福岡市で民泊ができる物件・できない物件|見分ける7つの条件
執筆・監修:野上俊彦株式会社おもいで不動産 代表取締役/宅地建物取引士
執筆・監修:野上俊彦代表取締役/宅地建物取引士福岡市の家が民泊に使えるかどうかは、1つの条件では決まりません。
見るのは、使う制度・土地の用途地域・建物の持ち方・家の使われ方・広さと運営の形の5つです。
とくに大事なのは、旅館業ができない場所でも、届出の民泊なら候補に残る場合があることでしょう。
この記事は、当社の民泊診断が使っている判定の根拠を、県と市の原文に沿って順に説明したものです。
2. 用途地域で、旅館業ができない場所はどこ?
3. 分譲マンションや借りている部屋は、民泊にできる?
4. 民泊にできない家には、どんなものがある?
5. 建物の広さや運営の形で、何が変わる?
6. 自分の物件はどう確かめる?窓口と民泊診断
福岡市で使える民泊の制度は何がある?
福岡市で民泊をする方法は、福岡県に届け出る「届出の民泊」と、福岡市の許可を受ける「旅館業(簡易宿所)」の2つです。
国家戦略特区の「特区民泊」は、福岡県内では北九州市だけが使っており、福岡市では選べません。
どちらの制度を使うかで、泊められる日数も、営業できる場所も変わります。
届出の民泊は1年度に180日まで、届出先は福岡県
届出の民泊は住宅宿泊事業法にもとづく制度で、人を泊められるのは4月から翌年3月までの1年度に180日までです。
福岡市内の物件でも、届出を受け付けるのは市役所ではなく福岡県の生活衛生課になります。
建物は「住宅」のまま扱われるため、旅館としての建築の手続きは要りません。
そのかわり、1年を通して人を泊めたい場合には向かない制度です。
旅館業(簡易宿所)は日数の上限なし、窓口は区の衛生課
旅館業の許可を受ければ、日数の上限なく営業できます。
窓口は福岡市保健所で、申請の前に物件がある区の衛生課へ相談する流れです。
ただし建物は「旅館」として扱われ、建てられる地域や客室の広さ、設備の基準を満たす必要があります。
旅館業の基準と初期費用は、民泊を旅館業の許可で営業するにはで詳しく書きました。
用途地域で、旅館業ができない場所はどこ?
旅館業ができないのは、低層・中高層の住居専用地域、田園住居地域、工業地域、工業専用地域です。
第一種住居地域では、旅館に使う部分が3,000㎡以下に限られます。
用途地域とは、都市計画でその場所に建ててよい建物の種類を決めた区分のことです。
届出の民泊は建物を住宅として扱うので、住居専用地域でも候補に残ります。
工業専用地域だけは住宅そのものが建てられないため、届出の民泊もできない見込みです。
制度ごとの、用途地域の線
2つの制度で、営業できる地域を並べると次のとおりです。
| 用途地域 | 旅館業(簡易宿所) | 届出の民泊 |
|---|---|---|
| 第一種・第二種低層住居専用地域 | 原則できない | 候補に残る |
| 第一種・第二種中高層住居専用地域 | 原則できない | 候補に残る |
| 第一種住居地域 | 3,000㎡以下ならできる | 候補に残る |
| 第二種住居・準住居・近隣商業・商業・準工業 | できる | 候補に残る |
| 工業地域 | 原則できない | 候補に残る |
| 工業専用地域 | 原則できない | 住宅が建たないため、できない見込み |
「原則」としたのは、建築基準法に、特定行政庁の許可で例外を認める定めがあるからです。
例外を前提に計画を立てる場面は少ないので、まずは原則の線で考えるのが現実的です。
自分の土地の用途地域を調べるには
用途地域は、福岡市の都市計画情報のマップか、買ったときの重要事項説明書で確かめられます。
民泊診断では郵便番号と町名を入れると、国土交通省の都市計画データから用途地域と市街化調整区域かどうかを出します。
町の中で用途地域が分かれていることもあるので、丁目と番地まで入れると、より正確になります。
境目の近くの土地は、福岡市の都市計画課で確かめてください。
制度とは別に、海外からの宿泊客を考えるなら立地も見ておきたいところです。
福岡市内の届出の民泊は、区と町まで分かる1,412件のうち51%が、博多駅か天神駅から2km以内に集まっています。
数字は、福岡県の届出情報(令和8年8月31日時点)を当社で集計したものです。
町ごとの目安は、民泊で運用する(福岡市)のページの地図で確かめられます。
マップの使い方や、床面積と消防の確かめ方はその家は民泊に使える?用途地域と建物の調べ方にまとめています。
分譲マンションや借りている部屋は、民泊にできる?
分譲マンションは管理規約と総会の決議で、借りている部屋は貸主の書面の承諾で決まります。
どちらも、持ち主ひとりの判断では進められない点が、戸建てや一棟との大きな違いです。
マンションは、民泊と旅館業で求められる規約が違う
管理規約で民泊を禁止しているか、総会や理事会で禁止を決めたマンションでは、届出そのものができない決まりです。
規約に何も書いていない場合も、届出には管理組合が禁止していないことを確かめた書面(誓約書や議事録など)が要ります。
旅館業の場合はさらに厳しく、規約で旅館業を明確に認めていることが求められます。
国土交通省の標準管理規約にある「住宅宿泊事業に使用できる」の一文だけでは、旅館業を認めたことにならないと福岡市の手引きは書いています。
旅館業にするには、規約を改める総会の特別決議か、管理組合の確認書が要るということです。
規約の読み方と決議の数え方は、マンションの民泊は管理規約で決まるで説明しています。
借りている部屋は、貸主の書面の承諾が要る
借りている人が届出をするには、貸主が転貸を承諾した書面を付ける決まりです。
貸主が親族であっても、書面は省けません。
賃貸借契約に「転貸可」とあるだけでは、民泊まで認めたとは限らないので注意してください。
民泊にできない家には、どんなものがある?
福岡市でとくに迷いやすいのは、市街化調整区域の家と、民泊のためだけに建てる家の2つです。
どちらも、建物の立派さとは関係なく、家の成り立ちや使われ方で線が引かれています。
相続した実家や、郊外に持っている土地で起きやすい話なので、戸建てや土地をお持ちの方は先に確かめておくと安心です。
市街化調整区域で、住める人が限られた家
市街化調整区域は、原則として建物を建てない区域です。
そこには農家住宅や分家住宅のように、許可を受けた特定の人しか住めない家があります。
福岡市の説明では、こうした家で持ち主が住んでいない形の届出の民泊はできません。
誰でも住める家か、持ち主が住んで一部を貸す形なら、届出ができるとされています。
調整区域で建物を旅館に変えたり新しく建てたりできるかは、福岡市の開発・盛土指導課で確かめることになります。
民泊のためだけに建てた家は、届出の対象外
届出の民泊に使えるのは、人が住んでいる家、入居者を募集している家、持ち主が年1回以上使っている家のどれかです。
人が住んだことのない、民泊のためだけに建てた家は、この「住宅」に当たらず届出ができません。
土地に建物を建てて民泊にしたい場合は、旅館を建てられる用途地域かどうかが分かれ目になるでしょう。
自分や家族が住む家を建てて、その一部を貸す形なら、届出の民泊の道もあります。
空き家の場合は、台所・浴室・便所・洗面設備の4つがそろっていることも届出の条件です。
届出の手順と、相続した家で使える控除との関係は空き家を民泊にするにはに書きました。
出典:観光庁 民泊制度ポータル
建物の広さや運営の形で、何が変わる?
旅館業は客室の広さと、宿泊に使う部分の床面積で手続きが変わり、届出の民泊は家主がいるかどうかと居室の数で、管理を任せる先が変わります。
ここで分かるのは「できるかどうか」より、「何を足せばできるか」です。
旅館業は客室33㎡、200㎡を超えると用途変更
簡易宿所の客室は、延べ床面積33㎡以上が原則です。
泊める人が10人未満なら、1人あたり3.3㎡以上でよいとされています。
宿泊に使う部分が200㎡を超えると、建築基準法の用途変更の確認申請が要り、費用と期間がかかります。
200㎡以下でも、非常用照明など旅館としての基準には合わせなければなりません。
申請は、借り上げなら運営会社が自らの名義で行い、運営委託なら行政書士をご紹介して書類を作成してもらいます。
家主がいない家と、福岡市でフロントを置かないとき
届出の民泊では、泊めている間に家主が不在になる家や、民泊に使う居室が5を超える家は、国の登録を受けた住宅宿泊管理業者への委託が要ります。
旅館業でフロント(玄関帳場)を置かない場合に、福岡市が求めるのは代わりの措置です。
具体的には、10分以内に駆けつけられる市内の拠点、出入口のカメラ、各客室の通話機器、非対面のチェックインの設備の4つ。
拠点は福岡市内に置くことが条件で、車で移動する形は原則として認められていません。
学校や保育園、公園などからおおむね100m以内なら、市が関係機関に意見を求めるため、許可まで日数がかかることもあります。
消防設備は制度の名前ではなく使い方で決まり、家主が同居して泊める部屋が50㎡以下なら一般住宅、それ以外は宿泊施設としての扱いです。
一棟アパートの空室だけを民泊にする場合も、消防では建物全体が複合用途と判定され、防火管理者が必要になる場合があります。
旅館業なら、申請の前に同じ建物の入居者(テナントを含む)へ知らせるよう、市の手引きが求めています。
空室が1部屋でも、ほかの入居者との関係は建物全体の話になるということです。
自分の物件はどう確かめる?窓口と民泊診断
まず民泊診断で、どちらの制度にどんな支障がありそうかの目安をつけ、そのうえで窓口に確かめるのが早い順番です。
民泊診断は郵便番号と6〜8問の質問で、旅館業と届出の民泊を合う順に並べ、理由と確かめることを出します。
無料で、お名前や連絡先の登録も要りません。
結果はあくまで公開されている制度にもとづく目安で、営業できることを保証するものではありません。
「✕ 難しい」と出ても、マンションの規約が変わったり、貸主の承諾が取れたりすれば、結果は変わります。
「△ 確かめることが多い」と出たら、下の窓口で、表示された項目を1つずつ確かめていくと判断がはっきりするはずです。
福岡市で民泊を始めるときの窓口
診断の「確かめること」に出てくる窓口を、まとめておきます。
| 確かめること | 窓口 | 電話 |
|---|---|---|
| 届出の民泊(住宅宿泊事業) | 福岡県 生活衛生課 | 092-643-3279 |
| 旅館業(簡易宿所)の許可 | 物件がある区の衛生課(福岡市保健所) | 区ごと |
| 消防法令適合通知書 | 物件がある区の消防署 | 区ごと |
| 用途地域の確認・証明 | 福岡市 都市計画課 | 092-711-4388 |
| 市街化調整区域の家・土地 | 福岡市 開発・盛土指導課 | 092-707-3902 |
民泊に向くと分かっても、初期費用や手間を考えると、賃貸のまま持つ道や売る道のほうが合う場合もあります。
民泊で運用する道と、売る場合との比べ方は、民泊で運用する(福岡市)のページにまとめました。
当社と提携先の運営会社が一緒にお話をうかがい、建物とエリアから比べて検討しますので、15分の無料相談からご相談ください。

