2,000万円の戸建てを売った税金|居住用と相続で変わる
執筆・監修:野上俊彦株式会社おもいで不動産 代表取締役/宅地建物取引士
執筆・監修:野上俊彦代表取締役/宅地建物取引士福岡市の戸建てを2,000万円で売ったとき、譲渡所得税は0円か、約371万円のどちらかになります。
分かれ目は3,000万円の特別控除が使えるかどうかで、売却価格や築年数では決まりません。
この記事は、自宅を売ろうとしている方と、相続した実家を売ろうとしている方の両方に向けて書きました。
同じ2,000万円でも結果が変わる理由を、金額と要件の両方から並べています。
2. 居住用と相続空き家で、使える控除はどう違いますか
3. どちらの控除も使えないのは、どんな家ですか
4. 福岡市で2,000万円の戸建ては、どんな価格帯ですか
5. 売る前に、どの順番で確かめればよいですか
2,000万円で売ると、譲渡所得税はいくらになりますか
3,000万円の特別控除が使えれば0円、使えなければ所有5年超で約371万円です。
以下は、取得費が分からない戸建てを2,000万円で売った場合の計算例になります。
当社の成約実績ではなく、下に書いた前提から計算した数字として読んでください。
2,000万円から最初に引ける費用はどれですか
売るために直接かかった費用を、譲渡費用として差し引きます。
2,000万円の戸建てなら、仲介手数料が72万6,000円、売主が負担する印紙税が1万円です。
仲介手数料は(2,000万円×3%+6万円)×1.1で計算しました。
800万円以下の売却に使える低廉な空家等の特例は、2,000万円には当たりません。
印紙税の1万円は、1,000万円超5,000万円以下の契約書にかかる軽減後の額です。
この軽減措置の期限は、2027年3月31日までの契約。
住宅ローンが残っていれば、抵当権抹消の登記費用が1〜2万円台かかります。
ただし国税庁が譲渡費用に挙げているのは、仲介手数料・印紙税・測量費などです。
手取りから出ていく費用が、そのまま譲渡所得の計算に入るわけではありません。
取得費が分からないと、譲渡所得はいくらになりますか
売却価格の5%だけが取得費として認められるので、2,000万円なら100万円です。
これを概算取得費と呼びます。
譲渡所得は、2,000万円から取得費100万円と譲渡費用73万6,000円を引いた1,826万4,000円。
親が買ったときの契約書が見つかれば、実額で計算できます。
仮に取得費が1,200万円と分かれば、譲渡所得は726万4,000円まで下がります。
所有5年超の税率で比べると、税額は約371万円から約148万円へ、223万円ほど減る計算です。
これは仮の取得費を置いた試算で、どの家でもこの差が出るという意味ではありません。
建物の取得費は、買った値段から使った年数ぶん(償却費相当額)を差し引いた額になります。
資料の探し方は取得費が不明な実家の売却、概算5%の注意点にまとめました。
税率は所有期間でどれだけ変わりますか
売った年の1月1日時点で所有5年以下なら39.63%、5年超なら20.315%です。
譲渡所得1,826万4,000円に当てると、約724万円と約371万円。
差は353万円で、売却価格2,000万円の2割近くにあたります。
相続した家は、亡くなった方が買った日から所有期間を数えるので、長期になることが多い。
数え方は譲渡所得税の短期と長期の違い|5年でどう変わるで確かめてください。
表は横にスクロールして確認できます。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 売却価格 | 2,000万円 |
| 譲渡費用(仲介手数料+印紙税) | 73万6,000円 |
| 概算取得費(5%) | 100万円 |
| 譲渡所得 | 1,826万4,000円 |
| 3,000万円控除が使える場合 | 0円 |
| 控除なし・所有5年超(20.315%) | 約371万円 |
| 控除なし・所有5年以下(39.63%) | 約724万円 |
居住用と相続空き家で、使える控除はどう違いますか
どちらも3,000万円の特別控除ですが、別の制度で、要件も期限の起算日も違います。
見分ける軸は1つだけで、その家に住んでいたのが自分か、亡くなった方かという点です。
自分が住んでいた家を売る場合の要件
いま住んでいる家なら、所有期間を問わず3,000万円まで控除できます。
すでに引っ越しているなら、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。
2026年中に引っ越した方なら、2029年12月31日までが期限になります。
親子や夫婦など、特別な関係にある人への売却は対象外です。
売った年の前年と前々年に同じ控除を受けていると、今回は使えません。
相続した空き家を売る場合の要件
亡くなった方が一人で住んでいた家で、1981年5月31日以前に建てられたものが対象になります。
区分所有の登記がされた建物は外れるので、分譲マンションでは使えません。
期限は、相続開始の日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで。
売却代金が1億円以下に収まっていることも要件です。
相続のときから売るときまで、事業・貸付け・居住のどれにも使っていないことが求められます。
そのうえで、売る時点で耐震基準を満たしているか、家屋を取り壊しているかのどちらかが要件です。
耐震改修か取壊しは、売った年の翌年2月15日までに終わっていれば認められます。
この特例そのものの期限は、2027年12月31日までの売却。
相続人が3人以上だと控除額はどうなりますか
2024年1月1日以後の売却では、家屋と敷地を取得した相続人が3人以上いると、控除額は2,000万円に下がります。
今回の計算例では譲渡所得が1,826万4,000円なので、控除額が2,000万円でも足ります。
つまり相続人が3人以上でも、税額は0円という結果。
ただし売却価格が上がって譲渡所得が2,000万円を超えると、この1,000万円の差が税額に出ます。
兄弟3人で実家を相続した方は、控除額を2,000万円として先に試算してください。
どちらの控除も使えないのは、どんな家ですか
相続した家のうち、1982年以降に建てられたもの、相続後に貸したもの、期限を過ぎたものです。
区分所有登記のあるマンションと、相続開始の直前に同居人がいた家も外れます。
当社への相談でつまずきやすいのは、建築年月日と期限の起算日の2つ。
相続した家に自分が住んだ場合はどちらになりますか
空き家の特例から外れる代わりに、自分のマイホームとしての控除を検討します。
相続して住み始め、あとで引っ越したなら、住まなくなった日から数えて3年目の年末が期限です。
相続開始の日から数える空き家の特例とは、起算日そのものが別です。
どちらの日付で数えるかを取り違えると、間に合うはずだった売却が期限切れになります。
相続したあと人に貸していた家はどうなりますか
貸付けに使った時点で、空き家の特例の要件から外れます。
自分が住んだわけでもないので、マイホームの控除にも当たりません。
この場合に残るのは、相続税を納めた人だけが使える取得費加算の特例です。
期限は、相続開始から3年10か月以内の売却。
相続税がかかっていない方は、この特例も使えません。
逆算の手順は取得費加算の3年10か月を逆算|いつ売り出すかにあります。
空き家の特例のために解体したほうがよいですか
解体費用を見積もってから決めてください。
木造戸建ての解体費は1坪5〜8万円で、30坪なら150〜240万円ほどです。
売却価格2,000万円に対して、1割前後が消える計算になります。
当社が福岡市東区でお預かりした築50年超の戸建ては、約8mの傾斜地にありました。
崖条例に当たるため、解体と造成を合わせた費用が1,000万円を超える見込みでした。
そこで建物を残したまま賃貸用として売り出し、物件への理解がある買主に購入いただいています。
経緯は福岡市東区の築50年・傾斜地の戸建てを、解体せずに売却に書きました。
これは当社が仲介した個別の対応例で、どの家でも解体せずに売れるという話ではありません。
福岡市で2,000万円の戸建ては、どんな価格帯ですか
7区すべての中央値を下回る価格帯です。
国土交通省の不動産取引価格情報を区ごとに集計すると、戸建ての中央値は東区の3,550万円から中央区の6,250万円でした。
対象期間は2024年第2四半期から2026年第1四半期までです。
いちばん低い東区でも、2,000万円の1.7倍以上。
区ごとの数字は福岡市の売却相場で確かめられます。
中央値を下回る価格帯で、何を先に確かめますか
建物の新築年月日です。
2,000万円という価格は、建物の価値がほとんど乗っていない、土地中心の価格帯にあたります。
そのぶん築年数の古い家が候補に入りやすく、1981年5月31日以前という空き家の特例の要件に当てはまる家も出てきます。
逆に1982年以降の建築であれば、相続した空き家ではこの控除を使えません。
税金の試算より先に、登記事項証明書で新築年月日を見てください。
当社が査定の相談で先に見る4つの資料
当社は査定のご相談を受けたとき、次の4点を先に確認しています。
- 登記事項証明書の表題部にある新築年月日(1981年5月31日以前かどうか)
- 亡くなった方の住民票の除票(直前にその家に住んでいたか)
- 家屋と敷地を取得した相続人の数(3人以上なら控除は2,000万円)
- 購入時の契約書・通帳・ローン契約書(取得費を実額で出せるか)
この4点が揃うと、控除が使えるかどうかと譲渡所得の見込みが、売り出す前に分かります。
取り方は売却に必要な書類と福岡市7区の手続き窓口ガイドにまとめました。
当社は税額そのものを決める立場ではないので、個別の判断は税務署か税理士にご確認いただいています。
福岡市の確認書はどこで取りますか
市役所行政棟3階の住宅計画課です。
空き家の3,000万円控除を使うには、確定申告のときに被相続人居住用家屋等確認書を添付します。
福岡市内の物件は区役所では受け付けておらず、本庁の1か所だけ。
受理から交付までは1週間から10日ほどかかり、手数料はいりません。
市の確認書は控除の適用を確約するものではなく、可否を判断するのは税務署です。
売る前に、どの順番で確かめればよいですか
建築年月日、期限の起算日、相続人の数、取得費の資料という順番です。
この4つが決まると、控除が使えるかどうかが先に分かり、手取りの試算に進めます。
建築年月日と期限を先に見る理由
控除が使えるかどうかで、2,000万円の売却では約371万円動きます。
売り出す価格や売り方を考えるより、この判定のほうが金額が大きい。
期限が近い場合は、売り出しから引渡しまでにかかる期間も逆算が必要です。
手取りの試算はどこでできますか
手取りの試算で、売却価格と所有期間、控除の有無を入れて計算できます。
税率と仲介手数料の式は、この記事と同じ前提で組んであります。
相続した空き家の要件は福岡市の空き家売却に、相続全体の進め方は福岡市の相続不動産売却にまとめました。
自分の家の金額で確かめたいとき
当社の無料査定では、価格に加えて、上の4つの資料から控除が使えるかどうかも一緒にお伝えします。
査定額は売れる価格を保証するものではなく、売り出し価格を決めるための目安です。
資料が手元に無くても、何が足りないかを整理するところからご相談いただけます。
