実家の解体費用はいくら?福岡の坪単価と更地の注意点
執筆・監修:野上俊彦株式会社おもいで不動産 代表取締役/宅地建物取引士
執筆・監修:野上俊彦代表取締役/宅地建物取引士福岡市で実家を相続すると、古い木造家屋を解体してから売るべきか迷う方が多くいらっしゃいます。
解体費用は木造30坪の戸建てで150万〜240万円ほどかかり、更地にすると固定資産税が上がる場合があります。
解体するかどうかの判断も含め、福岡市博多区で不動産売却を専門にする当社にご相談ください。
この記事では、解体費用の坪単価、義務化されたアスベストの事前調査、更地にした後の税金の変化、そして解体せずに売る選択肢を順に説明します。
2. アスベストの事前調査はなぜ義務化されたのか
3. 更地にすると固定資産税がなぜ上がるのか
4. 更地で引き渡すと約束する前に、何を決めておくか
5. 解体せずに売るという選択肢もある
6. まとめ 解体する前に両方の金額を比べる
解体費用の坪単価はいくらか
木造戸建ての解体費用は、1坪あたり5万〜8万円が目安です。
30坪の木造住宅なら、150万〜240万円ほどになります。
費用に幅があるのは、建物の構造、接道の広さ、廃材の量によって作業日数が変わるためです。
解体業者によって見積もりの内訳が異なるため、複数社から相見積もりを取ると総額を比較しやすくなります。
残置物が多く残っている場合、その処分費用が解体費用に上乗せされることもあります。
坪数ごとの概算は次のとおりです。
| 延床の坪数 | 概算費用 |
|---|---|
| 20坪 | 100万〜160万円 |
| 30坪 | 150万〜240万円 |
| 40坪 | 200万〜320万円 |
鉄骨造や鉄筋コンクリート造は、解体に手間がかかるぶん、木造より費用が高くなる傾向があります。
近年は、次に説明するアスベストの事前調査費用や廃材処分費の上昇によって、解体費用そのものが上昇傾向にあります。
見積もりを取る段階で、この上昇分を含めた総額を確認しておくと、後から追加費用が出にくくなります。
アスベストの事前調査はなぜ義務化されたのか
2021年4月から、解体・改修工事の前には、規模の大小にかかわらず、アスベストが使われているかどうかの事前調査が必要になりました。
調べる義務を負うのは、工事を請け負う元請業者や、自分で施工する人です。
売主様が自分で調べるのではなく、解体を頼む相手が調べる形です。
発注する側は、調査に必要な図面などを渡し、調査の費用を見込んでおくことが求められます。
2023年10月からは、この事前調査を建築物石綿含有建材調査者などの有資格者が行うことも義務付けられています。
これとは別に、延床面積80平方メートル以上の解体工事と、請負代金100万円以上の改修工事には、調査結果の報告が要ります。
元請業者が国の電子システムで、都道府県などへ届け出る決まりです。
80平方メートルはおよそ24坪なので、一般的な木造戸建ての解体でも、報告の対象になることが多くあります。
調査の費用と日数が解体のスケジュールに加わり、アスベストが見つかった場合は、除去作業が別に必要になって費用と工期がさらに延びます。
解体業者が事前調査までまとめて請け負うことも多く、依頼先を選ぶときの確認事項です。
更地にすると固定資産税がなぜ上がるのか
建物を解体して更地にすると、翌年から固定資産税の住宅用地の特例が外れ、土地にかかる税額が上がります。
住宅用地の特例では、200平方メートル以下の部分は課税標準額が6分の1に、200平方メートルを超える部分は3分の1に軽減されています。
建物を取り壊すと、その土地は住宅用地ではなくなるため、この軽減が受けられなくなるためです。
福岡市では、住宅を取り壊した場合に住宅用地の申告が必要で、期限は解体した年の翌年1月31日です。
申告先は物件がある区の区役所課税課で、福岡市7区それぞれの窓口は、当社の窓口ガイド(福岡市7区の手続き窓口ガイド)にまとめています。
空き家を解体せずに放置した場合も、「特定空家」や「管理不全空家」に指定されると、住宅用地の特例が外れることがあります。
これは建物を壊すからではなく、老朽化した空き家をそのまま放置していることが理由です。
くわしい仕組みは、空き家を放置するとどうなる?固定資産税6倍のリスクの記事で説明しています。
解体したあとの土地を駐車場として貸す場合も、住宅用地ではないので特例は戻りません。
駐車場の収入と上がった税を並べて、続けるか売るかを比べる方法は駐車場経営をやめたいときの比べ方で説明しています。
更地で引き渡すと約束する前に、何を決めておくか
売買契約で「更地にして引き渡す」と約束する前に、アスベストの調査と見積りを済ませておくと、費用の見通しが立ちます。
約束したあとで調査をすると、結果が出てから費用の負担を決める話になりやすいからです。
解体して初めて見つかると、費用の負担で揉めやすい
更地渡しの契約を結んだあと、解体の途中でアスベストが見つかる場合があります。
除去の費用が上乗せされ、売主と買主のどちらが負担するかで意見が分かれる、というのが典型的なもつれ方です。
法律が決めているのは調査と飛散防止の手順で、増えた費用を誰が持つかまでは決めていません。
だからこそ、契約を結ぶ前に調査の結果を見積りへ反映させ、金額の前提を揃えておく必要があります。
先に解体業者へ事前調査を依頼し、見積書にその結果と除去の有無を書いてもらってください。
追加費用が出たときの負担は、契約書に書いておく
それでも、解体してみないと分からない部分は残ります。
地中の廃材や、壁の中の建材などです。
追加費用が出た場合にどうするかは、売買契約書で先に決めておくのが筋です。
考え方は2つあります。
- 売主が解体まで行い、追加分も売主が負担する代わりに、価格にその分を見込む
- 買主が解体を行い、解体費の見込み額を価格から差し引く
どちらが向くかは、買主が個人か事業者か、引き渡しまでの期間がどれだけあるかで変わります。
契約書の文言は、売る前に仲介会社へ見せて、追加費用の線引きを確認してください。
補助制度は、契約や着工より前に市へ相談する
福岡市には、民間建築物の吹付けアスベストの分析調査と除去を助成する制度があります。
分析調査は費用の全額(上限25万円)、除去などの工事は費用の3分の2(上限300万円)が補助されます。
対象は、福岡市内にあり、吹付けアスベスト(レベル1)が施工されているおそれのある建築物の所有者です。
戸建ての屋根や外壁に使われた建材が対象かどうかは、制度の案内だけでは分からないため、市へ尋ねてください。
順番にも決まりがあります。
事前相談をせずに申請することはできず、交付決定の前に契約した工事は対象外です。
2026年度の申請期限は、除去等が11月27日、分析調査が12月25日とされ、予算がなくなり次第、受付が終わる場合もあります。
年度が替わると期限は変わるので、検討する時点の案内を市の建築調整課(092-711-4586)で確かめてください。
解体せずに売るという選択肢もある
古家がある状態のまま売却できれば、解体費用そのものをかけずに済みます。
当社は福岡市東区で、築50年を超える傾斜地の戸建てを、解体せずに売却した事例があります。
当初は解体も検討しましたが、解体と造成をあわせると1,000万円を超える費用がかかることが分かりました。
建物を活かした売却方法に切り替えたことで、価格への影響を抑えることができました。
古家付き土地として売り出す、買取業者に現状のまま引き渡す、DIY需要のある個人に売るなど、解体せずに進める方法はいくつかあります。
解体するかどうかは、更地にしたときの需要と、古家のままでの需要を比べて判断するのが実務的です。
解体を検討する場合も、業者選びや家財の片付けが必要です。
片付けの費用を先に出さずに進める方法は片付け費用がなくても大丈夫|残置物のまま実家の売却を始めるにまとめました。
まとめ 解体する前に両方の金額を比べる
解体するかどうかで、数十万円から数百万円の差が出ます。
更地にする前に、解体した場合としない場合の両方の査定額を比べておくと、判断しやすくなります。
当社では、解体前の古家付きのままでも無料査定を承っています。
まずは無料査定で、解体費用をかけた場合とかけない場合の見込み額を確認してください。
当社が扱った売却事例は売却事例のページでも紹介しています。
相続した空き家の売却全般については、福岡市の空き家売却のページもあわせてご覧ください。
