不動産エージェント(業務委託)とは?会社員の営業との違い
執筆・監修:野上俊彦株式会社おもいで不動産 代表取締役/宅地建物取引士
執筆・監修:野上俊彦代表取締役/宅地建物取引士いまの会社で仲介を続けるか、別の会社へ移るか、エージェントとして業務委託で働くか。
この記事は、その3つを比べている仲介の営業職の方に向けて書いています。
業務委託という言葉は知っていても、契約・お金・責任の範囲が会社員とどう変わるのかは、求人広告からは読み取りにくいものです。
ここでは公的機関の資料で確かめられる範囲と、当社(おもいで不動産)の運用を分けてご説明します。
2. 業務委託なのに、なぜ会社の名前で仲介するのか?
3. 会社とエージェントは、どこで仕事を分けるのか?
4. 不動産エージェントに向いている人・向いていない人は?
5. 福岡でエージェントとして働く場合、市場にどんな特徴がある?
不動産エージェント(業務委託)とは?会社員の営業と何が違う?
不動産エージェント(業務委託)とは、不動産会社と雇用契約を結ばず、成約した仕事に応じた報酬を受け取る形で仲介を請け負う働き方です。
会社員の営業との違いは、仕事の進め方を誰が決めるか、報酬が何に対して払われるか、社会保険を誰が負担するかの3点に表れます。
指揮命令と時間の拘束
会社員は、会社の指揮命令のもとで働きます。
出社の時刻、朝礼、日報、上長の同行や指示は、雇用だから成り立つ仕組みです。
業務委託では、仕事の進め方と時間の使い方を受託者が自分で組み立てます。
厚生労働省は、労働基準法上の「労働者」に当たるかどうかを、契約の名前ではなく働き方の実態で判断するとしています。
見られるのは、仕事の依頼を断れるか、業務の進め方に具体的な指示があるか、勤務場所や時間を指定・管理されているか、といった点です。
つまり契約書に「業務委託」と書いてあっても、実態が会社員と同じなら雇用として扱われる余地があります。
一方で、宅建業者として守るべき法令や広告表示のルールは、業務委託でも会社が確認します。
これは営業の進め方への指示とは別の話で、免許を持つ会社が負っている責任の範囲だからです。
報酬の決まり方
会社員の給与は、働いた時間や月単位の勤務に対して支払われます。
業務委託の報酬は、成約という結果に対して支払われるのが基本です。
成約がない月は報酬がゼロになり得る、という点がいちばん大きな違いでしょう。
成約から入金までの時間差も、会社員の給与には無いものです。
当社の場合、業務委託料は決済が完了して入金を確かめたあと、翌月末にお振り込みします。
広告費や交通費など、個別の案件にかかる実費はエージェントのご負担です。
2024年11月には、フリーランス・事業者間取引適正化等法が施行されました。
発注する事業者に課された義務の一つが、業務の内容・報酬の額・支払期日などを書面かメール等で示すこと。
報酬の支払期日は、給付を受け取った日から60日以内のできるだけ短い期間で定めることとされています。
面談や契約の段階で、こうした条件が書面で出てくるかどうかは、会社を見分ける手がかりの一つです。
社会保険と税の手続き
会社員なら、健康保険と厚生年金は会社の制度に入り、保険料の半分を会社が負担します。
業務委託で働く個人は、会社の社会保険の外に出る形です。
日本年金機構は、会社を退職して自営業者等になった場合、国民年金の第1号被保険者への切り替えと保険料の納付が必要だと案内しています。
健康保険も同じで、福岡市に住んでいて職場の健康保険に入っていない自営業の方は、福岡市の国民健康保険に加入します。
加入の届出の期限は14日以内。
遅れると、資格を得た日までさかのぼって保険料を納めることになります。
税の申告や経費の管理も、会社の年末調整に頼れず、自分の手で行う仕事の一つです。
業務委託なのに、なぜ会社の名前で仲介するのか?
宅地建物取引業は免許を持つ業者だけが営める仕事なので、エージェントは個人として仲介するのではなく、免許を持つ会社の従業者として仲介します。
雇用か業務委託かという契約の形とは別に、宅建業法上の扱いが決まっている点がこの働き方の特徴です。
免許は会社のもの。名義は貸せない
宅地建物取引業法13条は、宅建業者が自分の名義で他人に宅建業を営ませることを禁じています。
エージェントが会社の看板を借りて、自分の事業として仲介する形は認められません。
仲介はあくまで免許を持つ会社の業務であり、エージェントはその業務に従事する立場です。
そのため48条により、会社は業務に従事させる人に従業者証明書を携帯させ、事務所ごとに従業者名簿を備えます。
国土交通省の「解釈・運用の考え方」は、証明書を携帯させる範囲に、代表者や一時的な事務補助者まで含めています。
証明書を発行した人は、すべて名簿に記載する扱いです。
媒介契約の当事者と手数料の受け取り先
当社では、エージェントを当社の従業者名簿に登載し、従業者証明書を交付します。
お客様との媒介契約の当事者は当社で、仲介手数料も全額を当社の名義で受け取ります。
当社を通さない直接の取引や、手数料をエージェントが直接受け取ることは禁止です。
エージェントには、成約した仲介手数料に応じた業務委託料を当社からお支払いします。
反対に、エージェントから当社へは月額のサポート利用料をお支払いいただく、二方向の流れです。
率と月額の金額は、面談で契約書の全文と一緒にお見せします。
初期費用・加盟金・中途解約の違約金はありません。
専任の宅建士と人数の上限
宅建業法31条の3は、事務所ごとに、業務に従事する人5人に1人以上の割合で専任の宅地建物取引士を置くよう定めています。
当社は代表1名体制のため、この上限を踏まえて募集を3名(住居の賃貸・テナントの賃貸・売買を各1名)に絞りました。
人数を増やすために条件を下げることはしません。
エージェントの側から見ると、この上限は会社の体制を確かめる材料にもなります。
専任の宅建士の人数に対して在籍者が多すぎないか、重説を誰が行うのかは、面談で遠慮なく尋ねてよい点です。
会社とエージェントは、どこで仕事を分けるのか?
当社では、調査・書類・レインズ・重要事項説明・決済まわりを会社が担います。
集客から提案・交渉・引き渡しまで、お客様と向き合う仕事を受け持つのがエージェントです。
この線引きが曖昧な会社では、結局すべてを一人で抱えることになりかねません。
当社が担うこと
- レインズへの登録・検索・ステータスの更新
- 物件調査・役所調査
- 重要事項説明書・契約書(売買・賃貸借)の作成
- 重要事項説明の実施(当社の宅地建物取引士が行います)
- 広告表示のチェック(不動産の公正競争規約にもとづく審査)
- 図面・写真の作成、住宅ローンの手続き、決済・契約の立会
- クレーム・紛争への対応、士業への取り次ぎ
レインズはエージェントご自身では操作いただけません。
不動産流通機構の規程で、業務を委託した個人事業主へのID貸与が禁じられているため、登録や検索は当社が行い、必要な情報をその都度共有します。
エージェントが担うこと
- ご自身での集客と、初回の相談・ヒアリング
- 査定や賃料の説明、価格・賃料の提案
- 内見の立会と条件交渉
- 引き渡し・入居までの伴走
当社サイトへの反響も、状況に応じてお渡しします。
ただし、反響の量を約束する制度ではありません。
宅地建物取引士の資格は歓迎ですが、必須ではありません。
応募の条件は、応募する分野の仲介の実務経験です。
賃貸仲介の経験だけの方は、住居の賃貸かテナントの賃貸の職種でご応募いただけます。
売買へ移りたい方も歓迎です。
売買に特有の調査と書類は、会社側で引き受けます。
契約を結んだあとは2週間のオンボーディングで、当社の査定の手法や書類の流し方、士業への取り次ぎ方をお伝えします。
最初の案件には、代表が同席する決まりです。
不動産エージェントに向いている人・向いていない人は?
自分で集客の段取りを組め、成約がない月の収入の波を受け止められる人は向いていますが、毎月決まった給与と会社の指示を求める人には向きません。
どちらが優れているという話ではなく、働き方の合う・合わないの問題です。
向いている人
- お客様と向き合う時間を増やし、社内の会議や日報に使う時間を減らしたい人
- 集客の方法を自分で試し、結果を自分で引き受けたい人
- 重説や調査は会社に任せ、提案と交渉に集中したい人
- 成約がない月にも月額の費用がかかることを、事前に計算に入れられる人
当社には出社義務・朝礼・日報・ノルマがありません。
そのぶん、時間の組み立ては最初から最後までご自身に委ねられます。
向いていない人
- 毎月決まった額の収入がないと生活の計画が立たない人
- 案件は会社から割り振られるものだと考えている人
- いまの会社に籍を置いたまま、副業として始めたい人
当社の募集は専業のみで、副業や他社との兼務はお受けしていません。
当社の従業者として名簿に登載するため、他社の従業者と重なると法令上も実務上も問題が生じるからです。
収入は活動量と経験によって大きく変わり、当社が一定の収入を保証するものではありません。
判断の前に、月額の費用と、成約から入金までにかかる期間をご自身で見積もってみてください。
そのための数字は、面談で契約書と一緒にすべてお渡しします。
福岡でエージェントとして働く場合、市場にどんな特徴がある?
福岡市では天神と博多駅周辺でビルの建て替えが続いており、店舗・事務所の移転や出店の相談が生まれやすい市場です。
当社が住居の賃貸や売買とは別に、テナント(事業用)の担当を1名募集しているのも、このためです。
天神・博多のビル建て替えとテナント仲介
福岡市は「天神ビッグバン」で、航空法の高さ制限の緩和と市独自の容積率の緩和を組み合わせ、ビルの建て替えを促しています。
対象は、天神交差点からおおむね半径500メートルの範囲。
博多駅周辺で同じ考え方を取るのが「博多コネクティッド」です。
福岡市の公表では、天神ビッグバンの区域で2026年3月末までに85棟が竣工し、2030年代までに約120棟の建て替えが予定されています。
古いビルから新しいビルへ入居者が動けば、移転先探しや空いた区画の募集といった仲介の仕事も生まれます。
出典:福岡市 天神ビッグバン
当社の活動エリアと働く場所
当社の募集エリアは福岡県内で、主戦場は福岡市です。
ふだんの執務はご自宅などで問題なく、博多区千代の当社事務所も商談などにご利用いただけます。
面談はオンラインで完結し、在職中のご相談も受け付けています。
参画までの順番は、応募フォームの送信、書面審査、代表とのオンライン面談(60分)、制度説明と条件のご提示、業務委託契約の締結です。
契約期間は1年ごとの更新で、中途解約の違約金はありません。
制度の全体と報酬の仕組みはエージェント募集のページにまとめました。
テナント仲介に関心がある方はテナント(事業用)の賃貸エージェントの募集を、住居や売買の方は住居の賃貸・売買のページをご覧ください。
率と月額の内訳は、応募フォームからお申し込みいただいた面談で、契約書と一緒にすべてお見せします。
