福岡市で古い家を売る|築年数・耐震・地盤の説明のしかた
執筆・監修:野上俊彦株式会社おもいで不動産 代表取締役/宅地建物取引士
執筆・監修:野上俊彦代表取締役/宅地建物取引士福岡市で築年数の古い家やマンションを売る方に、先にお伝えしたいことがあります。
買い手が気にしているのは、築年数そのものではありません。
その築年数だと何が起きるのか、という中身のほうです。
全宅連の2026年の調査では、天災を受けて「築年数や構造について考えるようになった」と答えた人が32.7%いました。
「地盤などの状況を意識するようになった」も30.7%で、前年から1.4ポイント上がっています。
福岡市は2005年に震度6弱を経験した街なので、この関心は他人事になりません。
この記事では、売主が出せる資料と、出せないものの扱いを分けて説明します。
2. 築年数の古さは、買主の何に影響しますか?
3. 福岡市で、耐震はどのくらい実感のある話ですか?
4. 地盤について、売主は何を出せますか?
5. 耐震改修をしてから売ったほうがよいですか?
6. 売り出す前に、何を準備すればよいですか?
家を探す人は、天災を受けて何を気にするようになりましたか?
上位は、築年数や構造について考えるようになった32.7%です。
続いて、避難場所やハザードマップを意識するようになった31.8%、地盤などの状況を意識するようになった30.7%が並びました。
いずれも3割前後で、どれか1つが突出しているわけではありません。
「特にない」も24.1%いる
同じ問いで「特にない」と答えた人は24.1%でした。
4人に1人は、天災を理由に住まいの見方を変えていないことになります。
つまり買い手は、この話を重く見る人とそうでない人に分かれます。
売主の側でできるのは、重く見る人に向けて答えを用意しておくことだけです。
「所有はリスク」と考える人も増えている
賃貸派の理由では、「天災時に家を所有していることがリスク」を挙げた人が28.7%へ上がりました。
住宅の取得を諦めた、または延期した人の最大の理由として災害リスクを挙げた人も14.1%います。
この調査は全国の20〜65歳の男女5,000人に聞いたもので、家を買う人だけを抜き出した数字ではありません。
地域別の区分も九州までで、福岡市だけの値は載っていません。
築年数の古さは、買主の何に影響しますか?
影響するのは、建物の安全性の評価と、買主が使える税の制度の2つです。
とくに後者は、金額がはっきり変わるところなので、売主も線の引き方を知っておくと話が早く進みます。
旧耐震と新耐震の境目は、建築確認の日付
1981年(昭和56年)6月1日から、新しい耐震基準が適用されています。
古い分譲マンションで建替えの話が出ているときは、マンションに建替えの話が出たら|売却前に確認する費用と決議も参考になります。
線が引かれるのは、完成した日ではなく建築確認を受けた日です。
1981年5月31日以前に確認を受けた建物が、いわゆる旧耐震にあたります。
注意したいのは、確認を受けてから完成まで1年以上かかった建物があることです。
確認の日付は、購入時の確認済証か、福岡市の建築確認等台帳の記載事項証明書で確かめられます。
分譲マンションでも、線を引くのは建築確認の日付です。
販売パンフレットに書かれた竣工年とは、1年ほどずれることがあります。
確認済証や検査済証は管理組合か管理会社が保管しているので、売り出す前に所在を聞いておいてください。
買主の住宅ローン控除は、昭和57年1月1日で線が引かれる
中古住宅の住宅ローン控除は、2022年(令和4年)以降の入居分から要件が変わりました。
いまの判定は、築後年数ではなく新耐震基準に適合しているかどうかです。
登記簿上の建築日付が昭和57年1月1日以後の家屋は、新耐震基準に適合しているものとして扱われます。
それより古い家屋でも、耐震基準適合証明書などで適合が証明できれば対象になります。
この証明は、取得の日前2年以内に証明のための家屋の調査が終わっていることが条件です。
耐震基準適合証明書は、売主が書いて出す書類ではない
この証明書を発行できるのは、建築士などの資格を持つ人です。
売主が申請書を書いて窓口へ出せば届く、という種類のものではありません。
調査の結果、基準を満たしていなければ発行されない点にも注意が要ります。
先に補強工事が必要になることもあり、そこで費用と日数が発生するわけです。
当社は、取得の前に耐震改修をする買主向けの制度もあるため、買主側の事情を確かめたうえで進め方を決めています。
福岡市で、耐震はどのくらい実感のある話ですか?
福岡市の買い手にとって、地震は過去に実際に起きた出来事です。
2005年(平成17年)3月20日の福岡県西方沖地震は、マグニチュード7.0でした。
市内の震度と、そのあとに作られた計画
福岡市の計画書によると、市内の最大震度は東区と中央区が6弱、早良区と西区が5強、博多区・南区・城南区が5弱でした。
市はこの経験を踏まえ、平成20年3月に耐震改修促進計画を作っています。
警固断層に着目した耐震対策も、この計画に位置づけられました。
警固断層帯は、この地震の震源域にあたる北西部と、博多湾から筑紫野市に至る南東部に分けて評価されています。
地震調査研究推進本部が公表している南東部の評価は、地震の規模がマグニチュード7.2程度、30年以内の発生確率が0.3%〜6%。
これは2026年9月に同本部のページで確かめた値で、評価が改まれば変わります。
買主から聞かれたときに、この種の数字を出典つきで答えられると、話が憶測に流れません。
耐震診断や改修への支援制度は年度ごとに内容が変わるため、金額や要件は市の公式ページでご確認ください。
出典:福岡市 耐震改修促進計画
建替えを考える買主は、高さ20mの決まりまで見る
福岡市は建築基準法施行条例を改正し、平成20年10月1日から警固断層に着目した耐震対策を始めました。
定められた区域で高さ20mを超える建物を新築・改築するとき、設計に使う地域係数に1.25を乗じるよう努める、という内容です。
適用は新築と改築だけで、既存の建物の増築や大規模の修繕には及びません。
いまの建物を現況のまま売るぶんには関係しないものの、建替えを前提にする買主の計画には関わります。
一棟のビルやマンションを売る場合の論点は旧耐震ビル・一棟マンションの売却に分けて書きました。
地盤について、売主は何を出せますか?
出せるのは、建築時の地盤調査の記録がある場合の、その記録だけです。
これが無いときに、売主が推測で補うことはできません。
地盤調査の記録は、購入時の書類の束に紛れている
2000年前後から、住宅の新築では地盤調査を行うことが一般的になりました。
調査を行っていれば、報告書か、地盤改良の工事の記録が残っています。
建築時の図面や保証書と同じ封筒に入っていることが多いので、まとめて探してみてください。
報告書には、調査した地点と、どの深さでどれくらいの固さだったかが記録されています。
地盤改良を行っていれば、工法と施工した年も残っているはずです。
見つかれば、そのまま買主へ渡す資料になります。
買主の側で調べ直すと費用と日数がかかるため、ここが揃っている物件は話が早く進みます。
記録が無いときは「無い」と書く
ここが、いちばん間違えやすいところです。
資料が無いことと、地盤が悪いことは別の話になります。
それでも「この辺りは地盤が良いと聞いています」と書くのは避けてください。
根拠のない説明は、あとから買主との争いの種です。
当社は、資料が無い場合は「建築時の地盤調査の記録は確認できていません」と書いたうえで売り出しています。
盛土・擁壁・高低差は、見たままを伝える
地盤の資料が無くても、現況で伝えられることはあります。
崖の近くの土地では、県の土砂災害警戒区域や、これから指定されるかもしれない調査箇所も、先に確かめておくと安心です(土砂災害警戒区域の家は売れる?指定前の調査箇所と売る前の確認)。
敷地に高低差があるか、擁壁があるか、その擁壁にひび割れや水抜き穴の詰まりが無いか。
この種の情報は写真で残せますし、買主も現地で確かめられます。
福岡市には傾斜地に建つ住宅が多く、崖条例の対象になる敷地もあります。
当社が東区香椎で扱った戸建ては約8mの傾斜地にあり、この条例に該当していました。
更地にする案も検討しましたが、取り壊しと造成を合わせると1,000万円を超えると分かっています。
そこで建物を残したまま売り出し、賃貸用として購入される方に引き継ぎました。
耐震改修をしてから売ったほうがよいですか?
当社は、改修してから売ることを一律にはおすすめしていません。
かけた費用がそのまま売却価格に乗るとは限らないためです。
費用をかける前に確かめる3つ
1つ目は、その建物が土地として買われる可能性の高さ。
取り壊す前提の買主にとって、建物の補強は価値になりません。
2つ目は、買主が住宅ローン控除を使う見込みがあるかどうかです。
3つ目は、改修の見積りと、想定される価格差の比較です。
当社は査定のときに、現況のまま売る場合と手を入れる場合の両方をお出しして、数字で比べていただいています。
実際、手を入れずに売り出したほうが結果が良かった案件もあります。
当社が佐賀県で扱った全焼した家は、取り扱い不可と言われた状態からのご相談でした。
そのときも補修はせず、一般の市場へ現況のまま出して1か月以内に買主が決まっています。
建物に手を入れるかどうかは、物件ごとに買い手の顔を想像して決める話です。
古家付き土地として出すという選択
建物を残したまま「古家付き土地」として売り出す方法もあります。
買主が建替えるなら、建物の状態は価格の中心になりません。
旧耐震の家と税の特例の関係は旧耐震の家を売る方法と3,000万円控除の使い方にまとめてあります。
売り出す前に、何を準備すればよいですか?
手順は3つで、書類を探す、無いものを確かめる、現況を写真に残すの順です。
どれも、査定を頼む前から始められます。
探す書類と、無かったときの動き
探すのは、確認済証・検査済証・設計図書・地盤調査の報告書の4つ。
確認済証が見つからない場合は、福岡市で建築確認等台帳の記載事項証明書を1件300円で取れることがあります。
地盤の記録は代わりの証明が無いので、無ければ無いと伝える形になります。
写真以外に何を出すかは不動産売却で写真以外に載せる情報で一覧にしました。
水害やハザードマップの扱いは浸水想定区域の家は売れる?ハザードマップの説明義務をご覧ください。
不具合があるときは、順番を間違えない
雨漏りやシロアリの跡など、建物の不具合が分かっている場合もあります。
隠して売ると、引渡しのあとで契約不適合責任を問われます。
伝える順番と書き方は家の不具合は先に伝える?契約不適合責任と伝え方の順番にまとめました。
まず、いまの価格を知るところから
築年数が古いほど、資料の有無で価格の幅が大きくなります。
戸建てなら福岡市の戸建て売却、マンションなら福岡市のマンション売却で、当社が見ている点を公開しています。
手元に何も残っていない方は、15分無料相談でご事情だけ伺う形でも構いません。
価格の目安と、足りない資料の一覧は無料査定でお出しします。
