再建築不可の家は売れる?福岡市の接道と43条の調べ方
執筆・監修:野上俊彦株式会社おもいで不動産 代表取締役/宅地建物取引士
執筆・監修:野上俊彦代表取締役/宅地建物取引士福岡市で実家を相続し、不動産会社から「ここは再建築不可です」と言われて手が止まる方がいます。
結論から書くと、再建築不可の家でも売れます。
建て替えができないだけで、売買そのものを止める決まりはありません。
変わるのは価格と、買う人の層の2つです。
この記事では、福岡市内の家や土地が本当に再建築不可なのかを確かめる手順と、売り方を決めるまでの順番をまとめました。
相続した実家を前に、解体するか売るかで迷っている方を想定しています。
2. 自分の土地が再建築不可かどうかは、どこで確かめるのか
3. 建てられるようになる道が3つある
4. 再建築不可の家は、誰がいくらで買うのか
5. 売り出す前に決めておく2つのこと
6. 次にやること
再建築不可とは何か。なぜ建て替えだけが止まるのか
再建築不可とは、いまの建物を壊すと、同じ場所に新しい建物を建てられない土地のことです。
原因のほとんどは、前面の道が建築基準法上の道路に当たらないことです。
接道義務は「幅4mの道路に2m以上」
建築基準法は、建物の敷地が幅員4メートル以上の道路に2メートル以上接していることを求めています。
この決まりが接道義務です。
前の道が1.5メートルしかない路地だったり、他人の土地を通らないと公道に出られなかったりすると、ここで引っかかります。
福岡市の古い住宅地に多いのは、家が建った当時のまま道の扱いが変わっていない場所です。
登記簿や固定資産税の通知書を見ても、接道を満たしているかどうかは書いてありません。
福岡市で「2項道路」になるのは幅1.8メートル以上
幅が4メートルない道でも、建築基準法第42条第2項の道路として市が指定していれば、建て替えはできます。
この場合は道路の中心線から2メートルまで敷地を後退させる計画にします。
福岡市が2項道路として扱うのは、幅員1.8メートル以上4メートル未満の道です。
つまり4メートル未満の道がすべて2項道路になるわけではなく、1.8メートルに届かない路地は対象から外れます。
後退した部分の所有権は売主のままで、維持管理も所有者の負担です。
この後退部分を市に寄付していれば、管理は市に移ります。
止まるのは建て替えで、住むことも貸すことも売ることもできる
再建築不可の土地でも、いまある建物に住み続けられます。
人に貸すことも、雨漏りや設備の修繕をすることも禁じられていません。
売買契約も同じで、買主に説明したうえで引き渡せます。
できないのは、建物を取り壊したあとの新築と、建築確認が必要になる規模の増改築です。
言い換えると、建物を失った時点で、その土地は駐車場か資材置場にしか使えなくなります。
自分の土地が再建築不可かどうかは、どこで確かめるのか
福岡市では、市役所4階の建築指導課道路判定係で前面道路の種別を確かめます。
買主や金融機関が前提にするのは、不動産会社の見立てではなく市の回答です。
家でできる下調べは「福岡市Webまっぷ」
福岡市は指定道路情報マップで、法第42条第1項第1号の道路と第42条第2項道路の種別を公開しています。
対象は東区・博多区・中央区・南区・城南区・早良区・西区の7区です。
ただし私道は含まれず、載っていない道もあります。
この画面は証明として使えず、幅員や境界の位置、道の起点と終点も出ません。
前面道路に色が付いていなければ「再建築不可かもしれない」という段階で、確定ではありません。
市役所4階の道路判定係に行く
道路判定係の窓口は市役所本庁舎4階にあり、受付は月曜から金曜の午前9時から11時30分、午後1時から4時30分です。
毎週火曜と水曜の午後は窓口が閉まります。
取り違えを防ぐため電話では回答していないので、来庁が原則です。
持っていくのは道路の場所が分かる地図で、写真や図面があれば一緒に見てもらえます。
過去に判定した道であれば、窓口でその場に回答が出る扱いです。
二度足にならないよう、出かける前に次の4つをそろえてください。
- 法務局で取れる公図
- 手元にあれば地積測量図
- 道路の位置が分かる地図と、前面道路を写した現況の写真
- 路政課で取れる道路台帳平面図
未判定なら「道路相談カード」。回答は約1か月
まだ判定していない道の場合は、道路相談カードを出して現地調査を待ちます。
回答までの標準的な期間は約1か月です。
売り出しの日を決めてから動くと、この1か月がそのまま遅れになります。
相続した実家を年内に手放したいなら、逆算して先に窓口へ行くのが順番です。
なお幅員は、路政課の窓口で道路台帳平面図を見て確かめ、あわせて現地で測るのが確実です。
路政課は道路下水道局の窓口で、道路台帳平面図を閲覧して写しを取れます。
売却までの期間の組み立て方は、福岡市の不動産売却にかかる期間にまとめました。
出典:福岡市 道路相談の窓口
建てられるようになる道が3つある
接道義務を満たしていない土地でも、法第43条第2項の認定か許可、または道路の位置指定を受けられれば建てられます。
どれに当てはまるかは、前の道の幅と所有者、そして建てたい建物の規模で変わります。
法43条2項1号の「認定」
認定の対象になるのは、幅員4メートル以上の農道などに2メートル以上接している敷地です。
建てられる建物は、一戸建て住宅・長屋・兼用住宅なら延べ面積500平方メートル以内に収まるものです。
特殊建築物の場合は200平方メートル以内に下がります。
道が基準を満たさないときに必要なのは、通路の所有者から取る通行の承諾書です。
福岡市の手数料は認定申請1件につき27,000円で、認定通知書は申請から約1週間で出ます。
法43条2項2号の「許可」
認定の形に当てはまらない土地は、2号の許可を目指します。
こちらは特定行政庁が交通上・安全上・防火上・衛生上の支障がないと認め、建築審査会の同意を得て出すものです。
福岡市の手数料は許可申請1件につき33,000円です。
あらかじめ決められた基準に当てはまれば建築審査会には包括報告となり、許可通知は申請から約10日から14日で出ます。
基準から外れて個別審査になると、1か月から2か月かかります。
認定も許可も建物の計画と一緒に申請するため、売主が先に取っておける書類ではありません。
関係者が複数いる通路では、協定道路という形も用意されています。
幅員4メートル以上の道路状の空地として拡幅し、維持管理する内容を関係者で取り決めて市へ届け出る方法です。
届け出た通路は、2号許可の対象として認められる可能性が出てきます。
位置指定道路(法42条1項5号)を受ける
私道のうち、特定行政庁から道路の位置の指定を受けたものが位置指定道路です。
すでに指定されている道なら、建築指導課で位置指定道路の証明書を取れます。
新しく指定を受ける場合の入口は、道路相談カードの提出と事前協議です。
道の所有者が複数いると、全員の足並みをそろえる話になるので、売却の期限とは別の時間が流れます。
私道が共有になっている土地の売り方は、共有道路(私道)に接する相続した土地の売り方で説明しています。
再建築不可の家は、誰がいくらで買うのか
買主の中心は、住宅ローンを使わない現金客と、賃貸や事業に使う買主です。
建て替えを前提にした一般の住宅購入者は、ここでは候補から外れます。
買主が確かめるのは、その土地と建物をこれからどう使えるかの1点です。
いまの建物を借家や事務所として使えるのか、駐車場として貸せるのか、資材置場に向くのかという見方になります。
売主の側でも、使い道の見当を先に付けておいてください。
住宅ローンが通りにくいので、買主が絞られる
金融機関は担保として土地と建物を評価するため、建て替えができない土地では審査が厳しくなります。
そのため、住宅ローンを前提にした買主はここでは手を挙げられません。
買主が少ないぶん、売り出してから決まるまでの期間は読みにくくなります。
価格を下げれば買主が増えるとは限らず、融資が使えるかどうかで線が引かれるためです。
仲介と買取で、手取りと期間が入れ替わる
仲介は相場どおりの価格から仲介手数料が引かれる形で、当社の買取は相場の5割から7割程度が目安で手数料はかかりません。
再建築不可の場合、その相場そのものが建て替えできる土地より低く出ます。
どちらが有利かを分けるのは、手取りを多くしたいのか、引き渡しの日を決めたいのかです。
4つの売り方の違いは仲介・買取・じぶん売却・リースバックの比較に並べてあります。
買取で現金化する場合の進め方は福岡市の不動産買取をご覧ください。
更地にしてから売ろうとしない
いちばん取り返しがつかないのは、売る前に建物を解体してしまうことです。
建物が無くなると、その土地には新しい建物を建てられないまま、使い道が駐車場などに限られます。
当社が福岡市東区香椎駅東でお預かりした戸建ては、築50年を超える傾斜地の家でした。
約8メートルの高低差で崖条例に該当し、増築を複数回重ねて未登記の部分も残っていました。
建物の解体と造成を合わせると1,000万円を超える見込みが出たため、解体はしませんでした。
室内が広くきれいだったので、建物を残したまま売り出し、賃貸用として購入される買主に引き渡せました。
建て替えに制約がある家は、建物を活かす買主を探すほうが結果が出る場合があります。
売り出す前に決めておく2つのこと
順番としては、隣地に当たってみること、そして期限から売り方を選ぶことの2つです。
どちらも、市の窓口で種別を確かめたあとの話です。
隣の土地の持ち主に当たってみる
接道が足りない土地は、隣地と一つになると接道義務を満たせる場合があります。
隣にとっては自分の土地の使い道が広がる話で、一般の買主より高く買える余地のある相手です。
打診は売主本人が直接するより、不動産会社を通したほうが角が立ちません。
断られても、その事実が「一般の市場で売る」という判断の材料になります。
期限があるかどうかで売り方を決める
相続した家には、税金の特例に期限が付いているものがあります。
期限に間に合わせたいなら、買取で引き渡しの日を先に決める方法をご検討ください。
急がないなら、仲介で現金客に向けて売り出し、時間をかけて買主を探せます。
相続登記から売却までの段取りは相続した実家を売却する流れにまとめました。
次にやること
最初の一歩は、前面道路の種別を市役所4階の道路判定係で確かめることです。
種別の回答が出て初めて、建てられる道を探すのか、建物を活かして売るのかを選べます。
区役所や法務局でどの書類が取れるかは、福岡市7区の手続き窓口ガイドで区ごとに並べています。
土地の測量や境界、接道の調査からお手伝いする場合は福岡市の土地売却をご覧ください。
当社は再建築不可や借地、傾いた家のご相談も受けています。
借地の家を売るときに通る地主の承諾と承諾料の話は、借地権の家を売る手順にまとめました。
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