福岡市の不動産売却の書類|法務局・区役所・税務署の分担
執筆・監修:野上俊彦株式会社おもいで不動産 代表取締役/宅地建物取引士
執筆・監修:野上俊彦代表取締役/宅地建物取引士福岡市で不動産を売るとき、必要な書類は1か所ではそろいません。
登記の証明書は法務局、印鑑登録証明書と固定資産評価証明書は区役所、確定申告は税務署という分かれ方をしています。
道路や下水道の資料にいたっては、区役所ではなく市の担当局が持っています。
この記事は、ご自身で書類を集めようとしている売主に向けて、どの窓口へ何を取りに行くのかを整理したものです。
手数料と、平日の昼間に区役所へ行けない方が使える福岡市の手段もあわせて載せました。
当社の代表・野上は、福岡市内の物件を預かると、市役所・区役所・法務局・上水道センターの4か所を回ります。
一式そろえる日は、それだけで半日仕事。
2. 法務局では何を、いくらで取れますか?
3. 区役所では何を、いくらで取れますか?
4. 平日の昼間に区役所へ行けないときは?
5. 売却の前後で、いつ何を取りますか?
6. まず何から始めればよいですか?
福岡市の不動産売却で、どの窓口が何を担当しますか?
窓口は大きく4つに分かれます。
登記は法務局、住民票や固定資産の証明は区役所、確定申告は税務署、道路や下水道の資料は福岡市の担当局です。
| 窓口 | ここで取るもの | 場所 |
|---|---|---|
| 福岡法務局(本局) | 登記事項証明書・公図・地積測量図、相続登記・抵当権抹消の申請 | 福岡市中央区舞鶴 |
| 区役所 | 印鑑登録証明書・住民票・戸籍・固定資産評価証明書 | お住まいの区/物件のある区 |
| 税務署 | 譲渡所得の確定申告 | 売主がお住まいの区の管轄 |
| 福岡市の担当局 | 道路台帳・下水道の配管図・埋蔵文化財の照会・建築計画概要書 | 市役所(天神)ほか |
この4つのうち、売主ご本人に動いていただくのは上の3つです。
4つ目の調査資料は、当社が査定の段階ですべて取得します。
物件の所在地で決まるものと、売主の住所で決まるもの
同じ「売却の書類」でも、どこへ行くかを決める基準は2通りです。
登記と固定資産評価証明書は、物件がある場所で決まります。
印鑑登録証明書・住民票・確定申告は、売主ご自身が住民登録している場所で決まります。
この違いが効いてくるのは、福岡市外にお住まいで福岡市の実家を売る場合です。
評価証明書は福岡市の区役所、印鑑登録証明書は今お住まいの市区町村と、請求先が2つに割れます。
いちばん間違いが多いのは確定申告の税務署でしょう。
物件の所在地の税務署へ行ってしまう方がいますが、管轄は売主の住所地です。
福岡市外にお住まいの方の売却は遠方からの売却に手順をまとめています。
当社が取る書類と、ご本人しか取れない書類
物件の調査資料は、原則として当社が取得します。
登記事項証明書・公図・地積測量図・道路台帳・下水道の配管図は、お客様にご負担いただく費用もありません。
一方で、印鑑登録証明書・戸籍・遺産分割協議書は、代理では取れないものが含まれます。
ここだけは、ご本人か、委任を受けた司法書士に動いていただくことになります。
区ごとの窓口の住所・電話番号・手数料は福岡市7区の手続き窓口ガイドにまとめました。
売る不動産の区とお住まいの区を選ぶと、ご自身に関係する窓口だけが表示されます。
法務局では何を、いくらで取れますか?
法務局で取るのは、登記事項証明書・公図・地積測量図の3点です。
登記事項証明書は窓口で1通600円、オンラインで請求すると490円まで下がります。
手数料は、請求のしかたで100円以上変わる
同じ書類でも、頼み方で値段が違います。
窓口や郵送で紙の申請書を出すと1通600円。
オンラインで請求して法務局の窓口で受け取ると490円、自宅へ送ってもらうと520円です。
この金額は令和7年4月1日に改定されたもので、それ以前の資料には480円・500円と書かれています。
もっと安く中身を見る方法が、もう1つ。
登記情報提供サービスという、法務局の登記情報をインターネットで見られる仕組みです。
全部事項の情報が330円、公図などの図面情報が360円で、パソコンの画面で見られます。
ただしこちらには証明文も公印も付きません。
金融機関へ出す、登記を申請する、裁判所へ出すといった使い方はできないので、下調べ用と考えてください。
地番が分からないと、そもそも請求できない
法務局の請求書に書くのは住所ではなく地番です。
「博多区吉塚1丁目◯番◯号」は住居表示、法務局が使うのは「吉塚1丁目◯◯番◯」という別の番号になります。
手元で確かめる方法は2つ。
- 権利証(登記識別情報通知)に記載された地番を見る
- 毎年春に届く固定資産税の納税通知書に付いている課税明細を見る
どちらも見当たらないときは、法務局の窓口に置いてあるブルーマップで調べられます。
電話で住所を伝えて教えてもらうのでもかまいません。
なお、福岡市内の不動産の登記を扱うのは福岡法務局の本局(中央区舞鶴)です。
申請はここですが、証明書を取るだけなら全国どこの法務局でも受け取れます。
東京にお住まいのまま福岡市の実家の登記事項証明書を取る、という取り方も可能です。
区役所では何を、いくらで取れますか?
区役所で取るのは、印鑑登録証明書・住民票・戸籍・固定資産評価証明書の4種類です。
いずれも1通あたり300円前後で、売買契約と決済の場面で使います。
印鑑登録証明書と住民票は、取るのが早すぎると無駄になる
福岡市の窓口では、住民票の写しも印鑑登録証明書も1通300円です。
マイナンバーカードでコンビニのコピー機から取ると、1通あたり50円安くなります。
印鑑登録証明書を窓口で取るときは、印鑑登録証(カード)かマイナンバーカードを忘れないでください。
気をつけていただきたいのは、有効期限のほうです。
登記の申請では、発行から3か月以内の印鑑登録証明書を求められます。
売り出しを始めた日に取っておくと、買主が決まって決済する頃には期限切れです。
取るのは、契約日か決済日が見えてからで間に合います。
固定資産評価証明書は、コンビニでは取れない
固定資産評価証明書は、相続登記の登録免許税の計算と、決済日の固定資産税の精算に使う書類です。
福岡市の手数料は1件300円になります。
ここで多い誤解が、コンビニで取れると思って出かけてしまうことです。
福岡市の税証明のコンビニ交付は1通250円と安いのですが、取れるのは所得証明書と納税証明書だけ。
固定資産評価証明書は対象に入っていません。
もう1つ、年度の切り替わりにも引っかかります。
評価額は毎年見直されるため、新年度の評価証明書は4月1日、公課証明書は4月7日から発行が始まります(令和8年度の場合)。
3月に取った証明書で4月以降に登記を申請すると、取り直しを求められることがあります。
相続した家なら、戸籍は1つの区役所でまとめて取れる
相続した不動産の売却で、いちばん手間がかかるのが戸籍集めです。
亡くなった方の出生から死亡までの戸籍をそろえる必要があり、本籍を移していると複数の市区町村に請求することになります。
2024年3月から始まった広域交付という制度で、この手間が減りました。
本籍地が県外でも、福岡市の区役所の窓口でまとめて請求できます。
ただし、使える場面には条件があります。
- 請求できるのは本人・配偶者・父母や祖父母・子や孫だけ(兄弟姉妹の戸籍は対象外)
- 窓口へ本人が行く必要があり、郵送と代理人による請求はできない
- コンピュータ化されていない古い戸籍は、従来どおり本籍地へ請求する
手数料は戸籍全部事項証明書が1通450円、除籍と改製原戸籍が1通750円です。
兄弟姉妹が相続人になるご家族では、この制度が使えません。
当社が提携する司法書士が取り寄せを代行しますので、途中で止まったらお声がけください。
名義の変更そのものの手順は相続登記が義務化。3年の期限と罰則を解説にまとめています。
平日の昼間に区役所へ行けないときは?
福岡市には、平日の窓口以外に4つの手段があります。
証明サービスコーナー・コンビニ交付・郵送請求・オンライン申請の4つで、取れる書類も受付時間も同じではありません。
証明サービスコーナーは土日も夜8時まで
天神・博多駅・千早の3か所に、証明サービスコーナーがあります。
受付は午前9時から午後8時まで。
土曜・日曜・祝日も開いており、休みは12月31日から1月3日と臨時休業日だけです。
仕事帰りや週末に寄れるので、平日に休みを取りにくい方の受け皿になります。
ただし、ここでいつでも何でも取れるわけではありません。
土日祝に取れるのは、住民票の写し・住民票記載事項証明書・印鑑登録証明書の3つに限られます。
戸籍や固定資産評価証明書が必要なら、平日の区役所かコンビニ交付、郵送を使ってください。
コンビニ交付は朝6時半から夜11時まで、50円安い
マイナンバーカードと4桁の暗証番号があれば、全国のコンビニのコピー機で証明書を取れます。
利用できるのは午前6時30分から午後11時まで。
手数料は窓口より1通50円安く、住民票の写しなら250円です。
福岡市に本籍がある方は、戸籍の証明書もここで取れます。
同じコピー機があるのは、コンビニだけではありません。
7区の区役所と千早証明サービスコーナーにも置いてあります。
使えないのは、マイナンバーカードをお持ちでない方と、暗証番号を忘れた方です。
郵送は区役所ではなくセンターへ。オンライン申請なら2営業日ほど
福岡市の郵送請求は、各区役所ではなく「福岡市住民票等郵送請求センター」の1か所に集約されています。
封筒の宛先を区役所にしないよう、請求書を書く前に送り先を確かめてください。
2025年10月から、郵送で請求する証明書の手数料をオンラインで決済できるようになりました。
これまでは郵便局で定額小為替を買う必要があり、その手数料だけで数百円かかっていました。
もう1つの選択肢が、福岡市のオンライン申請です。
マイナンバーカードの署名用電子証明書(6桁から16桁の暗証番号)で本人確認をして、2営業日ほどで住民登録の住所に届きます。
手数料は窓口より50円安く設定されています。
引っ越しのあとにカードの情報を更新していない場合や、電子証明書の有効期限(5年)が切れている場合は使えません。
なお、市内34か所の郵便局で証明書を受け取れるサービスは、令和9年5月に終了する予定です。
これから売却を始める方は、郵便局を当てにしない段取りを組んでください。
出典:福岡市 郵送請求センター
売却の前後で、いつ何を取りますか?
書類には、先に取るものと直前に取るものがあります。
順番を間違えると、期限切れで取り直しになったり、名義の問題が引き渡しの直前で出てきたりします。
査定から決済までの順番
実務では、次の順で動くと戻りが出ません。
- 査定の前:権利証・固定資産税の納税通知書を探す(当社が登記事項証明書と公図を取ります)
- 売り出しの前:名義を確かめ、亡くなった方の名義なら相続登記へ進む
- 売り出しの前:土地なら境界の資料を確かめる
- 契約が決まってから:印鑑登録証明書・住民票・固定資産評価証明書を取る
- 売った翌年:確定申告
名義と境界だけは、買主が現れる前に片づけておいてください。
どちらも解決に1か月から3か月かかるため、買主を待たせる期間がそのまま契約の不安定さになります。
境界の確定にかかる費用と期間は確定測量の費用は40〜60万円で詳しく書きました。
売却全体に必要な書類の一覧は売却に必要な書類にあります。
期限があるのは4つだけ
細かい期限を全部覚える必要はありません。
売主が押さえるのは次の4つです。
| 書類・手続き | 期限 |
|---|---|
| 印鑑登録証明書 | 発行から3か月以内 |
| 固定資産評価証明書 | 年度ごと(新年度は4月1日から) |
| 相続登記 | 相続で取得したことを知った日から3年以内 |
| 譲渡所得の確定申告 | 売った翌年の2月16日から3月15日 |
確定申告で気をつけたいのは、税金がかからない場合の扱いです。
マイホームを売って3,000万円の特別控除を使うと、納税額がゼロになることがあります。
この場合も申告は必要で、出さなければ控除そのものが受けられません。
申告先は、物件の所在地ではなく売主がお住まいの区を管轄する税務署になります。
取り直しになりやすい3つ
当社が福岡市内の売却で実際によく見るのは、次の3つです。
1つ目が、印鑑登録証明書を売り出しと同時に取ってしまい、決済の日に3か月を過ぎているもの。
2つ目が、3月に取った固定資産評価証明書を4月以降の登記に使おうとして、新年度のものを求められるもの。
3つ目が、登記に載っている住所が昔のままで、決済の直前に住所変更登記が必要だと分かるものです。
3つ目は、売り出す前に登記事項証明書を見れば分かります。
手順と費用は登記の住所が昔のままでも売れる?にまとめました。
まず何から始めればよいですか?
ご自身で動く前に、手元の書類を2つだけ探してください。
権利証(登記識別情報通知)と、固定資産税の納税通知書です。
この2つがあれば地番が分かり、当社の側で登記事項証明書・公図・道路や下水道の資料まで一式そろえられます。
見つからなくても売却は進められますので、そこで止まらないでください。
区ごとの窓口の場所・電話番号・手数料は手続き窓口ガイドで確かめられます。
何がいくらかかるかの試算は費用シミュレーション、価格の見当をつけたい方は無料査定からどうぞ。
窓口を回る順番の相談だけでも、15分無料相談でお受けしています。
