不動産エージェントの報酬の仕組み|歩合・経費・入金時期
執筆・監修:野上俊彦株式会社おもいで不動産 代表取締役/宅地建物取引士
執筆・監修:野上俊彦代表取締役/宅地建物取引士不動産エージェントとして業務委託で働くと、お金の受け取り方は会社員のときと根本から変わります。
毎月決まった日に決まった額が振り込まれる給与ではなく、成約した案件ごとの業務委託料になるためです。
この記事は、いま賃貸か売買の仲介をしていて、会社を移るかエージェントになるかを比べている方に向けて書きました。
還元率の数字に目を奪われず、報酬の原資・差し引かれるもの・入金の時期の3点で制度を見比べられるようにするのが目的です。
当社(株式会社おもいで不動産・福岡市博多区)がエージェント募集で採っている形も、あわせてご説明します。
2. お金はどちらからどちらへ流れる?
3. 仲介手数料の上限は法律でいくらと決まっている?
4. 還元率だけで比べると何を見落とす?
5. 報酬はいつ入金される?収入の波にどう備える?
6. 当社の制度は福岡でどう運用している?
不動産エージェントの報酬はどんな仕組みで決まる?
不動産エージェントの報酬は、会社が受け取った仲介手数料のうち、あらかじめ契約で決めた割合を業務委託料として受け取る仕組みが一般的です。
固定給は無く、成約が無ければ会社から支払われるお金もありません。
これが「完全歩合制」と呼ばれる形で、当社もこの形をとっています。
原資は会社に入る仲介手数料だけ
エージェントの報酬の出どころは、お客様から会社へ支払われる仲介手数料です。
媒介契約の当事者は会社なので、手数料はいったん全額が会社名義で入金されます。
当社でも、お客様との契約の当事者は当社で、手数料は全額が当社名義の入金です。
エージェントがお客様から手数料を直接受け取ることや、当社を通さない直接取引は、当社では認めていません。
会社を通さない取引は、お客様にとっても宅建業者の保護が及ばない取引になるためです。
「給与」ではなく「業務委託料」になる
雇用契約の給与とは違い、業務委託料は個人事業の売上という扱いです。
会社員のときは会社が年末調整をしてくれましたが、業務委託では自分で確定申告をする立場になります。
税や社会保険の手続きを自分で組み立てる前提で、手取りを考えることになります。
同じ額面でも、会社員の給与と業務委託料では手元に残る額が同じにならない点は、最初に頭に入れておいてください。
お金はどちらからどちらへ流れる?
エージェント制度のお金の流れは、会社からエージェントへの業務委託料と、エージェントから会社へのサポート利用料の二方向です。
片方だけを見て判断すると、実際に手元に残る額を読み違えます。
会社からエージェントへ支払われる業務委託料
当社がエージェントにお支払いするのは、成約した仲介手数料に応じた業務委託料です。
成約の件数と手数料の額が増えれば、業務委託料も増えます。
逆に、成約が無い月は業務委託料もありません。
エージェントから会社へ支払うサポート利用料
もう一方の流れが、エージェントから当社へお支払いいただく月額のサポート利用料です。
レインズ・図面作成ソフト・電子契約・クラウドの費用や、提携士業の維持費、調査と書類作成を担う人件費に充てています。
事務所と商談スペースの利用もこの中に含まれます。
月額費用は成約が無い月も同額で、ここは制度を比べるときに必ず押さえていただきたい点です。
年間で見れば、月額費用の12か月分を成約で取り戻せるかどうかが、制度を選ぶときの最初の物差しになります。
当社は、初期費用・保証金・加盟金をいただいていません。
ブランド使用料やフランチャイズ料も無く、中途解約の違約金もありません。
契約は1年ごとの更新です。
仲介手数料の上限は法律でいくらと決まっている?
仲介手数料は、宅地建物取引業法46条にもとづく国土交通省の告示で上限が決まっており、会社が自由に決められる金額ではありません。
エージェントの報酬の天井は、この上限から逆算して見えてきます。
売買の上限と800万円以下の特例
売買の仲介で上限が決まっているのは、依頼者の一方から受け取れる額です。
売主側だけを担当する片手か、買主側も担当する両手かで、1件の手数料の総額は変わってきます。
計算は、物件価格を3つの帯に分けて行います。
200万円までの部分は5%、200万円超400万円までの部分は4%、400万円を超える部分は3%。
それぞれを掛けて合計し、消費税を加えた額が上限です。
400万円を超える物件なら「価格×3%+6万円」に消費税を加えた速算式で同じ額になります。
国土交通省の案内にある計算例では、物件価格1,000万円の上限は税込39.6万円です。
売主と買主の両方から依頼を受けるいわゆる両手なら、それぞれから上限まで受け取れます。
2024年7月の告示改正で、物件価格800万円以下の宅地・建物には特例が設けられました。
依頼者の一方から、30万円×1.1倍(税込33万円)まで受け取れるというものです。
ただし、媒介契約を結ぶ前に依頼者へ説明し、合意を得ておく必要があります。
価格が低い物件でも調査や書類の手間は変わらないため、その費用を勘案して定められた特例です。
出典:国土交通省 報酬額の告示
賃貸は合計で家賃1か月分まで
賃貸の仲介では、貸主と借主から受け取る合計が、家賃1か月分×1.1倍(消費税込み)以内です。
居住用の建物では、依頼者の一方から受け取れるのは家賃の0.55か月分(税込)以内。
依頼者の承諾があれば、合計1か月分の範囲で一方から多く受け取ることもできます。
住居の賃貸とテナントの賃貸では、この「居住用」の扱いが違うため、手数料の組み立て方も変わります。
売買とくらべて1件あたりの手数料が小さい分、賃貸は件数で積み上げる仕事です。
還元率だけで比べると何を見落とす?
還元率だけで制度を比べると、会社がどこまでの仕事を引き受けるか、実費を誰が負担するか、毎月の固定費がいくらかの3つを見落とします。
率が高くても、自分で抱える仕事と費用が多ければ、時間あたりの手取りは下がるからです。
会社が引き受ける仕事と、自分で持つ費用
当社では、レインズの登録・検索、物件調査と役所調査、重要事項説明書と契約書の作成を会社が担当します。
重要事項説明は当社の宅地建物取引士が行い、エージェントは同席する形です。
売買の調査や書類に慣れていない方でも、賃貸の経験を生かして売買へ移りやすいのはこの分担があるからです。
住宅ローンの手続き、決済と契約の立会、クレームや紛争への対応、士業への取り次ぎも会社側が受け持ちます。
エージェントの担当は、集客・ヒアリング・査定や賃料の説明・提案・内見の立会・条件交渉・引き渡しまでの伴走です。
なお、レインズは不動産流通機構の規程で個人事業主へのID貸与が禁じられているため、操作はすべて当社が行います。
当社では、広告費や交通費など個別の案件にかかる実費はエージェントのご負担です。
これに月額のサポート利用料が加わります。
比べる相手の制度で、同じ費用が率の中に含まれているのか、別に請求されるのかを確かめてください。
含まれ方が違う2つの率を並べても、比べたことにはなりません。
同じ「広告費」という言葉でも、どこまでを指すかは制度ごとに違います。
ポータルサイトへの掲載、チラシ、写真撮影など、ふだんの営業で使う費目を書き出してみてください。
それぞれ誰の負担かを契約書で一つずつ照らし合わせると、見落としが減ります。
当社が率と月額を面談で見せる理由
当社は、還元率と月額費用の金額をサイトに載せていません。
面談で、契約書の全文と一緒にお見せします。
率の数字だけが一人歩きすると、会社が引き受ける仕事の範囲と切り離して比べられてしまうためです。
率の高さだけでは、その会社が何を引き受けているのかは分かりません。
契約書は持ち帰ってご検討いただけるので、ほかの制度と並べて読み比べてください。
とくに、率の刻み方、両手になったときの扱い、月額費用に何が含まれるかの3点は、契約書の文言で確かめておくと後で食い違いません。
報酬はいつ入金される?収入の波にどう備える?
業務委託料が入るのは、決済や入金の確認が済んだあとで、申込みや契約の時点ではありません。
当社では、決済完了と入金確認のあと、翌月末にお振り込みします。
成約から入金までの時間差
売買は、売買契約から決済まで日数が空くことが少なくありません。
その間にローンの審査や引き渡しの準備が進み、決済が済んでから手数料が会社に入ります。
賃貸は申込みから契約・入居までが比較的短く、売買よりも入金までの間隔が詰まりやすい仕事です。
そこからさらに翌月末の振込になるので、動き始めてから最初の入金までは数か月かかると考えておくほうが安全です。
一方で月額費用は毎月末に請求されるため、活動を始めた最初の時期は出ていくお金が先に立ちます。
税金の支払いと収入の波への備え
業務委託料には、会社員の給与のような天引きがありません。
確定申告のあとに所得税をまとめて納めるため、入金をすべて生活費に回すと納税の時期に慌てます。
前年分の所得から計算した予定納税基準額が15万円以上になると、翌年は7月と11月に所得税の一部を前払いする予定納税の対象にもなります。
入金のたびに一定の割合を納税用に分けておく、生活費の数か月分を手元に残してから独立する、といった備えが現実的です。
収入は活動量と経験によって大きく変わります。
当社が一定の収入を保証することはありません。
当社サイトへの反響を状況に応じてお渡しすることはありますが、案件の供給を約束する制度ではなく、集客はご自身で行うのが基本です。
そのうえで、ペナルティや最低ノルマも設けていません。
当社の制度は福岡でどう運用している?
当社は、福岡県知事免許のもとで、エージェントを従業者名簿に登載し、従業者証明書を交付する形で運用しています。
お客様には、当社の担当者としてご案内いただきます。
専業・福岡県内・各分野1名
募集しているのは、住居の賃貸・テナント(事業用)の賃貸・売買の3職種で、各1名です。
当社の従業者として登録するため、副業や他社との兼務はお受けしていません。
活動エリアは福岡県内で、当社の主戦場は福岡市です。
専任の宅地建物取引士1名につき従業者5名という法令上の上限があり、当社が代表1名体制であることから、3名までに絞っています。
応募の条件は、その分野の仲介の実務経験です。
宅地建物取引士の資格は歓迎ですが、必須ではありません。
資格をお持ちの方には、資格登録簿への勤務先登録をお願いしています。
職種ごとの仕事の中身は、売買エージェント・住居の賃貸エージェント・テナントの賃貸エージェントの各ページをご覧ください。
面談で確かめていただきたいこと
面談では、還元率・月額費用・業務分担・契約書の全文をお渡しします。
両手になったときの扱いや、月額費用の内訳もその場でお見せします。
ほかの制度と比べるときは、率と月額費用、会社の担当範囲、実費の扱い、入金の時期を同じ表に並べてみてください。
制度の全体と応募の流れはエージェント募集のページに、当社の免許番号や所属団体は会社概要に載せています。
話を聞くだけでもかまいませんので、応募フォームからご連絡ください。
