空き家を1年放置すると年間いくら?費用の内訳
執筆・監修:野上俊彦株式会社おもいで不動産 代表取締役/宅地建物取引士
執筆・監修:野上俊彦代表取締役/宅地建物取引士相続した実家を、まだどうするか決められないまま空き家にしている。
この記事は、その家が1年でいくら出ていくのかを数字で把握するために書いています。
福岡市内の土地150㎡・築45年の戸建てを例に積み上げると、保険料を除いて年24万7,000円ほどになりました。
内訳は、固定資産税と都市計画税が9万1,000円、月1回の管理が14万5,200円、水道の基本料金が1万1,000円ほどです。
当社は福岡市博多区で売却と空き家管理のご相談を受けていますが、この金額を見てから売却を決める方が多くいらっしゃいます。
2. 固定資産税と都市計画税は、年いくらになりますか
3. 勧告を受けると、税金は何倍になりますか
4. 税金以外に、毎年出ていくものは何ですか
5. 売った場合と持ち続けた場合は、何年で差が付きますか
6. 福岡市で、まず何から確かめますか
空き家を1年放置すると、いくらかかりますか
福岡市の一例で、保険料を除いて年24万7,000円ほどです。
この金額は「必ず出るもの」と「選べるもの」に分かれます。
固定資産税と都市計画税は、持っているだけで必ず請求されます。
管理費と水道は、どこまで手を入れるかで変えられる部分です。
火災保険を表から外したのは、建物の構造と補償の範囲で金額が大きく変わるためです。
なお、同じ区内にお持ちの土地の課税標準額の合計が30万円未満、家屋が20万円未満なら、福岡市では固定資産税がかかりません。
評価額の低い郊外の家では、税金の欄が0円になることもあります。
1年分を1枚に並べると、こうなります
前提は、福岡市の市街化区域にある土地150㎡の戸建てです。
土地の評価額を1,200万円、家屋の評価額を300万円としました。
表は横にスクロールして確認できます。
| 項目 | 年額 | 変えられるか |
|---|---|---|
| 固定資産税・都市計画税 | 91,000円 | 変えられない |
| 空き家管理(月1回・室内外) | 145,200円 | プランで変わる |
| 水道の基本料金(使用量0㎥) | 11,220円 | 止めれば0円 |
| 火災保険 | 契約で変わる | 見直せる |
| 合計(保険を除く) | 247,420円 |
管理をいちばん軽いプランにすれば、合計は18万1,000円ほどまで下がります。
自分で月1回通える方なら管理費はかかりませんが、代わりに交通費と半日の時間が毎月出ていきます。
建物を解体して更地にすると、住宅用地の特例は使えません。
先ほどの例では、土地の税が4万円から20万4,000円へ上がります。
家屋の5万1,000円は無くなるので、税の合計は9万1,000円から20万4,000円です。
その代わり、室内の管理と火災保険は要らなくなります。
解体してから持ち続ける形が、税金ではいちばん重い組み合わせになります。
固定資産税と都市計画税は、年いくらになりますか
福岡市の税率は、固定資産税が1.4%、都市計画税が0.3%です。
建物が建っている土地は住宅用地として扱われ、課税標準額が下がります。
小規模住宅用地(1戸あたり200㎡まで)の部分は、固定資産税で評価額の6分の1、都市計画税で3分の1になります。
200㎡を超える部分は、固定資産税で3分の1、都市計画税で3分の2です。
土地150㎡・家屋ありの計算例
先ほどの前提で計算します。
土地150㎡は200㎡以下なので、全体が小規模住宅用地にあたります。
土地の固定資産税は1,200万円の6分の1に1.4%を掛けて2万8,000円。
土地の都市計画税は1,200万円の3分の1に0.3%を掛けて1万2,000円。
家屋は特例がないので、300万円に1.4%と0.3%をそれぞれ掛けて5万1,000円です。
合計すると9万1,000円になります。
実際の納税通知書では、土地の負担調整という別の仕組みが入るため、この計算とは数千円単位でずれます。
正確な金額は、毎年4月に届く納税通知書の課税明細を見てください。
納期は4月・7月・12月・翌年2月の4回です
福岡市の固定資産税・都市計画税は、年4回に分けて納めます。
納期は4月・7月・12月・翌年の2月です。
年9万1,000円なら、1回あたり2万2,750円ほどの納付書が届きます。
1月1日時点の所有者に課税されるので、年の途中で売っても、その年の分はご自身に請求されます。
引渡し日で日割り精算するのが通例ですが、精算金を受け取る相手は市ではなく買主です。
勧告を受けると、税金は何倍になりますか
土地の固定資産税の部分だけを見れば6倍ですが、納税通知書の総額では先ほどの例で2.8倍です。
6分の1が外れるのは土地の固定資産税だけなので、都市計画税と家屋のぶんは倍率を薄めます。
「6倍になる」という説明は土地の固定資産税を指していて、請求額全体の倍率とは違います。
2023年12月から「管理不全空家」が加わりました
以前は、特例が外れるのは「特定空家」に勧告を受けたときだけでした。
2023年12月13日に施行された改正空家法で、その一歩手前の「管理不全空家」が新しく設けられました。
放置すれば特定空家になるおそれがある家は、この段階で指導と勧告の対象になります。
特例が外れるのは、勧告が出た時点です。
福岡市は指導、勧告、命令、代執行の順に手続きを進めます。
最初に届くのは文書による指導なので、そこで動けば勧告まで行きません。
それでも動かないと、命令を経て代執行まで進みます。
代執行で市が解体した場合、その費用は所有者へ請求されます。
税の特例が外れたうえに解体費まで負うのが、いちばん重い結末です。
出典:福岡市 放置空家対策
同じ例で、特例が外れると25万5,000円になります
先ほどの土地1,200万円・家屋300万円で計算し直します。
土地の固定資産税は特例が外れて16万8,000円、都市計画税は3万6,000円になります。
家屋の5万1,000円は変わりません。
合計25万5,000円。
もとの9万1,000円から16万4,000円増えます。
管理費や水道を含めた1年の支出は、24万7,000円から41万1,000円へ跳ね上がります。
放置して起きることの全体像は空き家を放置するとどうなる?にまとめました。
税金以外に、毎年出ていくものは何ですか
毎年出ていくのは、管理・水道・電気・火災保険の4つです。
どれも金額そのものより、止めたときに何が起きるかで決めてください。
当社の空き家管理は月6,600円からです
当社は福岡市の空き家管理を、月1回の巡回と写真つき報告で承っています。
屋外の目視点検と郵便物の回収だけなら、ライトプランで月6,600円(税込)です。
室内の通風と通水まで入れるスタンダードは、月1万2,100円(税込)。
草刈り年1回と災害後の臨時点検が付くプレミアムは、月1万8,700円(税込)です。
年額にすると、7万9,200円、14万5,200円、22万4,400円という並びになります。
通常料金エリアは福岡市・糟屋郡・古賀市・福津市・宗像市・遠賀郡・北九州市・春日市・大野城市・筑紫野市・太宰府市です。
プランと作業範囲は空き家管理でご確認ください。
水道を残すと、年およそ1万1,000円です
福岡市の水道料金は、口径13mmの家事用で2か月あたり1,870円(税込・使用量0㎥)です。
1年では1万1,220円。
使っていなくても、栓を開けている間はこの基本料金がかかります。
下水道使用料も、汚水の排出量とは別に基本の使用料がかかります。
それでも止めない方がいるのは、室内の通水ができなくなるからです。
通水しない家は排水口の封水が蒸発し、下水の臭いと虫が室内へ上がってきます。
電気を止めると、点検も片付けもできなくなります
電気の契約を解約すれば、基本料金はかかりません。
その代わり、照明が使えないので室内の点検は昼間の数時間に限られます。
片付け業者や解体業者の現地調査でも、暗い部屋では写真が残りません。
売却を1年以内に考えているなら、電気は残したほうが話が早く進みます。
火災保険は、無人になったことを保険会社へ伝えます
人が住まなくなった家は、契約上の扱いが変わる場合があります。
確かめるのは3点です。
- 無人になったことを保険会社へ連絡しているか
- 住宅物件と一般物件のどちらで契約しているか
- 地震保険と水濡れの補償が付いているか
伝えていないまま事故が起きると、支払いの判断でもめます。
保険料の額は契約の内容で変わるので、証券を手元に置いて保険会社へ確認してください。
売った場合と持ち続けた場合は、何年で差が付きますか
年24万7,000円なら、10年で247万円です。
3年でも74万円、5年なら124万円が出ていきます。
30坪の木造戸建ての解体費は150〜240万円ほどなので、10年持つと解体費1回ぶんに並びます。
持ち続ける間に減るのは、建物の価値と使える特例の両方です。
3年目の年末という期限が、先に来ます
相続した家を売るときに使える空き家の3,000万円特別控除には、期限があります。
相続が始まった日から3年目の年末までに売る必要があります。
2026年に相続した家なら、2029年12月31日が締切です。
1981年5月31日以前に建てられた家であることや、売却価格が1億円以下であることも条件に入ります。
期限を過ぎると、控除が使えた場合に比べて譲渡所得税が数百万円増えることもあるのです。
逆算のしかたは空き家3,000万円控除の期限に書いています。
売り方は、片付けや解体の前に決めます
荷物が残っていても、建物が古くても、売る方法はあります。
仲介で買主を探すか、当社が直接の買主になる買取で日程を先に決めるかの2つです。
片付けや解体を先に発注してしまうと、その費用を取り戻せる価格で売れるかどうかが後から分かります。
価格と期間の比べ方は福岡の空き家は買取と仲介どちら?でご確認ください。
当社に登録のある買いたい方の条件は購入希望者の条件一覧で見られます。
売る以外に、貸すという選択もあります。
ただし貸してしまうと、空き家の3,000万円特別控除は使えません。
契約の形と売るときの税金は空き家を貸す前に決めることで比べられます。
福岡市で、まず何から確かめますか
最初に見るのは、納税通知書の課税明細と登記の名義です。
この2つが揃えば、年間の支出と、売るときに必要な手続きが決まります。
相続登記は2024年4月から義務になりました
名義が亡くなった方のままなら、売る前に相続登記が必要です。
相続登記は2024年4月から義務化され、正当な理由なく期限内に申請しないと過料の対象になります。
遺産分割が終わっていない場合に使えるのが、相続人申告登記という簡易な手続きです。
福岡市の無料相談は、毎月第2木曜日です
福岡市役所3階の住宅相談コーナーでは、空き家の相談を司法書士が受けています。
毎月第2木曜日の開催で、前日の正午までに電話で予約します。
権利関係が整理できていない家や、相続登記が済んでいない家も対象です。
売るかどうかを決める段階なら、まず無料査定で今の価格を知ってください。
年間の支出と売却の手取りを並べたいときは、空き家売却のページと手取りの試算を使ってください。
出典:福岡市 空き家相談
