福岡市の基準地価の調べ方|自宅近くの地点は何%上がった?
執筆・監修:野上俊彦株式会社おもいで不動産 代表取締役/宅地建物取引士
執筆・監修:野上俊彦代表取締役/宅地建物取引士ニュースで「福岡市の住宅地は5.5%上がった」と見たあと、気になるのは自分の家の近くのはずです。
令和8年の基準地価では、福岡市早良区の次郎丸3丁目が前年から10.7%上がりました。
同じ早良区の西入部2丁目は、0.7%です。
どちらも福岡市早良区の住宅地で、同じ年の、同じ調査に出てくる数字です。
この記事は、区の平均ではなく自宅にいちばん近い地点を探す手順と、その地点の何を読むかの話です。
地点を1つ押さえておくと、査定額の説明を聞くときに「この数字と比べてどうですか」と聞けるようになります。
2. 自分の家の近くの地点は、どこで探せますか?
3. 見つけた地点には、何が書いてありますか?
4. 近くの地点の単価を、自分の土地の面積に掛けてよいのですか?
5. 調べたあと、売主は何から始めればよいですか?
区の平均は、なぜ自分の家に当てはまらないのですか?
区の平均は、その区の中にある複数の調査地点を1つの数字にまとめたもので、地点ごとの動きはその中で大きく分かれています。
福岡市早良区の住宅地は、区の平均で6.7%上がりました(前年は8.5%)。
ところが区の中を地点で見ると、10.7%と0.7%が同じ年に並んでいます。
同じ早良区で、上がり方が15倍ちがう
令和8年の基準地価で、福岡市内の住宅地でいちばん上がった地点は早良区次郎丸3丁目(福岡早良-21)の10.7%でした。
いちばん小さかった地点も、同じ早良区の西入部2丁目(福岡早良-20)で0.7%です。
幅で見ると15倍ほどの差があり、市内の最大と最小が1つの区の中で起きたことになります。
区の平均6.7%は、この2つの間のどこかにある数字にすぎません。
売主にとって困るのは、この幅が査定の説明に出てこないときです。
「早良区は6.7%上がっています」という説明は、間違いではありません。
ただ、次郎丸の家と西入部の家に同じ説明をしているなら、その会社は地点を見ていないことになります。
7区それぞれの平均は、別の記事にまとめてあります(福岡市7区の基準地価)。
この2つの地点は、駅までの行き方が違う
当社が町名ごとに最寄り駅を整理した表では、次郎丸は地下鉄七隈線・次郎丸駅まで徒歩4分の町です。
西入部も、計算上の最寄り駅は同じ次郎丸駅になります。
ただし徒歩では届かないため、当社の表ではバスで駅に出る町として扱っています。
早良区の南部は旧早良町を中心とした地域で、福岡市内では数少ない農業地域です。
同じ区の同じ「最寄り駅」でも、買い手が歩いて通えるかどうかで、土地を欲しい人の数が変わります。
早良区の中で南北にどれだけ相場がひらくかは、区の相場ページと記事で数字にしてあります(早良区の売却相場/早良区の相場の記事)。
商業地でも、箱崎と天神で差がつく
住宅地だけの話ではありません。
令和8年の商業地では、東区箱崎1丁目(福岡東5-1)が14.6%上がりました。
いちばん小さかったのは中央区天神1丁目(福岡中央5-15)の0.3%です。
天神は福岡市の商業の中心ですが、上がり方という尺度では市内の最小になりました。
価格の高さと、上がり方の大きさは別の話だと分かります。
自分の家の近くの地点は、どこで探せますか?
国土交通省の「不動産情報ライブラリ」で、住所か最寄り駅を選べば、近くの調査地点が地図に出ます。
パソコンでもスマートフォンでも開けて、登録も料金もかかりません。
地図から探す(住所・路線と駅名)
探し方の入口は2つあります。
1つは地域検索で、都道府県・市区町村・地区・丁目をプルダウンから選ぶやり方です。
もう1つは路線・駅名から選ぶやり方で、最寄り駅しか思い出せないときはこちらが早いでしょう。
地図を出したら、表示するデータの一覧から「地価公示」と「都道府県地価調査」を選びます。
縮尺は100mまで寄せられるので、自宅から何本目の通りかという距離感まで確かめられます。
地点の印をたたけば、その地点の価格と詳しい内容が開く仕組みです。
一覧から探す(用途区分・調査年・番号)
地図が使いにくいときは、条件を指定した一覧からも探せます。
指定できるのは用途区分(住宅地・商業地・工業地など)、調査年、標準地番号や基準地番号です。
住宅を売るなら、まず住宅地だけに絞ってください。
同じ町内に商業地の地点があると、そちらの数字を自宅の目安にしてしまいがちです。
この記事に出てくる「福岡早良-21」のような表記が、基準地番号にあたります。
番号を1つ覚えておけば、来年の発表でも同じ地点をすぐ引けます。
検索では、調査年を1年だけに絞らないほうが見やすいでしょう。
複数年を指定すれば、同じ地点の価格が年ごとに並んで出ます。
なお、地価調査の林地は都道府県の単位でしか検索できません。
山林を持っている方は、市区町村で絞ると0件になるので、県の単位で探してください。
1月1日の地価公示も、いっしょに見る
公的な土地の価格には、時点の違う2つの調査があります。
地価公示は毎年1月1日時点で、標準地の正常な価格を国が公示するものです。
基準地価と呼ばれる都道府県地価調査は、毎年7月1日時点の標準価格を都道府県知事が判定します。
2つは互いに補い合う関係にあり、一部を共通の地点にすることで半年ごとの動きが分かる作りです。
そのため、自宅の近くに地価調査の地点が無くても、地価公示の地点なら見つかることがあります。
公表の時期も半年ずれます。
1月1日時点の地価公示は3月に、7月1日時点の地価調査は9月に公表されます。
春に調べた方が秋にもう一度開くと、同じ地点の新しい数字が載っているわけです。
両方を同じ地図に出して、近いほうを使ってください。
一棟ビルや店舗をお持ちの方は、商業地の地点を見ることになります。
区ごとの商業地の数字は福岡市の商業地の地価にまとめました。
物件が春日市や糸島市など福岡市の外にあるなら、周辺6市の基準地価の記事に住宅地と商業地の数字を並べました。
見つけた地点には、何が書いてありますか?
1㎡あたりの価格だけでなく、過去の価格と前年比の変動率、そして自宅と見比べる条件がひととおり載っています。
価格を見て終わりにすると、いちばん使える部分を読まずに閉じることになります。
価格と、対前年の変動率の並び
個別の地点の画面には、その地点の過去の価格と対前年の変動率が、一覧と棒グラフで出ます。
今年だけでなく、去年・その前がどう動いたかを並べて見られる作りです。
見るときのコツは、1年の数字ではなく線の向きを追うことでしょう。
上がり方が年々小さくなっているのか、ある年から横ばいなのかで、売り出し価格の決め方の話が変わります。
福岡市全体の16年ぶんの推移は、別の記事にまとめました(福岡市の地価推移)。
自宅と見比べる4つの欄
地点の説明には、自宅と見比べられる欄があります。
見るのは次の4つです。
| 欄 | 何が書いてあるか | 自宅と比べると |
|---|---|---|
| 交通施設、距離 | 最寄りの鉄道駅名と道路距離(50m未満は「近接」「接面」) | 自宅のほうが駅から遠いか近いか |
| 前面道路の状況 | 方位・幅員・道路の種類 | 自宅の前の道が狭い、私道である |
| 用途区分・建ぺい率・容積率 | 用途地域と、建てられる建物の大きさ | 建てられる規模が違う |
| 利用の現況 | いまの使い方。建物が無ければ「空地」 | 自宅は古家付き、空き家である |
この4つが自宅とそろっているほど、その地点の価格は自宅の目安に近づきます。
逆に、駅までの距離が倍ちがう地点の単価は、同じ町内でも参考になりません。
とくに効くのが前面道路の幅員です。
地点の前面道路が幅6mで、自宅の前が幅4mなら、買主が建てられる家の形が変わります。
前面道路が私道のときに出てくる宿題は、通行と掘削の承諾です。
近くの地点の単価を、自分の土地の面積に掛けてよいのですか?
掛けた金額は、売れる金額とは別のものになります。
公示価格や基準地価は、土地だけの価格で、しかも条件をそろえた前提で出した水準です。
「更地としての、売り急ぎのない価格」である
地価公示の価格は、売り手にも買い手にも売り急ぎや買い進みといった特殊な事情がない取引で成立すると認められる価格です。
国土交通省は、この価格が地価の最高や最低を示すものではなく、水準を示すものだと説明しています。
もう1つ押さえておきたいのは、建物の扱いです。
地点に建物があっても、価格は建物や権利が無いもの(更地)として判定されます。
つまり、築40年の家が建っている土地の地点でも、価格に家の値段は入っていません。
売却の手取りを考えるなら、ここから解体や残置物の費用を別に見てください。
木造30坪の解体費なら150〜240万円ほど。
土地が3,000万円で売れる見込みでも、その1割弱が建物を壊すために出ていきます。
たとえば、近くの地点の価格が1㎡あたり20万円で、自宅の土地が150㎡だとします。
掛け算をすれば3,000万円ですが、この数字には「更地で、形も道も標準的なら」という前提が付いています。
自宅が間口の狭い旗竿地なら、同じ150㎡でもこの金額では買い手が見つかりません。
反対に、2方向の道に接する角地が高く評価されることもあるでしょう。
近隣のすべての土地を、画一的に示すものではない
調査地点は、その地域で利用状況・環境・地積・形状が標準的な土地から選ばれています。
国土交通省の説明でも、公示価格等は近隣地域内のすべての土地の価格を画一的に示すものではないとされています。
個別の土地を評価するときは、地積・形状・接面道路の違いを標準地と比べて調整する、という手順です。
福岡市で差が出やすいのは、高低差と擁壁、間口の狭さ、前面道路が私道かどうかの3つでしょう。
単価をそのまま掛けた金額を信じて売り出すと、問い合わせが入らないまま数か月が過ぎます。
調べたあと、売主は何から始めればよいですか?
近くの地点の番号と変動率を書き出し、同じ区の成約データと並べるところから始めてください。
公的な価格は土地の水準、成約データは実際に売れた金額で、役割が違います。
地点の動きと、区の成約データを並べる
当社の区ページには、その区で実際に成約した価格の中央値を、マンション・戸建て・土地に分けて載せています。
基準地価で近くの地点が上がっていても、成約の中央値が横ばいなら、売り出し価格は後者に合わせるのが現実的です。
この2つがそろえば、査定額が高いか安いかを自分の言葉で聞けます。
区ごとの入口は福岡市の売却相場にまとめてあります。
発表そのものの読み方は、2026年の基準地価の読み方をご覧ください。
査定では、土地と建物を分けて根拠を聞く
当社が査定書をお出しするときは、土地と建物を分け、それぞれの根拠を書いて説明しています。
近くの地点の番号を手元に置いて、「この地点とくらべて、うちの土地はどう評価しましたか」と聞いてみてください。
答えに、駅からの距離・道路の幅・形状のどれが効いたかが出てくれば、その査定は根拠を持っています。
相談のときに手元にあると話が早いのは、次の3つです。
- 近くの地点の番号と、今年の変動率
- 土地の面積が分かるもの(権利証・固定資産税の課税明細など)
- 前面道路の幅と、私道かどうか
3つめが分からなくても、当社が法務局と区役所で調べます。
手取りの計算まで試したい方は手取りの試算を、金額を出してほしい方は無料査定をお使いください。
福岡市7区のどこでも、土地だけ・空き家だけのご相談をお受けしています。
