福岡へ一度も行かずに売れる?4工程の進め方
執筆・監修:野上俊彦株式会社おもいで不動産 代表取締役/宅地建物取引士
執筆・監修:野上俊彦代表取締役/宅地建物取引士福岡市にある不動産は、県外に住んだまま、一度も福岡へ来ずに引渡しまで終えられます。
売主の側に、来福が欠かせない工程はありません。
代わりに動くのは、郵送・オンライン面談・電磁的方法での交付・司法書士の立会いの4つです。
この記事では、査定・媒介契約・売買契約・決済の工程ごとに、何が郵送で、どこがオンラインで済むのかを順に書きます。
読んでいただきたいのは、県外にお住まいで、福岡に実家や住戸を持っている方です。
2. 査定と媒介契約は、どこまで郵送でできますか
3. 売買契約の持ち回り調印はどんな順番ですか
4. 電子契約でできる範囲はどこまでですか
5. 決済は来福なしでできますか
6. 県外から始めるときの最初の一歩
一度も福岡へ行かずに売れますか
売主が福岡へ来なければ進まない工程は、ありません。
工程ごとに、来福の代わりになる手段が用意されています。
4つの工程と、来福の代わりになる手段
売却は査定・媒介契約・売買契約・決済の4工程で進みます。
| 工程 | 来福 | 代わりになる手段 |
|---|---|---|
| 査定 | 不要 | 資料の送付とオンライン面談。現地は当社が見る |
| 媒介契約 | 不要 | 郵送での調印、または電磁的方法での交付 |
| 売買契約 | 不要 | 持ち回り調印。重要事項説明はオンラインで受ける |
| 決済 | 不要 | 司法書士への委任。代金は口座へ振込 |
4つのうち、段取りの説明がいちばん長くなるのは売買契約です。
署名した書類が人の手を回るので、順番と日数を先に決めておきます。
顔を合わせるのはオンライン面談だけ
当社は媒介契約の前に、オンラインの面談を行っています。
画面越しに確認するのは、売る理由・希望の時期・手元に残したい金額の3つ。
ここを飛ばすと、出した価格の根拠が売主の事情と合わなくなります。
面談の時間だけは取っていただきますが、移動は要りません。
面談のあとは、現地の写真と近隣の様子を当社が報告します。
見ていない家の話を電話だけで進めると、売主の判断の材料が足りなくなります。
押さえる写真は、外観・室内・境界・近隣の道路の4種類です。
物件も所有者も県外という案件を扱ってきました
当社は福岡市博多区千代の会社ですが、県外の不動産も預かってきました。
愛媛県松山市の土地は、姉弟で相続された方からのご依頼で、ご自宅は関東でした。
熊本市中央区の土地は、AI査定とオンライン勉強会がきっかけのご相談です。
埼玉県桶川市の戸建ては、オンラインで打ち合わせをした2日後に、媒介契約書が郵送で戻ってきました。
実際の案件は売却事例に載せています。
なお、売りたい物件そのものが福岡市以外にある場合の入口は福岡市以外の物件です。
福岡市内の物件で、ご本人だけが県外という場合は遠方からの売却がその入口になります。
査定と媒介契約は、どこまで郵送でできますか
査定は資料だけで出せますし、媒介契約も郵送か電磁的方法で結べます。
売主に用意していただくのは、物件の資料と本人確認の書類です。
査定は資料と現地の写真で進む
査定に使うのは、登記事項証明書・間取り図・固定資産税の納税通知書あたりです。
マンションなら管理費と修繕積立金の金額、戸建てなら境界の資料も見ます。
建物の中の様子は、当社が現地へ行って写真を撮り、報告します。
金額だけ先に知りたい方の入口がAI査定です。
書類がそろう前でも査定は始められます。
そろえる順番は売却に必要な書類にまとめています。
福岡市の証明書は郵送とオンラインで取れる
固定資産評価証明書は、福岡市なら県外からでも郵送で取り寄せ可能。
送り先は、博多区役所9階にある福岡市税証明郵送請求センターです。
同封するのは、申請書・本人確認書類の写し・定額小為替・切手を貼った返信用封筒の4点です。
手数料は1件300円で、定額小為替は郵便局で買います。
返信用封筒の切手は、50グラム以内の定形で110円分が目安です。
受付から返送までは1週間程度を見ておきます。
オンライン申請なら手数料は250円で、郵送料も令和9年3月31日まで無料です。
ただし代理人による請求は、オンラインではできません。
どの手続きをどこの窓口でするかは福岡市の手続き窓口にまとめました。
媒介契約書は郵送か電子交付の2通り
媒介契約書は、郵送で署名して返送するか、電磁的方法で受け取るかを選べます。
郵送の場合、当社が送って売主が署名し、返送された時点で成立します。
追跡できる方法で送れば、いつ届いていつ戻ったかが日付で残る形です。
契約の種類は3つで、違いは媒介契約の種類に並べています。
結んだあとの進み方は売却の流れで11のステップに分けました。
内覧に立ち会う必要はありません
空室であれば、当社が鍵を預かって買主を案内します。
案内の結果と買主からの質問は、そのつど売主へ伝えます。
価格を下げるかどうかを決める材料は、案内の件数と質問の中身です。
反響が出ない月に値段だけ動かすと、下げた理由が残りません。
家財が残ったままでも、片付けのために帰省しなくて構いません。
居住中のまま売る場合だけは、内覧の日時に在宅していただく形になります。
売買契約の持ち回り調印はどんな順番ですか
持ち回り調印は、契約書を手で回して、売主と買主が別々に署名する方法です。
回る順番と、手付金をいつ受け取るかを、契約の前に決めます。
署名が回る順番
順番は、重要事項説明・買主の署名・売主への郵送・売主の署名・返送の5段です。
重要事項説明は、宅地建物取引士が説明します。
オンラインで受けられるので、売主も買主も移動は要りません。
売主の署名が戻るまで、契約は成立していません。
この間に買主の気が変わると、契約の前で止まることもあります。
だから回す日数は短いほうがよく、郵送の往復に使うのは追跡できる方法です。
手付金の受け取り方
手付金は、売主の口座への振込で受け取る形が県外では通ります。
現金の授受が無いので、立ち会う必要がありません。
入金を確認してから、売主が署名した契約書を返送する順番にしておきます。
逆にすると、契約書だけ先に渡して入金を待つ形です。
金額の決め方は手付金はいくらが相場?で上限まで書いています。
止まりやすいところ
止まりやすいのは、買主の住宅ローンの審査と、売主側の書類の不足です。
審査にかかる日数は物件と金融機関で変わるので、契約書に期限を入れておきます。
書類の不足のほうが厄介で、県外だと取り直しに郵送の往復が足されます。
だから契約の前に、足りない書類を全部洗い出しておく段取りです。
日数の決まり方を4つの要因に分けたのが契約から引渡しまでは何日?です。
電子契約でできる範囲はどこまでですか
重要事項説明書・売買契約書・媒介契約の書面は、電磁的方法で受け取れます。
この扱いが始まったのは、令和4年5月18日の改正からです。
令和4年5月18日からできるようになったこと
この改正で、宅地建物取引士の押印が不要になりました。
あわせて、重要事項説明書・契約締結時の書面・媒介契約の書面を電磁的方法で提供できるようになっています。
提供の方法は、電子メール・ダウンロード方式・記録媒体の手渡しや郵送から選びます。
どの方法で送るかは、事前に相手方と確かめておく決まりです。
出典:国土交通省 書面の電子化
オンラインで重要事項説明を受けるとき
画面越しの重要事項説明には、満たすべき条件が4つあります。
1つめは、図面と説明の内容が分かる程度に映像が見え、双方の音声が聞き取れて、やりとりができる環境です。
2つめは、宅地建物取引士が記名した書類を、説明の前に売主と買主へ送っておくこと。
3つめは、相手方が書類を見ながら聞ける状態かと、映像と音声の状況を、説明の前に確かめること。
4つめは、宅地建物取引士証を画面に映し、相手方が読めたことを確認することです。
説明の途中で映像か音声に不具合が出たら、ただちに中断します。
通信の弱い場所から参加すると、そこで止まって日程を取り直すことになります。
相手方の承諾が要る
電磁的方法で提供するには、受け取る側の承諾が必要です。
承諾していない方へ、こちらの都合で電子交付に切り替えることはできません。
紙で受け取りたい方は、紙のまま進められます。
画面の文字が読みにくい方には、紙のほうが確かめやすい形です。
電子にすると印紙税がかからない
紙の契約書には印紙税がかかりますが、電磁的記録には課されません。
国税庁は、課税の対象が課税物件表に掲げられた文書であり、電磁的記録は文書に含まれないとしています。
福岡国税局の回答事例でも、データで送ったあとに現物を交付すれば、その現物に課税されるとされています。
つまり分かれ目は、紙を1通も作らずに終えられるかどうかです。
売主と買主の双方が電子交付を承諾しないと、この形は取れません。
決済は来福なしでできますか
決済も、司法書士への委任と振込で、来福なしで終えられます。
当日に福岡で動くのは、司法書士・買主・当社の3者です。
司法書士の立会いと委任状
登記の手続きは、買主が依頼した司法書士が担当します。
売主は、委任状と印鑑証明書を事前に送ります。
売主の本人確認と意思確認は、決済の前に司法書士が行う手順です。
電話かオンラインでの確認になるので、その時間を空けておいてください。
印鑑証明書には有効期限があるので、取る時期を決済日から逆算します。
通数と期限の数え方は印鑑証明書は売却で何通必要?にまとめました。
事前に送るもの、当日に動くお金
事前に送るのは、委任状・印鑑証明書・鍵・設備の説明書などです。
残代金は、売主の口座へ振り込まれます。
振込の確認が取れた時点で、登記の申請に進みます。
当日の動きを1時間の単位まで書いたのが決済・引渡し当日の流れです。
手取りの計算は手取りの試算で先に見ておくと、振込額の予想が立ちます。
残代金のほかに、固定資産税を日割りで精算した額も動きます。
精算の起点になる日は地域で違うので、福岡市の数え方を固定資産税の日割り精算に書きました。
鍵と残置物の引き渡し
鍵は、宅配便で司法書士か当社へ事前に送ります。
玄関のほか、勝手口・門扉・郵便受け・倉庫の鍵も本数を数えてまとめてください。
本数が足りないときに書いておく先が、契約書の特約の欄です。
家具や家電を置いたまま売る場合、撤去するか残すかを契約で決めます。
残置物のまま進める方法もあるので、片付けのために帰省する必要はありません。
撤去を当社や業者に任せる場合は、その費用を手取りから引いて考えます。
県外から始めるときの最初の一歩
最初にやることは、物件の資料を探すことと、相談の入口を1つ選ぶことの2つです。
どちらも手元の携帯とパソコンで終わります。
福岡まで来る日程を空ける必要は、この時点でもありません。
資料は、登記事項証明書・間取り図・固定資産税の納税通知書の3点から探してください。
見つからない書類があっても、相談は始められます。
ひとつ先に確かめてほしいのが、登記に載っている住所です。
福岡を離れたときに登記の住所を直していないと、決済の前に住所変更登記が必要になります。
手順と費用は売却前の住所変更登記にまとめています。
価格だけ知りたいなら無料査定、進め方を聞きたいなら15分無料相談からどうぞ。
相続した実家を手放す話であれば、期限のことを県外の実家を現地に行かずに売る方法にまとめました。
