福岡市で買主はどこから来る?反響の4つの経路
執筆・監修:野上俊彦株式会社おもいで不動産 代表取締役/宅地建物取引士
執筆・監修:野上俊彦代表取締役/宅地建物取引士売り出した直後の売主から、当社がいちばん多く受ける質問はこれです。
「この物件は、いまどこに出ているんですか」。
答えは1か所ではありません。
買主が売主のもとへ届くまでの道は、4つに分かれます。
ポータルサイトの広告、レインズを見た他社の担当者、依頼先の会社に登録のある購入希望者、それに現地の看板とチラシです。
売り出して2週間から1か月が経っても反響が無いとき、4つのうちどこが止まっているのかを売主自身で確かめられるように書きました。
福岡市の物件が登録される先と、福岡県内にもう1つある経路もあわせて説明します。
2. レインズに載ると何が変わるのか
3. 経路ごとに、買主が動く速さが違う
4. 売り出したあと、売主が確かめられる4つのこと
5. まとめ|経路を知ってから、次の手を決める
買主はどこから来る?経路は4つに分かれる
買主が物件を知る道は、大きく4つです。
ポータルサイトの広告、レインズを見た他社の担当者からの紹介、売却を依頼された会社がすでに抱えている購入希望者、それに現地の看板とチラシ。
同じ「問い合わせ1件」でも、この4つのどこから来たかで、契約までの速さがまるで違います。
①ポータルサイト(SUUMO・アットホームなど)
件数がいちばん多いのは、ポータルサイト経由です。
買う側は通勤の電車でも寝る前でも見られるので、母数が他の3つと比べものになりません。
ただし、ポータルへの掲載は不動産会社が広告費を払って載せるものです。
どのサイトに何件まで載せるか、写真を何枚出すか、動画や間取り図を付けるかは会社ごとに違います。
媒介契約を結ぶ前に「どのサイトに載せますか」と聞いて構いません。
当社は、ご希望があれば掲載する範囲を限定することもできます。
②レインズを見た他社の担当者
2つめは、売主が依頼していない会社の担当者からの紹介です。
レインズに登録されると、売主の窓口は1社のままでも、買主側の窓口が全国の会員会社に広がります。
他社の担当者は「すでに客を連れている」状態で見に来ます。
ポータルを眺めている人とは違い、予算も地域も決まった買主を頭に置いて物件を探しているわけです。
③依頼先の会社に登録のある購入希望者
3つめは、売却を依頼した会社が自分で持っている購入希望者です。
当社の場合、この経路は売主からも見えるようにしています。
サイトの購入希望者の条件一覧に、お探しの条件を載せているためです。
2026年10月の時点で27件あり、そのうち14件が福岡市内を希望されています。
資金の裏付けも書いてあります。
27件のうち13件は住宅ローンの事前審査が済んでおり、2件が現金、7件が法人の融資です。
残り5件は「未定・相談したい」なので、資金の目処が立っている方が22件という内訳になります。
この経路だけは、広告を1円も出す前に当たれます。
④現地の看板・チラシ・近隣
4つめは、現地に出した看板と、近隣へのチラシです。
件数は4つのなかでいちばん少ないものの、来るのは実際に住む人です。
当社に登録のある東区の方は、希望条件の欄にこう書かれています。
「ご実家が和白の近くにあるため、和白駅の近辺が第一希望です」。
親の家の近くに住みたい、子どもの学校を変えたくないという理由は、地図の上では半径2キロほどの範囲に収まります。
その範囲にいちばん早く届くのは、ポータルの広告よりもチラシと看板です。
なお、売主が「近所に知られたくない」と希望した時点で、この経路は閉じることになります。
レインズに載ると何が変わるのか
レインズに載ると、売却を依頼していない会社の担当者が、自分の客へ正式に紹介できるようになります。
レインズそのものは、不動産会社だけが見られる物件情報のネットワークと考えてください。
福岡市の物件が登録される先は、西日本不動産流通機構(西日本レインズ)です。
全国に4つある流通機構のうちの1つで、東日本・中部圏・近畿圏と並ぶ組織です。
出典:レインズ 媒介契約制度
登録の期限は、媒介契約の種類で決まる
登録までの日数は、売主が選んだ媒介契約の種類で変わります。
標準媒介契約約款では、専属専任媒介が契約日の翌日から5日以内、専任媒介が7日以内です。
この日数には不動産会社の休業日を入れないので、カレンダーの5日後・7日後とは一致しません。
一般媒介では、宅地建物取引業法上の登録義務がかかりません。
登録が済むと、レインズから登録証明書が発行され、売主に渡されます。
証明書が手元にあるかどうかが、②の経路が開いたことの証拠になります。
見方はレインズの登録証明書の見方にまとめました。
福岡県には「ふれんず」というもう1つの経路がある
福岡で売るときには、全国共通のレインズとは別に、県内の経路が1つあります。
公益社団法人福岡県宅地建物取引業協会が運営する不動産情報サイト「ふれんず」です。
福岡市も、住まい探しの案内のなかでこのサイトを紹介しています。
空き家を売る場合は、もう少し具体的に効いてきます。
福岡市空き家バンクは、福岡県空き家バンク(ふれんず)に掲載される仕組みになっているためです。
登録できる事業者は、協会の東部・博多・福岡西・中央・南部の各支部か、全日本不動産協会福岡県本部の会員に限られます。
つまり、依頼先がどの団体に入っているかで、物件が載る場所が1つ増えたり減ったりします。
空き家の売却を相談するときは、「ふれんずと空き家バンクに載せられますか」と聞いてみてください。
非公開で売ると、経路は③だけになる
広告を出さず、レインズにも非公開として売る方法もあります。
この場合に残るのは、依頼先が持っている購入希望者、つまり③の経路だけです。
当社でもこの進め方はできますが、買主が見つかるまでの期間は長くなる傾向があります。
ここで区別してほしいのは、売主が選んだ非公開と、会社が勝手に情報を止める囲い込みです。
前者は売主の判断、後者は売主に不利な行為で、中身がまったく違います。
見分け方をまとめたのが不動産売却の囲い込みとはです。
経路ごとに、買主が動く速さが違う
4つの経路は、反響が来るまでの速さも、そこから契約までの速さも違います。
速いのは②と③、つまり「すでに探している人」に直接当たる経路です。
遅いのは①で、見ている人のなかに検討を始めたばかりの方が多く混ざります。
すでに探している人は、公開の翌週に動く
事前審査が通っている買主は、価格と条件が合えば内覧の予約をすぐ入れてきます。
申込みから契約までの日数も短く済むので、資金の確認でつまずきません。
当社の購入希望者27件のうち、5件は「3か月以内」と期限を書かれています。
残り22件は「良い物件があれば」です。
この「良い物件があれば」は、動かないという意味ではありません。
条件に合った1件が出た瞬間だけ動く、という意味です。
ポータル経由は「見た人」と「動く人」の差が大きい
ポータルの反響を見るときは、2つの数字を分けて考えてください。
物件を見た人の数と、問い合わせをしてきた人の数です。
前者が多くて後者が0なら、見られてはいるが選ばれていないということになります。
この場合に効くのは価格の見直しだけではなく、写真と掲載情報の作り直しもあります。
買う側が広告のどこを見ているかは写真以外に載せる情報にまとめました。
1か月動かないときに疑う順番
反響が無いとき、値下げを考える前に見る順番があります。
- 1番目:そもそも載っていない(レインズの登録証明書、ポータルの掲載開始日)
- 2番目:載っているが見られていない(検索条件の境目にある価格、写真の1枚目)
- 3番目:見られているが選ばれていない(条件・設備・修繕の情報不足、内覧の条件)
1番目は売主が自分で確かめられます。
2番目で多いのは、3,050万円のように検索の区切りをまたいでしまった価格です。
「3,000万円以下」で絞る買主の画面には、この物件が1度も出てきません。
値下げの判断は3番目まで見てからで間に合います。
順番は値下げの前に確かめることと、売り出し価格の決め方に分けて書きました。
売り出したあと、売主が確かめられる4つのこと
売主の立場でも、4つの経路が動いているかどうかは確かめられます。
見るのは、登録証明書・取引状況・経路ごとの反響件数・掲載されている内容そのものの4つです。
登録証明書と、売主専用の確認画面
登録証明書は、専属専任なら契約日の翌日から5日以内、専任なら7日以内の登録を示す書類です。
届いていなければ、②の経路が開いていません。
証明書に載っている番号を使えば、売主専用の画面で取引状況まで確かめられます。
一般の個人がレインズを検索することはできませんが、自分の物件についてだけは例外です。
手順はレインズは個人でも見られる?にあります。
活動報告書は「経路の内訳」まで聞く
媒介契約を結ぶと、不動産会社は売主へ販売状況を報告します。
専属専任媒介は1週間に1回以上、専任媒介は2週間に1回以上という決まりです。
このとき「反響3件」とだけ書かれていても、次の手は決まりません。
聞き方を変えてみてください。
「ポータルからの問い合わせが何件、他社の担当者からの照会が何件、御社のお客様が何件ですか」。
この内訳が分かると、止まっている経路が1つに絞れます。
買う側の画面で、自分の物件を見る
自分の物件が買主にどう見えているかは、売主でも確かめられます。
ポータルサイトで、自分の物件の地域・価格帯・間取りを検索条件に入れてみてください。
一覧の何番目に出てくるか、1枚目の写真で何が見えるか、価格が検索の区切りの内側にあるかが分かります。
当社がよく直すのは1枚目の写真です。
外観しか出ていない物件は、同じ価格帯で室内の写真を10枚出している物件に負けます。
同じ価格帯の売り物件を5件ほど開いて、写真の枚数を数えてみてください。
自分の物件が3枚しか出ていないなら、追加の撮影を頼むだけで反響が動くことがあります。
近所に知られたくないときに確かめること
非公開を選んだ場合は、確かめる中身が変わります。
看板とチラシを出していないこと、ポータルに載っていないこと、レインズの取引状況が非公開になっていることの3つです。
そのうえで、依頼先が持っている購入希望者に何件当たったかを聞いてください。
この質問に件数で答えられない会社は、③の経路を持っていない可能性があります。
まとめ|経路を知ってから、次の手を決める
買主が来る道は、ポータル・レインズ経由の他社・依頼先の購入希望者・現地のチラシの4つです。
速く動くのは、すでに探している人に当たる後ろの2つ。
数が多いのはポータルですが、そこには検討を始めたばかりの方も混ざります。
反響が無いときは、値下げより先に「どの経路が止まっているか」を見てください。
登録証明書が届いているか、掲載が始まっているか、報告書の内訳がどうなっているかの3点で足ります。
売り出しまでの全体の流れは売却の流れにまとめました。
これから売り出す方で、どの経路にどれだけ期待できるかを知りたい場合は、無料査定からご相談ください。
当社は査定額と一緒に、その物件で現実的に動く経路と、当社に登録のある購入希望者のなかで条件が合いそうな方の件数もお伝えしています。
