リースバックのトラブル4類型|新ルールで止まるのはどれか
執筆・監修:野上俊彦株式会社おもいで不動産 代表取締役/宅地建物取引士
執筆・監修:野上俊彦代表取締役/宅地建物取引士リースバックを勧められていて、条件をどう見ればよいか迷っている方に向けた記事です。
ご本人ではなく、ご家族が心配して読まれる場合も想定しています。
国土交通省の資料に出ているトラブルは、大きく4つの型に分かれます。
買戻しを断られた、解約に高額な違約金を求められた、家賃が高くて資金が尽きた、定期借家契約で退去を迫られた、の4つです。
2026年10月1日から、不動産会社の説明義務が重くなります。
ただし新しい決まりが縛るのは説明であって、契約の中身そのものではありません。
この記事では、4つの型それぞれについて、新ルールで止まるところと、止まらないところを分けて書きます。
2. どんなトラブルが起きていますか?
3. 新しい決まりで、この4つは止まりますか?
4. 売買価格や家賃の根拠は、教えてもらえますか?
5. 福岡県で、おかしいと思ったらどこに相談しますか?
6. 契約の前に、家族と何を確かめますか?
7. 次に何をすればよいですか?
リースバックの相談はどのくらい起きていますか?
全国の相談件数は、令和4年度116件、5年度227件、6年度242件、令和7年度214件です。
令和4年度から5年度にかけて倍近くに増え、そのあとは高い水準で止まっています。
直近の令和7年度は、前の年より減りました。
「毎年増え続けている」という書き方は、この数字に当てはまりません。
件数そのものは、不動産の相談全体から見れば多くない部類です。
契約に至る前の、しつこい勧誘そのものへの対処は押し買い勧誘の断り方と通報先にまとめました。
それでも国が動いたのは、1件あたりの結果が重いからでしょう。
住まいを失うかどうかという話で、しかも売ってしまうと後戻りができません。
どんなトラブルが起きていますか?
国土交通省の資料に出ている代表的な型は、次の4つです。
- 買戻しができると思っていたのに、特約が契約に無く、断られた
- 途中で解約しようとしたら、高額な違約金を求められた
- 家賃が想定より高く、受け取った売却代金が先に尽きた
- 定期建物賃貸借契約だったため、期間の満了で退去を迫られた
この4つに共通しているのは、売る前に聞いていた話と、契約書に書いてあった内容が違っていた点です。
物件の値段でもめた、という型はここに出てきません。
もめているのは、売ったあとの住み方のほうです。
リースバックは自宅の売買と、売ったあとの賃貸借が一体になった取引になります。
売買の条件だけ詰めて賃貸借を後回しにすると、この4つのどれかに近づきます。
なお当社は、実在しないトラブル事例を作って載せることはしません。
ここに挙げたのは、国の資料に類型として出ているものだけです。
新しい決まりで、この4つは止まりますか?
止まるのは「聞いていなかった」という部分だけで、契約の中身そのものは止まりません。
2026年10月1日から、不動産会社は賃貸借の内容も告げないと宅地建物取引業法の違反になります。
告げるべき事項は、売買で4項目、賃貸借で16項目、合わせて20項目が挙げられました。
4つの型は、それぞれ次の項目に結び付きます。
| トラブルの型 | 結び付く告知事項 |
|---|---|
| 買戻しを断られた | 買戻し特約の有無と、その内容(売買) |
| 解約に高額な違約金 | 契約の解除、損害賠償額の予定または違約金(売買) |
| 家賃が高く資金が尽きた | 賃料の額と、支払いの時期と方法(賃貸借) |
| 期間満了で退去を迫られた | 契約期間と更新、定期建物賃貸借にあたるか(賃貸借) |
つまり10月1日以降は、4つとも事前に告げられるべき事項に含まれます。
告げなければ、指示処分・業務停止・免許の取消しの対象です。
ここで誤解しやすいのが、告知と規制の違いになります。
定期建物賃貸借契約でリースバックを組むこと自体は、10月1日以降も違法ではありません。
買戻しの特約が付いていない契約も、同じく違法ではないのです。
会社に義務付けられたのは、その条件を契約の前に告げることでした。
条件が不利かどうかを判断するのは、これまでどおり売主の側になります。
売買価格や家賃の根拠は、教えてもらえますか?
算定の根拠を説明することは、義務ではなく「対応することが望ましい事項」に置かれています。
売買価額と借賃をどう計算したのか、売却代金が家賃の何か月分にあたるのか。
この2つは、告げないと違反になる20項目には入りませんでした。
望ましい事項なので、聞かれても答えない会社が違反になるわけではありません。
ただし売主から質問した事項については、会社が調べて答える必要があるとガイドラインが書いています。
根拠を尋ねたときの答え方は、その会社を見る材料になるでしょう。
当社もリースバックを扱う会社なので、この基準は当社自身にも同じようにかかります。
福岡県で、おかしいと思ったらどこに相談しますか?
福岡県知事免許の会社であれば、福岡県 建築都市部 建築指導課 不動産業係が窓口です。
電話番号は092-643-3718になります。
宅地建物取引業法に関する相談を受け付けており、免許を出した行政庁が処分を判断する仕組みです。
複数の都道府県に事務所がある会社は、国土交通大臣免許なので九州地方整備局が窓口になります。
見分ける手がかりは、名刺や契約書に書かれた免許番号です。
福岡県知事が行った行政処分は、県のサイトで公表されています。
勧誘を受けている会社の名前を、契約の前に一度そこで確かめておいてください。
当社の免許は福岡県知事(1)第19722号です。
契約の前に、家族と何を確かめますか?
4つの型に対応して、確かめる項目も4つです。
- 買い戻せるのか。買い戻せるなら、いくらでいつまでか
- 途中でやめたときに、いくら払うことになるのか
- 家賃はいくらで、受け取る代金は何年分の家賃にあたるのか
- 契約は普通借家か定期借家か。定期借家なら期間は何年か
この4つを、口頭ではなく書面で受け取ってください。
ガイドラインも、告知した事項を書面で残すことが望ましいとしています。
書面での交付そのものは義務ではありませんが、断る会社があれば、その時点で判断の材料になります。
口頭の「ずっと住めますよ」は、契約書に書かれた期間より弱いものです。
当社に届く質問でも、いつまで住めるのかを尋ねるものが最も多くなっています。
答えは契約の種類で変わるので、条件提示の紙を見ないと誰にも答えられません。
次に何をすればよいですか?
手元に条件提示の紙があるなら、上の4項目が書かれているかを先に確かめてください。
制度の全体像は2026年10月1日施行の新ルール総まとめにまとめています。
リースバックの仕組みそのものはリースバックの仕組みと契約前に知る3つのリスクをご覧ください。
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