福岡市の地価推移【基準地価16年】買った年で売却益はどう変わる?
執筆・監修:野上俊彦株式会社おもいで不動産 代表取締役/宅地建物取引士
執筆・監修:野上俊彦代表取締役/宅地建物取引士福岡市の住宅地の基準地価は、平成25年(2013年)を底に、令和8年(2026年)まで14年続けて上がりました。
平成22年(2010年)と比べると、およそ1.8〜2.1倍の水準です。
倍率に幅があるのは、計算のしかたによって答えが変わるためで、この記事ではその理由も説明します。
この記事は、親から相続した土地や、長く住んだ家の売却を考えていて、「買ったころと比べていまはどうなのか」を知りたい方に向けて書きました。
結論から言うと、同じ福岡市でも、いつ買ったか(相続したなら親がいつ買ったか)で、売るときの利益の見え方は大きく変わります。
株式会社おもいで不動産の野上俊彦が、国土交通省の推移表から福岡の数字を取り出して整理しました。
令和8年の結果そのものは令和8年の基準地価の記事へ、区ごとの数字は福岡市7区の基準地価の記事へ。
2. 平成22年と比べて、いま何倍になった?
3. 福岡市の7区で、推移はどれくらい違う?
4. 地価の推移は、売却の判断にどう関わる?
5. 推移を確かめたあと、何をすればいい?
福岡市の基準地価は、平成22年からどう動いた?
福岡市の住宅地は平成24年まで下がり、平成25年に0.7%のプラスへ転じてから毎年上がり続けています。
上がり方は令和6年の9.5%が山で、その後の2年は縮みました。
全国の平均がプラスに戻ったのは令和4年なので、福岡市は全国より9年早く上がり始めたことになります。
毎年の変動率を並べる
住宅地の平均変動率(前の年からどれだけ動いたか)を、福岡市・福岡県・全国で並べました。
| 年 | 福岡市 | 福岡県 | 全国 |
|---|---|---|---|
| 平成22年 | -2.3% | -2.9% | -3.4% |
| 平成24年 | -0.3% | -2.0% | -2.5% |
| 平成25年 | 0.7% | -1.4% | -1.8% |
| 平成28年 | 2.9% | 0.0% | -0.8% |
| 平成30年 | 4.4% | 1.1% | -0.3% |
| 令和2年 | 3.5% | 0.8% | -0.7% |
| 令和4年 | 6.5% | 2.5% | 0.1% |
| 令和5年 | 8.2% | 3.3% | 0.7% |
| 令和6年 | 9.5% | 3.8% | 0.9% |
| 令和7年 | 7.2% | 2.7% | 1.0% |
| 令和8年 | 5.5% | 2.1% | 1.0% |
福岡県全体がプラスに転じたのは平成29年(0.5%)で、福岡市より4年遅れています。
全国は令和4年まで、ほぼ毎年マイナスでした。
底は平成25年、そこから14年続けて上昇
福岡市の住宅地の平均価格は、平成25年の1㎡あたり104,000円が16年間でいちばん低い値でした。
そこから令和8年の230,800円まで、変動率は14年続けてプラスです。
途中で上がり方が鈍った年が一度あり、令和2年は3.5%と、前年の5.3%から縮みました。
翌年からは再び上がり方が大きくなり、令和5年・令和6年は8%を超えています。
令和6年の9.5%が山、その後2年は縮む
上がり方がいちばん大きかったのは令和6年の9.5%です。
令和7年は7.2%、令和8年は5.5%と、2年続けて上がり方が小さくなりました。
国土交通省は令和8年の資料で、地価や建築費の上昇によって住宅の購入に慎重な動きが見られることを理由に挙げています。
ただし、2年続けて縮んだことが、この先も縮み続けることを意味するわけではありません。
推移表は過去の記録であって、当社も先の動きの予想は書きません。
平成22年と比べて、いま何倍になった?
福岡市の住宅地は、平均価格で比べると2.12倍、毎年の変動率を掛け合わせると1.85倍で、実際の土地の上がり方に近いのは後者です。
どちらの数字も国土交通省の同じ表から出していますが、意味が違います。
平均価格なら2.12倍、変動率の積み上げなら1.85倍
平均価格は、平成22年が1㎡あたり108,900円、令和8年が230,800円です。
割り算をすると2.12倍になります。
一方で、平成23年から令和8年までの毎年の変動率を順に掛け合わせると、1.85倍です。
変動率は、前の年と同じ地点どうしを比べて出した数字です。
そのため、ある1つの土地を持ち続けた人の感覚に近いのは、1.85倍のほうだと考えられます。
同じ計算を福岡県全体ですると、平均価格では1.67倍、変動率の積み上げでは1.13倍でした。
全国は平均価格で1.26倍ですが、変動率を積み上げると0.91倍で、平成22年の水準にまだ戻っていません。
平成3年のバブル期まで遡った比較は、福岡市の地価はバブル期を超えた?のほうにまとめました。
なぜ2つの数字がずれるのか
ずれる理由は、平均価格を出すもとの地点が毎年少しずつ入れ替わるためです。
値段の高い地点が加われば、どの土地も値上がりしていなくても平均は上がります。
分かりやすい例が西区です。
西区の住宅地は、平成25年の変動率が0.7%のプラスなのに、平均価格は前年の84,200円から69,700円へ2割近く下がっています。
地点の構成が変わったためで、西区の土地が一斉に値下がりしたわけではありません。
ニュースや他社の記事で「何年前の何倍」という数字を見たときは、平均価格の比較なのか、変動率を積み上げたものなのかを確かめてください。
福岡市の7区で、推移はどれくらい違う?
平成22年からの変動率を積み上げると、中央区は2.48倍、東区は1.57倍で、同じ福岡市の中でも1.6倍近い差がつきました。
どの区も平成25年前後に底を打ち、その後は上がり続けています。
区ごとの上がり方を並べる
平成23年から令和8年までの住宅地の変動率を区ごとに掛け合わせると、次のようになります。
| 区 | 積み上げた倍率 | 令和8年の平均価格(1㎡) |
|---|---|---|
| 中央区 | 2.48倍 | 509,200円 |
| 博多区 | 2.20倍 | 257,100円 |
| 早良区 | 2.01倍 | 275,900円 |
| 南区 | 1.91倍 | 222,800円 |
| 城南区 | 1.79倍 | 232,200円 |
| 西区 | 1.64倍 | 126,400円 |
| 東区 | 1.57倍 | 137,700円 |
中央区と博多区は、令和4〜6年に10%前後から13%台の上がり方が続き、それが倍率を押し上げました。
博多区は令和6年に13.4%と、この16年で区の最大の上がり方を記録しています。
区の積み上げ倍率も、区の中の地点をならした数字です。
同じ区でも駅からの距離や道路の条件で上がり方は違うので、自分の土地がこの倍率どおりに上がったとは考えないでください。
北九州市や地方の大きな市と比べる
同じ福岡県でも、北九州市の住宅地は変動率の積み上げで0.98倍と、平成22年とほぼ同じ水準です。
北九州市がプラスに転じたのは平成30年で、福岡市より5年遅れました。
札幌・仙台・広島・福岡の「地方四市」の平均は1.60倍で、福岡市の1.85倍はこれを上回ります。
福岡市の外に土地をお持ちの方は、福岡市の数字をそのまま当てはめないようにしてください。
地価の推移は、売却の判断にどう関わる?
地価の推移がいちばん直接に関わるのは、売ったときの利益(譲渡所得)にかかる税金です。
いつ買ったか、相続ならいつ親が買ったかによって、利益の大きさが変わります。
推移は、先の値動きを読むためではなく、自分の土地の「買った時点からの距離」を測るために使ってください。
買った時期で、売ったときの利益の見え方が変わる
土地や家を売ったときの税金は、売った金額から、買ったときの金額(取得費)と売るための費用を引いた利益にかかります。
福岡市なら、平成25年ごろに買った土地は、地価が底のときに買ったことになります。
いま売れば、地価の面では利益が出やすい時期に買っていたということです。
反対に、地価が高かった平成の初めに買った土地は、いまの地価と比べても利益が出にくい場合があります。
譲渡所得の計算のしかたと税率は、短期と長期の譲渡所得の記事にまとめました。
相続した土地は、親が買った時期で考える
相続した土地を売るときの取得費は、亡くなった方がその土地を買ったときの代金などをもとに計算します。
持っていた期間も同じで、数え始めは親が買った時点です。
つまり利益の大きさを左右するのは、相続した年の地価ではなく、親が買った年の地価からの距離です。
買ったときの金額が分からない場合は、売った金額の5%を取得費とする方法があります。
ただ、5%では利益が大きく見積もられやすいので、当時の売買契約書が残っていないか、先に探すほうが手取りを守れます。
詳しくは取得費が不明な実家の売却の記事にまとめました。
推移から、先の値段は読めない
14年続けて上がったという記録は、来年も上がることの保証にはなりません。
全国の住宅地は、平成4年から令和3年まで30年続けて下がりました。
平成の初めに上がり続けていたころ、その先の30年を言い当てた人はほとんどいなかったはずです。
売る時期は、地価の傾きを当てにするより、住み替えの段取りや相続の期限、ご家族の事情から決めるほうが、あとで悔やまずに済みます。
相続した不動産の税金の期限は不動産売却の期限カレンダーで確かめられます。
推移を確かめたあと、何をすればいい?
自宅の近くの地点の推移を確かめ、買ったときの書類を探し、手取りの試算と査定で「いま売るといくら残るか」を数字にするのが次の一歩です。
地価の倍率だけでは、売ったあとに手元に残るお金は分かりません。
近くの地点の推移と、買ったときの書類をそろえる
国土交通省の「不動産情報ライブラリ」では、基準地や地価公示の地点ごとに、過去の価格を見られます。
自宅に近い地点で、買った年といまの価格を比べると、区の平均より実感に近い数字が出ます。
あわせて、買ったときの売買契約書や領収書を探してください。
取得費が分かるかどうかで、税金の額が大きく変わるためです。
手取りを試算し、査定で確かめる
当社の手取りの試算では、売却価格と買ったときの金額から、税金と費用を引いた手取りの目安を出せます。
実際にいくらで売れそうかは、福岡市の売却相場のページで区ごとの取引価格を見たうえで、査定で確かめてください。
当社では、近くの基準地の推移と取引事例を並べ、根拠をお見せしながら査定額をお出しします。
売るかどうか決める前の段階でもかまいませんので、無料査定からご相談ください。
