不動産売却の必要書類一覧|土地・戸建て・マンション別に解説
執筆・監修:野上俊彦株式会社おもいで不動産 代表取締役/宅地建物取引士
執筆・監修:野上俊彦代表取締役/宅地建物取引士不動産の売却を考え始めたとき、多くの方が最初に立ち止まるのが「役所の手続きと必要書類の準備」です。
普段は見慣れない専門用語が並び、何をいつまでに、どこで揃えればいいのか迷ってしまいますよね。
特に「権利証が見当たらない」「引越しを繰り返していて住所が違う」といった状況だと、それだけで面倒に感じて手続きを先延ばしにしてしまうお気持ちもよくわかります。
でも、どうかご安心ください。
売却を思い立ったその日に、すべての書類を完璧に揃える必要はありません。
どのタイミングで何の書類が必要になるのか、そしてお持ちの物件(土地・戸建て・マンション)によって何が違うのかを事前に把握しておくだけで、その後の手続きは驚くほどスムーズに進みます。
今回は、福岡市博多区吉塚周辺で多くのお客様をサポートしている「おもいで不動産」の現場担当者がお話しします。
実務でよく起きるトラブルや注意点も交えながら、不動産売却に必要な書類を見ていきましょう。
この記事では、査定・媒介契約・売買契約・決済の段階ごとに、不動産売却で確認したい書類を整理します。
実際の必要書類は、所有者、住所変更、住宅ローン、物件の種類、登記手続によって異なります。
2. 物件種別で違う。土地・戸建て・マンションの追加書類
3. いつ・何を用意する?査定から決済までのタイムライン
4. 「権利証」と「登記識別情報」って何が違うの?
5. まとめ
不動産売却の必要書類一覧|まず確認する基本資料
全員に同じ書類が同じ時点で必要になるわけではありません。
最初に手元の資料を確認し、契約や登記を担当する不動産会社・司法書士から個別の案内を受けてください。
一般的に確認する資料は、次のとおりです。
- 本人確認書類
- 登記済証(権利証)または登記識別情報
- 印鑑登録証明書と登録印(所有権移転登記などで必要となる場合)
- 固定資産税の納税通知書または評価証明書
- 売却代金の振込先情報
- 住宅ローンが残る場合は残高・抵当権抹消手続を確認できる資料
住宅ローンが残っている場合は、金融機関へ完済予定日、必要資金、抵当権抹消書類の受取方法を早めに確認します。
通帳そのものが必要かは金融機関と決済方法によって異なります。
契約書への押印方法や持参する印鑑は取引ごとに確認します。
売買契約日と所有権移転登記を行う決済日では、必要書類が異なることがあります。
ここで、現場で非常によく起きるトラブルについて一つお伝えさせてください。
いざ売買契約や決済という大切な日に、「実印だと思って持ってきた印鑑が、実は印鑑登録しているものと違った」というケースが本当に多いのです。
ご高齢の方に限らず、何年も実印を使っていなかったという方によくある落とし穴です。
売買による所有権移転登記を書面で申請する場合、売主の印鑑登録証明書は作成後3か月以内のものが一般に必要です。
売買契約時に同じ書類が必須とは限らないため、司法書士の案内に合わせて取得します。
当日になって慌てないよう、ご自身の印鑑が確実に実印であるかを早い段階で確認しておくことをおすすめします。
権利証が見つからないときも、売却をあきらめる必要はありません。
代わりの手続きは権利証がなくても家は売れるにまとめています。
令和9年4月から、不動産会社の本人確認の方法が変わる予定です
売却の依頼を受けた不動産会社は、犯罪収益移転防止法に基づいて、売主が本人であることを確認します(取引時確認)。
この確認の方法を定めた施行規則が改正され、令和9年4月1日から施行される予定です。
2027年4月より前に売却が終わる方には、直接の影響はありません。
変わる点の中心は、写真付きの本人確認書類を見せるときの扱いです。
対象は売却全般で、マンションに限りません。
ICチップが入っている書類は、券面を見るだけでなく、ICチップの情報も読み取ります。
該当するのは、マイナンバーカード、運転免許証、在留カード、旅券などです。
読み取った情報と券面を照らし合わせるところまでが、確認の中身です。
ICチップのない写真付きの書類(身体障害者手帳、運転経歴証明書など)では、別の方法で確認を補う形になります。
たとえば、取引に関する文書を転送不要の郵便で住所へ送る方法が、その一例です。
書類の種類や、売主が個人か法人かで、使える方法は異なります。
法人が売主なら、代表者などの確認も同じ考え方で行われます。
日本に住所のない外国籍の方には、旅券などの提示で確認する方法が別に用意されています。
どの方法を採るかを決めるのは、不動産会社です。
全員がマイナンバーカードを出さなければならない、という決まりではありません。
運転免許証や旅券でも確認はできますが、旅券には住所が載っていないため、住民票の写しなどで現在の住所を別に確認する場合があります。
読み取りに暗証番号の入力が要る書類もあります。
売主が事前に担当者へ聞いておくとよいのは、次の3点です。
- どの書類で本人確認をするのか
- ICチップの読み取りを、いつ・どこで行うのか
- 住所が載っていない書類のとき、追加で何を出すのか
施行前に、ICチップ付きの写真付き書類で確認を済ませて記録が残っている場合は、施行後の取引で確認をやり直す必要はないとされています。
ただし、この取扱いの対象は書類や記録の残し方で変わるため、実際の扱いは不動産会社に確認してください。
登記の手続きでの確認は、これとは別です。
所有権移転登記では、売主が権利者本人であることを、登記識別情報や、司法書士による本人確認の手続きで確かめます。
不動産会社の確認は売却を仲介する立場で、司法書士の確認は登記を申請する立場で、それぞれ行います。
確認する人も目的も別なので、同じ書類を別々に求められることがあります。
司法書士が使う書類や方法は司法書士側の決まりなので、担当の司法書士に直接確認してください。
登記上の住所・氏名が現在と違う場合
登記記録の住所・氏名と現在の情報が違う場合は、所有権移転登記の前提として変更登記や、変更の経緯を確認できる資料が必要になることがあります。
必要な資料は、住所変更の回数だけで一律には決まりません。
住民票、住民票の除票、戸籍の附票、戸籍事項証明書などから、登記上の情報と現在の情報のつながりを確認します。
住所変更が1回でも、住民票の記載内容や保存期間によって追加資料が必要になる場合があります。
住民票などを取得するときは、マイナンバーの記載要否を提出先へ確認してください。
不動産登記では通常、マイナンバーの記載がない証明書を案内されます。
複数回の転居、町名変更、住居表示の実施、氏名変更がある場合は、資料が増えることがあります。
戸籍の附票は本籍地の市区町村へ請求しますが、広域交付の対象や請求方法は証明書の種類ごとに別です。
保存期間の経過などで通常の証明書だけでは沿革を確認できない場合もあるため、自己判断で書類を集める前に司法書士へ相談すると重複取得を防げます。
郵送請求の日数は自治体や時期によって変わります。
決済日が決まる前から登記記録の住所・氏名を確認しておきましょう。
住所や氏名が異なる場合は、査定時にその事実を伝え、必要書類と変更登記の時期を確認してください。
変更登記にかかる費用と、福岡市でこれらの書類を取れる窓口は、売却前の住所変更登記にまとめました。
火災に遭った建物では、罹災証明書など別の書類も要ります。
手順は自宅が火災に遭ったとき、まず行う3つの公的手続きにまとめています。
物件種別で違う。土地・戸建て・マンションの追加書類
ここからは、お持ちの不動産の種類によって追加で必要になる書類について見ていきましょう。
固定資産税の納税通知書や評価証明書は、固定資産税等の精算や登録免許税の計算、物件確認に使用されます。
手元にない場合の取得方法は不動産会社・司法書士へ確認してください。
納税通知書は毎年送付される資料ですが、売買契約そのものの成立要件ではありません。
取引実務で必要となる資料として早めに所在を確認します。
土地を売却する場合
更地などの土地を売却する場合、先ほどの共通書類と固定資産税の納税通知書に加えて、測量に関する書類が必要になることがあります。
過去に隣地との境界をはっきりとさせる「確定測量」を行ったことがある場合は、土地家屋調査士が作成した測量図や境界確認書などを揃えておきましょう。
博多区吉塚エリアのように住宅が密集している地域では、境界が明確になっているかどうかで売却のしやすさや価格が大きく変わることがあります。
戸建てを売却する場合
一戸建ての売却では、建物に関する書類がプラスで必要になります。
建築確認済証・検査済証、設計図、建築図面、登記関係資料があれば整理します。
登記事項証明書は不動産会社などが取得できるため、売主が必ず事前取得するものとは限りません。
設備の取扱説明書・保証書、耐震診断、インスペクション、リフォームや修繕の履歴があれば、買主への説明資料として役立ちます。
「いつ、どこを直したか」という記録は、次に住む方にとって非常に大きな安心材料になりますし、物件の価値を正しくアピールする武器にもなります。
河川や海に近い土地なら、ハザードマップの画面と過去の浸水の記録も同じ束に入れておいてください。
重要事項説明でどのみち示される内容なので、先に揃えておくほうが話が早く進みます(浸水想定区域の家は売れる?ハザードマップの説明義務)。
マンションを売却する場合
マンションで確認するのは、管理規約・使用細則、総会議事録、長期修繕計画などです。
手元にない資料は、管理組合や管理会社から不動産会社が取得できる場合があります。
管理費・修繕積立金・駐車場等の月額、滞納の有無、改定予定、大規模修繕の予定など、購入後の負担に関わる情報を整理します。
マンションを買う方は「毎月いくらかかるのか」を非常に気にされますので、この数字が明確でないと購入の決断ができません。
戸建てと同様に、室内をリフォームした履歴があればその資料もご用意ください。
▼ あわせて読みたい:【初心者向け】不動産売却の流れを5ステップで解説!福岡市博多区吉塚での売却期間の目安は?
いつ・何を用意する?査定から決済までのタイムライン
書類の種類がわかったところで、次は「どのタイミングで何が必要なのか」という時間軸に沿って整理してみましょう。

査定時にご準備いただきたいもの
まず、おもいで不動産にご相談いただき「いくらで売れそうか」を査定する段階です。
ここでは、固定資産税の納税通知書、間取り図などの図面関係、マンションの場合は管理費などの支出内訳、そしてリフォーム履歴をご準備ください。
この段階では、まだ正式に売却が決まったわけではありませんので、書類の原本をお預かりしたり写真を撮って保管するようなことはいたしません。
あくまで「査定額を正確に算出するため」に内容を確認させていただくことと、お客様ご自身に「手元にどんな書類があるか」を把握していただくための準備期間とお考えください。
売買契約時にご準備いただきたいもの
買主様が見つかり、正式に売買契約を結ぶ日です。
売買契約時の本人確認書類・印鑑・印鑑登録証明書の要否は、契約方法や代理人の有無によって異なります。
決済日に使用する印鑑登録証明書は有効期間を確認し、早く取得しすぎないよう司法書士の案内に合わせます。
登記済証または登記識別情報が手元にあるかを確認し、紛失している場合はこの段階より前に司法書士へ伝えてください。
登記識別情報は重要な本人確認情報です。
コピーや内容の取扱いは、担当司法書士の指示を確認してから行います。
決済・引き渡し時にご準備いただきたいもの
いよいよ買主様から代金を受け取り、物件を引き渡す最終日です。
決済・引渡しでは、司法書士と金融機関が案内した原本、本人確認書類、鍵、精算資料などを準備します。
登記済証または登記識別情報を提供して所有権移転登記を申請します。
紛失時は事前通知や資格者代理人による本人確認情報など別の手続を検討します。
必要書類は決済方法・抵当権・住所変更・共有者の有無で変わるため、最終チェックリストを担当者から書面で受け取ると安心です。
「権利証」と「登記識別情報」って何が違うの?
ところで、ここまで何度か「権利証」と「登記識別情報」という言葉が出てきましたが、ご自宅の引き出しにある書類がどちらなのか迷われる方もいらっしゃるかもしれません。
登記済証と登記識別情報は制度と形式が異なりますが、どちらも登記名義人本人による申請であることを確認する重要な情報・書面です。
目安となるのは「平成17年(2005年)」の法改正です。
不動産登記法の施行後、登記所ごとにオンライン指定が進み、登記済証から登記識別情報へ順次切り替わりました。
和紙のような少し厚手でざらっとした質感の紙に、「登記済」という赤い朱肉のハンコが押されているのが特徴です。
昔ながらのドラマなどでよく見る、いわゆる「権利書」のイメージですね。
登記識別情報は12桁の符号で、不動産と登記名義人ごとに通知されます。
通知書の様式は通知時期によって異なります。
こちらは一般的なA4サイズのコピー用紙のような見た目で、下の方に緑色の目隠しシールが貼ってあったり、折り込まれて中が見えないようになっているものです。
管轄の法務局によってシステムの切り替え時期が異なったため、正確には平成17年から平成20年頃にかけて順次切り替わっていきました。
登記識別情報は再通知されませんが、紛失しただけで売却できなくなるわけではありません。
事前通知や資格者代理人による本人確認情報などがあるため、早めに司法書士へ相談してください。
出典:法務省|新不動産登記法Q&A(登記識別情報・事前通知)
まとめ
今回は不動産売却に必要な書類について、物件ごとの違いや準備のタイミングをお話ししました。
一気にたくさん集めようとすると負担に感じてしまいますが、ステップごとに分けて考えれば決して難しいことではありません。
ただ、何度引越しをしたかによって本籍地への問い合わせが必要になるなど、ご自身の状況によっては準備に時間がかかるものがあることだけは覚えておいていただければと思います。
どの書類をどの窓口で取るのかは福岡市の不動産売却の書類|法務局・区役所・税務署の分担に、手数料と受付時間まで一覧にしてあります。
福岡市・博多区の無料不動産査定では、書類がすべて揃っていない段階でも相談できます。
物件種別ごとの進め方は不動産売却サービス一覧もご覧ください。
せっかく良いご縁があったのに「書類が間に合わなくて契約が延期になった」というもったいない事態を避けるためにも、少しだけ早めに手元の書類を確認してみることをおすすめします。
「自分の場合は何が必要なの?」「この書類で合っているか見てほしい」というご相談だけでももちろん大歓迎です。
おもいで不動産では、契約から決済まで担当者が隣でしっかりサポートし、必要な手続きを一つひとつご案内します。
まだ売ると決めていなくても大丈夫ですので、迷ったときや不安なときは、いつでもお気軽にお声がけくださいね。
