内覧が来ない|価格より先に確かめる3つの層
執筆・監修:野上俊彦株式会社おもいで不動産 代表取締役/宅地建物取引士
執筆・監修:野上俊彦代表取締役/宅地建物取引士売り出して1か月。
問い合わせも内覧も1件も入らないと、売主がまず疑うのは価格です。
ただ、そこで値下げから手を付けると、原因が別のところにあったときに二度下げることになります。
内覧が来ない理由は、3つの層に分かれています。
買主がそもそも掲載を見ていないのか、見たけれど写真で素通りしたのか、写真まで見て価格で見送ったのか。
この記事は、福岡市内で売り出して1か月前後、反響の少なさに不安を感じている売主に向けて、下の層から順に切り分ける手順を書きました。
価格を動かす段になったときの時期と下げ幅は売り出し3か月目の価格変更|時期と下げ幅の決め方にまとめました。
売り出し価格そのものの決め方は売り出し価格の決め方|査定額との差の付け方をご覧ください。
2. 掲載が見られているかは、どう確かめますか
3. 写真と情報で直せるのはどこまでですか
4. 価格はいつ、どう見直しますか
5. 福岡市では、1か月で判断してよいのですか
6. 今週できることは何ですか
内覧が来ないとき、最初に下げるのは価格ですか
価格ではありません。
確かめる順番は、掲載が見られているか、写真と情報、そして価格の3つです。
下の2つを飛ばして価格だけ動かすと、価格を下げても反響が変わらないという結果になりがちです。
値下げを先に出すと、二度下げることになる
原因が写真にあったとしましょう。
価格を100万円下げても、1枚目の写真が暗ければ買主は同じように素通りします。
そこで「価格のせいではなかった」と気づいても、下げた価格は元に戻せません。
次の手として、さらに下げるしかなくなるわけです。
3つの層のどこで止まっているか
買主が物件に出会うまでには、掲載を見る、写真を見る、価格を見るという段があります。
問い合わせが0件に近いなら、止まっているのは掲載か写真の段です。
問い合わせはあるのに内覧につながらないなら、価格か、間取り図などの条件の段でしょう。
内覧はあるのに決まらない場合は、原因が室内の見せ方に移ります。
当社は3〜4週間の反響で見ている
当社では、売り出しから3〜4週間の反響で見直しを判断します。
問い合わせ自体が少なければ価格、内覧はあるのに決まらなければ室内の見せ方に原因があることが多いという切り分けです。
成約までの内覧の件数は、価格と時期によりますが5〜10件程度が目安になります。
3か月で内覧が数件にとどまるようなら、価格の見直しをご提案する段階です。
掲載が見られているかは、どう確かめますか
レインズの売主専用画面と、ポータルサイトでの絞り込みの2つで確かめられます。
第1の層は、不動産会社に聞かなくても売主ご自身で見られる部分です。
専任媒介または専属専任媒介で依頼している場合、2025年1月1日から、不動産会社にはレインズへの取引状況の登録義務があります。
売主が自分で公開状況を見られるようにするための義務です。
レインズの売主専用画面で「公開中」を見る
媒介契約を結ぶと、不動産会社からレインズの登録証明書が交付されます。
2025年1月以降は、この証明書に2次元コードが載っていて、読み取ると売主専用の確認画面に入れます。
そこで登録されている取引状況は、「公開中」「書面による購入申込みあり」「売主都合で一時紹介停止中」の3種類です。
申込みも停止の依頼もしていないのに「公開中」以外になっていたら、担当者に理由を聞いてください。
登録と報告の期限は、法律で決まっている
専任媒介では媒介契約の日から7日以内、専属専任媒介では5日以内に、レインズへ登録する義務があります。
この日数には契約日と不動産会社の休業日を入れません。
販売状況の報告も、専任媒介なら2週間に1回以上、専属専任媒介なら1週間に1回以上と決まっています。
1か月のあいだ一度も報告が来ていないなら、まずそこが問題です。
一般媒介で頼んでいる場合は、確かめ方が変わる
レインズへの登録義務があるのは、専任媒介と専属専任媒介の2つだけです。
複数社に頼める一般媒介では登録証明書が出ないため、売主専用の確認画面もありません。
この場合は、依頼した各社に「どのサイトに、いつから出しているか」を1社ずつ聞くことになります。
同じ物件が3社から別の価格で出ていると買主が混乱するので、掲載の内容が揃っているかも見てください。
媒介契約の種類ごとの違いは媒介契約の種類にまとめています。
検索の条件から外れていないか
掲載されていても、買主が使う検索条件に入っていなければ見つかりません。
価格の区切り、駅からの徒歩分数、専有面積の区切りは、ポータルサイトの絞り込みの目盛りになっています。
2,980万円と3,050万円では、同じ3,000万円前後でも拾われる検索が変わるのです。
自分で買主のふりをして絞り込み、自分の物件が出てくるかを確かめてみてください。
写真と情報で直せるのはどこまでですか
直せるのは明るさ・時間帯・片付け・枚数までで、間取りと築年数と方角は写真では変わりません。
それでも1枚目で素通りされている物件は多いので、ここは価格より先に手を入れる場所です。
ここは費用をほとんどかけずに手を入れられるので、価格より先に動かす価値があります。
撮り直しで変わるもの
部屋の明るさ、撮る時間帯、カーテンの開け方、床に物が無い状態。
この4つで、同じ部屋がまるで違って見えます。
晴れた日の午前に撮り直すだけで印象が変わることもあるので、担当者に撮影のやり直しを頼んでみてください。
1枚目をリビングにするか外観にするかも、物件によって向きが分かれます。
枚数と順番も見られている
写真が5枚しかない掲載と、20枚ある掲載。
買主が先に開くのは後者です。
隠している部分が無いと分かるからです。
水回りの3点、収納の中、バルコニーからの眺めが無いと、問い合わせの前に候補から外れがちになります。
撮れていない部屋があるなら、そこを足すだけでも反響の出方が変わります。
写真では直らないもの
間取り図、築年数、方角、駅からの距離は、撮り方では変えられません。
ここが原因で見送られているなら、打ち手は情報の足し方か価格に移ります。
たとえば築年数が古い物件なら、設備をいつ替えたかを具体的に書くほうが効きます。
文章で足せる情報
管理費と修繕積立金の額、大規模修繕の実施年、給湯器やエアコンを替えた年、小学校までの道順。
買主が問い合わせる前に知りたいことを先に書いておくと、問い合わせの手間が1つ減ります。
設備が壊れたままの物件をどう出すかは住宅設備が壊れていても不動産は売れる?直す前の判断にまとめました。
価格はいつ、どう見直しますか
1か月で問い合わせが0件なら下げ幅の候補を決め、2か月で0件なら動かす、という順です。
第3の層に来る前に下の2つを確かめておくと、下げ幅にも根拠が付きます。
1か月と2か月の見方
売り出して1か月で問い合わせが0件なら、掲載と写真を直したうえで、価格の候補を1つ決めておきます。
2か月目に入っても0件が続くようなら、決めておいた価格に動かす段です。
媒介契約の期間は最長3か月なので、更新の時期と価格の見直しが重なりやすい点にもご注意ください。
下げる前に、条件で動かせるもの
価格は最後の手段で、その前に条件で動かせるものがあります。
引き渡しの時期を買主に合わせる、家具や家電を置いていってよいことにする、設備の不具合を直してから渡す。
どれも、買主にとっては金額に換算できる話です。
100万円の値下げよりも、引き渡しを2か月早められることのほうが効く買主もいます。
小刻みに下げない
50万円ずつ何度も下げると、買主からは「まだ下がる」と読まれます。
下げるなら、検索の価格帯を1つ越えるところまで動かすほうが反響に出やすいでしょう。
値下げの前に確かめる項目は家が売れないとき、値下げの前に確かめることにもまとめてあります。
内覧が入り始めたら、見る場所が移る
掲載と写真を直して内覧が入るようになったら、次の原因は室内の見せ方に移ります。
内覧の前に何をどこまで片付けるかは内覧で好印象を与える事前準備と伝え方にまとめました。
住みながら売っている方の負担の減らし方も、別の記事で扱っています。
福岡市では、1か月で判断してよいのですか
区によって違います。
売買の母数が、福岡市の7区のあいだで7倍ほど開いているためです。
母数の大きい区なら1か月の反響に意味がありますが、小さい区では1か月のあいだ動きが無くても珍しくありません。
中央区と城南区では、母数が7倍違う
当社は国土交通省の取引価格から、区ごとのマンションの取引件数を集計しています。
2024年第2四半期から2026年第1四半期までの2年間で、中央区が1109件、城南区が153件でした。
博多区は951件、東区は559件、南区は463件、早良区は271件、西区は233件です。
城南区の153件は、2年間で月あたり6件ほど。
この母数で1か月の内覧が0件だったことを、価格の問題だと読むのは早すぎます。
母数が小さい区での見方
取引の少ない区では、1か月あたりの件数ではなく、問い合わせの有無と内容を見ます。
1件でも問い合わせがあって、それが内覧に進まなかったなら、断られた理由を担当者から聞いてください。
理由が3件たまったころに、価格なのか条件なのかが見えてくるはずです。
区ごとの相場と取引の件数は福岡市の売却相場の各区のページに出しています。
時期の影響も分けて考える
買主が動きやすい時期と動きにくい時期があるため、同じ1か月でも反響の量は変わります。
売り出しが年末年始やお盆に重なった月は、反響の少なさをそのまま価格の評価にしないでください。
今週できることは何ですか
担当者に3つ聞いて、自分で2つ確かめる。
これだけで、1週間のうちに切り分けが進みます。
どれも費用はかかりません。
担当者に聞く3つ
1つめは、掲載しているサイトごとの閲覧数と問い合わせ数。
2つめは、問い合わせがあった人が内覧に進まなかった理由。
3つめは、写真の撮り直しと掲載文の書き直しをいつできるか。
この3つは、報告の義務がある以上、答えが返ってくるはずの内容です。
閲覧数だけは、ポータルサイトの管理画面を見ないと分かりません。
口頭で「反響はぼちぼちです」と言われたときは、数字で出してもらうようお願いしてください。
その数字が月ごとに並ぶと、掲載を直した効果も後から確かめられます。
自分で確かめる2つ
レインズの登録証明書の2次元コードから、取引状況が「公開中」になっているかを見ます。
それと、買主の立場でポータルサイトを絞り込み、自分の物件が検索結果に出てくるかを確かめてください。
この2つで、第1の層は自分で潰せるでしょう。
切り分けに迷ったら
反響の数字と掲載の画面をお持ちいただければ、どの層で止まっているかを一緒に見られます。
他社に依頼中の方でも、見方のご相談だけで15分無料相談をご利用いただけます。
いまの担当者を替えるかどうかの話は、こちらからは持ち出しません。
価格そのものを見直したい方は、いまの相場での金額を無料査定でお出しします。
査定額と売り出し価格の差をどう付けるかまで、その場でご説明する流れです。
