匿名の売却相談でどこまで答えが出るか
執筆・監修:野上俊彦株式会社おもいで不動産 代表取締役/宅地建物取引士
執筆・監修:野上俊彦代表取締役/宅地建物取引士匿名で相談できます、と書かれていても、それだけでは使いどころが分かりません。
名前を伏せたぶん、答えも当たり障りのないものになるのではないか、という心配があるためです。
ここでは実際にいただく質問を並べて、匿名のままどこまで答えが出るのかを示します。
出せないものについては、なぜ出せないのかも書きました。
2. 匿名では出せないもの
3. なぜ匿名でも、ここまで答えられるのか
4. 答えが返りやすい聞き方
5. 名前を出す段階に進む目安
6. まずは読むだけでも構いません
7. この記事に関係する公的資料
匿名のままでも答えが出る質問
物件を特定しなくても、条件さえ分かれば返せる質問があります。
次の4つは、その代表です。
「うちはいくらぐらいで売れますか」
最寄り駅と徒歩分数、築年数、おおよその広さが分かれば、相場の幅としてお答えできます。
「博多区、駅から徒歩8分、築25年、70平米ほどのマンション」まで書いていただければ十分です。
ただし、出るのは幅です。
金額を1点に絞るには、階数と向きと室内の状態を見る必要があります。
幅を狭めるのは、書いていただく条件の細かさです。
逆に「福岡市のマンション」だけでは、答えも福岡市全体の話になります。
市内でも区によって相場は違うので、それでは自分の物件の話になりません。
「いま売るべきでしょうか」
売るか待つかの結論は、こちらでは決められません。
決めるための材料なら並べられます。
軸になるのは、住宅ローンの残り、住み替え先の目処、期限の3つ。
相続した家であれば、相続から3年目の年末という期限が効いてきます。
相続した空き家の3,000万円控除が使えるのが、そこまでだからです。
「不動産会社にこう言われたのですが、普通ですか」
いちばん答えやすいのは、この形の質問。
物件が特定できなくても、業界の一般的なやり方かどうかは言えるためです。
媒介契約の種類も、仲介手数料の上限も、宅地建物取引業法で決まっています。
そこから外れた話なら、外れていると申し上げるだけです。
「相続した実家、何から手を付ければいいですか」
順番はお答えできます。
まず確かめるのは、相続登記が済んでいるかどうか。
済んでいなければ、売る話より先にそちらです。
名義が故人のままだと、買主が決まっても引き渡せません。
相続人が何人いるか、遺言があるかどうかでも、進め方は変わります。
そこまでは名前を伏せたまま整理できます。
相続登記は2024年4月から義務になりました。
匿名では出せないもの
反対に、名前を伏せたままでは出せないものが3つあります。
出し惜しみではなく、物件を特定しないと作れないためです。
根拠をつけた査定額
成約事例を並べて金額の理由を示す査定書は、物件が決まらないと作れません。
同じマンションの同じ間取りでも、階数と向きで価格は動きます。
1点の数字が要る場面では、ここまで進んでいただく形です。
税額の計算
譲渡所得税を左右するのは、買ったときの金額と、持っていた年数。
購入時の売買契約書が残っているかどうかでも、取得費の扱いが変わります。
書類を見ないまま数字を出すと、外れたときの影響が大きすぎます。
では匿名の段階で何をするのか。
確認すべき窓口をお伝えするところまでです。
税務署も法務局も、名前を伏せたまま電話で聞けます。
境界と越境の判断
境界標があるか、隣地との越境がないかは、資料と現地を見ないと分かりません。
ここは匿名のままでは進みません。
なぜ匿名でも、ここまで答えられるのか
実際の取引価格が、国土交通省から地域単位で公開されているためです。
個人が特定されない形にまとめてあるので、こちらも物件を特定せずに読めます。
当社が福岡市向けに整理したのが、9つの沿線の駅ごとと7区それぞれの相場です。
だから「博多区の駅徒歩8分」まで分かれば、近い取引を当てられます。
住所も氏名も、そこには要りません。
答えが返りやすい聞き方
短く書くほど、返る答えも一般論になります。
目的、状況、どこまで調べたか、質問そのもの。
この4つがそろっていると、その場で具体的に返せます。
書き方はSTEP2:匿名のまま不動産売却をプロに相談する方法にまとめました。
名前を出す段階に進む目安
金額を1点に絞りたくなったときです。
売り出し価格を決める、住み替え先の資金計画を立てる、相続人のあいだで分け方を決める。
どれも幅のままでは決められません。
そこまで来たら無料査定へお進みください。
文字より話したほうが早いと感じたら、15分無料相談もオンラインで受け付けています。
まずは読むだけでも構いません
相談室の使い方は、質問することだけではありません。
他の方と当社とのやり取りが、そのまま読めます。
自分では思いつかなかった論点が、先に誰かの質問として出ている。
そういうことがよくあります。
書き込む前に、過去のやり取りを一度眺めてみてください。
この記事に関係する公的資料
制度と税率は改正されます。
実際の判断は、上の公的資料の最新の内容と、税務署・法務局・税理士・司法書士への確認をあわせて行ってください。

