検査済証が無い家は売れる?福岡市で取れる台帳記載事項証明書
執筆・監修:野上俊彦株式会社おもいで不動産 代表取締役/宅地建物取引士
執筆・監修:野上俊彦代表取締役/宅地建物取引士福岡市で築年数の古い家を売ろうとして、書類を集めている途中で「検査済証が見つからない」と気づいた方に向けた記事です。
結論を先に書きます。
検査済証が無くても、家は売れます。
止まりやすいのは売却そのものではなく、買主の住宅ローンの審査と、買主が引渡し後に増築や大きな工事を考えていたときの手続きの2つです。
福岡市でその代わりになるのは、市役所4階の建築指導課で申請する「建築確認等台帳記載事項証明書」で、手数料は1件300円です。
この記事では、何が困るのか、福岡市のどの窓口で何が取れるのか、台帳にも記録が残っていなかったときに何を頼むのかを順に書きます。
2. なぜ古い家には検査済証が無いのですか
3. 福岡市では、どこで何が取れますか
4. 台帳にも記録が無かったら、次は何をしますか
5. 検査済証が無い家は、どう売り出しますか
6. 次にやること
検査済証が見つからないと、売却の何が止まりますか
売買契約と引渡しは、検査済証が無くても進められます。
詰まるのは買主側の2つの場面で、住宅ローンの審査と、買主が建物に手を入れる計画を持っていたときの建築確認です。
買主が住宅ローンを使うとき
金融機関によっては、融資の申込みのときに確認済証と検査済証の写しを求めます。
当社によく届くご相談のひとつが「建築確認済証や検査済証が見つかりません」という一言です。
そこで台帳記載事項証明書を出せると、確認と完了検査の記録が市に残っていることを示せます。
融資が通るかどうかは買主の収入や物件の担保評価でも決まるので、書類がそろえば承認されると言い切れるものではありません。
ただ、書類が1枚も無い状態と、市が出した証明が1枚ある状態では、審査の入口が違います。
買主が増築や大規模な工事を考えているとき
既存の建物を増築したり、屋根や壁を大規模に修繕したりするとき、建築確認の申請が要ります。
その申請では、いまの建物が建築基準法に適合していることを図面と記録で説明しなければなりません。
検査済証が無いと、その説明の出発点が無い状態から始めることになります。
2025年4月の法改正で、大規模な修繕・模様替えの確認申請の対象が広がりました。
リフォーム前提で買う人が増えている今、ここは以前より効いてくる部分です。
どの工事が対象になるかは、2025年4月から大規模リフォームに建築確認は必要?にまとめてあります。
検査済証が無いことと、違反建築は別の話
検査済証が無い建物が、そのまま違反建築になるわけではありません。
完了検査を受けていないだけで、建てたときの図面どおりに建っている家も多くあります。
一方で、あとから建ぺい率や容積率を超える増築をしている家では、台帳の記録と現況が合いません。
当社が先に見るのは、確認申請のときの床面積と、登記されている床面積の差です。
ここが大きく違う家では、増築の履歴を疑って現地で測ります。
建てた当時は合法で、その後の法改正で基準に合わなくなった「既存不適格」も、違反建築とは扱いが別です。
なぜ古い家には検査済証が無いのですか
建てた当時、完了検査を受けないまま済ませる現場が多かったためです。
売主の管理が悪かったという話ではなく、国全体の運用がそうなっていました。
完了検査率は1998年度に約38%だった
国土交通省の資料では、工事完了後の検査を受けた割合は1998年度(平成10年度)に約38%でした。
近年は約9割まで上がっています。
つまり、1990年代までに建った家は、3軒に2軒が検査済証を持っていない計算になります。
中間検査の制度が整い、建築行政の体制が強化されたことで、この割合が上がってきました。
築30年を超えた福岡市内の戸建てで検査済証が出てこないのは、例外ではなく多数側です。
紛失ではなく、最初から交付されていないこともある
検査済証は、完了検査を受けて合格したときに交付される書類です。
検査を受けていなければ、最初から存在しません。
家中を探しても出てこないとき、無くしたのではなく交付されていない可能性を先に疑ってください。
確認済証だけが残っていて検査済証が無い、という組み合わせもよく見ます。
その家は、着工前の確認は受けたものの、完成後の検査を申請しなかったという履歴です。
どちらなのかを確かめる方法が、次に書く台帳の照会です。
家の中を探し続けるより、市の記録を1回見にいくほうが早く片づきます。
福岡市では、どこで何が取れますか
福岡市中央区天神1-8-1、市役所本庁舎4階の住宅都市みどり局 建築指導課が窓口です。
6番窓口に「窓口セルフ検索システム」が置かれていて、来庁した人が自分で台帳を検索し、その場で証明書の交付を申請する形になっています。
窓口の受付時間は9時00分から12時00分と、13時00分から16時30分まで(土日祝を除く)。
検索システムの受付は午前が11時45分で締まるので、昼前に行くときは余裕を見てください。
行く前の確認は、建築指導課の電話(092-711-4573)でも受け付けています。
建築確認等台帳記載事項証明書(1件300円)
福岡市が保存している建築確認台帳の記載内容を、市が証明する書類です。
確認済証や検査済証の交付年月日と番号が載ります。
画面での閲覧だけなら無料で、証明書の発行は1件300円。
手数料は福岡市の収入証紙か、キャッシュレス決済(クレジット・電子マネー・QRコード)で納めます。
発行までは2〜3営業日かかり、当日の受け取りはできません。
引渡し日の直前に動くと間に合わないので、媒介契約を結んだ週に取ってしまうのが安全です。
申請には建物の現住所と地名地番が必須で、物件を特定するために登記事項証明書・公図・付近見取図・閉鎖登記簿謄本などを持参します。
この証明書は検査済証の再発行ではなく、いまの建物が適法だと証明するものでもありません。
建築計画概要書の原本証明書(平成11年度以降)
建築物の概要と、建築確認・完了検査の記録が書かれた書類です。
同じ建築指導課の同じ窓口で、閲覧は無料、原本証明書は1件300円で取れます。
ただし福岡市の建築計画概要書の保存は、平成11年度(1999年度)以降の分だけです。
それより前に建った家の概要書は残っていません。
昭和に建った家では、台帳そのものが現存しないこともあります。
その場合、市は証明書を発行できません。
県外に住んでいて、福岡市役所まで行けないとき
遠方の方は、建築指導課の計画係に電話かメールで問い合わせたうえで、閲覧申請書をメールかFAXで送れます。
対象の物件の記録があるかどうかは、職員が電話で回答してくれる仕組みです。
証明書そのものも、返信用レターパックを用意して手数料を納めれば郵送してもらえます。
相続した実家が福岡市にあり、ご自身は県外にお住まいというご相談も少なくありません。
区役所・法務局・税務署のどこで何を取るかは、福岡市7区の手続き窓口ガイドと法務局・区役所・税務署の分担に整理してあります。
台帳にも記録が無かったら、次は何をしますか
建築士に、いまの建物が建築基準法にどこまで合っているかを調べてもらう方法があります。
国土交通省が手順を示しており、その報告書は確認申請や是正の相談の資料として使えるものです。
国土交通省のガイドラインに沿った現況調査
以前は「検査済証のない建築物に係る指定確認検査機関を活用した建築基準法適合状況調査のためのガイドライン」という名前でした。
これが令和7年4月1日に「既存建築物の現況調査ガイドライン」へ統合され、最新は令和8年9月の第5版です。
調査するのは建築士で、図面の有無・現地の実測・構造の確認といった手順が示されています。
調査の結果は、建築基準法第12条第5項の報告の基礎資料にもなるものです。
増築や用途変更に使うつもりなら、特定行政庁や指定確認検査機関に先に相談してから調査を始めるよう、国の資料も求めています。
売主がそこまでやる必要があるかは、分けて考える
現況調査は、増改築をする人が自分の計画のために行うものです。
売主が引渡し前に必ず用意しなければならない書類ではありません。
費用と期間がかかるため、買主が決まる前に売主の負担で進めると、使われないまま終わることもあります。
当社はまず台帳と概要書を照会して、記録がどこまで残っているかを整理します。
調査まで進めるかどうかは、買主の計画が見えてから判断するやり方です。
検査済証が無い家は、どう売り出しますか
無いという事実を先に出して、買える人に向けて売り出します。
隠して進めると、契約後に発覚して解除や値引きの話になります。
物件状況報告書と重要事項説明で先に出す
検査済証の有無は、売主が買主へ伝える情報です。
台帳記載事項証明書で分かったこと、分からなかったことを、そのまま書きます。
「確認済証の記録はあるが、完了検査の記録は無い」という状態も、そう書けば正確に伝わります。
書き方の基準は物件状況報告書はどこまで書く?にまとめました。
融資が使いにくいぶん、買主の層を広げる
当社が福岡市東区香椎で扱った築50年超の戸建ては、傾斜地で崖条例に該当し、増築を複数回しており、未登記という状態でした。
融資が厳しい条件だったため、居住用の買主に限らず、買い手の候補を広げて売り出す形に切り替えました。
最終的には、賃貸用の不動産として購入される買主と契約できています。
検査済証が無い家も同じで、住宅ローン前提の買主だけを探すと反響が止まります。
現金で買う人、賃貸や事業で使う人まで広げれば、価格を下げる前に打てる手が残るはずです。
実際の案件は売却事例に載せています。
福岡市で先に用意しておく3点
- 建築確認等台帳記載事項証明書(建築指導課・1件300円・2〜3営業日)
- 建築計画概要書の原本証明書(平成11年度以降の建物・1件300円)
- 登記事項証明書と公図(台帳を検索するときの物件特定に使う)
この3点がそろうと、買主の金融機関に説明できる材料が手元にできます。
登記事項証明書と公図の取得先は、福岡法務局です。
台帳を検索するには地名地番が要るので、建築指導課へ行く前に用意しておくと一度の来庁で済みます。
昔の地名地番で登録されている家では、閉鎖登記簿謄本まで必要になることもあるでしょう。
売却で使う書類の全体像は売却に必要な書類の一覧でご確認ください。
築年数の古い戸建てをどう説明して売るかは、福岡市で古い家を売ると福岡市の戸建て売却にも書いています。
次にやること
検査済証が家の中から出てこなかったら、探す時間を切り上げて、福岡市の台帳を照会してください。
閲覧は無料で、記録があるかどうかはその場で分かります。
証明書が必要だと分かってから2〜3営業日なので、売り出す前に動けば引渡しには十分間に合います。
どの書類が自分の家に必要なのか判断がつかないときは、15分無料相談で物件の築年数と場所を教えてください。
