活動報告書はどこを見る?媒介契約中に確かめる数字
執筆・監修:野上俊彦株式会社おもいで不動産 代表取締役/宅地建物取引士
執筆・監修:野上俊彦代表取締役/宅地建物取引士媒介契約を結ぶと、不動産会社から販売状況の報告が届きます。
ところが、届いた紙を前にして「それで、どうなんだろう」と止まってしまう売主が少なくありません。
「反響3件、内覧0件」と書かれていても、その数字が良いのか悪いのかを比べる相手が無いためです。
この記事では、報告書のどこを見れば次の一手が決まるのかを、見る順番で説明します。
報告が来ないときに相談できる窓口も、福岡市から行ける場所まで挙げました。
2. 報告書で見る3つの数字
3. 数字の組み合わせで、次の一手が決まる
4. 1回の報告では読めない|3回ぶん並べる
5. 問い合わせはあるのに案内が無いときに疑うこと
6. 報告が来ないときの対処
7. まとめ|報告書は3つの数字で読む
活動報告書とは何か|回数は法律で決まっている
活動報告書は、不動産会社が売主へ販売の状況を知らせる書面です。
任意のサービスではなく、報告の回数は宅地建物取引業法で決められています。
つまり、売主が遠慮して聞かずにいる必要はありません。
専属専任は1週間に1回以上、専任は2週間に1回以上
回数は、売主が選んだ媒介契約の種類で変わります。
専属専任媒介は1週間に1回以上、専任媒介は2週間に1回以上です。
専属専任のほうが会社側の義務が重く、そのぶん動きが速くなる傾向があります。
一般媒介には、この法定の回数がありません。
複数の会社に頼める代わりに、報告の頻度は各社との話し合いで決まります。
報告の「形」までは決まっていない
回数は決まっていますが、報告の形は法律で指定されていません。
電話で済ませる会社もあり、口頭だけだと手元に記録が残りません。
そこで、最初の打ち合わせで「書面かメールでお願いします」と伝えてください。
当社は、問い合わせ件数・内覧数・反響のあった媒体・価格の反応を書面でお伝えしています。
あとで経過を見返すときに、日付の入った記録が1枚ずつ残っているかどうかで差が出ます。
報告書で見る3つの数字
報告書で見るのは、3つの数字です。
広告を見た人がどれだけ反応したか(反響)、そのうち何人が条件を聞いてきたか(問い合わせ)、実際に何組が中を見たか(案内)の3つ。
この3つは、買主が物件にたどり着くまでの順番に並んでいます。
①反響の数
反響は、ポータルサイトの保存や資料請求、電話など、広告への反応の数です。
会社によって数え方が違うので、「どこからの何を反響に数えていますか」と一度聞いてください。
媒体ごとの内訳まで出してもらえると、どの経路が効いているかが分かります。
経路そのものの話は福岡市で買主はどこから来る?にまとめました。
②問い合わせの数
問い合わせは、反響のなかで一歩進んだ人の数です。
価格の交渉余地、管理費の額、引き渡しの時期、間取り図や修繕の記録を求める連絡がここに入ります。
この段階まで来た人は、買う側の条件に物件が乗ったという意味になります。
この欄と一緒に見てほしいのが、「価格の反応」として書かれる言葉のほうです。
「予算は合うが駅から遠い」「価格は高いが広さは欲しい」といった声は、数字より具体的に使えます。
報告書に書かれていなければ、「問い合わせの方は何を気にされていましたか」と聞いてください。
断られた理由が立地なら価格、広さなら買主の層そのものを見直す話になります。
③案内(内覧)の組数
案内は、実際に現地を見た組数です。
戸建てやマンションなら、ここまで来てはじめて申込みの可能性が生まれます。
反響の数より、案内の組数のほうが契約との結びつきが強いと考えてください。
案内が1組でも入ったなら、買主が交通費と時間を使って見に来たということです。
報告書に無くても聞けること
報告書の様式は会社ごとに違うので、載っていない項目は口頭で聞いて構いません。
売主から聞いて嫌がられる質問ではなく、どれも会社が把握しているはずの中身です。
- いま掲載している媒体の一覧と、それぞれの掲載開始日
- レインズの取引状況(公開中・書面による申込みあり・契約済)
- 他社の担当者からの照会が何件あり、そのうち何件が内覧に進んだか
- 次の2週間で予定している手(写真の差し替え、広告の追加、価格の提案)
最後の1つを聞いておくと、次の報告書を受け取ったときに答え合わせができます。
予定した手が打たれていないなら、その理由を聞く番です。
数字の組み合わせで、次の一手が決まる
3つの数字のうち、どこで止まっているかで打つ手が変わります。
同じ「内覧0件」でも、反響0件からの0件と、問い合わせ5件からの0件では原因が正反対です。
| 止まっている場所 | 疑うこと | 次の一手 |
|---|---|---|
| 反響0・問い合わせ0 | 載っていない/見られていない | 登録証明書と掲載開始日、検索条件の価格の区切り |
| 反響あり・問い合わせ0 | 広告の中身 | 写真の枚数と1枚目、間取り図、設備や修繕の記載 |
| 問い合わせあり・案内0 | 進め方か他社への対応 | 内覧の条件と、他社からの照会の扱い |
| 案内あり・申込み0 | 価格と現況のつり合い | 価格の見直し、片付け、指摘された箇所の手当て |
反響0・問い合わせ0のとき
まず疑うのは、物件の中身ではなく掲載の有無です。
レインズの登録証明書が届いているか、ポータルの掲載がいつ始まったかを確かめてください。
媒介契約を結んだ日から広告が出るまでには、写真の撮影や原稿の作成で数日かかります。
報告書の日付が契約から1週間しか経っていないなら、掲載が始まったばかりという可能性もあります。
次に見るのが価格の区切りで、3,050万円のような数字は「3,000万円以下」で絞る買主の画面に出てきません。
反響あり・問い合わせ0のとき
見られてはいるが、選ばれていない状態です。
写真が3枚しかない、1枚目が外観だけ、設備の記載が空欄という物件は、同じ価格帯の競合に負けます。
この段階で値下げに動くと、直せたはずの材料を残したまま価格だけ下げることになります。
案内あり・申込み0のとき
内覧には来るのに決まらないときは、見た人の感想を聞いてください。
「思ったより狭い」なら写真と実際の差、「水まわりが古い」なら価格との釣り合いの話です。
どちらも感想の中身が分かれば、価格と手当てのどちらで解けるか判断できます。
1回の報告では読めない|3回ぶん並べる
報告書は、1枚だけ見ても良いか悪いかが決まりません。
見るのは3回ぶん並べたときの向きで、増えているのか減っているのかという変化のほうです。
専任媒介なら2週間に1回なので、3回で約6週間分になります。
他社の数字ではなく、自分の物件の前回と比べる
反響の数え方は会社ごとに違うため、他の物件の件数と並べても比べられません。
A社が保存や資料請求まで反響に入れていて、B社が電話とメールだけを数えていれば、同じ物件でも数字が変わります。
比べる相手は、同じ会社が出した前回と前々回の報告書です。
価格を下げた週、写真を撮り直した週、広告を増やした週に数字が動いたかどうかを見てください。
動かなかったのであれば、その手は効かなかったという記録になります。
遠方にお住まいの売主ほど、報告書が唯一の窓口になる
当社は、県外にお住まいの方の売却もオンラインで進めています。
熊本県や愛媛県の物件を、関東や県外にお住まいのご家族から預かった売却事例も公開しました。
現地に行けない売主にとって、報告書は物件の様子を知るほとんど唯一の窓口です。
そのため当社は、問い合わせの件数だけでなく、内覧された方の反応と価格についての声も書き添えています。
遠方の売却を頼むときは、報告の形まで媒介契約の前に決めておいてください。
問い合わせはあるのに案内が無いときに疑うこと
問い合わせが来ているのに内覧が1組も入らないときは、物件ではなく進め方に原因がある場合があります。
内覧の条件が厳しすぎるか、他社からの照会が通っていないかの2つを確かめてください。
内覧の条件が厳しすぎないか
土日だけ、しかも午前のみという条件では、共働きの買主が動けません。
居住中であれば、売主の生活の都合が先に来るのは当たり前です。
それでも、平日の夕方を1枠足すだけで候補に残ることがあります。
鍵の預け方を変えて、売主の立ち会い無しで見てもらう方法もあります。
他社からの照会が止められていないか
もう1つ疑うのが、他社の担当者からの照会を断ってしまう囲い込みです。
売主には「問い合わせがあった」と報告されていても、他社には「商談中」と答えている状態が起こり得ます。
この場合、レインズの取引状況と、報告書に書かれた内容がずれます。
確かめる手順は不動産売却の囲い込みとはに書きました。
売主が選んだ非公開の販売と、会社が勝手に情報を止める囲い込みは別のものです。
報告が来ないときの対処
報告が届かないときは、催促から順番に進めてください。
いきなり解除や苦情に進むより、記録を残しながら1段ずつ上げるほうが早く動きます。
1. 媒介契約書の条項を読み、日付を入れて求める
まず媒介契約書を開いて、報告の回数と方法がどう書かれているかを確かめます。
そのうえで、メールなど記録の残る形で報告を求めてください。
「前回の報告が◯月◯日でした」と日付を入れると、話が具体的になります。
文面は短くて構いません。
「前回のご報告から3週間が経ちましたので、この間の反響と問い合わせの件数、掲載中の媒体を書面でお送りください」で足ります。
催促のメールが残っていれば、あとで行政庁へ相談するときの材料にもなります。
2. 免許権者の窓口へ相談する
それでも改善しないときの相談先は、その会社に免許を出している行政庁です。
免許番号を見れば、どちらに相談すればよいか分かります。
- 「福岡県知事(◯)第◯号」=福岡県の宅地建物取引業に関する相談窓口
- 「国土交通大臣(◯)第◯号」=本店の所在地を管轄する地方整備局
福岡市に本店がある大臣免許の会社なら、九州地方整備局の建政部が窓口になります。
場所は博多区の博多駅東で、不動産業相談ダイヤルは092-476-3561です。
受付は平日の10時から12時と13時30分から17時で、土日祝と閉庁日は休みです。
相談に行くときは、媒介契約書・報告書・レインズの登録証明書を揃えてください。
3. 契約期間の満了で切り替える
専任媒介と専属専任媒介の有効期間は、最長で3か月と決まっています。
期間が来れば、更新せずに別の会社へ切り替えられます。
途中で解除するより、満了を待って切り替えたほうが費用でも手続きでもめません。
次に頼む会社を決めてから切り替えると、販売が止まる日数を短くできます。
まとめ|報告書は3つの数字で読む
活動報告書で見るのは、反響・問い合わせ・案内の3つの数字です。
そのどこで止まっているかが分かると、価格を下げる以外の手が見えてきます。
報告の回数は、専属専任で1週間に1回以上、専任で2週間に1回以上という決まりです。
来ていないなら、日付を入れて書面で求めるところから始めてください。
いま届いている報告書の読み方だけ確かめたい方は、15分無料相談で現物を見ながらお話しできます。
これから売り出す方で、報告の形を先に決めておきたい場合は無料査定からご相談ください。
当社は査定のときに、どの媒体に載せるか、何を数えて報告するかまでお伝えしています。
