リースバックの告知20項目|業者が説明すべきことの一覧
執筆・監修:野上俊彦株式会社おもいで不動産 代表取締役/宅地建物取引士
執筆・監修:野上俊彦代表取締役/宅地建物取引士リースバックの契約書と条件書を前にしている方に向けて、業者が告げなければならないことを項目で並べます。
2026年10月1日から、故意に告げないと宅地建物取引業法に触れる事項が、売買4項目と賃貸借16項目の合わせて20項目にはっきりしました。
この記事は、その20項目を国土交通省のガイドライン本文の文言のまま写した確認表です。
上から順に、条件書と契約書のどこに書いてあるかを当てていけば、まだ聞けていない項目が浮かび上がります。
2. 売買に関する4項目には何が入りますか
3. 賃貸借に関する16項目には何が入りますか
4. 16項目のうち、見落とされやすいのはどれですか
5. 20項目に入っていないことは説明しなくてよいのですか
6. 説明を書面で受け取れますか
7. 告げてもらえなかったときの相談先はどこですか
8. 契約前に、この20項目をどう使いますか
リースバックで業者が告げるべきことは何項目ありますか
売買が4項目、賃貸借が16項目の、合わせて20項目です。
宅地建物取引業法47条1号は、判断に重要な影響を及ぼす事項を故意に告げない行為を禁じています。
これまでこの条文で見られていたのは、おもに売買の条件でした。
リースバックは売買と賃貸借が切り離せないため、賃貸借の内容も判断に重大な影響を及ぼす事項にあたる、とガイドラインが明記しました。
ここが今回いちばん変わったところ。
対象になるのは、住まいとして使っている家の売買と賃貸借が一体になっていて、買主が宅建業者であるか、宅建業者が媒介・代理する取引です。
個人どうしの売買や事業用の物件は、このガイドラインの対象外になります。
売買に関する4項目には何が入りますか
代金以外に動くお金、やめるときの条件、買い戻しの3つに関わる4項目です。
- 代金以外に授受される金銭の額及び当該金銭の授受の目的(手付金や預り金など、売買代金とは別に動くお金)
- 契約の解除に関する事項(どんなときに解除できるか、いつまでできるか)
- 損害賠償額の予定又は違約金に関する事項(やめたときにいくら払うか)
- 買戻し特約の有無及びその内容その他の相手方等が知らない場合に不利益となりうる事項(買い戻せるのか、いくらで買い戻せるのか)
4番目は「有無」から告げる決まりになっています。
買い戻せる約束が入っていないなら、入っていないと言われなければなりません。
買い戻しの価格は売った金額より高くなるのが通例なので、有無だけでなく金額まで確かめてください。
賃貸借に関する16項目には何が入りますか
誰と誰が、どの家を、いくらで、いつまで借りるのか、そして誰が何を負担するのかです。
- 当事者の氏名(法人にあつては、その名称)及び住所(貸主になるのは誰か)
- 当該宅地の所在、地番その他当該宅地を特定するために必要な表示又は当該建物の所在、種類、構造その他当該建物を特定するために必要な表示(借りる範囲。庭や車庫が入るか)
- 宅地又は建物の引渡しの時期(いつから借主として住むことになるか)
- 契約の解除に関する事項(賃貸借をやめられる場面と手順)
- 損害賠償額の予定又は違約金に関する事項(途中で出るときに払う額)
- 天災その他不可抗力による損害の負担に関する定めがあるときは、その内容(地震や水害で住めなくなったときの扱い)
- 借賃の額並びにその支払の時期及び方法(家賃はいくらで、いつ、どう払うか)
- 借賃以外の金銭の授受に関する定めがあるときは、その額並びに当該金銭の授受の時期及び目的(共益費、更新料、保証会社の費用など)
- 契約期間及び契約の更新に関する事項(何年で、更新できるのか)
- 借地借家法第2条第1号に規定する借地権で同法第22条第1項の規定の適用を受けるものを設定しようとするとき、又は建物の賃貸借で同法第38条第1項若しくは高齢者の居住の安定確保に関する法律第52条第1項の規定の適用を受けるものをしようとするときは、その旨(定期借家などにあたるならその旨)
- 当該宅地又は建物の用途その他の利用に係る制限に関する事項(ペット、増改築、同居人の制限)
- 敷金その他いかなる名義をもつて授受されるかを問わず、契約終了時において精算することとされている金銭の精算に関する事項(敷金がいくら戻るか)
- 当該宅地又は建物(当該建物が区分所有法第2条第1項に規定する区分所有権の目的であるものを除く。)の管理が委託されているときは、その委託を受けている者の氏名(法人にあつては、その商号又は名称)及び住所(法人にあつては、その主たる事務所の所在地)(雨漏りのときの連絡先)
- 当該宅地又は建物に係る租税その他の公課の負担に関する定めがあるときは、その内容(固定資産税を誰が払うか)
- 宅建業者が第三者に物件を譲渡する可能性及びその場合の賃貸借関係への影響(家主が変わる可能性と、そのときの扱い)
- 修繕費用の負担区分その他の相手方等が知らない場合に不利益となりうる事項(給湯器やエアコンが壊れたとき誰が払うか)
括弧の中は読者向けの補いで、括弧の外がガイドラインの文言です。
番号は本文から指すために振ったもので、ガイドラインの側に番号は付いていません。
16項目のうち、見落とされやすいのはどれですか
10番、15番、16番の3つ。
10番は、その賃貸借が定期借家などにあたるかどうかです。
定期借家なら期間が終わったら明け渡すのが原則で、更新という考え方がありません。
何年住めるかはリースバックで何年住める?定期借家と普通借家の違いにまとめました。
15番は、買った業者がその家を第三者へ売る可能性と、そうなったときに賃貸借がどうなるかという項目です。
通常の賃貸の説明には出てこない、リースバックだけの項目。
家主が変わっても住み続けられるのか、家賃や期間はそのまま引き継がれるのかを、その場で聞いてください。
16番は修繕費用の負担区分で、給湯器やエアコンが壊れたときに誰が払うかが分かれます。
持ち家のときは自分で直していたぶん、貸主が直してくれるものと思い込みやすい項目です。
仕組みそのものの落とし穴は【博多区吉塚】リースバックの仕組みと契約前に知る3つのリスクにまとめています。
20項目に入っていないことは説明しなくてよいのですか
そうではありません。
ガイドラインは、列挙した事項以外は告知を要しないという意味ではない、と本文にはっきり書いています。
さらに、売主から関心や質問が寄せられた事項についても、通常の注意を用いて可能な範囲で調査して告知することが必要だと続きます。
聞いたことを「分かりません」で終わらせてよい仕組みではない、ということ。
20項目は最低限の一覧なので、気になったことはその場で質問してください。
説明を書面で受け取れますか
求めることはできますが、交付は義務ではありません。
ガイドラインは、告知した事項を記載した書面を交付することが望ましいと書いています。
望ましい事項なので、断られたからといって違反にはなりません。
それでも口頭だけの説明はあとで食い違うので、紙かPDFで残してもらってください。
売買価額と家賃の算定根拠の説明、売却代金が家賃の何か月分にあたるかの説明も、同じ「対応することが望ましい事項」に挙がっています。
ここを義務だと思って交渉すると話がこじれるので、頼み方は「出してもらえますか」で十分です。
家賃の根拠の確かめ方はリースバックの家賃の算定根拠は聞ける?相場との確かめ方で説明しています。
告げてもらえなかったときの相談先はどこですか
福岡県知事免許の業者なら、福岡県庁の建築指導課宅建業係が窓口です。
場所は福岡市博多区東公園7番7号、電話は092-643-3718、受付は平日の8時30分から17時15分まで。
免許の種類は、契約書や名刺に載っている免許証番号で見分けられます。
「国土交通大臣」で始まる業者については、九州地方整備局の不動産業相談ダイヤル(092-476-3561)でも受け付けています。
故意に告げなかった場合は47条1号に触れ、受ける可能性があるのは指示・業務停止命令・免許の取消し。
過失で告げなかった場合も、31条1項の信義誠実の義務に抵触するおそれがある、とガイドラインは書いています。
消費生活センターなどへの相談は、令和4年度116件、5年度227件、6年度242件、令和7年度214件と推移しました。
直近は減ったものの、令和4年度の2倍近くが続いています。
契約前に、この20項目をどう使いますか
条件書と契約書を並べて、20項目に印を付けるところから始めてください。
書いてあれば○、書いていなければ×、口頭で聞いただけなら△と分けます。
×と△が残った項目が、そのまま業者への質問の一覧です。
手元にどの書類があるかは売却に必要な書類で確かめられます。
そのうえで、リースバックの条件だけを見て決めないでください。
仲介で売った場合の金額と並べないと、家賃が高いのか妥当なのかを判断できません。
3つの売り方の違いは仲介・買取・リースバックの比較に、依頼のしかたは媒介契約の種類にまとめています。
福岡市7区の成約価格の水準は福岡市の売却相場で区ごとに見られます。
当社もリースバックを扱いますが、20項目は業者が告げる決まりの一覧であって、条件そのものがよくなる仕組みではありません。
