マンション売却のトラブルと告知義務|騒音・漏水・管理はどこまで伝える?
執筆・監修:野上俊彦株式会社おもいで不動産 代表取締役/宅地建物取引士
執筆・監修:野上俊彦代表取締役/宅地建物取引士自分の家なのに気が休まらないという状態は、想像以上に心をすり減らします。
生活音、共用部分の使い方、管理規約、管理費・修繕積立金、管理組合の運営など、マンションの悩みは多岐にわたります。
集合住宅という逃げ場のない環境の中で、「このまま我慢し続けるしかないのだろうか」と、一人で思い悩んでいませんか。
株式会社おもいで不動産には、博多区吉塚エリアにお住まいの方から、そうした切実なご相談が数多く寄せられます。
トラブルがあっても売却を検討できますが、売却の可否・価格・期間・告知事項は内容と資料によって異なります。
この記事では、騒音・管理費・修繕積立金・管理規約・事件事故などを、売却前にどのように整理するかを解説します。
売主だけで「伝えなくてよい」と判断せず、記録と事実を仲介会社へ共有した上で売買条件を決めましょう。
2. マンション売却でどこまで伝える?告知事項の整理方法
3. マンショントラブルがある場合の売却方法
4. まとめ
マンション売却前に整理したいトラブルの種類
マンションは利便性が高い一方で、ひとたびトラブルが起きると逃げ場がなく、本当に苦しいものです。
自分の家なのに気が休まらず、毎日ストレスを感じていませんか。
マンションのトラブルは、専有部分、共用部分、管理組合、周辺環境のどこで発生しているかを分けて整理します。
まずは、マンションならではのトラブルを3つの視点から整理してみましょう。
発生日、頻度、管理会社・管理組合・警察等への相談、通知書、議事録などの記録があるかを確認してください。
売却が決まったあとに管理会社へ出す届出は売買契約から引渡しまでにやること|決済当日の流れで説明しました。
相続放棄をした場合でも、管理費の支払いが残ることがあります。
期限と考え方は相続放棄後のマンション管理費は誰が払うかにまとめています。
①住環境やマナーに関するトラブル
毎日の生活に直結するため、最も精神的な負担が大きくなりやすいのがこのタイプです。
代表的なものは、上下左右の部屋からの生活音や騒音です。
足音だけでなく、深夜の洗濯機やテレビの音などが原因で、お互いに感情的になってしまうケースも少なくありません。
また、共用部分の使い方に関するトラブルも頻発します。
駐車場や駐輪場への無断駐車、ゴミ出しのルール違反などは、誰がやっているのか特定しづらいため、住民全体の不満につながります。
さらに、ペットの飼育に関する問題もあります。
ペット不可の物件でこっそり飼育しているケースや、飼育可であっても鳴き声や臭いが原因でご近所トラブルに発展することがあります。
見落とされがちなのが、ハトやカラスなどの鳥害です。
ベランダにフンをされたり、巣を作られたりすることで、洗濯物が干せなくなり、衛生面でも大きなストレスを抱えることになります。
②管理規約・管理費・修繕計画に関するトラブル
管理規約・使用細則、管理費・修繕積立金、長期修繕計画、総会・理事会の運営に関する問題です。
居住者や所有者の国籍・属性ではなく、規約違反、滞納、連絡不能、修繕計画などの客観的な事実と記録を確認します。
ルールの周知方法や言語、管理会社・管理組合の対応状況も、改善可能性を考える材料になります。
民泊や短期賃貸で見るのは、管理規約・使用細則、届出・許可、そして管理組合の対応状況です。
不特定の出入りや騒音などがある場合は、日時・頻度・管理会社への連絡内容を記録します。
区分所有者と連絡が取れない、管理費等の滞納が多い、役員の担い手が不足しているなど、管理運営上の課題が生じることがあります。
滞納額、管理組合の収支、修繕積立金総額、回収状況は、管理会社・管理組合の資料で確認します。
管理状況は、購入後の費用や建物維持に関わるため、売却時の重要な確認項目です。
大規模修繕や積立金改定の予定・決議がある場合は、総会議事録、長期修繕計画、重要事項調査報告書などで内容を確認します。
③人の死・事件事故などの確認事項
専有部分や共用部分で人の死・事件・事故が発生した場合、宅地建物取引業者が告げるべきかは、発生場所、死因、経過期間、特殊清掃、社会的影響、買主からの質問などを踏まえて判断します。
国土交通省のガイドラインでは、対象不動産内の自然死や日常生活上の不慮の死は原則として告げなくてもよいとされる一方、例外や個別判断があります。
「マンション内で人が亡くなった」という一事だけで、全住戸に同じ告知が必要になるわけではありません。
事実を把握している場合は仲介会社へ伝え、ガイドラインと個別事情に基づいて説明範囲を検討します。

マンション売却でどこまで伝える?告知事項の整理方法
現在抱えているトラブルを理由にマンションを売却して引っ越したいと考えたとき、多くの方が壁にぶつかります。
それは、自分の抱えているトラブルを、次の買主に伝えなければならないのかという疑問です。
売却時には、売主が把握している物件の状態やトラブルを物件状況報告書などへ整理します。
宅地建物取引業者は調査結果を踏まえて重要事項を説明します。
どの事実が契約判断に重要かは、内容、継続性、程度、記録、解決状況、買主の利用目的などによって変わります。
重要な事実を告げず、契約内容と異なる状態が判明した場合は、契約不適合責任や説明義務をめぐる紛争につながる可能性があります。
反対に、あらゆる感想や一時的な出来事を同じ扱いで告知するものでもありません。
次の3段階で、事実と評価を分けて整理します。
段階1:日時・頻度・記録・対応状況を整理する
騒音、ゴミ、ペット、駐車場などは、感じ方だけでなく、いつ・どの程度・何回発生し、誰へ相談し、現在も続いているかを整理します。
一時的な生活音で記録もなく解決済みの事案と、警告・調停・警察相談などが継続している事案では、買主への影響が異なります。
自分だけで「告知不要」と決めず、客観資料と経緯を仲介会社へ共有してください。
買主から具体的な質問を受けた場合は、把握している事実を正確に回答します。
相手方との直接交渉がある場合は、合意書・通知書・相談履歴も確認します。
法的判断が必要な紛争は、弁護士など適切な専門家への相談も検討します。
段階2:買主の費用・利用・契約判断への影響を確認する
管理費等の滞納、積立金改定、修繕計画、利用制限、継続中の紛争など、買主の費用や利用に影響する事項は資料とともに確認します。
管理規約、使用細則、総会議事録、長期修繕計画、重要事項調査報告書、管理費等の月額・滞納額が主な資料です。
人の死に関する事項は、国土交通省のガイドラインだけで一律に結論を出さず、発生場所・死因・特殊清掃・経過期間・質問の有無などを確認します。
管理資料は管理会社・管理組合から取得するため、売却準備の早い段階で不動産会社へ依頼します。
将来の改定案と、すでに決議された改定は、買主への説明で必ず分けて伝えます。
分からない事項を推測で「ない」と記載せず、「不明」「調査中」など確認状況を区別します。
告知範囲を売主だけで判断せず、仲介会社へ把握している事実をすべて共有してください。
必要に応じて管理会社、管理組合、弁護士などへ確認し、契約書と説明資料へ反映します。
段階3:管理体制と、説明の担当を確認する
管理組合の代表である「管理者」を誰が務めているかも、売却前に確かめる項目の一つです。
理事長が管理者を務める方式のほかに、管理会社が管理者を兼ねる方式(管理業者管理者方式)があります。
この方式は、国土交通省がガイドラインを出している管理の形の一つで、それ自体がトラブルというわけではありません。
買主が知りたいのは、方式の良し悪しではなく、いまの管理体制がどうなっているかです。
売主が手元で確かめられる資料は、総会議事録と管理規約、管理会社からの案内の3つです。
議事録には、管理者の選任や、管理会社との契約について総会で説明があったかが残っています。
見つからなければ、管理会社へ不動産会社が照会します。
説明の担当は、売主ではなく不動産会社です。
令和8年4月1日から、マンションの売買の重要事項説明では、管理者が管理組合から委託を受けた管理業者である場合に、その旨を説明する決まりが加わりました。
これは宅地建物取引業者の法定の説明事項で、売主が買主へ説明する義務ではありません。
売主の役目は、管理者が誰かを分かる範囲で不動産会社へ伝え、議事録などの資料を渡すことです。
管理者が管理会社の関連会社である場合は、国土交通省の説明事項の文言とは別の話になります。
買主へ伝えるかどうかは、法定の説明とは分けて、自主的な補足説明として書く扱いです。
法定の説明事項と補足説明の欄を分けておくと、後から読み返しても混ざりません。
総会で建替えや大規模な再生の話が出ている場合は、マンションに建替えの話が出たら|売却前に確認する費用と決議で、段階ごとの確認資料を整理しています。
国土交通省|宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン
国土交通省|マンション管理・再生ポータルサイト
▼ あわせて読みたい:近隣トラブルがある不動産を売却するときの確認事項

マンショントラブルがある場合の売却方法
トラブルがあるマンションは売れないのではないかと、諦めてしまっていませんか。
トラブルがあるマンションでも売却できる可能性はありますが、成約を保証するものではありません。
吉塚周辺でも、立地、築年数、管理状況、室内状態、トラブルの内容によって需要と価格は異なります。
仲介と買取の価格・期間・条件を比較し、告知事項を整理した上で方法を選びます。
主な選択肢は次の2つです。
選択肢1:仲介で条件を開示して買主を探す
時間に余裕があり、少しでも高く売りたい場合は、仲介という方法を選びます。
不動産会社が広告を出して、広く一般の買主を探す方法です。
買主の判断に影響する事項は、確認できた資料・経緯・現在の状況を示して販売します。
把握している情報を開示し、価格と契約条件に納得する買主を探します。
トラブルの感じ方は買主ごとに違うので、売主側で「この人なら気にしない」と決めつけないでください。
修繕積立金の改定など将来負担が変わる事項は、利回りや住宅費の計算へ反映されます。
不利な情報も契約前に洗い出し、売買契約書・重要事項説明書・物件状況報告書の3つで書き方をそろえます。
▼ あわせて読みたい:【博多区吉塚】築古マンションが売れない3つの理由と「損しない」脱出ルート
選択肢2:不動産会社の買取条件と比較する
販売期間を短くしたい場合は、不動産会社による買取査定も比較します。
買取では一般の買主を探す販売期間を省けることがありますが、査定・契約・決済に必要な期間は会社と物件によって異なります。
「数週間で現金化」など一律の期間を前提にせず、決済日と解除条件を書面で確認します。
室内状態、告知事項、残置物、契約不適合責任をどこまで買取条件へ含めるかを確認します。
残置物や管理費等の滞納が自動的に解消されるわけではありません。
誰が清算・撤去するかを契約前に合意します。
広告を行わない契約でも、管理会社・金融機関・司法書士など必要な関係者への連絡は発生します。
秘密保持の範囲を確認してください。
買取価格は仲介による想定成約価格と異なることがあるため、査定額だけでなく手取り・時期・責任範囲を比較します。
福岡市博多区のマンション売却と不動産買取の違いもご確認ください。
買取価格がどの費用を引いて出てくるのかは、福岡市のマンション買取|価格の決まり方と日数で内訳に分けて説明しています。

まとめ
マンションのトラブルに巻き込まれたとき、解決のために話し合いで戦うことも一つの方法です。
しかし、相手の価値観を変えたり、管理組合の機能不全を一人で立て直したりするのは、並大抵の労力ではありません。
今の生活に疲れ果ててしまったのなら、無理に戦い続ける必要はありません。
手放して逃げることは、決して負けや逃げではなく、あなた自身の心と生活を守るための前向きな決断です。
株式会社おもいで不動産では、トラブルの内容と管理資料を確認し、売却以外の選択肢も含めて整理します。
無料不動産査定では、状況が整理できていない段階から相談できます。
お話を聞いたからといって、無理に売却をおすすめしたり、急かしたりすることは一切ありません。
本当に売るかどうかは、気持ちが落ち着いてからゆっくり決めていただければ結構です。
あなたの心が少しでも軽くなるよう、秘密厳守でしっかりとサポートいたします。
必要な時が来たら、いつでも頼ってください。
