【2026年基準地価】春日・大野城・糸島|周辺6市は何%上昇?
執筆・監修:野上俊彦株式会社おもいで不動産 代表取締役/宅地建物取引士
執筆・監修:野上俊彦代表取締役/宅地建物取引士令和8年の基準地価(都道府県地価調査)で、福岡市の周辺6市は住宅地がすべて上がりました。
糸島市4.3%、春日市4.2%、大野城市4.0%、古賀市3.4%、太宰府市3.3%、筑紫野市1.0%という結果です。
ただし、6市とも前年より上がり方が小さくなっています。
この記事は、福岡市の外に家や土地を持ち、売るかどうかを考えている方に向けて書きました。
対象にしたのは春日市・大野城市・筑紫野市・糸島市・太宰府市・古賀市の6市と、福岡県内の北九州市・久留米市・飯塚市・大牟田市です。
自分の市の数字を前年と比べたい方は、最初の表だけでも使えます。
株式会社おもいで不動産の野上俊彦が、国土交通省の資料から周辺市の数字を拾い、売主として読むときの線引きまで順に書きます。
福岡市内に物件をお持ちの方は、福岡市の基準地価の記事のほうが近い内容です。
2. なぜ周辺市の上がり方は小さくなった?
3. 福岡県内の他の市はどうだった?
4. 市の変動率を、自分の土地の売却にどう使えばいい?
5. 福岡市以外の物件は、どこに相談すればいい?
福岡市の周辺6市の基準地価、令和8年はどう動いた?
住宅地は6市すべてで1.0〜4.3%上がり、6市すべてで前年より上がり方が小さくなりました。
商業地も6市すべてでプラスでしたが、春日市だけは前年とまったく同じ7.4%でした。
住宅地の変動率を前年と並べる
変動率は、同じ地点の価格が前の年からどれだけ動いたかを、市の中で平均した数字です。
| 市 | 令和7年 | 令和8年 | 差 |
|---|---|---|---|
| 糸島市 | 5.7% | 4.3% | 1.4ポイント縮小 |
| 春日市 | 4.6% | 4.2% | 0.4ポイント縮小 |
| 大野城市 | 6.2% | 4.0% | 2.2ポイント縮小 |
| 古賀市 | 4.2% | 3.4% | 0.8ポイント縮小 |
| 太宰府市 | 4.6% | 3.3% | 1.3ポイント縮小 |
| 筑紫野市 | 2.7% | 1.0% | 1.7ポイント縮小 |
令和8年にいちばん上がったのは糸島市の4.3%で、いちばん小さかったのは筑紫野市の1.0%です。
前年の順位は大野城市が6.2%で先頭でしたが、令和8年は4.0%で3番目に下がりました。
縮み方がいちばん大きかったのも大野城市で、2.2ポイントです。
いちばん小さかったのは春日市の0.4ポイントで、6市の中では前年の勢いをほぼ保っています。
筑紫野市は前年2.7%から1.0%になり、1%台を割るところまで近づきました。
商業地の変動率を前年と並べる
商業地は駅前や幹線道路沿いの土地で、住宅地より数字の振れ幅が大きく出ます。
| 市 | 令和7年 | 令和8年 | 差 |
|---|---|---|---|
| 大野城市 | 11.8% | 8.8% | 3.0ポイント縮小 |
| 春日市 | 7.4% | 7.4% | 変わらず |
| 太宰府市 | 8.8% | 7.1% | 1.7ポイント縮小 |
| 糸島市 | 10.3% | 6.9% | 3.4ポイント縮小 |
| 筑紫野市 | 9.1% | 5.2% | 3.9ポイント縮小 |
| 古賀市 | 9.4% | 2.1% | 7.3ポイント縮小 |
令和7年は4市が9%を超えていたのに対し、令和8年に9%を超えた市はありません。
いちばん大きく動いたのは古賀市で、9.4%から2.1%へ7.3ポイント縮みました。
春日市だけは7.4%のまま変わらず、6市の中で唯一、前年と同じ数字で並んでいます。
住宅地と商業地を並べると、どの市も商業地のほうが高い数字になりました。
地方四市の平均と並べて見る
国土交通省は、札幌市・仙台市・広島市・福岡市の4市を「地方四市」としてまとめて公表しています。
令和8年の地方四市の平均は、住宅地が2.9%、商業地が6.0%でした。
この4市の平均は14年連続の上昇ですが、上昇幅そのものは前年より縮んでいます。
全国では、全用途平均・住宅地・商業地のどれも5年連続の上昇になりました。
周辺6市の住宅地1.0〜4.3%という幅は、地方四市の平均2.9%をまたぐ位置にあります。
糸島市・春日市・大野城市・古賀市・太宰府市の5市は2.9%を上回り、筑紫野市だけが下回りました。
なぜ周辺市の上がり方は小さくなった?
国土交通省は、福岡市周辺の市について「福岡市中心部へ出やすい鉄道沿線で住宅需要は堅調だが、割安感が薄れて上昇幅が縮小した」と説明しています。
読み替えると、買う人が「福岡市の外なら安い」と感じにくくなったということです。
公表資料に書かれているのは「堅調」と「割安感」の2つ
1つ目は需要の側で、福岡市中心部へ通える鉄道沿線では住宅の需要が続いていると書かれています。
春日市・大野城市・太宰府市・筑紫野市にはJR鹿児島本線や西鉄天神大牟田線が通り、古賀市もJR鹿児島本線沿いの市です。
2つ目は価格の側で、その沿線の割安感が薄れたために上昇幅が縮んだと書かれています。
福岡市そのものについても、地価と建築費の上昇で住宅取得に慎重な動きが見られ、多くの地域で需要が落ち着いたと説明されています。
買う人の予算が先に伸び止まり、その影響が福岡市の外にも及んだ形です。
「上がり幅が小さくなった」と「下がった」は別の話
6市の住宅地はどれもプラスで、マイナスになった市はありません。
前年より小さい数字が並んでいるのは、上がる速さが落ちたという意味です。
当社は、この数字から来年の相場を予想しません。
宅地建物取引業法47条の2は、利益が出ることが確実だと誤解させる断定的な判断を伝えてはいけないと定めています。
「下がる前に売ったほうがよい」も「まだ上がるので待つべきだ」も、公表された変動率からは出てこない話です。
売主が使えるのは、自分の土地の現在の価格と、売る理由と期限のほうです。
古賀市の商業地のように、理由が書かれていない動きもある
古賀市の商業地は9.4%から2.1%へ、6市でいちばん大きく縮みました。
この動きについて、国土交通省の公表資料に市ごとの理由は書かれていません。
そのため、当社も理由を推測しません。
古賀市に土地をお持ちで気になる場合、確実なのは市の平均ではなく自分の土地の近くの地点を見ることです。
住宅地のほうは4.2%から3.4%で、商業地ほど大きな動きにはなっていません。
福岡県内の他の市はどうだった?
北九州市・久留米市・飯塚市・大牟田市は住宅地が0.1〜1.3%で、周辺6市より小さい数字でした。
この4市も住宅地・商業地ともプラスで、前年より上がり方が縮んでいます。
県内4市の住宅地と商業地
| 市 | 住宅地 令和7年 | 住宅地 令和8年 | 商業地 令和7年 | 商業地 令和8年 |
|---|---|---|---|---|
| 北九州市 | 1.4% | 1.3% | 3.6% | 3.2% |
| 久留米市 | 1.7% | 1.0% | 3.0% | 2.4% |
| 飯塚市 | 1.2% | 0.9% | 2.2% | 1.7% |
| 大牟田市 | 0.1% | 0.1% | 0.4% | 0.3% |
北九州市の住宅地は1.3%で、前年から0.1ポイントしか動いていません。
久留米市は1.7%から1.0%へ0.7ポイント縮み、4市の中では縮み方が大きいほうです。
大牟田市の住宅地は2年続けて0.1%で、ほぼ横ばいの状態が続いています。
住宅地の縮み幅をそろえて見ると、周辺6市は0.4〜2.2ポイント、この4市は0.0〜0.7ポイントでした。
もとの数字が小さい市は、縮む余地もそれだけ小さくなります。
逆に言えば、前年に6.2%だった大野城市のような市のほうが、縮んだポイント数は大きく出る形です。
同じ県内でも、住宅地の数字は0.1%から4.3%まで開いている
いちばん上がった糸島市の4.3%と、大牟田市の0.1%の差は40倍を超えます。
「福岡県の地価が上がった」というニュースだけでは、自分の土地がどちら側なのか判断できません。
見るべきなのは県の数字ではなく、物件がある市の数字と、その中の地点です。
福岡市内でも区によって3.9〜6.7%の幅があり、その内訳は7区の基準地価の記事にまとめました。
市の変動率を、自分の土地の売却にどう使えばいい?
使えるのは「方向」と「前年との差」までで、価格そのものは自分の土地の近くの地点を見ないと分かりません。
市の変動率は、その市にある基準地をまとめて平均した数字だからです。
市の平均は、自分の土地の値段ではない
基準地は市内に点として置かれていて、数は市の広さごとに決まっています。
自分の土地が、その平均どおりに動いているとは限りません。
駅からの距離・接道の幅・用途地域・土地の形で、同じ市の中でも価格は大きく分かれます。
福岡市では、同じ区の中でも地点によって十数倍の差があることを別の記事で確かめました。
糸島市のように市域が広いところでは、海沿いと内陸で事情が変わります。
福岡市の外では、1つの市の中に市街化区域と市街化調整区域の両方があるところも珍しくありません。
市街化調整区域は原則として新しい家を建てられないため、同じ広さの土地でも価格の出方が変わります。
基準地はこの区域ごとに置かれているわけではないので、市の平均には自分の土地の条件まで映りません。
市の数字は「周辺の相場が上を向いているか」の確認までにして、金額はご自身の土地で調べるのが確実です。
平均価格の倍率は目安にとどめる
基準地の調査地点は、年によって入れ替わることがあります。
そのため、年をまたいで平均価格を割り算した倍率は、あくまで目安です。
売ったときの税金は地価の倍率では決まらず、買ったときの金額(取得費)との差で決まります。
地価の推移と売却益の関係は福岡市の地価推移の記事で詳しく書きました。
また、地価が上がった年でも査定額が同じだけ上がるわけではありません。
その理由は地価と査定額がずれる5つの理由に挙げました。
福岡市以外の物件は、どこに相談すればいい?
当社は福岡市の売却を専門にしていますが、福岡県内の市も県外の物件も通常どおりお受けしています。
相談先の入口は、物件の場所とご本人の住所の組み合わせで2つに分かれます。
物件が福岡市以外にある場合
春日市・大野城市・筑紫野市・糸島市・太宰府市・古賀市のような県内の市は、福岡市以外の物件のご案内をご覧ください。
糟屋郡・福津市・宗像市・那珂川市・北九州市・久留米市なども同じ窓口です。
福岡県外の物件は、これまでに11都府県でお取引がありました。
県外の場合だけは、手続きの都合で対応できるかどうかを最初に確認しています。
どのエリアでも、査定から契約・決済まで一貫して担当するのは当社の担当者です。
物件は福岡市内で、ご自身が県外にお住まいの場合
この場合は上とは別で、遠方からの売却のご案内になります。
相続した実家が福岡市内にあり、ご自身は東京や大阪にお住まいというケースです。
逆に、ご自身は福岡市内にお住まいで土地が糸島市にあるなら、1つ前の窓口です。
似た案内に見えますが、必要な手続きと確認する相手が変わるため、当社では分けています。
どちらか分からないときは、物件の住所だけ先にお知らせいただければこちらで振り分けます。
基準地価を見たあとに売主ができることは、2つです。
1つは、基準地価の調べ方の記事の手順で、自分の土地の近くにある地点を確かめることになります。
もう1つは、売ると決める前の段階で無料査定を使い、いまの価格を数字で受け取ることです。
市の平均は前年と比べるための道具で、ご自身の土地の値段は、その土地を見て計算した金額のほうが近くなります。
周辺市の数字が気になった方は、物件の住所と広さだけでもお知らせください。
