空き家3,000万円控除の必要書類|福岡市の確認書と確定申告
執筆・監修:野上俊彦株式会社おもいで不動産 代表取締役/宅地建物取引士
執筆・監修:野上俊彦代表取締役/宅地建物取引士相続した福岡市の実家を売った方、これから売る方に向けた記事です。
空き家の3,000万円控除は、要件を満たしていても、何もしなければ使えません。
売った翌年の確定申告で、所定の書類を添えて自分で申告する必要があります。
そして書類のうち1つは、福岡市の窓口へ申請してから交付まで通常1週間から10日かかります。
確定申告の期間に入ってから動き出すと、間に合わないことがあるのはこの書類のためです。
この記事では、添える書類の5点、福岡市の確認書の取り方、相続人が3人以上の場合の控除額、そして福岡市のどの税務署へ出すのかを順に見ていきます。
期限そのものの数え方は空き家3,000万円控除の期限に分けて書いているので、こちらは書類と手順に絞ります。
なお個別の税額の判断は税理士の仕事です。
当社がお伝えできるのは、売買の実務として何をいつ揃えるかという部分になります。
2. 福岡市の確認書は、どこでどうやってもらいますか
3. 相続人が3人以上だと、控除額はいくらになりますか
4. 確定申告はいつ、どの税務署へ出しますか
5. 書類が揃わないときは、何から動きますか
確定申告に添える書類は何ですか
国税庁が示している添付書類は、取り壊さずに家屋ごと売った場合で5種類です。
- 譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)【土地・建物用】
- 登記事項証明書など(相続で取得したこと、1981年5月31日以前の建築であること、区分所有建物登記がない建物であることを示すもの)
- 売った家屋の所在地の市区町村長が発行する「被相続人居住用家屋等確認書」
- 耐震基準適合証明書または建設住宅性能評価書の写し
- 売買契約書の写しなど、売却代金が1億円以下であることを示す書類
この特例が使えるのは、2016年4月1日から2027年12月31日までの譲渡です。
更地にしてから敷地を売った場合や、譲渡後に買主が取り壊す場合は、必要な書類の一部が変わります。
要になるのは市区町村が出す確認書
5点のうち、自分の手元の書類だけでは用意できないものが「被相続人居住用家屋等確認書」です。
福岡市内の家なら、福岡市へ申請して交付を受けます。
この確認書は、売った家が相続のときから売るときまで空き家だったことなどを市が確認した書面です。
福岡市は「空き家であったことを確認するための書類で、特別控除の適用を確約するものではない」と案内しています。
つまり確認書が出たからといって、控除が受けられると確定するわけではありません。
最終的な判断は税務署が行います。
耐震基準適合証明書は、譲渡の日前2年以内の調査
家屋を残したまま売る場合は、耐震基準に適合していることを示す書類が必要です。
対象になるのは、譲渡の日前2年以内に調査や評価が終わったものに限られます。
昔に取った証明書が手元にあっても、2年を過ぎていれば使えません。
1981年5月31日以前に建てられた家は旧耐震基準なので、そのままでは適合しないことが多くなります。
耐震改修をして売るか、取り壊して土地として売るかという分岐がここで出てきます。
どちらを選ぶかで手取りがどう変わるかは、手取りの試算ページで解体費を入れて比べられます。
1億円以下であることを示す書類
売却代金が1億円を超えると、この特例は使えません。
1億円かどうかは、同じ家屋と敷地について、相続人全員がその前後に売った分も合わせて判定します。
兄弟で持分を分けて別々に売った場合、合計で1億円を超えていないかという見方になります。
添えるのは売買契約書の写しです。
取り壊して売った場合は、必要書類が変わる
家屋を取り壊して土地だけを売った場合、耐震基準適合証明書は要りません。
代わりに、取り壊したことと、取り壊してから売るまでのあいだ建物も駐車場なども置いていなかったことを示す書類が必要になります。
福岡市の確認書の申請書も、家屋を残して売った場合(措法35条3項1号)と、全部を取り壊してから売った場合(同項2号)で様式が分かれています。
どちらの様式で出すのかを間違えると、添える書類も変わってしまいます。
取り壊したあとの土地を更地のまま売らず、駐車場として貸してしまうと控除が使えません。
解体から引渡しまでのあいだ、土地を何にも使わないという点が見落とされやすいところです。
解体と売却の順番をどう組むかは、福岡の空き家は買取と仲介どちら?で期間の違いとあわせて比べられます。
譲渡所得の内訳書は、特例の欄まで書く
譲渡所得の内訳書は、売った価格から取得費と譲渡費用を引いて、譲渡所得を計算する用紙です。
この特例を使う場合は、計算した譲渡所得から特別控除額を差し引く欄まで記入します。
国税庁は、この特例を使う場合の内訳書の書き方を別のページで示しています。
登記事項証明書は、内訳書に不動産番号などを記載すれば添付を省略できます。
ただし省略できるのは登記事項証明書で、確認書のほうは省けません。
福岡市の確認書は、どこでどうやってもらいますか
窓口は福岡市住宅都市みどり局住宅部住宅計画課で、福岡市役所3階にあります。
電話番号は092-711-4598です。
福岡市の案内では、確認書の受付時間は午前10時から午後4時までで、正午から午後1時までは除かれています。
区役所では受け付けていないので、市役所の本庁へ行くことになります。
受付時間は変わることがあるため、出かける前に市のページでお確かめください。
申請書に添える書類
申請書は、家屋を残して売った場合と、取り壊してから売った場合で様式が分かれています。
添える書類として福岡市が挙げているのは、次のようなものです。
表は横にスクロールして確認できます。
| 書類 | 取れる場所 |
|---|---|
| 被相続人の住民票の除票の写し | 区役所(市民課) |
| 相続人の戸籍の附票の写し | 区役所(市民課) |
| 建物の閉鎖事項証明書/土地の登記事項証明書 | 法務局(福岡市は福岡法務局) |
| 売買契約書の写し | 手元の契約書 |
相続人以外の方が申請書を出したり受け取ったりする場合は、委任状が要ります。
区ごとの窓口と手数料は、福岡市7区の手続き窓口ガイドにまとめました。
交付まで通常1週間から10日
福岡市は、申請書の受理から交付まで通常1週間から10日程度としています。
書類に不足があると、さらに日数がかかります。
確定申告は毎年2月16日から3月15日までなので、2月の終わりに申請すると間に合わない可能性があります。
年明けの1月中に申請しておきたいところです。
なお提出した書類は、確認書以外は返却されません。
手元に残しておきたい契約書は、写しを取ってから出してください。
相続人が3人以上だと、控除額はいくらになりますか
1人あたり2,000万円になります。
3,000万円のままではありません。
この取り扱いは、令和6年(2024年)1月1日以後の譲渡から適用されています。
2024年1月1日以後の譲渡から変わった
それまでは、相続人が何人いても1人あたり3,000万円でした。
2024年1月1日以後に売った分は、同じ被相続人の家屋等を取得した相続人が3人以上いる場合、1人あたりの控除額が2,000万円に下がります。
兄弟3人で実家を相続して共有のまま売ったなら、1人2,000万円という計算になります。
2人までなら、これまでどおり1人3,000万円です。
人数の数え方は、売った持分の持ち主の数ではなく、その家屋等を相続で取得した相続人の数で見ます。
確認書にも相続人の数が載る
令和6年以後の譲渡では、確認書の確認事項に相続人の数も含まれるようになりました。
市に申請する段階で、何人で相続したのかを示す書類が必要になるということです。
相続人が複数いる場合は、誰がいつ申告するかを先に決めておくほうが動きやすくなります。
共有名義のまま売るか、持分を整理してから売るかという判断は、福岡市の相続不動産売却のページでご相談いただけます。
確定申告はいつ、どの税務署へ出しますか
売った年の翌年2月16日から3月15日までに、住所地を所轄する税務署へ出します。
2026年中に売ったなら、2027年の申告です。
控除を使って税額が0円になる場合でも、申告しなければ適用されません。
3月15日が土曜日や日曜日に当たる年は、次の平日が期限になります。
売った年にすぐ申告するのではなく、翌年だという点を取り違えないでください。
福岡市7区は4つの税務署に分かれる
福岡市内でも、区によって所轄の税務署が違います。
表は横にスクロールして確認できます。
| 税務署 | 管轄する区 |
|---|---|
| 福岡税務署(中央区天神) | 中央区・南区 |
| 博多税務署(東区馬出) | 博多区・東区の一部 |
| 香椎税務署(東区千早) | 東区の一部 |
| 西福岡税務署(早良区百道) | 西区・城南区・早良区 |
紛らわしいのは東区です。
馬出・箱崎・松島などは博多税務署、香椎・名島・和白などは香椎税務署という形で、町丁目ごとに振り分けられています。
博多税務署が東区馬出にあるという所在地も、間違えやすいところです。
自分の住所がどちらになるかは、国税庁の一覧でお確かめください。
申告書に「措法35条3項」と書く
譲渡所得の内訳書と確定申告書には、この特例を使うことを示す記載が必要です。
国税庁は、確定申告書に「措法35条3項」と記載するよう案内しています。
措法とは租税特別措置法の略です。
自宅を売ったときの3,000万円控除は同じ35条の別の項なので、どちらを使うのかがこの記載で分かれます。
福岡国税局は、相続した空き家を売った場合のチェックシートを年分ごとに公開しています。
要件に「はい」「いいえ」を付けながら進む形なので、添付書類の漏れを自分で確かめられます。
書類が揃わないときは、何から動きますか
先に相続登記です。
登記が被相続人の名義のままだと、売ること自体ができません。
そして登記が終わっていないと、確認書の申請に必要な登記事項証明書も現状のままになります。
相続登記が終わっていないと始まらない
相続登記は2024年4月から義務化されています。
相続人が多い、戸籍をたどる範囲が広いという場合、登記だけで数か月かかることも珍しくありません。
控除の期限は相続の開始があった日から3年目の年末までなので、登記の時間を見込んでおく必要があります。
登記が未了のまま売る相談をどう進めるかは、相続登記していない家は売れる?に書きました。
相続した実家を売るまでの全体の流れは、相続した実家を売却する流れでご確認いただけます。
税額の判断は税理士、登記は司法書士
控除を使ったあとの税額がいくらになるか、ほかの特例とどちらが有利かという判断は税理士の仕事です。
登記の手続きそのものは司法書士の仕事です。
当社は連携している専門家へおつなぎするところまでをお手伝いしています。
数字の感覚としては、控除が使えるかどうかで差が大きく出ます。
譲渡所得が1,000万円だった場合、控除が使えれば課税される所得は0円です。
使えなければ、長期譲渡所得の税率20.315%で約203万円の税額になります。
売り方を決める前に、控除が使える家なのかを確かめる価値があるのはこのためです。
この203万円という数字は、売却価格ではなく譲渡所得にかかる税額です。
譲渡所得は、売った価格から取得費と譲渡費用を引いた残りで、売却価格そのものではありません。
福岡市の実家を相続して、売るかどうか迷っている段階でしたら、所在地と相続の時期をお聞かせください。
控除の期限に間に合う進め方があるかどうかを、資料を見ながら一緒に整理します。
価格の目安を知りたい場合は、無料査定のご依頼からお受けしています。
