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空き家公開 2026.11.08

福岡市空き家バンクに登録すると売れる?仲介との違い

野上俊彦執筆・監修:野上俊彦株式会社おもいで不動産 代表取締役/宅地建物取引士
野上俊彦執筆・監修:野上俊彦代表取締役/宅地建物取引士

福岡市の空き家を持っていて、「市の空き家バンクに登録すれば売れるのではないか」と考えている方に向けた記事です。

結論を先に書きます。

福岡市空き家バンクは、売主が自分で買主と直接やり取りする制度ではありません。

市が物件情報を受け取ったあと、登録されている宅建業者の中から媒介する会社を輪番で選び、売主はその会社と媒介契約を結びます。

掲載が始まるのは、その媒介契約を結んだあとです。

仲介手数料が要らなくなる制度でもなく、会社を自分で選べる制度でもありません。

では、何のための制度なのでしょうか。

この記事では、登録できる家の条件、住宅計画課へ出す書類、通常の仲介との違い、そして「どんな空き家ならバンクのほうが向くか」を順に見ていきます。

目次1. 福岡市の空き家バンクは、どういう仕組みですか
2. 登録できる空き家の条件は何ですか
3. 申込みはどこへ、何を持っていきますか
4. 通常の仲介とどこが違いますか
5. どんな空き家が空き家バンクに向いていますか
6. 登録する前に、売主が決めることは3つ

福岡市の空き家バンクは、どういう仕組みですか

市が受付と宅建業者の選任を担い、実際の売買は選ばれた宅建業者が媒介する仕組みです。

福岡市は令和2年4月1日からこの制度を運用しています。

目的は2つ。

空き家の情報を外に出して管理の行き届かない空き家が増えるのを防ぐことと、地域の活性化です。

売主の側から見ると「買主を探す窓口が市になる」のではなく、「担当する不動産会社が市から割り当てられる」制度だと考えると実際に近くなります。

市が選んだ宅建業者と媒介契約を結んでから掲載される

市が公開しているフロー図は、7つの段階に分かれています。

①登録事業者の募集、②事業者からの登録申請、③媒介事業者の選任、④媒介契約の締結、⑤情報発信、⑥交渉・契約、⑦登録物件状況報告という順番です。

売主が物件を申し込むと、市は③で登録事業者名簿の中から媒介する会社を輪番で選びます。

輪番とは順番に回していく割り当て方のことで、売主が会社を指名する余地はありません。

ここが通常の仲介といちばん大きく違うところです。

媒介を担うのは、福岡県宅地建物取引業協会と全日本不動産協会福岡県本部に所属する宅建業者です。

当社も福岡県宅地建物取引業協会の会員です。

ただし、どの会社が空き家バンクの登録事業者に入っているかは、市が公開している登録事業者名簿でお確かめください。

掲載先は福岡県版の空き家バンク。登録そのものは無料

媒介契約を結ぶと、物件は協会が運営する福岡県版の空き家バンクに載ります。

市のホームページに物件写真が並ぶわけではありません。

登録事業者の要件にも「ふれんず」またはラビーネット内の「福岡県空き家バンク」を運用できることが入っています。

ふれんずは福岡県宅地建物取引業協会が運営する不動産情報サイトで、県内の会員業者が物件を載せています。

情報が出る先は、市の独自サイトではなく不動産業界側のネットワークです。

市への登録そのものに費用はかかりません。

ただし無料なのは市に申し込む手続きの部分だけで、そのあとに結ぶ媒介契約には通常どおり仲介手数料が発生します。

登記や測量、残置物の片付けが必要になれば、その費用も別にかかります。

手取りがいくらになるかは、手取りの試算ページに売却価格を入れて確かめられます。

出典:福岡市 空き家バンク

登録できる空き家の条件は何ですか

対象は、居住の用に供する一戸建ての建築物か、店舗兼用住宅のうち店舗部分の床面積が延床面積の概ね2分の1未満のものです。

そのうえで、居住していないことが常態である家か、今後居住しなくなる予定の家であることが求められます。

特定空家等に該当していないこと、建築基準法の是正指導を受けていないことも条件です。

マンションは、要件の文面に入っていない

要件に書かれているのは一戸建てと店舗兼用住宅だけで、分譲マンションなどの共同住宅は挙がっていません。

区分所有のマンションを空き家バンクに出したいとお考えの場合は、申し込む前に住宅計画課へご確認ください。

通常の仲介でマンションを売る場合の管理費・修繕積立金の扱いは、福岡市のマンション売却のページにまとめています。

なお空き家バンクは空き地の登録も受け付けていて、その要件は「福岡市開発行為の許可等に関する条例」第9条第3項の規定による区域内にあることです。

媒介契約・登記・共有者の同意が共通要件

物件の種類とは別に、3つの共通要件があります。

  • 不動産事業者と媒介契約を結んでいないこと(登録事業者と専任系の媒介契約を結んでから1年を経過している場合を除く)
  • 登記が完了し、権利関係が整理されていること
  • 共有物件では、共有者全員の合意があること

1つめから分かるのは、「いま仲介に出しながら、同時に空き家バンクにも登録しておく」という併用ができないことです。

どちらを先に試すかという順番の判断になります。

専任媒介・専属専任媒介・一般媒介の違いは、媒介契約の種類のページで比べられます。

2つめと3つめは、相続した実家でつまずきやすいところです。

亡くなった方の名義のままなら、先に相続登記が必要になります。

兄弟3人の共有になっている家なら、3人全員の合意がない状態では申し込めません。

この2つは通常の仲介でも結局必要になるので、空き家バンクを選ぶかどうかに関係なく、先に動いて損はありません。

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申込みはどこへ、何を持っていきますか

窓口は福岡市住宅都市みどり局住宅部住宅計画課の住宅計画係で、福岡市役所3階にあります。

電話番号は092-711-4598です。

提出の方法はメール・郵送・持参の3通りで、持参の場合の受付は平日の9時30分から17時までとなっています。

区役所の窓口ではなく市役所の本庁へ出す点にご注意ください。

必要な書類は3点。どこで取れるか

申込みに使うのは「福岡市空き家バンク登録物件申請書兼同意書」(様式第10号)です。

添えるのは、登記事項証明書の写し、固定資産税の公課証明書に相当する書類の写し、現況写真です。

店舗兼用住宅の場合は、床面積が分かる建築平面図なども求められます。

表は横にスクロールして確認できます。

書類取れる場所
登記事項証明書法務局(福岡市は福岡法務局)
固定資産税の公課証明書区役所の課税課
現況写真自分で撮影

福岡市のどの区役所で何が取れるかは、福岡市7区の手続き窓口ガイドに区ごとにまとめています。

遠方に住んでいてもメールか郵送で出せる

福岡市を離れて県外に住んでいる方でも、持参せずに申し込めます。

ただし現況写真は、現地で撮るしかありません。

家の様子を誰が見に行くかという問題は残ります。

当社の空き家管理は月6,600円(税込)からで、月1回の巡回と写真つきの報告をお送りしています。

売却のご依頼をいただかなくてもお使いいただけるサービスです。

詳しくは空き家管理のページをご覧ください。

出典:福岡市 空き家バンク

通常の仲介とどこが違いますか

契約の安全さは変わりません。

どちらも宅建業者が媒介に入り、重要事項説明と売買契約を担います。

違うのは、担当する会社の決まり方と、情報の出し方の広さです。

表は横にスクロールして確認できます。

比べる点福岡市空き家バンク通常の仲介
担当する会社市が登録事業者から輪番で選任売主が選んで媒介契約
情報を出す先福岡県版空き家バンク(ふれんず等)レインズ+不動産ポータル+自社の発信
仲介手数料かかるかかる
申込み前の条件媒介契約を結んでいないこと条件なし

担当する会社を自分で選べるかどうか

通常の仲介では、売主が会社を比べて選びます。

査定額の根拠の説明、空き家を扱った経験、報告の頻度を見て決められるのが利点です。

空き家バンクには、この比較の工程がありません。

会社選びを考えなくて済むとも言えますし、合わない会社に当たっても替えにくいとも言えます。

会社を自分で選ぶ場合の見方は、不動産会社の選び方で整理しています。

買いたい人の目に触れる量が違う

通常の仲介では、レインズに登録して全国の不動産会社に共有し、さらに不動産ポータルサイトにも載せます。

見る人の数で比べたとき、買主への間口が広いのは通常の仲介のほうです。

レインズに登録されているかどうかは、売主に渡される登録証明書で確かめられます。

確かめ方はレインズの登録証明書の見方に書きました。

売り方そのものを比べる選択肢もあります。

当社が直接買主になる買取、売主が作業を分担して仲介手数料を割り引くじぶん売却という方法です。

仲介・買取・じぶん売却・リースバックの4つは、売り方の比較ページで手取りと期間の違いを並べています。

どんな空き家が空き家バンクに向いていますか

市街化調整区域にある家と、条例で指定された区域内の空き地です。

この2つは通常の仲介では買主が見つかりにくく、一方で市の補助金が買主側に用意されているためです。

逆に、相場で普通に買主が付く家を急いで現金化したい場合には向きません。

市街化調整区域の家と、買主側の補助金

市街化調整区域は原則として新しい建物を建てられない区域です。

買主が住宅ローンを組みにくいため、通常のポータルサイトに載せても反響が伸びにくい土地になります。

福岡市は、この市街化調整区域の定住化を進めるため、空き家の改修工事費と家財道具の撤去費を助成しています。

補助率は対象経費の2分の1で、上限は100万円です。

地域貢献型として子ども食堂や福祉施設に使う場合の上限は250万円になります。

対象になるのは、市外から転入する方、市内の市街化区域から転居する方、世帯分離で市内の市街化調整区域から転居する方です。

気をつけたいのは、空き家の着工日が昭和56年6月1日以降であることという要件です。

それより古い家では、買主がこの補助金を使えません。

築50年前後の実家は、ここで対象から外れることがあります。

市街化調整区域の土地をどう売るかは、市街化調整区域の土地は売れない?で実務の手順を書いています。

出典:福岡市 空き家活用補助金

古い家でも、買主の使い方次第で売れる

補助金の対象から外れる古い家が売れないという話ではありません。

当社が仲介した福岡市東区香椎駅東の事例では、築50年を超えて傾斜地・増築・未登記という条件が重なっていました。

建物を解体して造成すると1,000万円を超える費用の見込みだったため、建物を残したまま、居住用以外で使う買主を探しました。

結果として賃貸用不動産として購入される方に渡り、売主様と買主様が合意した条件で所有権移転まで進んでいます。

価格や販売期間は公表していないので、同じ条件や結果をお約束するものではありません。

詳しい経緯は築50年・傾斜地の戸建てを解体せずに売却した事例に書いています。

解体したほうがよいかどうかの判断材料は、福岡市の空き家の解体に補助金は出る?にまとめました。

なお木造戸建ての解体費は1坪5〜8万円が目安で、30坪なら150〜240万円ほどです。

売却価格が2,000万円の家なら、1割弱にあたる金額です。

登録する前に、売主が決めることは3つ

空き家バンクに申し込むかどうかの前に、決めておくことがあります。

順番を間違えると、媒介契約を結んでしまって登録できなくなるためです。

登記と共有者の整理を先に終わらせる

登記が済んでいない、共有者の合意が取れていないという状態では、空き家バンクにも通常の仲介にも進めません。

相続登記は2024年4月から義務化されています。

登記の手続きそのものは司法書士、税額の判断は税理士の仕事です。

当社は、連携している専門家へおつなぎするところまでをお手伝いしています。

どちらを先に試すかを決め、持ち続ける場合とも比べる

併用ができないので、空き家バンクと通常の仲介のどちらを先に出すかを選びます。

市街化調整区域や条例区域内の土地なら、買主側の補助金がある空き家バンクから試す意味があります。

相場で買主が付く家は、見る人の多い通常の仲介から始めたほうが早いでしょう。

判断の材料として、まず価格の目安を知っておくと比べやすくなります。

無料査定のご依頼は、お名前と物件の所在地だけでお受けしています。

すぐに売らないという選択も、比べる対象に入れてください。

固定資産税と管理の手間が毎年かかり続けるので、「いつまで持つのか」を決めないまま置いておくと、判断が後ろにずれていきます。

古家付き土地として売るか更地にするかの比べ方は、福岡市の空き家売却のページでご案内しています。

福岡市の空き家をどう扱うか迷っている段階でしたら、所在地と現在の状況をお聞かせください。

空き家バンクが向く家なのか、通常の仲介のほうが早いのかを、資料を見ながら一緒に整理します。

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この記事の目次1. 福岡市の空き家バンクは、どういう仕組みですか
2. 登録できる空き家の条件は何ですか
3. 申込みはどこへ、何を持っていきますか
4. 通常の仲介とどこが違いますか
5. どんな空き家が空き家バンクに向いていますか
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