売却の仲介手数料は値引きできる?上限と定価の違い
執筆・監修:野上俊彦株式会社おもいで不動産 代表取締役/宅地建物取引士
執筆・監修:野上俊彦代表取締役/宅地建物取引士福岡市でマンションが3,000万円で売れたとき、仲介手数料は105万6,000円(税込)です。
この105万6,000円は、国が示した上限いっぱいで計算した金額にあたります。
上限であって、定価ではありません。
国土交通省の通達にも、限度額を当然に請求できるものではない、と書かれています。
ただし、この記事でお伝えするのは値引きの切り出し方ではありません。
手数料が実際に下がるのは、売主様が売却の作業の一部を引き受けたときです。
福岡市でマンションを売ろうとお考えの方が、媒介契約を結ぶ前に何を確かめればよいかを書きました。
2. それでも上限いっぱいで提示されるのは、なぜですか
3. 交渉ではなく、作業の引き受けで下がります
4. 福岡市のマンションだと、上限はいくらになりますか
5. 媒介契約の前に、何を確かめればよいですか
6. 次に何をすればよいですか
仲介手数料の「3%+6万円」は値引きできるのですか
金額そのものは、不動産会社と相談して決める事項です。
国が告示で定めているのは「これを超えて受け取ってはいけない」という線だけで、請求してよい金額ではありません。
つまり「3%+6万円+税」は、相談の出発点になる数字です。
相談の道は1本ではなく、金額の協議・買取・作業の分担という3つに分かれます(福岡で仲介手数料を抑える3つの方法|手取りで比べる)。
なお、街で見かける「仲介手数料無料」「半額」の広告は、この売主側の相談とは別の話です。
あの広告の大半は賃貸と新築建売の買主に向けたもので、誰が報酬を払うのかという構図から違います(仲介手数料無料・半額は売却でも使える?買う側との違い)。
告示が決めているのは、超えてはいけない線だけ
売買の媒介で受け取れる報酬の上限は、昭和45年建設省告示第1552号で決まっています。
金額の出し方は、売買代金を3つの帯に区切って、それぞれの料率を掛けて足し上げる形です。
| 売買代金の帯 | その帯に掛ける料率 |
|---|---|
| 200万円以下の部分 | 5% |
| 200万円超400万円以下の部分 | 4% |
| 400万円超の部分 | 3% |
この上限は、売主様と買主様のそれぞれから受け取れる金額として定められています。
計算に使う代金に、消費税額は含めません。
この上限を超えて報酬を受け取ることは、宅地建物取引業法第46条が禁じています。
逆に言えば、法律が引いているのは上の線だけで、下の線はどこにもありません。
「+6万円」は告示に書いていません
よく見る「3%+6万円」は、告示の条文にある式ではありません。
3つの帯を足す計算を、400万円を超える価格のときだけ1行にまとめた速算式です。
3,000万円で確かめてみましょう。
帯ごとに足すと、10万円と8万円と78万円で、合計96万円になります。
速算式なら、3,000万円の3%の90万円に6万円を足して、やはり96万円です。
この6万円の正体は、下の2つの帯で3%との差が出る分の合計にあたります。
200万円以下の帯で4万円、200万円超400万円以下の帯で2万円。
そのため400万円以下で売る場合、この速算式は使えません。
通達は「当然に請求できるものではない」と書いています
国土交通省の「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」には、報酬の限度額を当然に請求できるものではない、と明記されています。
具体的な報酬額は、不動産会社が行おうとする媒介業務の内容などを考えて、依頼者と協議して決める事項だ、というのが通達の立場です。
上限を定めている理由は、取引に不慣れな依頼者から不当に高い報酬を取ることを防ぐためにあります。
依頼者を守るために引かれた線が、いつのまにか定価として扱われている、という状態です。
それでも上限いっぱいで提示されるのは、なぜですか
不動産会社の作業量が、売買代金の大きさで決まるわけではないからです。
3,000万円のマンションと1,500万円のマンションで、調査の項目も重要事項説明の手間もほとんど変わりません。
それでも報酬は料率で計算するため、価格が高い物件ほど金額が大きくなります。
当社も、通常の売却では上限を基準にしています
当社も、通常の売却では告示の上限を基準としてご提示しています。
査定、広告、問い合わせ対応、条件交渉、重要事項説明、契約、決済の調整を、当社が全部引き受けるからです。
作業を全部お引き受けしたまま金額だけを下げる理屈が、当社には立ちません。
金額だけ下げてもらうと、何が減ったのか分かりません
「手数料を安くしてほしい」だけをお願いすると、下がった理由が手元に残りません。
広告の本数が減ったのか、内覧の立ち会いが省かれたのか、売主様の側からは見えないからです。
先に作業の分担を決めておくと、何に対して払っているのかを後から確かめられます。
値引きの交渉ではなく、どこまでを自分で担当するかという話に置き換えるわけです。
交渉ではなく、作業の引き受けで下がります
売主様が作業の一部を担当すると、不動産会社の移動時間と準備作業が実際に減ります。
減った分を手数料に反映する、という考え方です。
安売りではなく、受け取っていない作業の分を請求しない、という形になります。
売主様が引き受けられる作業
引き受けやすいのは、資料の取得と、住んでいるからこそ分かる情報の提供です。
- 管理規約・使用細則・長期修繕計画など、管理会社へ請求する書類の取得
- 室内と共用部の写真、室内を歩いた動画の撮影
- 設備の状態、リフォームの履歴、住み心地の入力
- 雨漏りや近隣のことなど、告知事項の申告
マンションなら、管理に関する書類の請求先は管理会社です。
区分所有者ご本人からの請求になるため、売主様が動かれたほうが早く届くことも少なくありません。
管理規約や重要事項調査報告書は、管理会社が発行する書類です。
発行までに日数がかかるので、売り出しの予定を決める前に請求しておいてください。
売主様が引き受けられない作業
資格と責任が伴う作業は、分担の対象になりません。
重要事項説明は宅地建物取引士が調査して作成し、説明します。
価格と条件の交渉、売買契約書の作成、決済の調整も不動産会社の仕事です。
ここを売主様に渡すと、買主様の住宅ローンが使えなくなることがあります。
宅建業者を介さない個人売買では重要事項説明書がそろわず、金融機関が審査で求める書面を出せないからです。
買主様が現金で買える方に絞られると、買主候補の数と売却にかかる期間に影響が出ます。
どこまで自分でできるのかは不動産の個人売買はどこまで自分でできる?の一覧をご覧ください。
福岡市で、売主様が自分で取れる書類
福岡市の場合、書類を取りに行く窓口は用件ごとに分かれています。
登記事項証明書を出すのは福岡市中央区舞鶴にある福岡法務局の本局で、窓口や郵送での書面請求は1通600円です。
オンラインで請求して郵送で受け取るなら520円、法務局の窓口で受け取るなら490円になります。
固定資産評価証明書は、物件のある区の区役所納税課で1件300円。
博多区では、区役所2階の証明発行コーナーが担当しています。
福岡市はオンライン申請にも対応していて、郵送で受け取る場合は250円です。
窓口や郵送で申請するより50円安く、1件あたり6分の1ほど下がる計算になります。
どの窓口に何を出すかは福岡市7区の手続き窓口ガイドに区ごとに分けて書いてあります。
売却で必要になる書類そのものは売却に必要な書類の一覧でご確認ください。
福岡市のマンションだと、上限はいくらになりますか
区ごとの3LDK系の中央値で計算すると、82万円台から145万円台の幅に収まります。
当社が公開している福岡市7区の相場は、国土交通省の取引価格情報を直近8四半期で集計したものです。
集計の対象になったマンションの取引は、中央区で1,109件、博多区で951件。
その中央値に上限の式を当てると、次の金額になります。
区ごとに見た、上限の金額
| 区 | 3LDK系の中央値 | 上限(税込) |
|---|---|---|
| 中央区 | 4,200万円 | 145万2,000円 |
| 早良区 | 3,550万円 | 123万7,500円 |
| 城南区 | 3,000万円 | 105万6,000円 |
| 博多区 | 2,700万円 | 95万7,000円 |
| 西区 | 2,700万円 | 95万7,000円 |
| 東区 | 2,600万円 | 92万4,000円 |
| 南区 | 2,300万円 | 82万5,000円 |
中央区と南区では、同じ3LDK系でも上限が62万7,000円違います。
では、中央区のマンションを売るほうが62万円分だけ手間がかかるのでしょうか。
管理会社への資料請求、現地の調査、重要事項説明の作成は、どちらの区でもほぼ同じ作業です。
この差額が、分担を相談する余地そのものだとお考えください。
800万円以下には、別の上限があります
売買価格が800万円以下の物件には、低廉な空家等の特例という別の上限が用意されています。
福岡市なら、古いワンルームや相続した戸建てが当てはまりやすい帯です。
計算の仕方と、媒介契約の前に必要になる説明は800万円以下の不動産売却の記事で詳しく書いています。
媒介契約の前に、何を確かめればよいですか
確かめるのは、金額、その金額に含まれる作業、書面に残っているかの3つです。
報酬額は媒介契約の中で決まるので、契約を結んだあとでは動かしにくくなります。
聞く順番を先に決めてから、面談に臨んでください。
約款にも「協議の上、定めます」と書いてあります
国が示している標準媒介契約約款には、報酬の額は告示に定める限度額の範囲内で、甲乙協議の上、定めます、と書かれています。
甲が売主様、乙が不動産会社です。
約款の作りからして、金額は二者で決めるものとして設計されているわけです。
媒介契約書を受け取ったら、報酬の条項をご自身で読んでみてください。
媒介契約の種類ごとの違いは媒介契約の種類にまとめています。
出典:国交省 標準媒介契約約款
聞く順番は、金額・内訳・書面
まず、提示された金額が上限いっぱいなのかを聞きます。
提示額が線のどこにあるのかが分からないと、相談の余地があるのかも分かりません。
次に、その金額にどの作業が入っているのかを挙げてもらいましょう。
最後に、分担を変えた場合の金額を書面で出してもらえるかを確かめます。
「安くできますか」ではなく「この作業を自分でやったらどうなりますか」と聞いてみてください。
割引の話を口約束にしない
分担と割引の話は、媒介契約を結ぶ前に書面か電磁的方法で残しておきます。
当社が画面でご提示しているのは、適用するプラン、通常の手数料、割引率、割引後の手数料、削減額、役割分担です。
ご確認いただいた記録も残しています。
媒介契約のあとで役割が変わる場合も、売主様の同意なく料金を変えることはありません。
次に何をすればよいですか
ご自身の物件で上限がいくらになるかを、先に出してみてください。
手取りの試算に価格を入れると、仲介手数料と税金を引いた手取りが出ます。
金額を見たうえで、どの作業なら引き受けられそうかを書き出してみましょう。
その分担を持って不動産会社に相談すると、金額の話が具体的になります。
当社でご用意しているのは、売却の準備をご自身で担当していただく「じぶん売却」という売り方です。
当社の通常料金から、準備を担当していただく場合は20%、内覧のご案内まで担当していただく場合は30%を割り引きます。
対象は福岡市と近郊のマンション。
割引の適用と金額は、面談のうえ媒介契約の前に書面でご提示します。
対象になるかどうかはじぶん売却のページでご確認ください。
売るかどうかを決める前の段階なら、無料査定で金額の目安だけをお出しすることもできます。
