リースバックの家賃の算定根拠は聞ける?相場との確かめ方
執筆・監修:野上俊彦株式会社おもいで不動産 代表取締役/宅地建物取引士
執筆・監修:野上俊彦代表取締役/宅地建物取引士福岡市でリースバックの条件提示を受け、家賃が高いのではと感じている方に向けた記事です。
結論から書きます。
家賃と売却価格の算定根拠を説明することは、不動産会社の義務ではありません。
国土交通省のガイドラインでは「対応することが望ましい事項」に置かれています。
ただし、義務でないことと、聞いてはいけないことは別です。
この記事では、根拠を示す義務が生じる場面と生じない場面を分けたうえで、提示された条件を自分で確かめる手順を書きました。
2. 説明が義務になっているものは、何ですか?
3. 根拠を示す義務が生じる場面はありますか?
4. 提示された家賃は、自分でどう確かめますか?
5. 売却価格が妥当かは、どの順番で見ますか?
6. 家賃が高いと感じたら、何をすればよいですか?
7. まとめと、次にすること
リースバックの家賃の算定根拠は、聞いてもよいのですか?
聞いてかまいません。
国土交通省は2026年10月1日施行のガイドラインで、売買価額と借賃の算定根拠を説明することを「対応することが望ましい事項」として挙げました。
望ましい事項というのは、行政が業界に対して、そうしてほしいと示した内容です。
やらなくても直ちに違反にはなりませんが、聞かれたら応じることが想定された項目です。
ここを「義務だから答えろ」と迫ると、話がこじれます。
「どうやってこの金額になったのか、教えてもらえますか」と聞くだけで足ります。
大事なのは、答え方でその会社の姿勢が分かること。
説明が義務になっているものは、何ですか?
家賃の額そのものや契約期間は、告げる義務があります。
2026年10月1日から、宅建業法47条1号の告知対象に賃貸借の内容が加わりました。
これまで売買の4項目だけだったところに賃貸借の16項目が足され、合わせて20項目になっています。
つまり「家賃はいくらか」「何年の契約か」を告げないことは違反にあたります。
一方で「その家賃がどういう計算で出た金額か」までは、義務の範囲に入っていません。
この線引きが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。
金額と期間は告げる義務、その根拠は望ましい事項。
制度の全体像はリースバックの新ルール総まとめにあります。
根拠を示す義務が生じる場面はありますか?
不動産会社が媒介や代理で入っていて、価格について意見を述べるときは、根拠を明らかにする義務があります。
宅建業法34条の2第2項の規定で、こちらは望ましい事項ではなく義務です。
根拠として認められるのは、価格査定マニュアルや、同種の取引事例など合理的な説明がつくものとされています。
ここで、ご自分の取引がどちらの形かを確かめてください。
| 取引の形 | 価格の根拠 |
|---|---|
| 不動産会社が買主として直接買う | 媒介契約がないため、34条の2は働かない |
| 不動産会社が媒介・代理で入る | 価格に意見を述べるなら根拠の明示は義務 |
買主が業者本人であれば、価格の根拠は望ましい事項どまりです。
媒介で入っているのに根拠を示さないなら、それは義務のほうに触れます。
提示された書面に「売主・買主」と書かれているか「媒介」と書かれているか、そこを見てください。
提示された家賃は、自分でどう確かめますか?
売却代金を年間の家賃で割ると、何年住める金額なのかが出ます。
必要な計算は3つだけです。
- 月の家賃 × 12 = 年間の家賃
- 売却代金 ÷ 年間の家賃 = 住める年数
- その年数と、ご自分が住みたい年数を並べる
売却代金2,400万円、家賃が月12万円のリースバックで考えます。
年間の家賃は144万円なので、2,400万円 ÷ 144万円 で約16年8か月ぶんになります。
同じ月12万円でも、売却代金が1,800万円なら12年6か月ぶんです。
売却代金が600万円下がると、住める年数が4年以上縮みます。
国土交通省のガイドラインは、売買代金が契約期間内の賃料の合計とどう釣り合っているかの説明も、望ましい事項に挙げています。
この計算は、行政が説明を促しているものと同じ内容です。
ご自分で電卓を叩けば、説明を待たずに答えが出ます。
なお、当社は具体的な利回りの数字を「相場はこうです」と断定してお伝えすることはしていません。
物件と会社によって幅があり、一つの数字で言い切ると判断を誤らせるからです。
家賃が上がる前提かどうかも見る
上の計算は、家賃がずっと同じという前提で出しています。
契約更新のたびに家賃が上がる条件なら、住める年数はこれより短くなります。
契約書の家賃の改定に関する条項を、期間の条項と並べて読んでください。
その期間の条項が普通借家なのか定期借家なのかで、住める年数の意味が変わります。
読み分け方はリースバックで何年住める?定期借家と普通借家の違いにまとめました。
売却価格が妥当かは、どの順番で見ますか?
先に売却価格、次に家賃という順番で見ます。
家賃は売却価格から逆算して決まるため、価格が低いと家賃だけ見ても判断できません。
当社にも「リースバックの家賃はいくらになりますか」というご質問をよくいただきます。
お答えしているのは、売却価格と利回りから決まるため、周辺の相場家賃より高くなることがある、という点です。
順番はこうなります。
- お住まいの区の相場と、提示された売却価格を並べる
- 仲介で売った場合にいくらになるかを、別に査定してもらう
- 費用と税金を引いた手取りで比べる
- そのうえで、家賃と住める年数を見る
福岡市の戸建ての中央値は、区によってこれだけ違います。
| 区 | 戸建ての中央値 |
|---|---|
| 東区 | 3,550万円 |
| 博多区 | 4,000万円 |
| 中央区 | 6,250万円 |
| 南区 | 3,800万円 |
| 城南区 | 4,000万円 |
| 早良区 | 3,900万円 |
| 西区 | 3,900万円 |
国土交通省「不動産情報ライブラリ」の取引情報を、2024年第2四半期から2026年第1四半期まで集計した中央値です。
区全体の参考値なので、個別の物件の査定額ではありません。
中央区と西区では2,350万円の開きがあります。
同じ「福岡市の戸建て」でも、区が違えば妥当な価格帯が変わるということ。
区ごとの数字は福岡市の売却相場に、間取り別・面積別まで載せています。
費用と税金を引いた手取りは手取りの試算で出せます。
売却代金がそのまま手元に残るわけではないので、比べるのは手取りどうしにしてください。
家賃が高いと感じたら、何をすればよいですか?
仲介・買取・リースバックの3つを、同じ紙の上に並べてください。
リースバックの条件だけを見ていると、高いか安いかを比べる相手がいません。
当社では、仲介で売った場合の想定価格、買取価格、リースバックの条件を並べてご提示しています。
数字を見てからのご判断で構いませんし、どれも選ばないという結論でも費用はかかりません。
3つの違いは仲介・買取・リースバックの比較にまとめました。
リースバックそのものの仕組みと、契約前に見ておく点はリースバックの仕組みと3つのリスクにあります。
まとめと、次にすること
この記事の要点は3つです。
- 家賃と売却価格の算定根拠の説明は義務ではなく、望ましい事項
- ただし媒介で入る会社が価格に意見を述べるなら、根拠の明示は義務
- 売却代金 ÷ 年間の家賃で、住める年数は自分で出せる
まず電卓で年数を出して、次にご自分の区の相場と売却価格を並べてください。
そこまでで違和感が残るなら、他社の数字を一つ入れて比べる段階です。
売るかどうかを決める前の段階でしたら、15分無料相談でも構いません。
提示された条件が妥当かを数字で見たい方は、無料査定から仲介の想定価格をお出しします。
提示を受けた会社に断りを入れる前でも、比較のためにお出しできます。
