リースバックの費用|仲介手数料と賃貸の初期費用
執筆・監修:野上俊彦株式会社おもいで不動産 代表取締役/宅地建物取引士
執筆・監修:野上俊彦代表取締役/宅地建物取引士リースバックの費用は、売買にかかるお金と、賃貸にかかるお金の2つに分かれます。
通常の売却なら費用は売買の1回で終わりますが、リースバックは売ったあとに借りるので、賃貸の契約がもう1つ付いてきます。
この記事は、リースバックの条件提示を受けて、手元に残る金額を確かめたい福岡市の売主に向けたものです。
順に見ていくのは、仲介手数料・印紙税・登記費用・賃貸の初期費用の4つ。
リースバックそのものの仕組みはリースバックでの売却にまとめてあります。
2. リースバックでも仲介手数料はかかりますか
3. 福岡市の相場で計算すると、費用はいくらになりますか
4. 登記の費用は、売主と買主のどちらが持ちますか
5. 賃貸の初期費用は、売買代金から引かれますか
6. 福岡市で、次に何をすればよいですか
リースバックの費用は、何と何に分かれますか
売買契約で出ていくお金と、賃貸借契約で出ていくお金の2つに分かれます。
この2つは払う相手も払う時期も違うので、1枚の紙に並べないと比べられません。
見積書に売買の費用しか書かれていないと、賃貸の初期費用をまるごと見落とします。
売買で出ていくお金
売主の側で出ていくのは、仲介手数料・印紙税・抵当権抹消の登記費用の3つが中心です。
住宅ローンが残っていれば、売買代金からの完済もここに入ります。
登記簿の住所が昔のままであれば、住所変更登記も必要です。
いずれも決済の日に、売買代金から差し引かれるか、その場で支払う形になります。
引越しをしないぶん、通常の売却でかかる引越し費用と残置物の処分費が出ていかない点は、リースバックの利点です。
賃貸で出ていくお金
敷金、家賃保証会社の費用、火災保険料、最初の月の家賃が主なところ。
払う相手は、家主になった買主と、保証会社や保険会社です。
会社によって、売買代金から差し引く扱いにするところと、別に振り込みを求めるところがあります。
下の一覧は、売主から見て出ていくお金を契約ごとに分けたものです。
| どの契約 | 費目 | 目安 |
|---|---|---|
| 売買 | 仲介手数料 | 媒介する会社が入るときだけ |
| 売買 | 印紙税 | 契約金額1,000万円超5,000万円以下で1万円 |
| 売買 | 抵当権抹消の登録免許税 | 1〜2万円台 |
| 売買 | 住所変更登記 | 約14,000円(必要なときだけ) |
| 賃貸 | 敷金 | 契約ごとに違う |
| 賃貸 | 家賃保証会社の費用 | 契約ごとに違う |
| 賃貸 | 火災保険料 | 契約ごとに違う |
賃貸の欄に金額を書いていないのは、会社ごとに条件が違い、一律の目安を置くと誤解を招くためです。
他社のサイトに出ている「敷金は家賃の何か月分」といった相場も、一次情報ではないので当社は数値として扱いません。
提示された見積書の数字を、そのまま一覧に当てはめて読んでください。
リースバックでも仲介手数料はかかりますか
買主が不動産会社で、その会社と直接売買するなら、仲介手数料は発生しません。
仲介手数料は、売主と買主のあいだに入って取引をまとめた会社が受け取るお金だからです。
自分が買主になる会社は、その「あいだに入る会社」にあたりません。
買主が業者で、直接の売買なら発生しません
リースバックでは、不動産会社やその関連会社が自ら買主になる形が多く見られます。
この形なら、売主が仲介手数料を払う場面そのものがありません。
ただし「手数料が0円だから得」とは言い切れません。
買主が業者になる取引では、売買価格そのものが市場で売る場合より低くなるのが通例だからです。
手数料の有無ではなく、最後に手元へ残る金額で比べてください。
見積書に「仲介手数料 0円」とだけ書かれていたら、買主が誰なのかを聞いてください。
買主が声をかけてきた不動産会社そのものなのか、その会社が紹介した別の投資家なのかで、手数料の有無が変わります。
後者であれば、あいだに入った会社が媒介として報酬を受け取る形。
媒介する会社が入るときの上限
リースバックを扱う会社を探してくれた不動産会社が媒介として入る場合は、仲介手数料がかかります。
売買代金が400万円を超えるときの上限は、売買代金×3%+6万円に消費税を加えた金額です。
売買代金が800万円以下であれば、低廉な空家等の特例により30万円+消費税を受け取ることができます。
当社はこの特例を上限としてではなく、実際の料金として使っています。
適用には媒介契約の前の説明と合意が必要なので、契約書にサインする前に確かめてください。
800万円以下の計算のしかたは800万円以下の不動産売却|仲介手数料の上限33万円(税込)と計算方法に詳しく書いています。
福岡市の相場で計算すると、費用はいくらになりますか
福岡市博多区の3LDK系マンションの中央値である2,700万円で計算すると、媒介が入った場合の仲介手数料は95万7,000円です。
2,700万円という数字は、国土交通省の取引価格情報から当社が集計したもので、福岡市博多区の相場に載せています。
ご自身の物件の価格帯に置き換えて読んでください。
博多区の3LDK系マンション、2,700万円で計算する
2,700万円×3%は81万円、これに6万円を足して87万円。
消費税を加えると95万7,000円になります。
売買代金の3.5%ほどにあたる金額です。
買主の業者と直接売買する形なら、この95万7,000円は出ていきません。
そのぶん売買価格が市場より下がっていないかを、相場と見比べて判断してください。
媒介が入る場合は、仲介手数料95万7,000円と印紙税1万円を合わせて、売買の側でおよそ97万円が出ていきます。
ここに登記の費用が数万円加わり、さらに賃貸の初期費用が別に動く形。
契約書に貼る印紙税は1万円
契約金額が1,000万円を超え5,000万円以下の売買契約書には、1万円の収入印紙を貼ります。
これは軽減措置が適用された金額で、期限は2027年3月31日までです。
期限を過ぎると、同じ価格帯でも本則の2万円に上がります。
一方、建物の賃貸借契約書は印紙税の課税対象ではないため、賃貸の側に印紙は要りません。
価格帯ごとの表は不動産売買契約書の印紙税はいくら?軽減措置とはにまとめています。
登記の費用は、売主と買主のどちらが持ちますか
所有権を移す登記の費用は買主、抵当権を消す登記の費用は売主が持つのが通例です。
リースバックでも、この分け方は通常の売却と変わりません。
見積書に「登記費用」とだけ書かれていたら、どちらの登記を指しているかを聞いてください。
抵当権抹消は売主が持ちます
住宅ローンを完済しても、登記簿に残った抵当権は自動では消えません。
登録免許税は不動産1個につき1,000円で、土地と建物なら合わせて1〜2万円台に収まります。
司法書士に頼む場合は、この登録免許税とは別に報酬が必要です。
福岡市内の物件は福岡法務局の管轄で、区ごとの窓口は福岡市7区の手続き窓口ガイドに載せています。
手続きの中身は抵当権抹消の費用と手続き|福岡法務局の窓口に書きました。
登記簿の住所が昔のままなら、住所変更登記が要ります
登記簿に載っている住所と、いまの住民票の住所が違うと、そのままでは所有権を移せません。
住所変更登記の費用は約14,000円で、引越しを重ねていると中間の住所をたどる書類が増えます。
長く住んだ家ほど、ここで止まりやすいところ。
売買の話を進める前に、登記簿を1通取って住所を見比べてください。
必要な書類の一覧は売却に必要な書類にまとめています。
賃貸の初期費用は、売買代金から引かれますか
引かれる会社もあれば、別に振り込みを求める会社もあります。
どちらであっても、賃貸の初期費用は売買代金とは別に動くお金です。
売買代金から自動的に引かれると思い込んでいると、決済の日に現金を用意する話になります。
逆に、売主の側へ入ってくるお金もあります。
引渡し年の固定資産税は1月1日時点の所有者である売主に1年分が課税されるため、引渡し日から先の分を買主と日割りで精算するのが商慣習です。
翌年からは、所有者になった買主が固定資産税を納めます。
精算の起算日で金額が変わる話は売却年の固定資産税の日割り精算|福岡市の起算日と納期に書きました。
敷金と保証会社の費用は、別に動くお金です
敷金は、退去のときに精算されることを前提に預けるお金です。
家賃保証会社の費用は、家賃の支払いを保証してもらうために払うもので、戻ってきません。
火災保険料も借主の負担になるのが通例です。
契約を更新するときに更新料が要る契約なら、そこも入居前に聞いておく項目。
退去するときの原状回復の範囲も、敷金から差し引かれるかどうかに直結します。
いくらになるかは会社と契約ごとに違うため、当社は金額の相場を書きません。
「費用は一切かかりません」という説明を受けたときは、賃貸の側も含めて0円なのかを確かめてください。
告知20項目のどこに書いてあるか
国土交通省の解釈・運用の考え方が2026年10月1日に施行されます。
売買4項目と賃貸借16項目、合わせて20項目を故意に告げないことが禁じられました。
売買の1番目が「代金以外に授受される金銭の額及び当該金銭の授受の目的」で、手付金や預り金がここに入ります。
賃貸借の8番目が「借賃以外の金銭の授受に関する定め」で、保証会社の費用や更新料がここ。
賃貸借の12番目が「敷金その他の精算に関する事項」で、いくら戻るかはここで説明されます。
20項目の全文はリースバックの告知20項目|業者が説明すべきことの一覧に載せました。
なお、売買価額や家賃の算定根拠を説明することは、この20項目とは別の「対応することが望ましい事項」に位置づけられています。
義務ではないので、根拠を知りたければ売主の側から聞く必要があります。
福岡市で、次に何をすればよいですか
費用を1つずつ当てはめて、手元に残る金額を先に出してください。
そのうえで、同じ家を普通に売った場合の手取りと並べてください。
当社もリースバックを扱いますが、条件を見て別の方法をお勧めすることもあります。
手取りを先に試算する
仲介手数料・印紙税・登記費用・譲渡所得税を差し引いた金額は、手取りの試算で出せます。
価格と築年数を入れるだけなので、見積書が手元にある状態なら5分ほど。
出てきた金額から、さらに賃貸の初期費用を引いたものが、決済の日に残る現金です。
売った価格が買った価格を上回っていれば、翌年に譲渡所得税もかかります。
住み続けても所有権は移るので、税の扱いは通常の売却と変わりません。
控除が使えるかどうかはリースバックの税金|譲渡所得と3,000万円控除の使い方にまとめました。
書類をそろえてから、条件を並べて比べる
登記簿・購入時の売買契約書・住宅ローンの残高証明書の3つがあれば、費用の見当がつきます。
買った当時の売買契約書が見つからないと、取得費を売却価格の5%として計算することになります。
その場合は帳面の上の利益が大きくなるので、税額も上がってしまう形です。
購入時の契約書は、リースバックの話が出た時点で探し始めてください。
当社は仲介で売った場合の想定価格と、買取価格と、リースバックの条件を並べてお出しします。
数字を見てからの判断で構いませんし、どれも選ばないという結論でも費用はかかりません。
まずは無料査定から、いまの価格を確かめてください。
