福岡市の地価はバブル期を超えた?|売る前に確かめる3つ
執筆・監修:野上俊彦株式会社おもいで不動産 代表取締役/宅地建物取引士
執筆・監修:野上俊彦代表取締役/宅地建物取引士令和8年(2026年)の基準地価で、福岡市の住宅地の平均価格は1㎡あたり230,800円になりました。
バブル期の平成3年(1991年)は183,200円だったので、目安として約1.26倍です。
中央区は約1.56倍、早良区は約1.34倍で、どちらも当時の水準を上回りました。
ただし、平均価格が当時を超えたことと、ご自身の土地が買値を超えたことは別の話になります。
この記事は、バブル期の前後に福岡市で家や土地を買い、いまの価値が気になっている方に向けて書きました。
株式会社おもいで不動産の野上俊彦が、国土交通省の時系列の推移表から数字を拾い、売るときの税金の話までつなげます。
平均が当時を超えたという事実と、ご自身の土地の売値は、別々に確かめる必要があります。
令和8年の発表そのものの読み方は福岡市の基準地価の記事にまとめました。
2. なぜ「バブル期を超えた」と言い切らないのか?
3. 下がり続けた期間は、どれくらい続いた?
4. バブル期に買った土地を売ると、税金はどうなる?
5. 売る前に確かめる3つは何ですか?
福岡市の地価は、バブル期の水準を超えた?
住宅地の平均価格で見ると、令和8年の230,800円は平成3年の183,200円を上回っています。
倍率にすると約1.26倍ですが、これは市全体をならした数字です。
福岡市の住宅地の平均価格を並べる
基準地価は毎年7月1日時点の価格で、昭和50年から続いている調査です。
| 年 | 住宅地の平均価格 | 平成3年との比 |
|---|---|---|
| 平成3年(1991年) | 183,200円 | — |
| 平成12年(2000年) | 145,800円 | 約80% |
| 平成17年(2005年) | 114,000円 | 約62% |
| 平成22年(2010年) | 108,900円 | 約59% |
| 平成25年(2013年) | 104,000円 | 約57% |
| 平成30年(2018年) | 128,100円 | 約70% |
| 令和2年(2020年) | 144,500円 | 約79% |
| 令和5年(2023年) | 184,400円 | 約101% |
| 令和7年(2025年) | 218,100円 | 約119% |
| 令和8年(2026年) | 230,800円 | 約126% |
平成3年の水準に戻ったのは令和5年(2023年)で、32年かかっています。
いちばん低かった平成25年の104,000円は、平成3年の約57%でした。
そこから令和8年までの13年で、平均価格は約2.2倍になりました。
1㎡あたりの金額なので、50坪(約165㎡)の土地に置き換えると分かりやすくなります。
令和8年の平均で計算すると約3,808万円、平成3年の平均なら約3,022万円です。
いちばん低かった平成25年の平均では約1,716万円ですから、同じ広さでも年によって2倍以上の開きがあります。
ただしこれは市全体の平均を当てはめた計算で、実際の価格はその土地の場所と条件で決まる数字です。
中央区と早良区ではどうだったか
区ごとの住宅地の平均価格も、推移表から取り出せます。
| 区 | 平成3年 | 平成22年 | 令和8年 |
|---|---|---|---|
| 中央区 | 325,400円 | 166,500円 | 509,200円 |
| 早良区 | 206,100円 | 132,000円 | 275,900円 |
中央区は平成22年に平成3年の約51%まで下がり、そこから令和8年までに約3.1倍まで戻りました。
平成3年と比べると約1.56倍で、福岡市全体の約1.26倍を上回る戻り方です。
早良区は平成22年が平成3年の約64%で、下がり方が中央区より浅く済んでいます。
令和8年は平成3年の約1.34倍ですから、下がり方が浅かったぶん、戻り方も中央区ほど急ではありません。
全国のピークと福岡県と並べてみる
全国の住宅地の平均価格は、平成3年の165,400円がピークでした。
福岡市の平成3年は183,200円で、全国のピークより高い水準にありました。
一方、福岡県全体の住宅地は平成3年が69,900円、令和8年が78,300円で、約1.12倍です。
県の底は平成25年の44,000円で、そこから令和8年までの戻りは約1.78倍でした。
同じ県の中でも、福岡市の戻り方のほうが大きく出ています。
なぜ「バブル期を超えた」と言い切らないのか?
平均価格は、その年に調査した地点をまとめた数字で、地点は年によって入れ替わります。
そのため、35年離れた年どうしの倍率は、方向をつかむための目安にとどめてください。
調査地点は入れ替わる
基準地は、市街地の広がりや用途の変化に合わせて見直されています。
地点が入れ替われば、同じ市の平均でも中身の違う数字です。
「約1.26倍」は、平成3年の地点群と令和8年の地点群を比べた結果にあたります。
年ごとの変動率は同じ地点を比べて出すので、前年との比較はこちらのほうが正確です。
区の平均も、自分の土地の値段ではない
令和8年の福岡市は、区ごとに住宅地の変動率が3.9〜6.7%の幅で分かれました。
その内訳は7区の基準地価の記事に前年と並べて載せています。
さらに同じ区の中でも、地点によって価格に十数倍の差がつくことを別の記事で確かめました。
区の平均が当時を超えていても、ご自身の土地が同じだけ戻っているとは限りません。
自分の土地で見るなら、地点を1つ決めて追う
確実なのは、自宅の近くにある基準地を1つ決めて、その地点の推移を見ることです。
地点の探し方は基準地価の調べ方の記事に手順を書きました。
年ごとの動きをまとめて見たい方は、福岡市の地価推移の記事のほうが近い内容です。
下がり続けた期間は、どれくらい続いた?
福岡市の住宅地の変動率は、平成12年から平成22年ごろまでマイナスが続き、平成25年に0.7%でプラスへ戻りました。
マイナスの期間は10年を超えています。
変動率で見る下落と回復
| 年 | 住宅地の変動率 |
|---|---|
| 平成3年(1991年) | 12.2% |
| 平成12年(2000年) | -2.6% |
| 平成17年(2005年) | -3.9% |
| 平成22年(2010年) | -2.3% |
| 平成25年(2013年) | 0.7% |
| 平成30年(2018年) | 4.4% |
| 令和2年(2020年) | 3.5% |
| 令和5年(2023年) | 8.2% |
| 令和6年(2024年) | 9.5% |
| 令和7年(2025年) | 7.2% |
| 令和8年(2026年) | 5.5% |
並べた年の中で下落がいちばん大きかったのは、平成17年の-3.9%でした。
プラスに戻った平成25年は0.7%で、年ごとの上がり方はそこから段々と大きくなりました。
いちばん大きかったのは令和6年の9.5%で、令和7年は7.2%、令和8年は5.5%と続いています。
令和8年の5.5%は、プラスではあるものの前年より小さい数字です。
平成17年の-3.9%は、同じ地点の価格が前の年より下がったという意味になります。
平成12年から平成22年のあいだに福岡市で土地を買った方なら、市の平均で見るといまのほうが高い位置にあります。
反対に、平成3年前後に買った土地は、平均が戻ったのが令和5年なので、30年以上は買値を下回る位置にありました。
この数字から先行きは出てこない
当社は、過去の推移から来年の相場を予想しません。
宅地建物取引業法47条の2は、利益が出ることが確実だと誤解させる断定的な判断を伝えてはいけないと定めています。
「下がる前に売るべきだ」も「まだ上がるから待つべきだ」も、公表された数字からは出てこない話です。
推移が売主に教えてくれるのは、いまの価格がどのあたりにあるかという位置だけです。
売る時期を決める材料は、相続の期限・住み替えの日程・空き家の管理など、ご自身の事情のほうにあります。
バブル期に買った土地を売ると、税金はどうなる?
譲渡所得は「売った金額 − 取得費 − 譲渡費用」で計算するので、当時の高い買値をそのまま取得費にできれば、利益が小さくなります。
そのため、バブル期前後に買った土地で税額をいちばん大きく左右するのは、買ったときの契約書です。
契約書が無いと、売却価格の5%で計算される
買ったときの金額が分からない場合、概算取得費として売却価格の5%を取得費とみなす扱いがあります。
3,000万円で売れた土地なら、取得費は150万円です。
譲渡費用を引く前の利益は2,850万円になり、所有5年超の長期譲渡の税率20.315%で計算すると約579万円です。
一方、当時2,500万円で買った契約書が出てくれば、利益は500万円で、同じ税率なら約102万円になります。
その差は約477万円で、3,000万円で売ったときの仲介手数料およそ106万円の4倍を超える金額です。
当社では、契約書が見つからないときに通帳の記録や住宅ローンの契約書など、代わりになる資料を一緒に探しています。
所有期間が長い土地は、税率が低いほうを使える
売った年の1月1日時点で所有5年を超えていれば、税率は長期譲渡所得の20.315%です。
バブル期前後に買った土地は、この条件をとうに満たしている状態です。
住んでいた自宅を売る場合は、居住用財産の3,000万円特別控除を使える可能性があります。
所有が10年を超えたマイホームなら、控除後の6,000万円以下の部分に14.21%の軽減税率を使えます。
この軽減税率は、3,000万円の控除と併用できる形です。
相続した土地は、親の買値を引き継ぐ
相続で受け継いだ土地の取得費は、亡くなった方が買ったときの金額を引き継ぎます。
つまり、親がバブル期に買った契約書が残っていれば、その金額が使えます。
相続した日の価格ではないので、古い書類を処分する前に探してください。
相続税を納めた方は、取得費加算の特例を相続開始から3年10か月以内の売却で使える場合があります。
売る前に確かめる3つは何ですか?
順番は、買ったときの書類を探す・自分の土地の地点を見る・査定で土地と建物を分けて聞く、の3つです。
地価の数字は3つ目の材料で、1つ目と2つ目のほうが金額に直結します。
1つ目と2つ目:書類と地点
探す書類は、売買契約書・領収書・購入時の重要事項説明書・住宅ローンの契約書・通帳の記録です。
仲介手数料や印紙税の領収書も取得費に入るので、まとめて残しておいてください。
地点のほうは、自宅の近くの基準地を1つ決め、平成3年・平成22年・令和8年の3つの年を見比べると位置がつかめます。
手取りの概算を出すなら売却シミュレーターで、入れるのは価格と所有期間だけです。
3つ目:査定では土地と建物を分けて聞く
バブル期前後に建てた家は、建物の評価がほとんど残っていないことがあります。
そのため査定を頼むときは、土地と建物をそれぞれどう見たのかを分けて聞いてください。
土地の根拠として近隣の成約事例を出してもらえば、地価の平均より自分の土地に近い数字が分かります。
当社の無料査定は、売ると決めていない段階でもお使いいただけます。
平均価格が当時を超えたという話は、ご自身の土地の値段を決める材料の1つにすぎません。
いま持っている土地がいくらで売れるかは、その土地を見て計算した金額のほうが近くなります。
バブル期の買値が気になっている方は、当時の契約書を手元に用意してからご相談ください。
