レインズは個人でも見られる?売主が確認できる画面
執筆・監修:野上俊彦株式会社おもいで不動産 代表取締役/宅地建物取引士
執筆・監修:野上俊彦代表取締役/宅地建物取引士レインズを個人で検索することはできません。
使えるのは、指定流通機構に加入している不動産会社だけだからです。
ただし、売主だけは例外。
ご自身が売却を依頼した物件に限り、専用の確認画面で登録内容と取引状況を見られます。
この記事は、媒介契約を結んだ、または結ぼうとしている福岡市の売主に向けて、どこまで自分の目で確かめられるのかを整理したものです。
「買う側として掘り出し物を探したい」という理由でレインズを調べている方のために、代わりに使える公開サイトも載せました。
2. 買主として物件を探したいときは、どこを見ますか?
3. 売主が自分の物件を確かめる手順
4. なぜ一般に公開されていないのですか?
5. レインズをめぐる3つの誤解
6. 今日、売主が確かめられること
レインズは個人でも見られますか?
見られません。
レインズは不動産会社どうしが物件情報を共有する業者間のネットワークで、一般の方に向けた検索サイトではないからです。
ログインできるのは、東日本・中部圏・近畿圏・西日本の各流通機構に加入している宅地建物取引業者に限られます。
使えるのは、流通機構に入っている不動産会社だけ
福岡市の物件が登録されるのは、西日本不動産流通機構(西日本レインズ)です。
会員になれるのは宅地建物取引業の免許を持つ会社で、個人の売主や買主が会員になる制度はありません。
当社も会員として毎日この画面を開いていますが、そこで見えるのは他社が預かっている物件の詳細、つまり業者向けの在庫一覧です。
売主の氏名や連絡先、鍵の保管場所といった、外に出せない情報も同じ画面に載っています。
一般公開されていない理由の半分は、ここにあります。
売主だけは、自分の物件を見られる
例外が1つ。
売却を依頼した売主は、自分の物件に限って登録内容と取引状況を確認できます。
見るのは業者用の画面ではなく、売却依頼主のための専用ページです。
開く鍵になるのが、媒介契約のあとに渡される登録証明書。
この紙に、専用画面のURLと二次元コード、物件ごとのIDとパスワードが載っています。
「個人でレインズに登録したい」はできない
登録できるのは、媒介契約を結んだ宅建業者です。
売主が自分で登録する仕組みはなく、不動産会社を通さずに売る個人売買では、物件がレインズに載りません。
載らないということは、買主側の会社が担当のお客様に紹介する経路に乗らないということ。
個人売買でどこまで自分でできるのかは不動産の個人売買はどこまで自分でできる?に整理しました。
買主として物件を探したいときは、どこを見ますか?
一般の方が見られるサイトは3つあります。
売り出し中の物件は不動産ポータルサイト、過去に売れた値段はレインズ・マーケット・インフォメーション。
地価や取引価格を地図で見たいなら、国土交通省の不動産情報ライブラリです。
売り出し中の物件は、ポータルサイトでほぼ重なる
レインズに載っている売り出し中の物件の多くは、同じ会社がポータルサイトにも掲載しています。
「レインズを見ないと出会えない物件がある」と考えて探し回る必要は、あまりありません。
ただし、売主の希望で広告を出していない物件は、どちらにも出てきません。
近所に知られたくない、まだ家族に話していない。
こうした事情があると、売主の希望で広告を止めることがあります。
売れた値段はレインズ・マーケット・インフォメーション
レインズが運営する一般向けのサイトで、成約した価格を誰でも検索できる仕組みです。
地域はマンションか戸建てを選んだうえで、福岡県から福岡市博多区のように絞り込めます。
ただし、個別の取引が特定できないように数字が加工されています。
価格は百万円単位で四捨五入、面積は5平方メートルの幅、成約時期は3か月ごとの区切り。
自宅1件の値段を割り出す使い方には向きません。
福岡市で使うときに効くのは、同じ区の中でも件数が少ない種別があることです。
当社が国土交通省のデータからまとめた直近の戸建ての取引件数は、東区280件に対して中央区56件。
同じ福岡市でも5倍の開きがあり、件数の少ない区ほど、拾える事例そのものが減ります。
帯が広い地域の数字を1件だけ拾って「うちもこの値段」と決めるのは危険です。
地図から調べるなら不動産情報ライブラリ
国土交通省が運営していて、取引価格・成約価格・地価公示を地図の上で重ねて見られます。
スマートフォンからも開けるので、気になる町名を指でなぞって相場感をつかむ使い方ができます。
福岡市7区の中央値を当社がまとめたものは福岡市の売却相場に載せました。
こちらは国土交通省の取引データを区ごと・種別ごとに集計したもので、区の中の差まで見られます。
売主が自分の物件を確かめる手順
登録証明書を手元に出して、二次元コードを読み取るところから始めます。
IDとパスワードも同じ紙に印字されているので、ほかに用意するものはありません。
2025年1月から、取引状況の登録が義務になった
国土交通省は宅地建物取引業法施行規則を改正し、2025年1月1日から、宅建業者にレインズへの取引状況の登録を義務づけました。
あわせて、2025年1月4日以降に発行される登録証明書には二次元コードが載るようになっています。
改正の目的は、売主がご自身の物件の状況を確実に確かめられるようにすることです。
裏を返せば、それまでは確かめにくかったということ。
以前の証明書にも専用画面のURLとIDは印字されていましたが、小さな文字の中に紛れていました。
二次元コードが付いたことで、携帯電話のカメラを向けるだけで開くようになっています。
パソコンを使わない方でも確かめられる形になった、というのがこの改正のいちばん大きな変化です。
画面で見るのは、取引状況の3文字
取引状況は「公開中」「書面による購入申込みあり」「売主都合で一時紹介停止中」の3つから選ばれています。
売主が何も申し出ていないのに「売主都合で一時紹介停止中」になっていたら、その日のうちに担当者へ理由を聞いてください。
登録証明書そのものの見方と、届く期限はレインズの登録証明書の見方に手順でまとめています。
取引状況のほかに、登録内容も見ておく
専用画面には、取引状況だけでなく登録された物件情報の概要も出ます。
見ていただきたいのは、価格・面積・間取りが媒介契約で決めたとおりかどうか。
数字が1桁違って登録されていると、買主側の会社の検索条件から外れ、問い合わせが届かなくなります。
当社が福岡市内で実際に直したことがあるのは、建物面積と土地面積の取り違えでした。
売り出しから2週間動きが無いときは、価格を下げる前にこの画面を開いてみてください。
証明書が届いていないときの聞き方
専属専任媒介なら契約日の翌日から5日以内、専任媒介なら7日以内に登録する決まりです。
期限を過ぎても証明書が届かないなら、「レインズの登録証明書をいただけますか」と1行で尋ねれば足ります。
この書類は売主へ渡すことが宅地建物取引業法で決まっているため、請求に理由は要りません。
「疑っているようで聞きにくい」とおっしゃる方がいますが、聞かれて困る会社のほうが例外です。
当社は媒介契約の席で、登録の期限と証明書をお渡しする日を先にお伝えしています。
媒介契約の種類ごとの義務の違いは媒介契約の種類に並べてあります。
なぜ一般に公開されていないのですか?
レインズが業者間の在庫を共有する仕組みとして作られ、個人情報と非公開の希望を含んでいるからです。
そのぶん、売主から見ると中が見えにくい仕組み。
見えにくさが、囲い込みの疑いを生む
他社から内覧の申し込みがあったのに断り、自社で買主を見つけようとする行為を囲い込みといいます。
売主の側から見ると、断られた事実そのものが画面に出ません。
気づく手がかりが、もともと少ない仕組みになっているわけです。
だからこそ、取引状況が「公開中」のままかどうかを自分の目で見る意味があります。
見分け方と、疑わしいときに確かめる順番は不動産売却の囲い込みとは?にまとめました。
売主の希望で公開を絞ることもできる
非公開にする選択が、いつも悪いわけではありません。
当社も、近隣に知られたくないというご事情がある場合には、掲載の範囲を限定してお預かりしています。
大事なのは、その状態を売主が納得して選んでいるかどうか。
売主が頼んでいない非公開と、売主が選んだ非公開は、まったく別のものです。
レインズをめぐる3つの誤解
相談の場でよく出てくる思い違いが3つあります。
登録すれば売れる、一般媒介では登録されない、登録されていれば囲い込みは起きない。
誤解1:レインズに載れば買主が見つかる
レインズは、買主側の会社が物件を探すときに開く名簿にすぎません。
登録は入口であって、そこから先は価格と資料の見やすさで選ばれます。
写真が2枚だけの物件と、室内と周辺が20枚入っている物件。
同じ価格なら、買主側の担当者が先に開くのは後者でしょう。
誤解2:一般媒介ではレインズに登録されない
一般媒介でも登録はできます。
専属専任と専任は期限つきの登録義務がありますが、一般媒介には期限の定めがないという違いです。
そのため、一般媒介を選ぶときは「登録はしていただけますか」と最初に確かめてください。
3種類の違いは媒介契約の種類で見比べられます。
誤解3:登録されていれば囲い込みは起きない
登録されていることと、他社に紹介されていることは別です。
登録したうえで「紹介できない」と断ることは、画面の上では見えません。
だから売主にできるのは、取引状況を定期的に見て、販売報告の回数が守られているかを確かめること。
専属専任なら1週間に1回以上、専任なら2週間に1回以上の報告が義務づけられています。
報告が止まっているのに「反響がありません」とだけ言われる状態が続くなら、契約期間の満了で見直す選択もあります。
今日、売主が確かめられること
手を動かすのは3つだけです。
登録証明書が手元にあるか、二次元コードから専用画面が開けるか、取引状況が「公開中」になっているか。
確認の順番
- 媒介契約書を出して、専属専任・専任・一般のどれかを見る
- 登録証明書を探す(専属専任は5日以内、専任は7日以内に登録)
- 二次元コードを読み取り、IDとパスワードで専用画面を開く
- 取引状況が「公開中」かを見る
- 身に覚えのない「一時紹介停止中」なら、その日に担当者へ聞く
これから会社を選ぶ方へ
媒介契約の前であれば、「登録証明書はいつ渡していただけますか」と聞いてみてください。
その場ですぐ答えが返るかどうかで、報告の丁寧さがだいたい分かります。
売り出しから引き渡しまでの流れは売却の流れに11ステップで並べました。
なお当社には、売主に準備と内覧の案内を担っていただく代わりに、当社の通常料金から仲介手数料を割り引くじぶん売却という売り方もあります。
