不動産売却の手取りの計算方法|福岡市で引かれるお金の順番
執筆・監修:野上俊彦株式会社おもいで不動産 代表取締役/宅地建物取引士
執筆・監修:野上俊彦代表取締役/宅地建物取引士不動産を売ったときに手元へ残る金額は、2つの引き算を続けて行うと出ます。
1つ目は、引渡しの日に売却代金から差し引かれるお金の引き算です。
2つ目は、売った翌年の確定申告で納める税金の引き算です。
この2つは、引く相手も、引ける費用の種類も違います。
とくに間違えやすいのが住宅ローンの残債で、手取りからは確かに引かれますが、税金の計算では経費になりません。
この記事は、住み替えや返済の資金計画を立てるために、福岡市の物件でいくら残るかを自分の数字で確かめたい方に向けて書いています。
2. 引渡しの日に、売却代金から差し引かれるのは何ですか?
3. 税金の計算で差し引けるのは何ですか?
4. 住宅ローンの残債は、なぜ経費にならないのですか?
5. 買ったときの価格が分からないときはどうしますか?
6. 福岡市博多区で2,700万円のマンションを売ると、手取りはいくらですか?
7. 固定資産税の精算金は手取りに入りますか?
8. 自分の数字で手取りを確かめるにはどうすればよいですか?
不動産売却の手取りは、どの順番で計算しますか?
手取りは、次の2段階で計算します。
- 引渡しの日に残るお金 = 売買代金 − 諸費用 − 住宅ローン残債
- 税金を払った後に残るお金 = 上の金額 − 譲渡所得税・住民税
そして税金のほうは、まったく別の式で決まります。
- 譲渡所得 = 売った金額 − 取得費 − 譲渡費用
- 課税される譲渡所得 = 譲渡所得 − 特別控除
- 税額 = 課税される譲渡所得 × 税率
国税庁は、譲渡所得を「土地や建物を売った金額から取得費と譲渡費用を差し引いて計算する」と説明しています。
引く順番は売った金額 → 取得費 → 譲渡費用 → 特別控除で固定されていて、この順番を入れ替えることはできません。
ここで押さえておきたいのは、諸費用の一覧と、税金の計算で引ける経費の一覧が同じではないという点です。
片方にしか出てこない項目があるため、諸費用の合計をそのまま経費として扱うと税額を読み違えます。
引渡しの日に、売却代金から差し引かれるのは何ですか?
引渡しの日には、売買代金から次のお金が差し引かれ、残りが売主の口座へ入ります。
| 差し引かれるもの | 目安 |
|---|---|
| 仲介手数料 | 売買価格が400万円を超える場合は(価格×3%+6万円)×1.1が上限 |
| 印紙税 | 売買契約書に貼る。契約金額で決まる |
| 抵当権抹消の登記費用 | 約1万7,000円 |
| 住所変更の登記費用 | 約1万4,000円 |
| 住宅ローンの残債 | 残っている全額 |
仲介手数料の上限は、宅地建物取引業法にもとづく国土交通省告示で決まっています。
登記費用は、抵当権が付いている場合と、登記上の住所から引っ越している場合にだけ必要です。
解体・測量・残置物の処分をした場合は、その実費もここに加わります。
この章でやることは1つで、自分の物件に当てはまる行だけを残して合計を出すことです。
費用の項目ごとの目安は福岡市の不動産売却|費用の内訳と手取りの目安にまとめています。
税金の計算で差し引けるのは何ですか?
税金の計算で差し引けるのは、取得費と譲渡費用の2つだけです。
取得費は、その不動産を買ったときの購入代金や購入手数料に、後から支出した改良費や設備費を足した金額です。
譲渡費用は、売るために直接かかった費用です。
国税庁は譲渡費用の例として、仲介手数料、測量費、売買契約書の印紙代、借家人に支払った立退料、建物を取り壊して土地を売るときの取壊し費用を挙げています。
逆に、次のものは譲渡費用になりません。
- 修繕費(資産の維持管理のための費用)
- 固定資産税(同じく維持管理のための費用)
- 売却代金の取立てのための費用
引渡しの日に払ったからといって、そのまま経費になるわけではないということです。
判断に迷う費用は、領収書を残したうえで税務署か税理士に確かめてください。
住宅ローンの残債は、なぜ経費にならないのですか?
住宅ローンの残債は、借りたお金を返しているだけで、その不動産を手に入れるための支出でも、売るための支出でもないからです。
買ったときの代金は、すでに取得費として計算に入っています。
そこに残債も足してしまうと、同じ支出を二重に引くことになります。
結果として、次のことが起こります。
- 手取りの計算では、残債は全額が差し引かれる
- 税金の計算では、残債は1円も差し引けない
この違いがあるため、口座にほとんどお金が残らなかったのに、翌年に譲渡所得税を納めるという事態が起こります。
残債が多い方ほど、引渡し前に税額まで含めて見ておく必要があります。
売却代金でローンを完済できない場合の進め方は、任意売却とは|住宅ローン滞納・競売を避ける方法で説明しています。
買ったときの価格が分からないときはどうしますか?
売買契約書が見つからず購入代金が分からないときは、売却価格の5%を取得費とみなして計算できます。
これを概算取得費といいます。
相続した実家のように、親が買った当時の資料が残っていない場合によく使います。
ただし概算取得費は取得費が小さくなりやすく、そのぶん譲渡所得が大きく出ます。
通帳の記録、住宅ローンの当初の借入額、購入時のパンフレットなど、購入代金を裏づける資料が残っていないかを先に探してください。
もう1つ注意したいのが建物の扱いです。
建物の取得費は、購入代金や建築代金から、所有していた年数に応じた減価償却費相当額を差し引いた金額になります。
買ったときの価格をそのまま使えるわけではないため、築年数が古い物件ほど取得費は小さくなります。
福岡市博多区で2,700万円のマンションを売ると、手取りはいくらですか?
当サイトが国土交通省の取引価格情報を集計したところ、博多区の3LDK系マンションの成約価格の中央値は2,700万円でした(専有面積の中央値65平方メートル・127件・2024年第2四半期〜2026年第1四半期)。
この金額で、住宅ローンの残債が1,000万円、購入代金が分からず概算取得費を使い、所有期間が5年を超えている場合を計算してみます。
まず、引渡しの日に残るお金です。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 売買代金 | 2,700万円 |
| 仲介手数料 | 95万7,000円 |
| 印紙税 | 1万円 |
| 抵当権抹消の登記費用 | 約1万7,000円 |
| 住宅ローン残債の返済 | 1,000万円 |
| 引渡しの日に残るお金 | 1,601万6,000円 |
次に、税金の計算です。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 売った金額 | 2,700万円 |
| 取得費(概算取得費) | 135万円 |
| 譲渡費用(仲介手数料と印紙代) | 96万7,000円 |
| 譲渡所得 | 2,468万3,000円 |
抵当権抹消の登記費用は、国税庁が譲渡費用の例として挙げていないため、この試算では譲渡費用に入れていません。
ここから先は、その物件がマイホームだったかどうかで大きく変わります。
自分が住んでいた家で3,000万円の特別控除を使える場合、課税される譲渡所得は0円になり、譲渡所得税もかかりません。
控除を使えない場合は、長期譲渡の税率20.315%を掛けて、税額はおよそ501万円になります。
同じ2,700万円の売却でも、最終的な手取りは1,601万円ほどと1,100万円ほどに分かれるということです。
控除の要件は物件ごとに違うので、当てはまるかどうかは早めに確かめてください。
博多区のほかの間取り・面積帯の相場は福岡市博多区の相場に掲載しています。
固定資産税の精算金は手取りに入りますか?
買主から受け取る固定資産税の精算金は、手取りにも税金の計算にも入ります。
福岡市の固定資産税・都市計画税は、4月・7月・12月・翌年2月の4期に分けて納めます。
納税義務者は、その年の1月1日時点の所有者です。
そのため年の途中で引き渡すと、売主が1年分を負担したまま、買主が所有する期間が生まれます。
売買の実務では、この分を引渡し日で日割りして、買主が売主へ精算金として支払います。
国税庁は、支払を受けた未経過固定資産税等に相当する額を、実質的に譲渡の対価の一部と解して譲渡所得の収入金額に算入するとしています。
つまり精算金は売買代金に足したうえで、譲渡所得を計算するということです。
金額そのものは大きくありませんが、収入金額が増える側の項目なので、忘れずに含めてください。
自分の数字で手取りを確かめるにはどうすればよいですか?
当サイトの売却費用・手取りの計算に、売買代金・取得費・ローン残債を入れると、ここまでの2段階の計算をまとめて行えます。
入力した内容はどこにも送信されないので、金額を変えながら何度でも試せます。
結果の画面では、引渡しの日に残るお金と、税金を払った後に残るお金が分けて表示されます。
売却代金でローンを完済できない場合は、その旨も表示されます。
試算の前に売買代金の見当をつけたいときは、無料査定をご利用ください。
マンションの査定でどこを見るかは福岡市のマンション売却にまとめています。
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売ると決めていない段階のご相談でも構いません。
