住み替えのダブルローン|二重返済の期間を区切る考え方
執筆・監修:野上俊彦株式会社おもいで不動産 代表取締役/宅地建物取引士
執筆・監修:野上俊彦代表取締役/宅地建物取引士先に新居を決めてから今の家を売る「買い先行」では、ローンの返済が一時的に二重になります。
この二重返済(ダブルローン)で家計を圧迫するのは、月々の金額よりも二重になる期間の長さです。
月に8万円の負担でも、3か月なら24万円、1年なら96万円と4倍に開きます。
この記事は、福岡市で買い先行の住み替えを考えている方に向けて、その期間を先に区切る方法をまとめたものです。
つなぎ融資と住み替えローンの使い分け、買取保証で終わりの日を決める考え方、新居のローン審査で旧居の残債がどう扱われるかを順に見ていきます。
2. つなぎ融資と住み替えローンは何が違うのか
3. 二重返済の期間は買取保証で区切れる
4. ダブルローンの審査で旧居のローンはどう見られるか
5. 福岡市で買い先行を選ぶ前に確かめる3つのこと
6. まず残債と相場を確かめるところから
ダブルローンとは?いつからいつまで二重になるのか
ダブルローンは、新居の引き渡しを受けてから旧居の決済が終わるまでのあいだ、2本の住宅ローンを同時に返している状態を指します。
始まりの日は新居の引き渡し日、つまり自分で決められる日付です。
終わりの日は旧居の残代金を受け取る日で、こちらは買主が現れるまで決まりません。
つまり二重返済の長さは、「いつ売れるか」に丸ごと預けられた状態にあります。
そして二重になるのはローンだけではありません。
固定資産税・都市計画税、マンションなら管理費と修繕積立金、火災保険料も2軒ぶん出ていきます。
福岡市の固定資産税・都市計画税の納期は、4月・7月・12月・翌年2月の年4回です。
課税されるのは1月1日時点の所有者なので、旧居を持ったまま年を越すと、その年の納税通知書は売主に届きます。
引き渡しのときに買主と日割りで精算しますが、いったん納めるのは通知書を受け取った売主です。
年末に売れ残ると、翌春から4回にわたって旧居ぶんの請求が続くことになります。
つなぎ融資と住み替えローンは何が違うのか
つなぎ融資は売却代金が入るまでの一時的な借入、住み替えローン(買い替えローン)は旧居の残債と新居の購入資金を1本にまとめる住宅ローンです。
つなぎ融資は旧居が売れた時点で一括返済し、住み替えローンはそのまま新居のローンとして返し続けます。
前者は「お金が入る時期のずれ」を埋める道具、後者は「売っても返しきれない残債」を新居のローンへ移す道具、と考えると分かりやすくなります。
分かれ目は、旧居の売却代金で残債を完済できるかどうかです。
完済できる見込みなら、つなぎ融資か自己資金で新居の頭金を用意し、売れた時点で精算する形になります。
完済できないなら、住み替えローンを使うか、手持ち資金で足りない分を埋めるかの二択です。
ただし住み替えローンは、借入額が新居の担保価値を超えるため、審査は通常の住宅ローンより厳しめになります。
自己資金でも住み替えローンでも埋まらない場合の次の一手は、オーバーローンでも家は売れる|検討する順番で説明している任意売却です。
先に確かめておくこと
住み替えローンは、取り扱っていない金融機関もあります。
新居の売買契約を結ぶ前に、使える先が実際にあるかを確かめてください。
つなぎ融資も同じで、金利と事務手数料には金融機関ごとの差があります。
売れるまでの月数が延びるほど利息は積み上がるので、ここでも効いてくるのは期間です。
残債と手取りの見当は、手取りの試算で先に立てられます。
二重返済の期間は買取保証で区切れる
買取保証は、決めた期間のあいだは仲介で売り出し、その期間内に売れなければ、あらかじめ決めた金額で不動産会社が買い取る仕組みです。
これを付けると、二重返済の終わりの日を契約の時点で決められます。
買主が現れるかどうかに預けていた日付が、自分の手元に戻ってくるわけです。
代わりに、保証価格は市場で売れる価格より低くなります。
買い取る側は転売できることを前提に値を付けるので、仕組みの上でそうなります。
そこで、保証価格との差額と、二重返済を続けた場合の持ち出しを並べて比べてください。
月8万円の二重返済に半年耐えれば48万円、そこへ旧居の管理費と固定資産税が乗ります。
差額がこの持ち出しより小さいなら、期間を区切ったほうが手元に残る計算です。
期限の決め方は、新居の引き渡し日から逆算するのが実務になります。
当社が扱った売却でも、金額だけでなく売却の期限とゴールを先に決めたことで、早く買主が見つかった案件がありました。
実際の進め方は売却事例でご覧いただけます。
仲介・買取・買取保証の違いは仲介・買取・リースバックの比較にまとめました。
ダブルローンの審査で旧居のローンはどう見られるか
新居のローン審査では、旧居に残っているローンも「すべての借入れ」として年間返済額に数えられます。
金融機関が見ているのは、年収に占める年間返済額の割合(総返済負担率)です。
住宅金融支援機構のフラット35では、年収400万円未満なら30%以下、400万円以上なら35%以下が基準になっています。
ここでいう「すべての借入れ」には、他の住宅ローンのほか、自動車ローン、教育ローン、カードローンも含まれます。
年収500万円の方であれば、年間返済額の上限は175万円、月あたりにすると14万5,000円ほど。
旧居のローンが月8万円残っていれば、新居に回せるのは月6万5,000円ほどという計算になります。
買える新居の価格を決めているのは、査定額ではなくこの枠です。
枠を食うのは住宅ローンだけではない
自動車ローンやカードのリボ払いが残っていると、その返済額も同じ枠から差し引かれます。
住み替えを考え始めた時点で整理しておくのが、借入可能額を広げるいちばん早い手です。
また、売却予定の旧居のローンをどう扱うかは、民間の金融機関では一社ごとに違います。
売却の予定を伝えたうえで事前審査を受け、旧居のローンを含めた場合と含めない場合の両方を聞いてください。
福岡市で買い先行を選ぶ前に確かめる3つのこと
確かめるのは、旧居がいくらで売れそうか、何か月の二重返済に耐えられるか、その月数を超えたときの逃げ道は何か、の3つです。
1つ目の売却価格は、福岡市の平均ではなく、自分の区の数字で見てください。
当社が集計した中古マンションの成約価格では、3LDK系の中央値は博多区で2,700万円、中央区では4,200万円でした。
同じ市内で1.5倍の開きがあるので、市全体の平均で資金計画を立てると見込みが狂います。
間取り別の数字は福岡市博多区の相場など、各区のページでご覧ください。
2つ目の「耐えられる月数」は、預貯金から新居の頭金と諸費用を引いた残りで決まります。
その残りを、二重返済の月額(ローン+管理費+固定資産税の月割り)で割った数が、持ちこたえられる月数です。
3つ目の逃げ道にあたるのが、さきほどの買取保証と住み替えローンになります。
この3つが埋まらないうちは買い先行に踏み出さず、売り先行と比べ直してください。
順番の比べ方は住み替えは売り先行と買い先行のどちらが良いかで詳しく扱っています。
まず残債と相場を確かめるところから
住み替えの相談でつまずくのは、残債と相場のどちらかが分からないまま新居を決めてしまった場合です。
正確な残債は、金融機関から届く残高証明書か、手元の返済予定表で確認できます。
旧居がいくらで売れそうかを知るには、無料査定をお使いください。
売却で利益が出そうなときは、税金の特例も資金計画に関わってきます。
買換えの特例については自宅の買換え特例が2年延長にまとめました。
売る順番と期限の区切り方を一緒に決めたい方は、15分の無料相談をご利用ください。
