決済・引渡し当日の流れ|集合から鍵を渡すまでの1時間
執筆・監修:野上俊彦株式会社おもいで不動産 代表取締役/宅地建物取引士
執筆・監修:野上俊彦代表取締役/宅地建物取引士決済と引渡しの日が決まった、福岡市の売主に向けた記事です。
この日に売主がすることは、思っているより少ないです。
買主が借りる金融機関の一室に集まり、本人確認を受け、書類に署名して、鍵を渡す。
席に着いている時間は1時間ほど。
では、その1時間に何がどの順番で起きるのでしょうか。
当社が福岡市内で立ち会ってきた決済の進み方を、時間の順に並べました。
2. 当日は、どんな順番で進みますか
3. その席にいる人は、それぞれ何をしますか
4. 売主は何を持っていけばよいですか
5. 当日に止まるのは、どんなときですか
6. 福岡へ行けないときは、どうしますか
7. 決済が終わったあと、何が残りますか
8. まず何をすればよいですか
決済・引渡しの当日は、何をする日ですか
売主が代金の残りを受け取り、買主に名義と鍵を渡す日です。
売買契約の日とは別の日で、契約から1〜2か月あとに置くのが通例です。
この日に、お金と名義と鍵が同時に動きます。
場所は、買主が借りる金融機関の一室
当社の事務所ではなく、買主が住宅ローンを借りる銀行の応接室を使います。
理由は、融資の実行がその銀行の中で行われるためです。
買主が現金で買う場合は、売主の口座がある金融機関や、当社の事務所で行うこともあります。
福岡市内の物件なら、博多駅や天神の支店に集まることが多いです。
売主が自分で場所を押さえることはありません。
日時と場所は、買主の融資の都合と司法書士の予定を見て、当社が調整して前日までにお知らせします。
時刻は平日の午前。所要時間は1時間ほど
開始は午前10時前後が多く、終わるのは11時すぎ。
午前に組むのは、その日のうちに司法書士が法務局へ登記を申請するためです。
法務局の業務取扱時間は平日の午前8時30分から午後5時15分までで、土日祝は閉まっています。
午後の遅い時間に始めて着金が長引くと、申請がその日に間に合いません。
名義が移らない日が1日できると、その間に差押えなどが入る危険が残ります。
だから午前なのだ、と覚えておくと、日程の相談がしやすくなります。
当日は、どんな順番で進みますか
集合と本人確認、書類への署名、融資の実行と着金の確認、残債の完済、抵当権の抹消と名義の移転、精算、鍵の引渡しの順です。
この順番は入れ替えられません。
名義を移すには完済が要り、完済するお金は買主から入るからです。
①集合から本人確認まで(10〜15分)
売主、買主、司法書士、当社の担当者、金融機関の担当者が同じ部屋に入ります。
最初に動くのは司法書士です。
売主の運転免許証やマイナンバーカードを見て、登記簿に載っている人と目の前の人が同じかを確かめます。
印鑑証明書の住所と、現在の住所が合っているかもここで見ます。
ここが通らないと、あとの全部が進みません。
②登記の書類に署名・押印する(15分ほど)
司法書士が用意した登記委任状などに、売主が実印で押印します。
住宅ローンが残っている場合は、抵当権を抹消するための書類にも署名してください。
司法書士はこの場で書類をそろえ、「これで登記できる」と確認します。
その確認が取れてから、はじめてお金が動く順番です。
買主からすると、登記できる保証がないうちに数千万円を払うわけにはいかないためです。
③融資の実行・着金の確認・完済・鍵の引渡し(30分ほど)
司法書士の合図で、金融機関が買主への融資を実行します。
そこから売主の口座へ残代金が振り込まれるので、通帳やアプリで着金を確かめてください。
この待ち時間が、当日いちばん長い15分です。
着金が見えたら、次は残っている住宅ローンの完済手続き。
完済すると、金融機関が抵当権の抹消に使う書類をその場で出します。
固定資産税の精算金や、マンションなら管理費・修繕積立金の精算金も、ここで受け取ってください。
最後に鍵をすべて買主に渡し、司法書士は書類を持って法務局へ向かいます。
売主が席を立てるのは、この時点です。
お金の出入りをもう少し細かく知りたい方は、売却代金でローンを完済する順番で金額の並べ方を説明しています。
その席にいる人は、それぞれ何をしますか
司法書士は登記ができるかを確かめ、金融機関はお金を動かし、買主は代金を払い、当社は段取りと精算をします。
売主がすることは、本人確認を受け、署名して、着金を確かめ、鍵を渡すことだけです。
役割を知っておくと、誰に何を聞けばよいかが分かります。
司法書士は「登記できる状態か」だけを見ている
司法書士は、売主と買主のどちらの味方でもありません。
見ているのは、今この書類で名義を移せるかどうかの一点です。
権利証(登記識別情報通知)が見つからないときも、その場で手を打てるのはこの人です。
権利証は再発行できませんが、無いままでも登記は申請できます。
原則は、法務局が登記簿上の住所へ事前通知を送って本人かどうかを確かめる手続きです。
司法書士に委任する場合は、司法書士が作った本人確認情報を出すことで、その事前通知を省略できます。
決済の日に郵便のやりとりを待つわけにいかないので、実務ではこちらを使います。
作成には別途費用がかかるため、見つからないと分かった時点で当社にお伝えください。
金融機関は融資の実行と完済の受付をする
買主側の銀行は、司法書士の確認を待ってから融資を実行します。
売主側に残債があるときは、売主が借りている金融機関への完済の連絡も当日。
完済に必要な額は日によって利息が変わるので、決済日を指定して書面で出してもらってください。
この依頼を当社が売主に代わって事前に進めるのは、金額が1日ずれると足りなくなるからです。
売主側の銀行が当日の立ち会いを求める場合もあり、そのときは決済の場所がそちらになります。
買主と当社は、その場で何を確かめるか
買主が見るのは、残置物が無いことと、鍵の本数が合っていることです。
エアコンや物置を残す約束をしていた場合は、それが契約書どおりかも見ます。
当社は、受け取る金額と支払う金額を1枚にまとめた精算書を作り、その場で読み合わせます。
仲介手数料の残り半分を当社がいただくのも、この席です。
精算書は決済の前日までに案文をお送りするので、金額に心当たりのない行があればその時点でお尋ねください。
売主は何を持っていけばよいですか
本人確認書類、実印、印鑑証明書、鍵の全部、通帳またはスマートフォン、固定資産税の納税通知書です。
どれが要るかは物件と事情で変わるので、当社が前日までに一覧をお渡しします。
当日の朝に探し始めると間に合いません。
売主自身に関するもの
必要なのは、顔写真のある本人確認書類、実印、発行から3か月以内の印鑑証明書、住民票です。
登記簿の住所が今の住所と違う場合は、住所変更登記を先に済ませます。
費用は約1万4000円で、決済に間に合わせるには数週間の余裕が要ります。
詳しい段取りは登記の住所が昔のままでも売れる?売却前の住所変更登記にまとめました。
通帳かインターネットバンキングのアプリは、着金の確認に使うので忘れないでください。
物件に関するもの
玄関の鍵は、スペアを含めて全部持っていきます。
マンションならオートロックの鍵、宅配ボックスの鍵、駐輪場のステッカーも対象です。
設備の取扱説明書、保証書、増改築したときの図面も、あれば買主に渡します。
その年の固定資産税の納税通知書も持っていきます。
精算の起算日と日割りの計算に使うためです。
福岡市の納期は4月・7月・12月・翌年2月の4回で、どこまで売主が払い済みかを見ながら精算します。
出典:福岡市 固定資産税
当日に止まるのは、どんなときですか
本人確認が通らないとき、残置物が残っているとき、着金が時間までに確認できないときです。
どれも前日までに手を打てば防げます。
当社が決済の3日前に確認の連絡を入れているのは、このためです。
本人確認と書類で止まる
印鑑証明書の有効期限が切れていると、その場では直せません。
共有名義で1人分の委任状がそろっていない場合も同じです。
相続した不動産では、相続登記が済んでいないと決済そのものが組めません。
亡くなった方の名義のままでは、売主として署名できる人がいないからです。
残置物と鍵で止まる
買主は、家が空になっていることを前提にお金を払うつもりで来ています。
物置の中、天井裏、庭の植木鉢が残っていると、その場で引渡しを受けないと言われることがあります。
見落としが多いのは、物置とベランダと駐輪場の3か所。
引渡し日の前に一度、当社と一緒に家の中を見て回ってください。
片付けに日数が足りないと分かったら、引渡し日を後ろへずらす交渉を契約前に行います。
その日数の決まり方は、契約から引渡しまでは何日?日数を決める4つの要因でご説明しています。
電気・ガス・水道の停止日も、引渡し日の当日か翌日にそろえておくと行き違いが出ません。
契約から引渡しまでの1〜2か月でやることは、売買契約から引渡しまでにやることに順番で並べました。
着金の時刻で止まる
振込は、金融機関や経路によって反映までに時間がかかります。
月末や五十日(ごとおび)は振込が混み合い、着金の確認が遅れることがあります。
決済日を月末の金曜に置かないのは、この混雑を避けるためです。
残債の完済が当日にできないと、抵当権が消えず、名義も移せません。
この場合は決済そのものを別の日に組み直すことになり、買主の融資の実行日も取り直しです。
福岡へ行けないときは、どうしますか
売主が立ち会わない形の決済ができます。
司法書士が事前に売主の本人確認を済ませておき、決済の日は振込と登記だけを行う方法です。
当社は実際に、城南区七隈の物件でこの形を取りました。
そのときは買主が単身赴任中で立ち会えず、司法書士が売主と買主の両方の本人確認を事前に終えていました。
遠方にお住まいの方は、売買契約も郵送での持ち回りにできます。
関東にお住まいの姉弟から松山市の土地を預かった案件でも、ご来社なしで引渡しまで進みました。
県外から福岡市の実家を売る段取りは、遠方からの売却でご説明しています。
決済が終わったあと、何が残りますか
登記の完了を待つことと、翌年の確定申告の2つです。
鍵を渡した時点で、物件の管理と責任は買主に移ります。
売主の手元には、お金と書類だけが残ります。
登記が完了するまで1〜2週間
司法書士が申請した日に登記が終わるわけではありません。
法務局での処理に1〜2週間かかり、完了後に登記完了証などが司法書士から届きます。
福岡市の不動産登記は、物件がある区で窓口が分かれます。
博多区・中央区・南区・東区の物件は中央区舞鶴の本局、早良区・城南区・西区の物件は西新出張所の扱いです。
分かれ目は売主が住んでいる区ではなく、売った不動産がある区です。
どの窓口に何を出すかは福岡市の手続き窓口にまとめました。
確定申告は翌年の2月16日から3月15日
売って利益が出た場合は、翌年に譲渡所得の申告をします。
所有期間が5年以下なら39.63%、5年を超えていれば20.315%の税率です。
マイホームなら3,000万円の特別控除が使えて、税額が0円になることもあります。
控除を使って0円になる場合でも、申告しなければ適用されません。
決済のときに受け取った精算書と領収書は、申告まで一式で保管してください。
まず何をすればよいですか
決済日が決まったら、持ち物の一覧を当社から受け取ってください。
印鑑証明書の発行と、鍵の本数の確認は、その日から動けます。
売却の全体の順番を先に見ておきたい方は売却の流れをご覧ください。
手元にいくら残るかを先に知りたい方は売却シミュレーターで試算できます。
決済の日取りや立ち会いの形で迷われている方は、15分の無料相談でお話をお聞かせください。
