相続した実家を売却する流れ|相続登記と空き家3,000万円控除
執筆・監修:野上俊彦株式会社おもいで不動産 代表取締役/宅地建物取引士
執筆・監修:野上俊彦代表取締役/宅地建物取引士相続した実家を売却するには、相続人と遺産分割の確認、相続登記、査定、売却方法、税金の順に整理します。
特に注意したいのが、2024年4月に始まった相続登記の申請義務と、一定の古い空き家を売却した場合の譲渡所得の特別控除です。
どちらも期限と要件があり、すべての相続不動産へ自動的に適用されるものではありません。
2. 相続登記はいつまで?2024年4月からの申請義務
3. 空き家の3,000万円特別控除とは
4. 解体・現況売却・買取を決める前の比較
5. まとめ|登記と税務を確認してから売却方法を決める
6. 相続人が複数いるときの進め方
7. 売却の前に確かめておく費用
相続した実家を売却する流れ
- 遺言書、戸籍、相続人、遺産分割の状況を確認する。
- 登記事項証明書、固定資産税資料、建物・土地資料を集める。
- 相続登記または期限内の相続人申告登記を司法書士へ相談する。
- 現況売却、補修、解体、買取の査定額と手取りを比較する。
- 税理士・税務署へ取得費、譲渡費用、利用できる特例を確認する。
- 売買契約、決済、確定申告を行う。
遺産分割前や共有状態でも査定はできますが、売買契約と所有権移転には権利関係の整理が必要です。
相続するか放棄するかを決めていない場合に気をつけたいのが、売ってから放棄はできないという順番。
マンションでその判断をするときの数え方はマンションを相続放棄すると売れない?売却と放棄の分かれ目で説明しています。
売却価格から何がどれだけ差し引かれるかは、福岡市の不動産売却|費用の内訳と手取りの目安にまとめています。
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相続登記はいつまで?2024年4月からの申請義務
相続により不動産を取得したことを知った相続人は、その日から3年以内に相続登記を申請する必要があります。
2024年4月1日より前の相続で、まだ相続登記をしていない不動産にも申請義務が及び、原則として2027年3月31日が一つの期限です。
正当な理由なく義務へ違反した場合は、10万円以下の過料の対象となる可能性があります。
遺産分割が期限内にまとまらない場合は、相続人であることを申し出る「相続人申告登記」により、いったん申請義務を履行できる制度があります。
ただし、遺産分割成立後には、その内容に沿った相続登記が別途必要になる場合があります。
法務省|相続登記の申請義務化について
法務省|相続人申告登記について
空き家の3,000万円特別控除とは
相続または遺贈で取得した一定の被相続人居住用家屋・敷地を、2027年12月31日までに売却し要件を満たす場合、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があります。
2024年1月1日以後の譲渡で、対象不動産を取得した相続人が3人以上の場合は、控除上限が1人あたり2,000万円となります。
これは売却代金から3,000万円を受け取れる制度でも、税額が必ずゼロになる制度でもありません。
取得費・譲渡費用などを計算した譲渡所得から控除する制度です。
主な対象要件
- 家屋が1981年5月31日以前に建築されていること。
- 区分所有建物登記がされた建物ではないこと。
- 原則として相続開始直前に被相続人以外の居住者がいなかったこと。
- 老人ホーム等へ入居していた場合は、要介護認定、家屋の利用状況など別の要件を満たすこと。
- 相続開始から売却まで、事業・貸付け・居住の用に供されていないこと。
- 相続開始の日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。
- 売却代金が1億円以下であること。
- 耐震基準を満たす家屋として売るか、家屋を取り壊して敷地を売るなど、耐震・取壊しの要件を満たすこと。
2024年以後の譲渡では、売却後に買主が耐震改修または取壊しを行い、譲渡した年の翌年2月15日までに要件を満たす場合も対象になり得ます。
契約条項、完了期限、確認書類が重要になるため、売却前に税務署または税理士へ確認してください。
期限の数え方と、福岡市の確認書にかかる日数まで引いた逆算は空き家3,000万円控除の期限にまとめています。
相続税を納めている場合、この控除と取得費加算の特例はどちらか一方しか選べません。
選び方と期限の違いは取得費加算の特例の期限は3年10か月|相続税を納めた人へで説明しています。
出典:国税庁|被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例
解体・現況売却・買取を決める前の比較
古い家だからといって、査定前に解体すると有利とは限りません。
広くて室内がきれいな家なら、民泊や社宅の買主まで候補を広げる道もあります(古くて売れない実家を民泊の買主へ)。
次の費用と条件を比較します。
- 建物を残した場合と解体した場合の査定額
- 解体、残置物、測量、登記、補修の費用
- 住宅用地特例など固定資産税等への影響
- 空き家特例の適用要件と必要書類
- 契約不適合責任と把握している不具合の告知
- 売却期限、近隣対応、解体工事の可否
現況売却でも、把握している雨漏り・シロアリ・越境などを隠してよいわけではありません。
解体売却でも、土地の境界・埋設物・土壌など別の確認事項があります。
まとめ|登記と税務を確認してから売却方法を決める
相続登記の期限と空き家特例の期限は別です。
先に相続人・登記・税務要件を確認し、その後に現況売却、解体、買取の手取りを比較してください。
福岡市博多区の相続不動産売却では、司法書士・税理士へ確認すべき事項を整理した上で売却方法をご案内します。
価格の確認は無料不動産査定からご相談ください。
相続人が複数いるときの進め方
相続人が複数いる場合は、売却の前に遺産分割の方法を決めます。
不動産を売って現金で分ける方法を、換価分割といいます。
共有のまま登記して売るなら、売買契約と決済には相続人全員が必要です。
代表者一人に売却を任せる場合は、委任状と印鑑証明書を用意します。
遠方に住んでいる相続人がいる場合は、書類のやり取りに日数がかかります。
引渡しの時期から逆算して、早めに段取りを決めてください。
相続人の中に連絡が取れない方がいる場合は、先に家庭裁判所での手続きが必要になることがあります。
親がご存命のうちに売るか、相続してから売るかでも、手順と税が変わります。
違いは親の家は生前と相続後のどちらで売るのが良いかをご覧ください。
売却の前に確かめておく費用
相続した実家の売却では、売却価格から差し引かれる費用があります。
仲介手数料、印紙税、抵当権が残っていればその抹消の登記費用です。
境界がはっきりしない土地では、測量が必要になることがあります。
建物を解体してから引き渡す場合は、その費用も売主の負担になります。
いずれも物件の状況によって変わるため、査定の段階で見積もりを確かめてください。
