印鑑証明書は売却で何通必要?有効期限3か月の数え方
執筆・監修:野上俊彦株式会社おもいで不動産 代表取締役/宅地建物取引士
執筆・監修:野上俊彦代表取締役/宅地建物取引士不動産を売るときに用意する印鑑登録証明書は、売主おひとりにつき2通が基本です。
内訳は、名義を買主へ移す登記に1通、売買契約や住宅ローンの抹消手続きに1通。
共有名義であれば、この2通が共有者の人数ぶん要ります。
そして、当社が福岡市内の売却でいちばん多く見かける失敗が「取るのが早すぎた」というもの。
有効期限は発行から3か月しかないため、売り出しと同時に取ると、買主が決まって決済する頃には切れています。
この記事は、売買契約の準備に入った福岡市の売主に向けて、何通をいつ取ればよいのかを整理したものです。
2. 印鑑登録証明書の有効期限は、いつから3か月ですか?
3. いつ取れば、取り直しにならずに済みますか?
4. 福岡市ではどこで取れますか?手数料と受付時間
5. 本人が行けないとき、代理人に頼めますか?
6. 売主がやることは、この3つだけ
不動産売却で印鑑登録証明書は何通必要ですか?
売主おひとりなら2通です。
内訳は、登記に1通、売買契約や金融機関の手続きに1通。
当社では、ここに予備を1通足した3通をお願いしています。
1通目は、名義を買主へ移す登記に使う
売買で所有権を買主に移すとき、法務局へ出す書類には売主の印鑑登録証明書が付きます。
売主は登記上の権利を手放す側(登記義務者)にあたるため、本人の意思を確かめる資料として求められるからです。
実際に法務局へ持ち込むのは、決済の日に立ち会う司法書士。
売主ご自身が法務局へ出向く場面はありません。
2通目は、契約と住宅ローンの抹消にまわる
残る1通は、買主側の不動産会社や金融機関に渡ります。
売買契約のときに本人確認の資料として求められたり、住宅ローンが残っている物件で完済と抵当権抹消の手続きに使われたりします。
金融機関によっては求められないこともあるので、2通目が必ず消えるわけではありません。
それでも当社が余分に取っていただくのは、足りないと分かるのが決済の数日前だからです。
その時点で共有者が遠方にいると、郵送のやり取りで決済日そのものが動きます。
共有名義は「人数 × 2通」で数える
ご夫婦の共有、兄弟で相続した実家は、共有者それぞれが2通ずつ用意します。
3人の共有なら6通、予備を入れて9通。
ひとりでも欠けると登記が進まないので、ここは人数で機械的に数えてください。
遠方の共有者がいるときは、郵送のやり取りに1週間前後みておくと安全です。
共有者が決済に立ち会えないときの段取りは共有名義の売却で使う委任状にまとめました。
印鑑登録証明書の有効期限は、いつから3か月ですか?
証明書に印字された発行日から3か月です。
数える終点は、登記を申請する日。
売買契約を結んだ日ではありません。
3か月の線を引いているのは法務局
不動産登記の決まりで、申請に添える印鑑証明書は作成後3か月以内のものと定められています。
つまり期限は、役所が証明書そのものに付けた期限ではなく、登記で受け付けてもらえる期限です。
一方、売買契約書には印鑑登録証明書の期限という決まりがありません。
ただし契約で1通使えば、その1通は決済まで手元に残りません。
結局は、登記に間に合う時期にまとめて取ることになります。
相続した家は、遺産分割協議書の分だけ期限が違う
亡くなった方の名義のままの家を売るには、先に相続登記が要ります。
その相続登記で遺産分割協議書に添える印鑑登録証明書には、作成後3か月という制限がありません。
法務局が出している相続登記の必要書類一覧でも、この書類の有効期限の欄は「なし」と書かれています。
協議がまとまった日に相続人全員で取ったものを、半年後の登記でそのまま使えます。
混同しやすいのは、同じ売却の中で2種類の印鑑登録証明書が動くこと。
相続登記に使う分は期限なし、買主への所有権移転に使う分は3か月以内と、分けて考えてください。
期限が切れていると、決済はその場で止まる
司法書士は決済の席で書類をそろえ、その足で法務局へ向かいます。
印鑑登録証明書の発行日が3か月を超えていれば、登記ができないので代金も動かせません。
区役所が開いている時間なら取り直しで済みますが、金曜の夕方だと翌週へ持ち越しです。
買主の住宅ローンの実行日も組み直しになるため、影響は売主だけにとどまりません。
当社は決済の1週間前に、司法書士とそろった書類を突き合わせています。
発行日を見るのはこのタイミングで、ここで気づけば平日が数日残るからです。
売主ご自身で確かめるなら、証明書の右下か左下にある発行年月日を見てください。
いつ取れば、取り直しにならずに済みますか?
売買契約を結び、決済日が決まってから取ってください。
売り出しの時点で取ると、ほとんどの場合で取り直しになります。
売り出しから引き渡しまでは、3か月で収まらない
当社が福岡市内でお預かりする物件では、売り出しから引き渡しまで3〜6か月かかります。
3か月の期限は、この期間にすっぽり飲み込まれる長さです。
媒介契約のときにも実印と印鑑登録証明書をお持ちいただきますが、そこで使った1通を決済まで取っておこうとしないでください。
売り出しから引き渡しまでの各段階でいつ何が起きるかは売却の流れに11ステップで並べてあります。
起点は決済日。そこから3か月を引く
取る日の決め方は単純です。
決済日から3か月を引いた日より後であれば、どこで取っても間に合います。
当社は売買契約が終わり、決済日が確定してから取りに行っていただく順番にしています。
契約直後ではなく決済日の確定後にするのは、買主の住宅ローン審査が長引いて決済が1か月ずれることがあるためです。
決済の前に引っ越す予定があるなら、順番を変える
住所を移すと、前の市区町村の印鑑登録はその時点で消えます。
転入先であらためて登録し直すまで、印鑑登録証明書は1通も取れません。
売却と住み替えが重なる方は、決済が終わってから転出届を出す順番にしてください。
先に引っ越すと、登記簿の住所と住民票の住所が食い違い、住所変更登記が別に必要になります。
その手続きの中身は登記の住所が昔のままでも売れる?に書きました。
福岡市ではどこで取れますか?手数料と受付時間
福岡市で印鑑登録証明書を取れるのは4か所です。
区役所などの窓口、コンビニのマルチコピー機、証明サービスコーナー、郵便局。
手数料は窓口が1通300円、コンビニ交付が1通250円です。
| 取る場所 | 手数料 | 受付時間 | 要るもの |
|---|---|---|---|
| 区役所・出張所の窓口 | 300円 | 平日の開庁時間 | 印鑑登録証 |
| コンビニのコピー機 | 250円 | 毎日6時30分〜23時00分 | マイナンバーカードと暗証番号 |
| 証明サービスコーナー | 300円 | 毎日9時〜20時 | 印鑑登録証 |
| 郵便局(市内34か所) | 300円 | 平日9時〜17時 | 印鑑登録証 |
区役所は300円。印鑑登録証(カード)を忘れない
各区の市民課で取れます。
博多区役所だけは2階の証明発行コーナーが窓口です。
福岡市内に住民登録があれば、お住まいの区以外の区役所や出張所でも請求できます。
持って行くのは印鑑登録証(カード)。
実印と運転免許証を持参しても、このカードが無ければ交付されません。
カードが見当たらないときは、区役所で手続きをやり直すことになります。
探す時間と窓口へ行く時間の両方がかかるので、契約が決まった日に一度、手元を確かめておいてください。
コンビニ交付は250円。朝6時半から夜11時まで
マイナンバーカードと4桁の暗証番号があれば、コンビニのマルチコピー機から取れます。
1通250円なので、窓口より50円安い計算です。
2通で100円の差ですから、効いてくるのは金額よりも受付時間のほうでしょう。
毎日6時30分から23時00分まで動いているため、平日の昼間に区役所へ行けない方はこちらが早く済みます。
天神・博多駅・千早の証明サービスコーナーは土日も開く
天神、博多駅地下1階、千早の3か所に証明サービスコーナーがあります。
土曜・日曜・祝日も含めて、毎日9時から20時まで。
ここで取れるのは住民票の写し・住民票記載事項証明書・印鑑登録証明書の3種類だけです。
決済に使う固定資産評価証明書は扱っていないので、書類を一度にそろえたい日は区役所へ行ってください。
郵便局での取り扱いは2027年5月で終わる
市内34か所の郵便局の窓口でも請求できます。
ただし、このサービスは令和9年(2027年)5月で終了が決まっています。
受付は平日の9時から17時までで、代理人による請求もできません。
これから覚えるなら、コンビニ交付のほうです。
本人が行けないとき、代理人に頼めますか?
頼めます。
福岡市では、印鑑登録証(カード)を預けて窓口へ行ってもらえば、委任状も要りません。
ただし、代理人が使える窓口と使えない窓口に分かれます。
代理人は本人の住所・氏名・生年月日を書けること
申請書に本人の住所・氏名・生年月日を正しく書けないと、カードを持っていても交付されません。
うろ覚えのまま行った代理人が、窓口で止まる例をたびたび見ます。
メモを1枚渡してから送り出してください。
コンビニ交付と郵便局は、代理人では取れない
マイナンバーカードを使うコンビニ交付は、本人だけが使えます。
郵便局の窓口も、代理人による請求を受け付けていません。
代理で取るなら、区役所・出張所・証明サービスコーナーのいずれかです。
県外にお住まいで福岡市の実家を売る方は、印鑑登録証明書だけ今の住所地の市区町村で取ってください。
登記や固定資産の証明が福岡市でしか取れないのに対して、印鑑登録証明書と住民票は売主の住所地で決まるためです。
どの書類をどの窓口で取るのかは福岡市7区の手続き窓口ガイドで区ごとに確かめられます。
そもそも印鑑登録をしていない場合
実印の登録自体がまだなら、先に印鑑登録から。
運転免許証やパスポートなど、顔写真の付いた本人確認書類を持って本人が窓口へ行けば、その日のうちに登録できて証明書も取れます。
顔写真付きの書類が無い場合は、郵送での照会を挟むので数日かかります。
決済の直前に気づくと間に合わないおそれがあるため、契約が決まった時点で確かめておいてください。
出典:福岡市 印鑑登録の申請
売主がやることは、この3つだけ
印鑑登録証明書でつまずかないために確かめるのは3点です。
実印の登録があるか、印鑑登録証(カード)が手元にあるか、共有者が何人いるか。
この3つが分かっていれば、あとは決済日が決まってから人数分を取りに行くだけ。
取る枚数と時期のまとめ
- 売主1人なら2通、予備を入れて3通
- 共有名義は、共有者の人数 × 2通
- 取るのは、決済日が確定してから
- 有効期限は発行から3か月(相続登記の遺産分割協議書に添える分は期限なし)
- 福岡市ではコンビニ交付が250円で、毎日6時30分から23時00分まで
次にやること
印鑑登録証明書以外の書類も含めた一覧は売却に必要な書類にまとめてあります。
必須・あった方がよい・状況に応じての3段階に分けてあるので、いま手元に何が足りないかを確かめられます。
共有者が多い、相続登記がまだ、実印が見つからないといった事情があるなら、売り出す前にご相談ください。
当社の15分無料相談では、売却の前に片づけておく手続きの順番だけをお伝えしています。
