住み替え資金が500万円足りない|手を付ける順番
執筆・監修:野上俊彦株式会社おもいで不動産 代表取締役/宅地建物取引士
執筆・監修:野上俊彦代表取締役/宅地建物取引士今の家を売って次の家へ移ろうと計画を立てたところ、資金が500万円ほど足りない。
この記事は、その不足をどの順番で埋めるかを決めるために書いています。
手を付ける順番は、不足額を数える、売り方を見直す、自己資金を出す、親からの資金援助を使う、住み替えローンを組む、時期をずらす、の6段です。
この並びには理由があります。
前のほうは費用がかからず後戻りもできますが、後ろのほうは契約が動き出すと戻れません。
当社は福岡市博多区で売却のご相談を受けていますが、住み替えの相談では査定より先に、この不足額を一緒に数えるところから始めます。
2. 不足額は、どの数字から出しますか
3. 売り方を見直すと、手取りはどれだけ動きますか
4. 自己資金と親からの援助は、どこまで使えますか
5. 住み替えローンと時期をずらす方法、どちらを先に考えますか
6. 500万円足りないとき、順番に通すとどうなりますか
住み替えの資金が足りないとき、何から手を付けますか
最初に手を付けるのは借入ではなく、不足額の計算と売り方の見直しです。
不足が300万円なのか800万円なのかで、使える手がまるごと入れ替わります。
売り方を変えたときに動く手取りの幅は、数十万円から数百万円です。
先に住み替えローンを申し込んでしまうと、審査の前提にその売り方と価格が入るため、あとから売り方を変えにくくなります。
順番は、次の6段で考えてください。
表は横にスクロールして確認できます。
| 順 | やること | かかる費用 | 戻れるか |
|---|---|---|---|
| 1 | 不足額を数える | 0円 | 戻れる |
| 2 | 売り方を見直す | 0円 | 媒介契約の前なら戻れる |
| 3 | 自己資金を出す | 0円 | 使ったぶんは戻らない |
| 4 | 親からの資金援助を使う | 申告の手間 | 贈与は取り消せない |
| 5 | 住み替えローンを組む | 金利・事務手数料 | 借りたら返すまで続く |
| 6 | 時期をずらす・予算を下げる | 0円 | 戻れる |
先に手を付けてはいけないものが3つあります
1つめは、カードローンやフリーローンで頭金を作ることです。
金融機関は住宅ローンの申込みのときに信用情報機関へ照会するので、申込書に書かなくても借入は出てきます。
そのうえ毎月の返済が返済比率に乗るため、借りられる額そのものが減ります。
2つめは、老後資金と教育費を取り崩すことです。
住み替えの不足は一度で終わりますが、学費と生活費は毎年続きます。
3つめは、資金を作るためにリースバックを使うことです。
リースバックは売った家に家賃を払って住み続ける方法なので、住み替え先の家賃やローンと二重になります。
国土交通省はリースバックのガイドラインで、賃料と再売買の条件を契約前に確認するよう求めています。
4つの売り方の違いは仲介・買取・じぶん売却・リースバックの比較にまとめました。
不足額は、どの数字から出しますか
不足額は「新居の総額」から「売却の手取り」と「出せる自己資金」を引いた残りです。
ここでつまずきやすいのが、売却価格をそのまま手取りだと思ってしまう点にあります。
手取りは、売却価格から費用と残債を引いたあとに残る現金のことです。
福岡市は、区をまたぐと中央値が1,900万円ちがいます
住み替えの不足が生まれるいちばんの理由は、移る先の相場が今の家より高いことです。
3LDK系マンションの中央値は、南区が2,300万円、中央区が4,200万円でした。
件数は南区が193件、中央区が216件で、国土交通省の取引価格情報をもとに当社が集計しています。
対象期間は2024年第2四半期から2026年第1四半期までです。
同じ間取りで同じ市内でも、南区から中央区へ移るだけで1,900万円の差が出ます。
この差は、頭金の努力では埋まりません。
手取りは、売却価格より必ず少なくなります
2,300万円で売れた場合に出ていく費用を並べます。
仲介手数料は、800万円を超える売却では(売却価格×3%+6万円)×1.1で計算します。
2,300万円なら82万5,000円です。
売買契約書に貼る印紙税は、1,000万円超5,000万円以下で1万円です(軽減措置は2027年3月31日まで)。
住宅ローンが残っていれば抵当権抹消の登記費用が1〜2万円台かかります。
譲渡所得税は、住んでいた家なら居住用財産の3,000万円特別控除で0円になる場合が多くあります。
費用の合計はおよそ85万円。
売却価格の3.7%にあたります。
残債は、返済予定表の数字で見ます
手取りからいちばん大きく引かれるのは、住宅ローンの残りです。
残債は返済予定表か、金融機関の残高証明で確かめてください。
繰上返済のときに渡される試算表の数字ではなく、引渡し予定月の残高を見ます。
売却価格より残債が多い状態なら、この記事より先にオーバーローンでも家は売れるを読んでください。
費用と税金を入れた手取りは手取りの試算で計算できます。
売り方を見直すと、手取りはどれだけ動きますか
売り方の見直しで動くのは、価格と費用の2か所です。
価格は売り方そのものに左右され、費用は誰がどこまで作業するかで変わります。
買取は日程が決まる代わりに、価格が下がります
当社が直接の買主になる買取は、買主を探す期間が要りません。
その代わり、再販にかかる費用と期間のぶんだけ、仲介で売る場合より価格は低くなります。
資金が足りない住み替えでは、不足がさらに広がる方向に働きます。
買取を選ぶ理由は手取りの大きさではなく、入金日を先に確定できることです。
条件と費用は当社直接買取でご確認ください。
買取保証は、売れなかったときの期限を先に決める方法です
買取保証は、一定期間は仲介で売り、売れなければ決めた価格で買い取る組み合わせです。
新居の引渡し日が決まっている住み替えでは、この期限が二重返済の終わりになります。
確認するのは保証価格だけではありません。
適用の範囲、買主が誰か、保証額以外にかかる費用の3つを書面で見てください。
詳しい比べ方は買取保証の仕組みと価格の比べ方に書いています。
じぶん売却は、当社の通常料金から仲介手数料を割り引きます
じぶん売却は、福岡市とその近郊のマンションが対象の売り方です。
売却の準備をご自身で担当すれば仲介手数料が20%引き、内覧案内まで担当すれば30%引きになります。
2,300万円の売却なら、82万5,000円の手数料が20%引きで66万円になります。
戻るのは16万5,000円。
不足500万円のうち3%ほどにあたります。
金額としては小さいものの、価格を下げずに手取りを増やせる数少ない方法です。
交渉・契約・決済は当社の宅地建物取引士が担当します。
対象になるかはじぶん売却でご確認ください。
自己資金と親からの援助は、どこまで使えますか
自己資金で使ってよいのは、使う予定が決まっていないお金だけです。
そして親からの資金援助には、住宅取得等資金の贈与という非課税の枠があります。
取り崩してよい自己資金には線があります
預金の残高をそのまま自己資金として数えないでください。
引越し代、新居の家具、登記費用、当面の生活費は、残高から先に取り分けます。
福岡市の固定資産税・都市計画税は、4月・7月・12月・翌年2月の年4回の納期です。
売った年も、1月1日時点の所有者として1年分の納税通知が届きます。
引渡し日で日割り精算するのが通例ですが、支払う相手は市ではなく買主です。
親からの住宅資金には、2026年12月31日までの非課税枠があります
父母や祖父母から住宅を買う資金をもらう場合、省エネ等住宅なら1,000万円、それ以外の住宅なら500万円まで贈与税がかかりません。
対象になるのは2024年1月1日から2026年12月31日までに受けた贈与です。
この記事を公開した2026年11月の時点で、期限まで2か月を切っています。
条件は4つあります。
- 贈与を受けた年の1月1日に18歳以上であること
- その年の合計所得金額が2,000万円以下であること
- 翌年3月15日までに資金の全額を使って住宅を取得し、そこに住むこと
- 贈与税の申告をすること
税額が0円になる場合でも、翌年2月1日から3月15日までに申告しないとこの枠は使えません。
床面積が40㎡以上50㎡未満の住宅では、所得の上限が1,000万円以下に下がります。
もらうのではなく借りるなら、書面と返済の実績を残します
ここで出てくるのが、もらうのではなく親から借りる形にしたいというご希望です。
国税庁は、返済能力や返済の状況から見て本当の貸し借りと認められる場合には、借入金に贈与税はかからないとしています。
ただし「ある時払いの催促なし」や「出世払い」のような約束だと、借入金そのものが贈与として扱われます。
無利子で借りた場合に贈与とみなされるのは、利息に相当する利益のぶんです。
借用書を作り、返済の記録が通帳に残る形にしてください。
住み替えローンと時期をずらす方法、どちらを先に考えますか
先に考えるのは、費用のかからない「時期をずらす」のほうです。
住み替えローンは残債ごと借りる形になるため、審査が重く金利も上がりやすくなります。
住み替えローンは、担保の価値を超えて借りる形です
住み替えローンは、売っても返しきれない残債を新しい住宅ローンに上乗せして借りる商品です。
上乗せ分だけでなく、借入の全額に高い金利が付く場合があります。
返せなくなったときに戻れる先は、任意売却だけです。
仕組みと使える条件は住み替えローンとは?使える条件と審査が厳しい理由に書いています。
新居を先に買うと二重返済の期間が乗るので、住み替えのダブルローンもあわせてご覧ください。
新居の予算を下げるのは、費用のかからない選択です
不足が500万円なら、新居の予算を500万円下げれば不足はゼロになります。
当たり前に見えますが、相談の場で最後まで出てこないのがこの案です。
先に新居を決めてから資金を考える順番で進むと、予算は動かせないものとして扱われます。
売るのが先か買うのが先かは売り先行と買い先行のどちらが良いかで比べてください。
なお、住んでいた家を売って3,000万円特別控除を使うと、新居の住宅ローン控除が使えない年が出ます。
どちらが有利かは、控除額を並べて決めてください。
500万円足りないとき、順番に通すとどうなりますか
南区から中央区へ移る例では、不足485万5,000円が「売り方の見直し・自己資金200万円・親からの援助300万円」で消えます。
ここからは計算例です。
当社の成約実績ではなく、相場の中央値と公表されている税率・料率で組んだ試算です。
南区の3LDKマンションを2,300万円で売り、中央区の3LDKマンション4,200万円へ移る想定にします。
住宅ローンの残債は1,500万円、新居で借りられる額は3,000万円としました。
表は横にスクロールして確認できます。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 売却価格(南区・3LDK中央値) | 2,300万円 |
| 仲介手数料(税込) | -82万5,000円 |
| 印紙税・抵当権抹消 | -3万円 |
| 住宅ローン残債 | -1,500万円 |
| 売却の手取り | 714万5,000円 |
| 新居の価格(中央区・3LDK中央値) | 4,200万円 |
| 新居の借入 | -3,000万円 |
| 不足額 | 485万5,000円 |
ここからは、先ほどの順番で埋めていきましょう。
売り方の見直しで、じぶん売却の20%引きが使えれば16万5,000円が戻り、不足は469万円になります。
使う予定の決まっていない預金から200万円を出せば、不足は269万円に下がります。
親から300万円の資金援助を受けられるなら、非課税枠の500万円以内なので贈与税はかかりません。
ここで不足は消えます。
住み替えローンまで進まずに済みました。
援助が受けられない場合は、新居の予算を270万円下げて3,930万円までにするか、住み替えローンで269万円を上乗せするかの二択になります。
どちらを選ぶかは、月々の返済が今より何万円増えるかを見て決めてください。
この試算は中央値で組んでいるので、ご自宅の実際の価格とは離れます。
まず無料査定で売却価格の見込みを出し、残債と不足額を1枚にまとめるところから始めてください。
順番の立て方そのものに迷うときは、15分無料相談で不足額の数え方だけでもお聞きください。
