつまでに終えますか?
4. 電気・ガス・水道は、いつ止めますか?
5. マンションでは、管理組合に何を出しますか?
6. 固定資産税は、どちらが払いますか?
7. 契約したあとに、まだ止まることはありますか?
8. 当日、忘れやすいものは何ですか?
9. まず何をすればよいですか?
契約から引渡しまで、どれくらい空きますか?
1か月から2か月です。
この期間の長さを決めているのは、買主の住宅ローンの本審査です。
申込みから承認まで、早くて2週間、書類の追加を求められると1か月ほどかかります。
買主が現金で買う場合や、新築建売の業者が買主になる場合は、ローン特約が付きません。
当社が扱った取引でも、新築建売の業者が買主になった案件は、契約から1か月ほどで引渡しに至りました。
期間の全体像は福岡市の不動産売却にかかる期間|引渡し日からの逆算で説明しました。
査定から引渡しまでの全11ステップは売却の流れで通して見られます。
決済当日は何をしますか?
買主の銀行に関係者が集まり、お金と権利と鍵を同時に動かします。
順番は、残代金の入金確認、抵当権の抹消と所有権移転の登記手続き、固定資産税の精算、鍵の引渡しです。
所要時間は1時間ほどです。
この「同時にやる」ことを同時履行と呼びます。
片方だけを先に渡すことはしません。
売主が先に鍵を渡すと、代金が入らないまま買主が使い始められる状態になるためです。
逆に買主が先に払えば、名義が移らないままお金だけを渡した形になります。
順番としては、司法書士が登記できると確認してから、銀行が振込を実行する形です。
売主の住宅ローンが残っている場合は、入金されたその場で残債を返し、抵当権を消します。
抹消と移転の登記は、同じ日に司法書士がまとめて法務局へ出す扱いです。
引越しと残置物は、いつまでに終えますか?
引渡し日の前日までに、家の中を空にします。
決済の朝に荷物が残っていると、その場で引渡しができません。
買主は当日から鍵を受け取り、自由に使える状態を前提にしているためです。
残していけるのは、契約書と一緒に作る「付帯設備表」に、引き渡すと書いたものだけです。
エアコン・照明・物置・カーテンレールは、この表で1つずつ決めます。
「あとで買主が処分してくれるだろう」は通りません。
処分に迷うものがあるなら、契約の段階で買主へ相談してください。
片付けが物理的に難しいときの選び方は片付け費用がなくても大丈夫|残置物のまま実家の売却を始めるにまとめました。
解体や大量の片付けが要る場合は解体・空き家の片付けをご覧ください。
電気・ガス・水道は、いつ止めますか?
決済日の当日か、その翌日で止めます。
前日で止めてしまうと、当日の最終確認で水も明かりも使えません。
福岡市内の上下水道は、福岡市水道局へ引渡しの数日前までに連絡します。
ウェブからでも手続きできます。
連絡に要るのは、検針票に載っているお客様番号と、物件の所在地と、引渡し日の3つです。
都市ガスは西部ガスへ、電気は契約中の電力会社へ、それぞれ別に連絡してください。
プロパンガスの場合、給湯器などの設備がガス会社の所有になっていることがあります。
無償で貸与されている設備を自分の物として引き渡すと、あとから返却を求められます。
ガスの種別と設備の持ち主は、契約の前に確かめておいてください。
窓口の住所と電話番号は福岡市7区の手続き窓口ガイドに一覧で載せました。
マンションでは、管理組合に何を出しますか?
組合員の資格が変わったことを知らせる届出を、管理会社へ出します。
名称は管理会社ごとに違いますが、「組合員資格喪失届」と呼ぶ例が多く見られます。
出すのは売主で、時期は引渡し日の前後です。
あわせて、管理費と修繕積立金の日割りを決済日に精算します。
駐車場や駐輪場を借りているなら、その解約届も別に必要です。
口座振替を止め忘れると、引渡しのあとも管理費が引き落とされ続けます。
振替の停止は届出とは別の手続きなので、管理会社に2つとも伝えてください。
固定資産税は、どちらが払いますか?
その年度の納税義務者は、1月1日時点の所有者、つまり売主です。
買主と日割りで分けるのは法律の定めではなく、契約で決める商慣習にあたります。
当社が福岡市で扱う契約では、1月1日を起算日にするのが一般的です。
精算金は決済日に、売買代金と一緒に受け取ります。
気をつけたいのは、精算が済んでも納税義務者は動かない点です。
福岡市の納期は4月・7月・12月・翌年2月なので、年内の残りの納付書は売主あてに届きます。
届いた納付書は、精算済みであっても売主が納めます。
起算日による金額の差は売却年の固定資産税の日割り精算|福岡市の起算日と納期で計算しました。
出典:福岡市 固定資産税
契約したあとに、まだ止まることはありますか?
あります。
いちばん多いのは、買主の住宅ローンが承認されなかった場合です。
ローン特約が付いていれば契約は白紙に戻り、受け取った手付金は買主へ返します。
このとき売主に違約金は発生しません。
だからこそ、決済日が決まっても、引越し先の契約を急ぎすぎないでください。
ローンの承認が下りたという連絡を受けてから動けば、二重の出費を避けられます。
もう一つは、引渡しまでに設備が壊れた場合です。
付帯設備表に「有」と書いた給湯器やエアコンは、動く状態で引き渡す約束になっています。
契約から決済までに壊れたときは、売主が直すか、買主と条件を決め直します。
当日、忘れやすいものは何ですか?
実印、印鑑証明書、権利証、鍵の全本数、この4つです。
印鑑証明書は、発行から3か月以内のものを求められます。
契約日に取ったものが決済日には期限切れになっていた、という例がありました。
鍵は玄関だけでなく、勝手口・物置・郵便受け・門扉まで数えます。
合鍵をご親族が持っている場合は、その本数も申告してください。
エアコンや給湯器のリモコン、取扱説明書、保証書も当日にお渡しします。
必要書類の一覧は売却に必要な書類で確かめられます。
まず何をすればよいですか?
契約書と付帯設備表を、もう一度読み直してください。
そこに書いてある引渡し日から逆算して、引越しと届出の日を決めます。
目安は、決済日の1週間前までに引越しを終える形です。
手取りの額を確かめたい方は手取りの試算で計算できます。
進め方で迷ったときの相談先が15分無料相談です。
当社は契約から決済までの連絡を、売主と買主の双方へ同じ内容でお送りしています。
どちらか一方だけが知っている予定を作らないためです。
