売り出し1か月・2か月・3か月|順調かを見る数字
執筆・監修:野上俊彦株式会社おもいで不動産 代表取締役/宅地建物取引士
執筆・監修:野上俊彦代表取締役/宅地建物取引士売り出してから1か月が過ぎて、このままで良いのかが分からない。
売り出し中の売主から、当社はこのご相談をよくいただきます。
判断に使うのは、価格が高いか安いかではありません。
見るのは「ポータルサイトで見られた数」「問い合わせの数」「内覧の組数」という3つの数字で、1か月目・2か月目・3か月目で見る場所が変わります。
この記事でご説明するのは、月ごとにどの数字を見て、動かすなら何を先に動かすかです。
福岡市は区と種別で取引の母数が20倍ちがうため、同じ「内覧0組」でも意味が変わります。
その母数の数え方も、7区の実数で載せました。
2. 2か月目に動かすなら、何を先に動かしますか
3. なぜ3か月で区切るのですか
4. 福岡市の売却期間の目安と、どう照らしますか
5. 3か月を過ぎても売れないとき、選べるのは3つ
6. まず何から始めればよいですか
売り出しから1か月で、順調かどうかはどこを見ますか
1か月目に見るのは内覧の組数ではなく、ポータルサイトで見られた数と問い合わせの数です。
1か月目は「見られているか」だけを見る
売り出した直後は、物件情報が新着として各サイトの上位に出ます。
この期間に見られた数が伸びていないなら、原因は価格ではなく掲載の中身にあります。
当社が最初の判断をするのは、売り出しから3〜4週間の反響です。
問い合わせ自体が少ないときは価格、内覧はあるのに決まらないときは室内の見せ方に原因があることが多いためです。
1か月目で内覧が0組でも、閲覧が伸びていれば様子を見る判断になります。
逆に、閲覧が最初の1週間だけで止まっているなら、2か月目を待たずに手を入れます。
見るのは先週と今週の差です。
他社の物件の数字は手に入らないので、比べる相手はご自分の物件の前回の報告だけになります。
1か月目の報告が2回しか来ていないなら、専任媒介なら決まりどおりの回数です。
専属専任媒介で2回しか来ていないときは、回数が足りていません。
福岡市は区と種別で母数が20倍ちがう
「1か月で内覧が1組もない」が異常かどうかは、その区でその種別が月に何件売れているかで変わります。
国土交通省の取引価格情報で、2024年第2四半期から2026年第1四半期までの2年間を数え、24か月で割った件数が下の表です。
| 区 | マンション | 戸建て | 土地 |
|---|---|---|---|
| 東区 | 月23件 | 月12件 | 月10件 |
| 博多区 | 月40件 | 月4件 | 月6件 |
| 中央区 | 月46件 | 月2件 | 月5件 |
| 南区 | 月19件 | 月9件 | 月7件 |
| 城南区 | 月6件 | 月6件 | 月4件 |
| 早良区 | 月11件 | 月10件 | 月8件 |
| 西区 | 月10件 | 月9件 | 月7件 |
マンションは中央区の月46件に対して城南区が月6件で、約8倍の差があります。
城南区のマンションを売り出していて、1か月目に内覧が入らないこと自体は珍しくありません。
戸建てはこの関係が逆になり、東区の月12件に対して中央区は月2件でした。
いちばん多い中央区のマンション46件と、いちばん少ない中央区の戸建て2件では、20倍以上のひらきです。
月2件しか動かない種別で、1か月の内覧0組を根拠に価格を下げるのは早すぎます。
ご自分の区と種別の件数は、福岡市の売却相場の各区のページでご確認ください。
出典:国土交通省 不動産情報ライブラリ(取引価格・地価公示)
1か月目の値下げは早すぎる
新着で上位に出ている間の値下げは、いちばん見られている時期の情報を自分で下げることになります。
買う側から見ると「売り急いでいる物件」に見えるため、次の値下げを待つ動きにもつながります。
1か月目にやるのは、価格ではなく写真と掲載情報の点検です。
福岡市で買主がどの経路から来ているかは、反響の4つの経路にまとめています。
2か月目に動かすなら、何を先に動かしますか
価格より先に、写真・掲載情報・内覧の受け方を見直します。
閲覧はあるのに問い合わせが0のとき
見られているのに連絡が来ないのは、載っている情報だけでは判断できないという意味です。
写真の枚数、水回りの写真があるか、間取り図の向き、周辺の学校やスーパーまでの距離が書かれているかを確かめてください。
福岡市の物件なら、学校区と最寄りのバス停は買う側がよく聞く項目です。
地下鉄の駅から離れた住宅地では、バスの本数が通勤の判断材料になるためです。
写真を撮り直すのは、晴れた日の午前中が1回で済みます。
掲載の中身で抜けやすいのは次の5つです。
- 水回り(台所・浴室・洗面・トイレ)の写真
- バルコニーや庭から外を見た写真
- 最寄り駅とバス停までの徒歩の分数
- 小学校と中学校の校区名
- 管理費・修繕積立金・駐車場の月額(マンション)
この5つが埋まっていない状態で価格を下げても、買う側の判断材料は増えません。
内覧はあるのに申込みが0のとき
人が来ているなら、情報は足りています。
残るのは室内の印象と、内覧のときに答えられなかった質問です。
照明を全部つける、カーテンを開ける、玄関と水回りの荷物を減らす、この3つで印象は変わります。
不具合を聞かれて答えに詰まったところは、次の内覧までに調べておきます。
内覧を受けられる日が土日の午後だけになっていないかも確かめてください。
買う側は1日に3件から4件をまとめて見るので、時間帯が合わないと候補から外れます。
閲覧そのものが伸びないとき
ここで初めて価格と掲載先を疑います。
ご自分の物件がレインズに登録され、他社からも紹介できる状態になっているかを確かめてください。
登録証明書は媒介契約を結んだ不動産会社が発行します。
確かめ方はレインズの登録証明書の見方でご確認ください。
価格を疑う段に入ったら、査定額との差をどう付けたかをもう一度見ます。
値付けの考え方は売り出し価格の決め方に書いています。
なぜ3か月で区切るのですか
専任媒介契約と専属専任媒介契約の有効期間が、宅地建物取引業法で3か月を上限と決められているためです。
3か月は期限ではなく判断日
3か月で売れなければ失敗、という区切りではありません。
更新するか、別の会社に替えるか、売り方そのものを変えるかを決める日が自動で来るしくみです。
期間が過ぎても自動では続かないので、更新しなければ媒介契約は終わります。
更新の前に確かめるのは3つです。
- 閲覧・問い合わせ・内覧の3つの数字が、3か月でどう動いたか
- 価格を動かしたなら、その前後で数字が変わったか
- 次の3か月で何を変えるかを、会社から具体的に言えるか
3つ目が出てこないまま同じ条件で更新すると、同じ3か月をもう一度使います。
一般媒介契約には、法律で決められた期間の上限がありません。
当社は一般媒介でも3か月を目安にしています。
区切りが無いと、見直す日が来ないまま売り出しが続くためです。
報告の回数も契約の種類で決まっている
専属専任媒介なら1週間に1回以上、専任媒介なら2週間に1回以上、不動産会社は売主へ活動を報告します。
3か月だと、専属専任で12回以上、専任で6回以上の報告が手元に残る計算です。
1回だけ見ても判断できないので、3回ぶん並べて、閲覧・問い合わせ・内覧がどう動いたかを見てください。
報告書のどこを見るかは活動報告書はどこを見るかに書いています。
契約の種類ごとの違いは媒介契約の種類のページでご確認いただけます。
福岡市の売却期間の目安と、どう照らしますか
ご相談から引渡しまでの目安は3〜6か月で、そのうち日数が読めないのは販売期間だけです。
読める工程と読めない工程を分ける
買主が決まってから引渡しまでは、1か月前後でおおむね読めます。
住宅ローンの本審査と決済の日取りが、ある程度の型で決まっているからです。
売り出す前の準備にも1か月ほどかかります。
登記事項証明書や固定資産税の納税通知書を集める時間と、土地なら境界の確認が入るためです。
要る書類は売却に必要な書類のページにまとめています。
読めないのは、売り出してから買主が決まるまでの期間だけです。
引渡したい日が決まっている方は、その日から逆に数えて販売期間に何か月使えるかを先に出しておきます。
逆算の仕方は福岡市の不動産売却にかかる期間をご覧ください。
残り時間と母数を並べて見る
販売期間に使える月数と、その区のその種別が月に何件動いているかを並べると、いまの状況が読めます。
| 経過 | 見る数字 | 動かすもの |
|---|---|---|
| 1か月 | 閲覧数の伸び | 写真・掲載情報 |
| 2か月 | 問い合わせ・内覧の組数 | 見せ方・内覧の受け方 |
| 3か月 | 3回ぶんの報告の推移 | 価格・契約・売り方 |
販売期間に3か月使えるなら、見直す回が3回あります。
残り1か月なら、見直せるのは1回だけです。
回数が少ないほど、価格と売り方を同時に並べて考えることになります。
残り2か月しか無いのに、月2件しか動かない種別を売っている場合、価格の調整だけでは期日に届かないことがあります。
その段階で買取という選択肢を並べておくと、期日の前に慌てません。
3か月を過ぎても売れないとき、選べるのは3つ
選ぶのは、価格を動かす・売り方を変える・時期をずらす、この3つです。
価格を動かすなら、下げ幅と時期をまとめて決める
小刻みに下げると、買う側に「まだ下がる」と読まれて様子見が長引きます。
検索の価格帯の区切りをまたぐ幅で、1回で動かすほうが反応が出ます。
3,080万円で止まっている物件を2,980万円にすると、3,000万円以下で検索している人の一覧に初めて入る形です。
100万円の差で入る一覧が変わるので、下げ幅は区切りから逆に決めます。
時期と下げ幅の決め方は売り出し3か月目の価格変更をご覧ください。
売り方を変える・時期をずらす
引渡しの期日が迫っているなら、仲介から買取や買取保証へ切り替える判断もできます。
買取は価格が仲介より下がる代わりに、日数が読めます。
4つの売り方の違いは仲介・買取・じぶん売却・リースバックの比較でご覧ください。
期日が無いなら、いったん売り出しを止めて時期をずらす選択もあります。
同じ物件が長く出ていると、買う側に「売れ残り」として記憶されるためです。
止めている間に、内覧で答えられなかった不具合を直しておくこともできます。
再開したときは新着として扱われるので、1か月目の見方がもう一度使えます。
まず何から始めればよいですか
手元の活動報告書を3回ぶん並べて、閲覧・問い合わせ・内覧の組数を書き出してください。
その3つのうちどこで止まっているかで、次に動かすものが決まります。
閲覧で止まっているなら掲載の中身、問い合わせで止まっているなら見せ方、内覧で止まっているなら価格と条件です。
報告書が手元に無いときは、媒介契約書の報告の条項を読んで、日付を入れて求めてください。
数字の読み方に迷ったときは、15分無料相談で報告書を見ながら一緒に確かめます。
他社で売り出し中の物件についても、当社は相談だけでお受けしています。
いまの価格が福岡市の相場と合っているかを確かめたい方は、無料査定をご利用ください。
