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相続公開 2026.11.03

相続人が全国にバラバラ|実家を売るまでの順番と日数

野上俊彦執筆・監修:野上俊彦株式会社おもいで不動産 代表取締役/宅地建物取引士
野上俊彦執筆・監修:野上俊彦代表取締役/宅地建物取引士

相続人が東京・大阪・福岡に分かれていても、実家は売れます。

全員が一か所に集まる必要はありません。

ただし、売るには相続人全員の同意が要ります。

この記事は、親の家を売るために代表して動き始めた方へ、戸籍の集め方から遺産分割協議書の回し方まで、順番と日数を書きました。

福岡市内の実家について、相続人が県外にいるご相談は当社の日常です。

目次1. 相続人が全国に散らばっていても、実家は売れますか?
2. 遠方の相続人の戸籍は、誰が取るのですか?
3. 遺産分割協議書は、どの順番で回すのですか?
4. 一人でも反対したら、どうなりますか?
5. 代表して動く人は、何を引き受けるのですか?
6. 福岡市の実家を売るときの順番

相続人が全国に散らばっていても、実家は売れますか?

売れます。

相続人がどこに住んでいるかは、売れるかどうかを左右しません。

決め手になるのは、全員の同意が取れるかどうかだけ。

同意が取れていれば、書類は郵送で回せます。

当社が扱う相続の売却でも、相続人全員が福岡市内にいる例は少数です。

全員が集まる必要はない

遺産分割の話し合いは、電話やオンラインでもできます。

法律は、相続人が同じ部屋に集まることを求めていません。

必要なのは、内容に全員が納得していることと、その内容を書いた1通の書類に全員が署名して実印を押すことです。

書類を1人ずつ郵送で回していく方法を、持ち回り調印と呼びます。

売買契約の段階でも同じやり方を使えます(福岡へ一度も行かずに売れる?)。

話し合いで決まったことは、短いメモにして全員へ送ってください。

電話だけで進めると、半年後に「そんな話は聞いていない」が出ます。

当社が相続のご相談で最初にお願いしているのも、この記録を残すことです。

代表1人の判断では売れない

相続した家は、遺産分割が済むまで相続人全員の共有です。

共有物を売るには、持分を持つ全員の同意が必要になります。

長男だからという理由で、ひとりの判断で売ることはできません。

同意が取れないまま進めた場合、売買契約の前に止まります。

同意が得られないときの選択肢は、別の記事にまとめました(共有名義の不動産は売れる?)。

遠方の相続人の戸籍は、誰が取るのですか?

その相続人自身が、お住まいの最寄りの窓口で取る形がいちばん早く終わります。

2024年3月1日から、本籍地が全国どこにあっても、最寄りの市区町村の窓口で戸籍証明書を請求できる形になりました。

この仕組みを広域交付と呼びます。

以前は、本籍地が変わるたびに、その市区町村へ郵送で請求していました。

親が転勤の多い人生を送っていた場合、戸籍をたどるだけで1か月以上かかる例もありました。

窓口の場所と、そろうまでの日数は別の記事にまとめています(戸籍は広域交付で1か所)。

出典:法務省 戸籍法の改正(広域交付)

誰の戸籍が、誰に取れるか

請求できるのは、本人・配偶者・直系尊属・直系卑属に限られます。

直系尊属は父母や祖父母、直系卑属は子や孫のこと。

つまり、親の戸籍は子が広域交付で取れます。

一方で、兄弟姉妹の戸籍は広域交付の対象外です。

子のいない兄が亡くなり、弟が相続人になった場合、兄の戸籍の請求先は本籍地の市区町村。

気をつけたいのは、きょうだいが先に亡くなっていて、その子である甥や姪が相続人になっている場合です。

甥や姪から見た伯父や叔母は直系ではないため、やはり本籍地への請求になります。

この割り振りを先に紙に書き出してから、誰がどこへ行くかを決めてください。

遠方の相続人に頼むときの伝え方

広域交付は、郵送での請求ができません。

代理人に頼むこともできない形になっています。

請求できる人が、自分で窓口へ行く必要のある仕組みです。

その際、顔写真付きの身分証明書の提示を求められます。

つまり、代表者が全員分をまとめて取ることはできません。

遠方の相続人へ連絡するときは、何の戸籍を何通、いつまでに取ってほしいかを文面にして送ってください。

当社が代表者の方へお渡ししているのも、この依頼文の形です。

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遺産分割協議書は、どの順番で回すのですか?

先に内容を全員で固めてから、書類を1人ずつ回します。

署名を集めながら内容を相談すると、途中で修正が入って振り出しに戻ります。

当社が売主にお伝えしているのは、文面を確定させるまで印鑑を動かさないことです。

文面に入れるのは、誰がどの財産を取得するかと、不動産の表示です。

不動産の表示に写すのは、登記に書かれているとおりの地番と家屋番号。

住所の表記で書いた協議書は、登記の申請で直しを求められる回があります。

地番と家屋番号の確かめ方は、登記事項証明書を1通取るだけです。

売って現金で分ける方針も、協議書に書いておくと、あとの説明が短くなります。

回す順番は、連絡が取りやすい人から始めるほうが早く終わります。

最後に残った1人が止まると、それまでの全員の署名が無駄になる形。

回す順番と、1人あたりの日数

1人のところに書類が届き、署名して次へ送り出すまでの日数が全体を決めます。

郵便の往復で2〜4日、本人が印鑑証明書を取りに行く日を足して、1人あたり1週間前後が目安です。

相続人が4人なら、単純に足して1か月ほど。

年末年始や連休をまたぐと、さらに伸びます。

書類を送るときは、記録が残る方法を使ってください。

当社がお勧めしているのは、返信用の封筒と、押す場所に付せんを貼った協議書を一緒に送る形。

どこに何を押すのか分からないまま届くと、電話で確かめる往復がもう1回増えます。

急ぐ場合は、司法書士が同じ文面を複数通作り、並行して署名を集める方法もあります。

その場合の費用と可否は、依頼する司法書士に確かめてください。

印鑑証明書は、全員分をそろえる

遺産分割協議書には、相続人全員の実印と印鑑証明書が要ります。

印鑑証明書には有効期限があり、登記で使える期間が決まっています。

先に取った人の証明書が期限切れになると、取り直しです。

実印を登録していない相続人がいる場合は、その人の印鑑登録から始めます。

登録は住んでいる市区町村の窓口で、本人が身分証明書を持って行えば手続きできます。

通数と期限の数え方は、別の記事にまとめました(印鑑証明書は売却で何通必要?)。

海外に住んでいる相続人は、印鑑登録が無いため署名証明を使います(海外在住のまま日本の家は売れる)。

協議書ができたら、相続登記へ進む

亡くなった方の名義のままでは、家は売れません。

遺産分割協議書と戸籍を添えて、相続登記を申請します。

ほかに要るのは、亡くなった方の住民票の除票、相続人の住民票、固定資産の評価証明書など。

相続人が各地にいる場合、この書類集めも分担になります。

登記そのものは司法書士に依頼でき、当社も福岡市内の司法書士をご紹介しています。

福岡市内の不動産の窓口は、福岡市中央区舞鶴にある福岡法務局(本局)です。

市内でも管轄が分かれる区があるので、申請の前に確かめてください(戸籍は広域交付で1か所)。

相続登記の申請は2024年4月から義務になり、期限は相続を知った日から3年。

売る予定があってもこの期限は動かないので、先に登記を済ませてください(相続登記が義務化)。

出典:法務省 相続登記の申請義務化

一人でも反対したら、どうなりますか?

売れません。

全員の同意が条件なので、9人が賛成して1人が反対すれば、そこで止まります。

反対の理由は、金額への不満だけではありません。

実家に思い入れがある、いまの住まいを失うのが不安、兄弟への感情が残っている、という理由も現場では出ます。

止まったときに最初にやることは、反対している人が何に反対しているのかを分けて聞くことです。

分け方は3つ。

金額に反対なのか、売る時期に反対なのか、売ること自体に反対なのか。

どれに当たるかで、打つ手が変わります。

金額なら査定の根拠を見せれば動く場合があり、時期なら売出しを遅らせる相談ができます。

売らずに持ち続ける場合に残るのは、固定資産税と、空き家の管理です。

その負担を誰が持つのかも、同じ話し合いの中で決めてください。

共有のまま売るという選択は、現実的ではない

自分の持分だけを売ることは、法律上できます。

ただし、持分だけを買う相手は限られ、価格も大きく下がります。

買い取るのは共有持分を専門に扱う業者で、残った親族との交渉が前提になるためです。

その後の展開は、別の記事に書きました(共有名義の不動産、片方だけで売れる?)。

話し合いが動かないときの手続き

遺産分割がまとまらないときの道が、家庭裁判所の調停です。

すでに共有になっている不動産なら、共有物分割請求という手続きも選べます。

どちらも時間と費用がかかるため、当社は先に話し合いの材料を揃えることを勧めています。

材料とは、査定額と、売ったあとに各自へ入る金額のことです。

裁判例を含む流れは、別の記事にまとめました(共有物分割請求とは?)。

代表して動く人は、何を引き受けるのですか?

代表者が引き受けるのは、窓口の一本化と、書類と費用の管理です。

法律上の代表者という立場が生まれるわけではありません。

決める権利は相続人それぞれに残ります。

当社が代表者に確認しているのは、誰に何をどこまで伝えてよいかという線引きです。

連絡の窓口を1人にまとめる

不動産会社からの報告先が5人に分かれると、聞いた話が人によって食い違います。

そこで当社が取るのは、代表者1人へ報告し、代表者から他の相続人へ伝える形。

内覧の希望や価格の相談も、この順路で回します。

ただし、重要事項の説明と契約の意思確認は、相続人それぞれに対して行う手順です。

伝言で済ませられない部分が残ると考えてください。

立て替えた費用は、売却代金で精算する

代表者が立て替えた戸籍の手数料や登記の費用は、売却代金から精算するのが一般的な形です。

領収書を1つの封筒にまとめておくと、精算のときに揉めません。

福岡市の区役所で取る戸籍の手数料は、戸籍謄本450円、除籍・改製原戸籍750円です(売却の窓口一覧)。

1通ずつは小さい額ですが、相続人が多いと数十通になります。

遠方へ行く交通費や、司法書士への報酬をどう分けるかも、先に決めておいてください。

当社がご相談の最初に確認しているのは、この立替えを誰が持つかという点です。

委任状で代理できる範囲

契約や決済に全員が立ち会えない場合、委任状で代理人を立てられます。

委任状には、委任する相手と、委任する行為の範囲を書きます。

白紙委任は、あとで争いの種になるので使いません。

代理人と持ち回りの順番は、別の記事にまとめました(共有名義の売却で使う委任状)。

福岡市の実家を売るときの順番

最後に、やることを順に並べます。

順やることどこで
1戸籍を集めて相続人を確定する最寄りの市区町村(広域交付)
2査定を受けて、分ける金額の見込みを作る不動産会社
3遺産分割の内容を全員で固める電話・オンライン
4協議書を持ち回りで署名・押印郵送
5相続登記を申請する福岡法務局(本局)
6売出し・契約・決済不動産会社・司法書士

2を1の次に置いているのには理由があります。

分ける金額の見込みが無いまま話し合うと、賛成も反対も決めようがありません。

査定は相続登記の前でも受けられます。

1から6までの合計は、相続人が4人前後で3〜6か月ほど。

長くかかるのは話し合いと持ち回りで、売出しから決済までの期間は通常の売却と変わりません。

相続人が各地にいる場合の進め方も含めて、まずは物件の情報をお知らせください(無料査定のご相談)。

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この記事の目次1. 相続人が全国に散らばっていても、実家は売れますか?
2. 遠方の相続人の戸籍は、誰が取るのですか?
3. 遺産分割協議書は、どの順番で回すのですか?
4. 一人でも反対したら、どうなりますか?
5. 代表して動く人は、何を引き受けるのですか?
6. 福岡市の実家を売るときの順番
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