不動産売却で写真以外に載せる情報|買う側が求める6つ
執筆・監修:野上俊彦株式会社おもいで不動産 代表取締役/宅地建物取引士
執筆・監修:野上俊彦代表取締役/宅地建物取引士福岡市で家やマンションを売り出す準備をしている方に、先にお伝えしたい数字があります。
買う側が「あると便利」と答えた情報の1位は、いまも物件の写真です。
ただしその割合は46.8%で、前年から7.5ポイント下がりました。
代わりに上がったのが、耐震や省エネなどの品質情報の35.8%でした。
この記事は、売り出す前に「写真のほかに何を用意するか」を決めたい売主に向けて書いています。
根拠にするのは、全宅連(全国宅地建物取引業協会連合会)が2026年9月に公表した「2026 住宅居住白書」です。
そこに、当社が福岡市で実際に取り寄せている資料と、その取得先・手数料を並べました。
2. 写真の割合が下がったのは、写真が要らないという意味ですか?
3. 売主が用意できる「品質情報」は、どこで手に入りますか?
4. マンションでは、管理の情報をどこまで出しますか?
5. 周辺の相場と街の環境は、売主がどう出しますか?
6. 売り出す前に、何から手を付ければよいですか?
買う側は、物件情報に何があると便利だと答えていますか?
基本情報のほかに「あると便利」として挙がった上位は、物件の写真46.8%、品質情報35.8%、周辺物件の相場31.5%です。
その次に、街の環境情報30.5%、動画24.7%、防災情報23.8%が続きました。
品質情報とは、耐震・省エネ・防音・バリアフリーなど、建物の性能にあたるものを指します。
写真は1位のまま、前年から7.5ポイント下がった
写真は6つのうち最も多く選ばれた項目で、その地位は変わっていません。
動いたのは差のほうです。
写真46.8%と品質情報35.8%の差は11.0ポイントで、前年より縮まりました。
品質情報は1.9ポイント上がっています。
街の環境情報は2026年に新しく加わった選択肢で、いきなり30.5%が選びました。
この調査は「買主だけ」に聞いたものではない
調査の対象は、全国の20〜65歳の男女5,000人です。
実施は2026年7月30日から8月5日までのインターネット調査でした。
つまり、いま家を探している人だけを抜き出した数字ではありません。
「買主の46.8%が写真を求めている」と読み替えるのは行き過ぎです。
地域別の区分も九州までで、福岡市だけの値は載っていません。
写真の割合が下がったのは、写真が要らないという意味ですか?
そうは読めません。
同じ調査では、写真は依然として1位です。
読み取れるのは、写真だけでは決められない項目が増えてきた、というところまでです。
実際、購入時に重視する点を見ると、写真1枚では答えの出ない項目が並びます。
価格・環境・交通の次に見られるのは間取りと日当たり
価格・周辺環境・交通の利便性を除いて、購入時に重視する点を3つまで選んでもらった結果があります。
1位は間取り44.1%でした。
2位が日当たり・向きの32.4%です。
以下、商業施設が近い25.6%、構造24.0%、広さ23.9%、災害リスクが低い23.7%と続きます。
商業施設が近いは2.3ポイント上がって3位に入りました。
写真1枚では答えられない質問が残る
間取りは図面で伝わります。
では、日当たりはどうでしょうか。
晴れた日の昼にリビングを撮った1枚だけでは、冬の朝や夕方の暗さまでは分かりません。
構造や耐震も、外観の写真からは読めない項目です。
当社は、この「写真で答えの出ない部分」を、図面・書類・文章で埋めるようにしています。
動画を選んだ人は24.7%でした。
写真46.8%の半分ほどで、順位は6つのうち5番目です。
動画は不動産会社が撮って編集するもので、売主が自分で用意する必要はありません。
売主にお願いしたいのは、撮影の日に家の中を明るくしておくことくらいです。
先に手を付けていただきたいのは、次の章から並べる書類と履歴のほうになります。
価格の決め方については買う側は生成AIで相場を調べる|売主の値付けと出す情報に分けて書きました。
売主が用意できる「品質情報」は、どこで手に入りますか?
建物の性能を示す書類は、手元の書類・市の窓口・建築士の3か所から集まります。
まず探していただきたいのは、購入時に受け取った検査済証と確認済証です。
検査済証が見つからないときは、福岡市の台帳を当たる
検査済証は、建物が建築基準法の検査を通ったことを示す書類です。
これが無いと、買主の住宅ローンが通らないことがあります。
紛失していても、福岡市住宅都市局の建築指導部で「建築確認等台帳記載事項証明書」を取れる場合があります。
手数料は1件300円です。
ただし福岡市は、この証明書が確認済証や検査済証を再発行するものではないと明記しています。
位置づけとしては、台帳に記録が残っていることを示す書類です。
古い建物では、台帳に記録が残っていないこともあります。
耐震の書類は、売主が自分で作るものではない
耐震基準適合証明書は、建築士などの資格者が調査したうえで発行します。
売主が申込書を書いて出せば届く、という種類の書類ではありません。
費用と日数がかかるため、当社は「出したほうが効く物件かどうか」を先に確かめます。
1981年6月より前に確認を受けた建物なら、検討する値打ちがあります。
リフォームと設備の年式は、売主しか知らない
ここが、売主にしか出せない情報です。
給湯器を替えた年、外壁を塗った年、水回りを入れ替えた年を、分かる範囲で書き出してください。
領収書や保証書が残っていれば、それがそのまま裏付けです。
屋根の全面改修や間取りを変える工事は、2025年4月から建築確認が必要になった範囲に入ることがあります。
どの工事が対象になるかは、大規模リフォームに建築確認は必要?で確かめてください。
当社がお預かりしている戸建ての売却では、この履歴が買主からの質問の半分を先回りして消します。
逆に、何も出てこない物件では「いつ壊れるか分からない」という前提で値段を見られがちです。
思い出せる範囲で構いません。
年が曖昧なら「10年ほど前」と書いておき、当社が買主への伝え方を整えます。
戸建ての資料の集め方は福岡市の戸建て売却にまとめてあります。
マンションでは、管理の情報をどこまで出しますか?
売り出す前に取り寄せるのは、管理規約・長期修繕計画・修繕積立金の残高の3つです。
この3つが揃っていないと、買主は毎月の負担を計算できません。
買う側が見ているのは、毎月かかるお金と、将来の値上げの有無です。
管理会社から取り寄せる資料と、その費用
これらは管理会社に請求して発行してもらう資料です。
発行費用は売主の負担になり、金額は管理会社によって変わります。
買主の受け取り方が変わるのは、大規模修繕を終えた直後なのか、これからなのかという点です。
マンションの資料の扱いは福岡市のマンション売却で説明しています。
博多区では、広さで買い手の層が入れ替わる
当社が集計した博多区のマンション取引951件では、1R・1K・1DKが424件を占めます。
中央値は20㎡で1,400万円でした。
一方、3LDK系は127件で、65㎡・2,700万円です。
前者は投資で買う人が多く、管理の数字と賃料の見込みを先に聞かれます。
後者は住むために買う人が多いので、日当たりと学区の質問が増えます。
同じ区でも、出すべき資料の重みが違うわけです。
区ごとの取引件数と中央値は福岡市の売却相場に載せています。
周辺の相場と街の環境は、売主がどう出しますか?
周辺物件の相場31.5%と街の環境情報30.5%は、資料ではなく「説明」で出す部分です。
片方は公的なデータ、もう片方は住んでいた人の言葉になります。
相場は国土交通省の取引価格で示す
周辺の相場は、国土交通省の不動産情報ライブラリで誰でも調べられます。
実際に取引された価格が四半期ごとに公表されているためです。
当社の区ページと沿線ページも、この同じデータを集計して作っています。
売主から「近所の物件がいくらで出ている」と伺うことがありますが、それは売り出し価格です。
成約価格とは別物なので、両方を並べて見ていただくようにしています。
売主ご自身が生成AIで下調べをする場合の注意点は不動産売却で生成AIは使える?聞いてよいこと・だめなことにまとめました。
街の環境は、住んでいる人にしか書けない
スーパーまで歩いて何分か、坂がきついかどうか、朝の通勤時間帯に道が混むかどうか。
この種の情報は、地図を見ても分かりません。
当社は媒介のご依頼をいただいたあと、売主から聞き取って販売資料に反映しています。
福岡市では、同じ最寄り駅でも高低差で印象が変わる場所がいくつもあります。
当社が東区香椎で扱った戸建ては、約8mの傾斜地で崖条例に該当していました。
更地にする案も検討しましたが、取り壊しと造成を合わせると1,000万円を超えると分かりました。
そこで建物を残し、室内が広くきれいであることを前面に出して売り出しています。
結果として、賃貸用の不動産として購入される方に引き継ぐことができました。
不利に見える条件でも、何を伝えるかで買い手の層が変わる、という一例です。
じぶん売却の内覧でも、設備の使い勝手・日当たり・周辺の環境は、売主からお話しいただく範囲にしてあります。
価格や条件の交渉は当社が引き取るので、住んでいたからこそ言えることだけを話していただく形です。
防災情報は、聞かれる前に確かめておく
防災情報を選んだ人は23.8%でした。
不動産会社は2020年8月から、水害ハザードマップで物件の位置を示す義務を負っています。
つまり買主は、契約の前にどのみち知ることになります。
売主が先に確かめておけば、聞かれてから慌てることはありません。
詳しくは浸水想定区域の家は売れる?ハザードマップの説明義務をご覧ください。
売り出す前に、何から手を付ければよいですか?
手順は3つで、順番は「手元の書類を探す」「足りない分を取りに行く」「売主しか知らないことを書き出す」です。
1つ目と3つ目は、今日からご自宅で始められます。
3つの手順
1つ目は、購入時の売買契約書・重要事項説明書・検査済証・確認済証・図面を探すこと。
2つ目は、見つからなかった書類の取得先を決めることです。
法務局・区役所・市の各部署の窓口は福岡市7区の手続き窓口ガイドに一覧にしてあります。
3つ目は、リフォームの年、設備の年式、街の環境を紙に書き出すこと。
必要書類の全体像は売却に必要な書類で確認できます。
すでに空き家で、手元に何も無いとき
県外にお住まいで、実家が空き家になっている方からのご相談が増えています。
この場合、書類を探すために何度も福岡へ戻るのは現実的ではありません。
当社は空き家管理として、月1回の巡回と写真つきの報告をお引き受けしています。
料金はライト6,600円、スタンダード12,100円、プレミアム18,700円(いずれも月・税込)です。
売却のご依頼は条件にしておらず、契約期間の縛りもありません。
持ち続ける場合と売る場合を数字で比べたい方は、空き家管理もあわせてご覧ください。
資料が揃う前でも、査定は先に出せます
書類が全部揃うまで待つ必要はありません。
当社は査定の段階で、登記事項証明書・公図・道路台帳・埋蔵文化財の照会などを自社で取得しています。
お客様にその費用をご負担いただくことはありません。
何が足りないかは、査定の過程でこちらから具体的にお伝えします。
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