事故物件はいくら下がる?福岡市7区の相場から考える
執筆・監修:野上俊彦株式会社おもいで不動産 代表取締役/宅地建物取引士
執筆・監修:野上俊彦代表取締役/宅地建物取引士相続した家や所有している物件で人が亡くなり、価格がどれくらい下がるのか見当をつけたい方に向けた記事です。
先に結論を書きます。
下がり幅に、決まった相場はありません。
インターネットで見かける「事故物件は◯割下がる」という数字は、その物件の相場を分母にしたときの話です。
福岡市の中だけでも、同じ間取りの部屋の相場が区によって倍近く違います。
当社は福岡市博多区千代に事務所を構え、事故のあった物件のご相談をお預かりしてきました。
ここでは下がり幅を左右する4つのことと、自分の物件の見当をつける順番をご説明します。
2. なぜ「◯割下がる」を当てにできないのですか?
3. 下がり幅は何で決まりますか?
4. 「事故物件」の中身にはどんな幅がありますか?
5. 自分の物件の下がり幅は、どう見当をつけますか?
6. 下がり幅を先に決めて売り出してよいですか?
7. まず何をすればよいですか?
事故物件になると、価格はいくら下がりますか?
いくら下がるかを、あらかじめ決められる数字はありません。
下がり幅を左右するのは、死因・特殊清掃の有無・発見までの期間・その物件そのものの相場という4つだからです。
4つの組み合わせは物件ごとに違うので、割合だけを他所から持ってきても当てはまりません。
目安として言えるのは、当社が買取で引き受ける場合の水準くらい。
事故のあった物件の買取は相場の3〜5割になることが多く、事故のない物件の買取(相場の5〜7割)より下がります。
ただしこれは買主が不動産会社になる買取の話で、一般の買主を探す仲介とは別の数字です。
買取そのものの進め方は事故物件を買取で手放す記事に書きました。
なぜ「◯割下がる」を当てにできないのですか?
割合をかける前の相場が、福岡市の中でも区によって大きく違うからです。
当社が国土交通省の取引価格情報から集計した、3LDK系の中古マンションの中央値を並べます。
| 区 | 中央値 | 件数 |
|---|---|---|
| 中央区 | 4,200万円 | 216件 |
| 早良区 | 3,550万円 | 116件 |
| 城南区 | 3,000万円 | 67件 |
| 博多区 | 2,700万円 | 127件 |
| 西区 | 2,700万円 | 126件 |
| 東区 | 2,600万円 | 228件 |
| 南区 | 2,300万円 | 193件 |
対象は2024年第2四半期から2026年第1四半期までの取引で、専有面積はおおむね70㎡です。
中央区と南区で、1,900万円の開きがあります。
同じ「3割下がる」でも、中央区の部屋なら1,260万円、南区の部屋なら690万円。
下がる金額そのものが570万円違うので、割合だけを聞いても手取りの見当がつきません。
お住まいの区の相場は福岡市の売却相場から確かめられます。
下がり幅は何で決まりますか?
先ほどの4つ、死因・特殊清掃の有無・発見までの期間・その物件そのものの相場です。
死因だけで決まるものではありません。
同じ孤独死でも、翌日に発見された場合と、ひと月後に特殊清掃が入った場合とでは、買主候補の会社の反応がまるで違います。
起きた場所も効きます。
室内で起きたのか、建物内の共用部だったのか、敷地内の屋外だったのかで、買主が受け取る重さが変わるためです。
売れやすい物件かどうかも、下がり幅を左右します。
もともと買いたい人が多い区や間取りであれば、事情を承知したうえで手を挙げる方が現れやすいからです。
「事故物件」の中身にはどんな幅がありますか?
自殺・病死・孤独死・事件と、ひとくくりにされている中身には大きな幅があります。
国土交通省のガイドラインは、老衰や持病による病死などの自然死を、原則として告げなくてよいとしています。
階段からの転落や誤嚥のような、日常生活の中での不慮の死も同じ扱いです。
ただし発見が遅れて特殊清掃が入った場合は、自然死であっても告知の対象になります。
孤独死の扱いが分かれるのは、この線の上にあるからです。
当社はまず死因と発見の経緯を調べ、どちらに当たるかを売主へお伝えしています。
そのうえで、殺人事件だけは目安の外にあるものとお考えください。
当社の実務では買い手がつかないため、3〜5割という割合の話にもなりません。
自分の物件の下がり幅は、どう見当をつけますか?
同じ建物の他の部屋が、いくらで成約したかと比べます。
マンションであれば、同じ建物・同じくらいの間取りの直近の成約が、いちばん近い物差しになるからです。
戸建てなら、同じ町内で築年数と敷地の広さが近いものを探します。
順番を間違えないでください。
先に「事故がなかったとしたら、いくらで売れるか」を出し、そこから引くのが正しい順です。
いきなり事故を織り込んだ金額から考え始めると、何割引きなのか自分でも分からなくなります。
当社の査定では、この事故がなかった場合の価格と、買取に出した場合の金額を並べてお出ししています。
下がり幅を先に決めて売り出してよいですか?
先に割り引いた金額で売り出すのは、おすすめできません。
一度下げた売り出し価格は、買主から「まだ下がる」と読まれて、そこで止まらなくなるからです。
事情を承知したうえで買う方に出会う前に、価格だけが先に落ちてしまいます。
当社が福岡市中央区の相続マンションをお預かりしたときは、事故があったため査定額が通常の相場より下がりました。
それでも様々な買主候補を探し、売出価格に近い価格で契約に至っています。
先に割り引いていたら、この結果にはなりませんでした。
この案件の経緯は売却事例のページに載せています。
まず何をすればよいですか?
事実の整理から始めてください。
亡くなった方の死因、発見までの期間、特殊清掃を入れたかどうかの3つを、分かる範囲で書き出します。
次に調べるのは、事故がなかった場合の相場。
お住まいの区のページに、中古マンション・戸建て・土地の中央値を載せています。
そのうえで、仲介で売り出した場合と買取に出した場合の金額を並べて見比べてください。
当社では、この2つを同じ日にお出ししています。
ご相談は無料査定から、話だけ聞いてみたい方は15分無料相談をお使いください。
事故物件の売却の全体像は事故物件・訳あり物件の売却にまとめています。
