福岡市の賃貸の繁忙期と閑散期|エージェントの月ごとの動き方
執筆・監修:野上俊彦株式会社おもいで不動産 代表取締役/宅地建物取引士
執筆・監修:野上俊彦代表取締役/宅地建物取引士住居の賃貸の仕事に季節の波があることは、店舗で働いた方なら体で知っているはずです。
ただ業務委託になると、その波に合わせた1年の計画を、会社ではなくご自身で組むことになります。
この記事は、福岡市で住居の賃貸エージェントとして働くかを考えている方に向けて、月ごとの動き方を整理したものです。
材料にしたのは、福岡市が毎月出している推計人口の転入の数字と、国勢調査の世帯の数字です。
業務委託の賃貸仲介そのものの仕組みは、賃貸仲介を業務委託でする仕事とはにまとめています。
2. 1〜3月の繁忙期に、どの順で手を打つ?
3. 4〜5月は何をする月?
4. 閑散期(6〜12月)にオーナー様の相談をどう積み上げる?
5. 業務委託で1年の計画を組むとき、何を先に決める?
福岡市の賃貸の繁忙期はいつ?市の統計で見る転入の波
福岡市の推計人口では、市外からの転入は2026年3月が16,622人、4月が15,828人で、1月・2月の3倍を超えました。
住居の賃貸の繁忙期は、この3月と4月の転入に向けて部屋が決まっていく1〜3月だと読めます。
ここでは、月ごとの数字と、福岡市の世帯の形を先に押さえておきましょう。
3〜4月の転入は、1〜2月の3倍を超える
福岡市の推計人口の資料には、毎月の「市外からの転入」と「市外への転出」の人数が載っています。
2026年の数字を月ごとに並べると、次のとおりです。
| 月(2026年) | 市外からの転入 | 市外への転出 |
|---|---|---|
| 1月 | 5,019人 | 4,483人 |
| 2月 | 4,803人 | 4,770人 |
| 3月 | 16,622人 | 15,845人 |
| 4月 | 15,828人 | 9,637人 |
| 5月 | 6,548人 | 5,183人 |
| 6月 | 5,542人 | 4,992人 |
| 7月 | 6,264人 | 5,257人 |
| 8月 | 5,011人 | 5,141人 |
| 9月 | 5,582人 | 4,984人 |
3月と4月の転入を足すと32,450人で、1月と2月を足した9,822人の約3.3倍です。
一方で、5月から9月も毎月5,000〜6,500人ほどの転入が続いています。
閑散期といっても、市外から来る人の流れが止まるわけではありません。
なお推計人口は住民基本台帳の異動などから算出した数なので、届け出の月の数です。
部屋を契約した月とは一致しないため、契約はこれより早い月に寄ると見ておくのが自然でしょう。
出典:福岡市 推計・登録人口
3月は転出も多く、空く部屋と埋まる部屋が同じ月に出る
3月は、市外への転出も15,845人と、ほぼ転入と同じ規模でした。
卒業や異動で福岡市を出る人が多く、退去で空く部屋が一気に出る月でもあります。
同じ3月には、市内の他の区からの転入も4,277人あり、1月の2,884人を大きく上回りました。
つまり3月は、市外から来る人、市外へ出る人、市内で住み替える人が重なる月です。
賃貸のエージェントから見ると、部屋を探す人の案内と、空く部屋の募集の相談が同時に来る時期になります。
単独世帯と民営の借家が、どちらも5割を超える街
2020年の国勢調査では、福岡市の一般世帯のうち単独世帯が52.0%を占めました。
住宅の所有関係でみると、民営の借家に住む世帯が422,187世帯で51.3%、持ち家は36.3%です。
世帯の半分以上が1人暮らしで、半分以上が民間の賃貸に住んでいる、という形になります。
1人暮らしの世帯は、進学・就職・転勤のたびに部屋を替えやすい層です。
福岡市の賃貸の仕事が転入の波に強く引っ張られるのは、この世帯の形とつながっています。
1〜3月の繁忙期に、どの順で手を打つ?
繁忙期の成果は、1月のうちに空き予定の部屋を集めておくかどうかで大きく変わります。
2月から3月は、進学・就職・転勤のどの理由で動く人かを見て、決め方を変える時期です。
繁忙期の案内や申込みの回し方そのものは賃貸仲介の仕事の記事に書いたので、ここでは順番だけを扱います。
1月:空き予定の部屋と、退去予定を先に集める
3月に転出が多いということは、2月から3月にかけて退去の連絡が続くということです。
1月のうちに、付き合いのあるオーナー様や管理会社に、春の退去予定を聞いておきます。
退去予定を聞くときは、退去日だけでなく、原状回復の工事が終わる見込みの日も一緒に確かめておきます。
そうすれば、お客様に入居できる日を正しく伝えられるはずです。
空き予定の部屋を早く押さえられれば、2月に動き出すお客様に「3月から入れる部屋」として提案できます。
退去が決まった部屋の写真や募集条件を、退去の前に整えておく相談も1月の仕事です。
繁忙期に入ってから物件を探し始めると、どうなるか。
同じ部屋を他の仲介会社と取り合う形になり、申込みの順番で負ける場面が増えます。
1月は問い合わせがまだ本格化していないぶん、こうした仕込みに時間を割ける最後の月です。
2〜3月:進学・就職・転勤で、決め方が違う
進学で福岡市へ来る学生の方は、合格の発表から入居までの期間が短く、遠方から短い日程で部屋を決めることもあります。
保護者の方が契約の相手になることもあるので、内見に来られない方へ写真や動画を用意しておくと話が早いでしょう。
就職で来る方は、勤務先の場所と通勤の経路が先に決まっていて、エリアの絞り込みが早い傾向があります。
転勤の方は、内示から着任までの期間が短いうえに、勤務先の社宅の規定に合う部屋しか選べません。
家賃の上限、契約の名義、仲介手数料を誰が負担するかを最初に確かめると、提案の外れが減ります。
どの理由の方かを最初の問い合わせで聞き分けると、案内の順番を組み直しやすくなります。
4〜5月は何をする月?
4月は、市外からの転入が15,828人と、3月とほぼ同じ規模でした。
数字に沿うなら、4月はまだ繁忙期の続きとして動き、5月に入ったら決まり残った部屋の手当てに切り替える形です。
4月:着任してから部屋を探す人がいる
市外への転出が9,637人まで減る一方、転入はほとんど減っていません。
春の異動で福岡市に着任してから、仮住まいや社宅を経て部屋を探す方もいます。
3月の駆け込みが終わったあとも、問い合わせの入口は閉じません。
また、3月に決めきれなかった学生の方や、入学後に通学の経路を見て住み替えを考える方も、この時期の相談に入ってきます。
3月ほどの混み合いはないので、1件ごとに条件を丁寧に聞き取れる月でもあります。
法人の社宅の担当者とのつながりがあるなら、4月は異動者の住まいの相談を拾える時期です。
5月:決まり残った部屋の洗い出し
5月の転入は6,548人で、4月の半分以下に下がりました。
この時期に空室のまま残っている部屋には、繁忙期に選ばれなかった理由があるはずです。
どの部屋が残ったかを、付き合いのあるオーナー様ごとに一覧にしておくと、6月からの相談の材料になります。
一覧には、部屋ごとの賃料・広さ・駅からの距離・繁忙期の内見の回数を並べておくと、オーナー様と見比べやすい形です。
繁忙期に内見したお客様が、他の部屋に決めた理由を書き留めておくことも、ここで生きてきます。
閑散期(6〜12月)にオーナー様の相談をどう積み上げる?
閑散期は、部屋探しの案内が減るぶん、空室を抱えるオーナー様と話す時間に充てられる時期です。
組み方は3段。
6〜8月に空室の理由を切り分け、9〜10月に秋の動きを拾い、11〜12月に春の募集の準備をします。
6〜8月:空室が残った理由を、オーナー様と切り分ける
最初の作業は、5月に一覧にした部屋について、オーナー様と1件ずつ話すことです。
残った理由が賃料なのか、設備なのか、写真なのか、入居の条件なのかで、打つ手が変わります。
繁忙期の内見で出たお客様の声は、オーナー様にとって手に入りにくい材料です。
「この部屋は見られたが決まらなかった」という事実を伝えられるのは、案内をした仲介の担当者だけでしょう。
この時期の相談は、すぐに手数料にはなりません。
次の繁忙期に募集を任せてもらうための、関係づくりの時間と割り切ります。
話す相手は、個人のオーナー様だけではありません。
複数の物件を預かる管理会社の担当者とも、空室の一覧を共有できる関係を作っておくと、1月の仕込みで聞ける範囲が広がります。
9〜10月:秋の異動と、年の途中の住み替え
2026年の9月も、市外からの転入は5,582人ありました。
秋の人事異動や、結婚・転職による住み替えなど、季節に関係なく動く人は一定数います。
法人の社宅の担当者には、秋の異動の予定を夏のうちに聞いておくと、相談が来る時期を読みやすくなります。
この層は件数が少ないぶん、他の仲介会社と取り合いになりにくい相手です。
夏にオーナー様と見直した募集条件が最初に試されるのも、この時期です。
11〜12月:春の退去予定を聞き、1月の掲載に備える
年末が近づくと、翌春の退去予定を把握しているオーナー様や管理会社も出てきます。
ここで退去の予定を聞いておけば、1月の仕込みを前倒しできます。
入居者の入れ替えに合わせた設備の手直しや、賃料の見直しを提案するなら、工事の段取りを考えるとこの時期が限度です。
閑散期に積み上げた相談の数が、そのまま翌年1月に集められる空き予定の部屋の数になります。
12月の転入は2025年で4,657人と、1年のうちで少ない部類でした。
案内が減るこの月を、翌年の段取りに使い切れるかどうかが、繁忙期の立ち上がりを分けます。
業務委託で1年の計画を組むとき、何を先に決める?
先に決めておきたいのは、閑散期の収入の入口をどこに持つかと、繁忙期の書類を誰が持つかの2つです。
どちらも、店舗勤務のときは会社が決めていたことでした。
業務委託では、ご自身の1年の計画に入ってくる項目です。
閑散期の入口を、参画の前に描いておく
当社の住居の賃貸エージェントは、成約した賃貸借で当社が受け取る仲介手数料に応じて業務委託料を受け取ります。
一方で、月額のサポート利用料は、成約の少ない閑散期の月にもかかる費用です。
率と月額の金額は、面談で契約書の全文と一緒にお見せします。
集客はご自身で行うのが基本で、当社サイトへの反響も状況に応じてお渡ししますが、量を約束する制度ではありません。
そのため、オーナー様の相談、法人の社宅の担当者、前のお客様からの紹介など、閑散期にも動く入口を参画の前に描いておいてください。
お金の流れ全体は報酬の仕組みの記事に書いています。
繁忙期の書類は会社が持ち、案内の時間を残す
当社では、重要事項説明書と賃貸借契約書の作成、重要事項説明の実施、保証会社・管理会社との書類のやり取りを会社が担います。
申込みが重なる2〜3月に、書類で内見の時間を削られないための分担です。
出社義務・朝礼・日報・ノルマは無く、閑散期にどの曜日をオーナー様回りに充てるかもエージェントご自身が決めます。
当社が募集する住居の賃貸エージェントは1名で、業務委託(完全歩合制)・専業のみ、活動エリアは福岡県内(主戦場は福岡市)です。
応募の条件は住居の賃貸仲介の実務経験で、宅地建物取引士の資格は歓迎しますが必須ではありません。
職種の詳細は住居の賃貸エージェントの募集ページに、制度の全体はエージェント募集のページにまとめています。
月ごとの計画を一緒に確かめたい方は、応募フォームからご連絡ください。
