福岡市早良区の不動産売却相場|南北で3倍ひらく土地の値
執筆・監修:野上俊彦株式会社おもいで不動産 代表取締役/宅地建物取引士
執筆・監修:野上俊彦代表取締役/宅地建物取引士福岡市早良区で不動産を売るとき、いちばん危ないのは「早良区の相場」をひとつの数字で覚えてしまうことです。
早良区の面積は96平方キロメートルあり、7区のなかで最も広い区。
北の端は地下鉄空港線が通る西新・藤崎で、南の端は脊振山系の山あいです。
土地の㎡単価を駅ごとに出すと、西新が510,000円、野芥が175,000円でした。
同じ区のなかで2.9倍ひらいています。
この記事は、早良区に不動産をお持ちの方が、区の中央値ではなく自分の物件に近い数字を選べるように書きました。
使うのは、国土交通省が公開している取引価格情報を当社が集計した数値です。
対象の期間は2024年第2四半期から2026年第1四半期までとなります。
出典:福岡市 早良区の概要
2. 早良区は、なぜ南北で相場が違うのですか?
3. 早良区の南部にある物件は、どう売ればよいですか?
4. 早良区の価格は、この10年でどれだけ上がりましたか?
5. 早良区の不動産を売る前に、何から始めればよいですか?
福岡市早良区の売却相場は、いくらぐらいですか?
直近2年の中央値は、マンションの3LDK系で3,550万円、戸建てで3,900万円、土地で3,850万円です。
内訳はマンション271件・戸建て232件・土地188件で、合計691件。
マンションと戸建てがほぼ同じ数だけ動いている区になります。
土地の値段の傾きを国土交通省の基準地価で見ると、早良区の住宅地は令和8年に6.7%上がり、7区でいちばん大きな上がり方でした。
ただし区内の地点では10.7%から0.7%まで開きがあり、その内訳は福岡市7区の基準地価の記事で見られます。
マンションは50〜69㎡がいちばん安い
専有面積で切ると、早良区のマンションは順番どおりには並びません。
| 専有面積 | 中央値 | ㎡単価 | 件数 |
|---|---|---|---|
| 30㎡未満 | 730万円 | 425,000円/㎡ | 35件 |
| 30〜49㎡ | 2,300万円 | 766,667円/㎡ | 19件 |
| 50〜69㎡ | 2,200万円 | 369,231円/㎡ | 85件 |
| 70㎡以上 | 4,800万円 | 605,883円/㎡ | 132件 |
㎡単価がいちばん高いのは30〜49㎡の766,667円で、70㎡以上の605,883円を上回っています。
いっぽうで50〜69㎡は369,231円と、4つの帯のなかで最も低い数字。
広さの順に高くなる、という読み方が通用しません。
この並びが生まれるのは、帯ごとに建っている場所と年代が違うためです。
30〜49㎡の19件は西新・藤崎の駅近くに偏り、50〜69㎡の85件は区の内陸側に広がっています。
駅ごとにマンションの中央値を出すと、その偏りが数字で見えます。
| 駅 | マンションの中央値 | ㎡単価 | 面積 | 件数 |
|---|---|---|---|---|
| 西新 | 4,100万円 | 600,000円/㎡ | 70㎡ | 216件 |
| 藤崎 | 3,200万円 | 500,000円/㎡ | 65㎡ | 116件 |
| 室見 | 2,750万円 | 446,607円/㎡ | 65㎡ | 154件 |
3駅の件数を足すと486件で、区全体のマンション271件より多い数字です。
1つの町には最大3つの駅が付くため、同じ取引が複数の駅に数えられているからです。
この記事の駅ごとの件数は、どの表も足し合わせないでください。
マンションのデータが出るのは、空港線の3駅だけでした。
七隈線の次郎丸・賀茂・野芥では、集計に足りる件数のマンション取引がありません。
早良区でマンションを売る方の相手は、ほぼこの3駅の事例になるということ。
西新と室見では、面積が5㎡しか違わないのに中央値が1,350万円ひらいています。
戸建ては3,900万円・140㎡、土地は3,850万円・220㎡
戸建ての中央値は3,900万円、面積の中央値は140㎡、㎡単価は291,609円です。
土地は3,850万円で220㎡、㎡単価180,000円でした。
戸建てと土地の総額がほぼ並んでいるのは、7区のなかでも早良区の特徴。
土地の中央値が戸建てに近いということは、建物に値が付きにくい取引が一定数あるという意味になります。
この「区の中央値では自分の土地を測れない」という形は、隣の西区でも出ていました。
西区の土地の㎡単価は姪浜285,000円・九大学研都市77,000円で、3.7倍のひらき。
見比べてみたい方は福岡市西区の不動産売却相場もご覧ください。
間取り別・面積別のすべての数値は福岡市早良区の不動産売却相場のページに載せています。
早良区は、なぜ南北で相場が違うのですか?
北側に地下鉄空港線の3駅が集まり、南側には鉄道がないためです。
早良区にある駅は、空港線が室見・西新・藤崎、七隈線が次郎丸・賀茂・野芥の6つ。
そこから南は、国道263号の沿道と内野地区で部分的に市街化が進み、山あいには集落が点在しています。
土地の㎡単価は、西新と野芥で2.9倍ひらく
駅ごとに土地の中央値を出すと、区内の段差がはっきり出ます。
| 駅 | 土地の中央値 | ㎡単価 | 面積 | 件数 |
|---|---|---|---|---|
| 西新 | 1億500万円 | 510,000円/㎡ | 210㎡ | 38件 |
| 藤崎 | 7,200万円 | 310,000円/㎡ | 220㎡ | 48件 |
| 室見 | 6,700万円 | 310,000円/㎡ | 220㎡ | 57件 |
| 野芥 | 3,800万円 | 175,000円/㎡ | 213㎡ | 32件 |
| 賀茂 | 3,500万円 | 180,000円/㎡ | 190㎡ | 41件 |
| 次郎丸 | 3,450万円 | 180,000円/㎡ | 193㎡ | 62件 |
面積の中央値は、どの駅も190〜220㎡でほとんど変わりません。
それでも総額は、西新の1億500万円と次郎丸の3,450万円で3倍ひらきました。
広さの差ではなく、立地の差がそのまま金額になっています。
戸建ては室見と次郎丸で1,800万円ちがう
戸建ての中央値も、南北で大きく分かれます。
- 室見 5,600万円(125㎡・51件)
- 藤崎 5,000万円(115㎡・49件)
- 野芥 4,200万円(135㎡・39件)
- 賀茂 4,050万円(135㎡・40件)
- 次郎丸 3,800万円(140㎡・72件)
室見と次郎丸の差は1,800万円。
ところが面積は、次郎丸のほうが15㎡広くなっています。
南側は「広い家が、北側より安い値段で動く」市場だということ。
買主から見れば、同じ予算で広さを取れる場所です。
戸建ての売り方は福岡市の戸建て売却にまとめています。
区全体の中央値を、自分の家に当てはめない
早良区の戸建ての中央値3,900万円は、北から南までを1列に並べた真ん中です。
室見の5,600万円と次郎丸の3,800万円のあいだを取った数字にすぎません。
お持ちの家が室見の近くなら、3,900万円を基準にすると安く見積もることになります。
逆に南部なら、3,900万円は届かない数字かもしれません。
最寄り駅の数字を先に見てから、区の中央値を参考にしてください。
取引件数が少ない区での考え方は福岡市城南区の不動産売却相場でも書いています。
早良区の南部にある物件は、どう売ればよいですか?
南部では、価格を決める前に「その土地に家が建てられるか」を確かめるところから始まります。
早良区の南部は旧早良町を中心とした地域で、福岡市内では貴重な農業地域でもあります。
市街地とは都市計画上の扱いが違う土地が混ざるため、北側と同じ手順では進みません。
まず確かめるのは、家が建てられる土地かどうか
市街化調整区域では、原則として新しく建物を建てられません。
いま家が建っている土地でも、建て替えの可否は条件で変わります。
確認の入口になるのは、福岡市の都市計画の区域区分です。
区域区分・用途地域・接道の3つが分かれば、買主の幅がおおよそ見えます。
測量・境界・接道の調べ方は福岡市の土地売却にまとめています。
買主は、住宅ローンが使えるかどうかで決める
南部の土地で買い手が絞られるのは、値段のせいだけではありません。
建て替えができない土地だと、買主が住宅ローンを組めない場合があります。
そうなると、現金で買える方だけが相手になります。
現金の買主は、その代わりに価格をはっきり交渉してくる相手。
売り出す前に、何を確認すればローンが使えるのかを整理しておいてください。
資料が揃っているかどうかで、同じ土地でも反響の数が変わります。
用意しておきたいのは、公図・地積測量図・建物の登記事項証明書の3点です。
建物が古くて検査済証が出てこないときは、福岡市で取れる台帳記載事項証明書で記録を押さえておけます。
古い集落の敷地では、前面の道が私道になっている場合もあります。
その道を通る権利と、水道管を引くために掘る権利が書面で残っているか。
この2つが無いまま契約へ進むと、決済の直前で買主の銀行から止められます。
承諾書をもらう相手は、私道を持っている方の全員です。
相続で持ち主が増えていると、その調整だけで数か月かかります。
買い手の幅が狭い土地ほど、期限を先に決める
買主の数が限られる土地では、待てば売れるとはかぎりません。
当社は、価格と一緒に「いつまでに売るか」を先に決めてから売り出しています。
他社で売れずにいた戸建てを再度ヒアリングし、相場感と売却期限を引き直したところ、素早く契約まで進んだ案件もありました。
期限が決まっていれば、いつ価格を見直すかも自動的に決まります。
期限を決めずに売り出すと、値下げの判断が毎回ゼロからの相談になります。
早良区の価格は、この10年でどれだけ上がりましたか?
2016年から2025年までの㎡単価の中央値で比べると、戸建てが95.6%、土地が63.6%、マンションが56.0%上がっています。
伸び幅がいちばん大きいのは戸建てでした。
10年で2倍近くというのは、当社が集計した7区のなかでも大きい動き方です。
戸建ては164,511円/㎡から321,739円/㎡へ
早良区の戸建ての㎡単価の中央値は、2016年が164,511円、2025年が321,739円です。
140㎡の家なら、単純計算で2,303万円から4,504万円に変わったことになります。
マンションは333,333円/㎡から520,000円/㎡。
土地は110,000円/㎡から180,000円/㎡でした。
建物の古さが進んでも、土地の値上がりが総額を押し上げてきた10年といえます。
土地だけ、2023年から横ばいになっている
土地の㎡単価は2023年と2024年が190,000円で、2025年は180,000円に下がりました。
これは値崩れではなく、その年に売れた土地の場所が変わったためです。
中央値が指すのは、その年に売れたものの真ん中。
南部の土地が数件多く動くだけで、区全体の数値は下がります。
同じ土地を10年追いかけた値動きではない、という点はご注意ください。
早良区の不動産を売る前に、何から始めればよいですか?
最初にやるのは、最寄り駅と徒歩の分数を確かめることです。
早良区では、そこが決まらないと見るべき表が決まりません。
駅から遠い物件なら、区域区分と接道の確認が先に来ます。
最寄り駅で、どの表を見るかが変わる
空港線の3駅が最寄りなら、比べる相手は西新・藤崎・室見の数字です。
七隈線の3駅なら、次郎丸・賀茂・野芥のほう。
どちらの駅も遠い南部なら、駅別の表ではなく区全体の土地の数字から入ってください。
そのうえで、建て替えができる土地かどうかで金額の幅が決まります。
手取りは、売値から何を引いた額か
売値がそのまま手元に残るわけではありません。
引かれるのは仲介手数料、印紙税、抵当権抹消の1〜2万円台、必要なら確定測量の40〜60万円です。
譲渡益が出れば、所有5年以下で39.63%、5年超で20.315%の税がかかります。
3,900万円の戸建てで手元にいくら残るかは手取りの試算で計算できます。
中央値は目安。個別の金額は査定で出す
ここまでの数値は、あくまで早良区の真ん中です。
階数・方角・接道状況・高低差で、実際の価格は動きます。
お持ちの物件の目安は無料査定でお出しします。
まだ売ると決めていない段階でも、当社は15分無料相談でお受けしています。
