駐車場にした土地と3,000万円控除|外れる順番
執筆・監修:野上俊彦株式会社おもいで不動産 代表取締役/宅地建物取引士
執筆・監修:野上俊彦代表取締役/宅地建物取引士家を壊した跡地を、しばらく駐車場にして貸しておく。
更地のまま持つより収入が入るので、合理的に見える判断です。
ところが、この順番で進めると居住用財産の3,000万円控除が使えなくなります。
国税庁が要件に挙げているのは2つ。
取り壊した日から1年以内に土地の譲渡契約を結ぶことと、取り壊してから契約までのあいだ、その敷地を貸駐車場などに使っていないことです。
貸した時点で、2つ目が崩れます。
この記事は、福岡市で自宅の跡地や相続した実家の敷地を駐車場にしている方に向けて、特例がどの時点で外れるかを並べました。
すでに貸してしまった方にも、残っている選択肢があります。
税額そのものの有利不利はお客様ごとに違うため、判断は税理士にご相談ください。
2. 家を壊したあと、特例を残すには何を守りますか?
3. 自宅の敷地の一部を駐車場にしている場合は?
4. 相続した実家を駐車場にしてから売ると、どうなりますか?
5. 特例が使えないと、税はどう変わりますか?
6. 売るか、貸し続けるか、迷っているときは
駐車場として貸した土地に、3,000万円控除は使えますか?
原則として使えません。
居住用財産の3,000万円控除は、自分が住んでいる家屋と、その敷地を売ったときの特例です。
土地だけを売る場合は、家屋とセットで売るのと同じ扱いになる条件を満たしたときに限られます。
駐車場として貸した土地は、その条件から外れます。
外れるのは控除だけでなく、毎年の固定資産税の軽減も同じです。
住宅用地の特例がいつ外れ、いくら上がるのかは駐車場の固定資産税が高い理由にまとめました。
まだ家が建っていて、これから壊すかどうかを決める段階なら、実家を壊して駐車場にする前に|確かめる3つの数字を先にご覧ください。
対象は「住んでいる家屋」と、その敷地
国税庁が特例の対象に挙げているのは、自分が住んでいる家屋です。
以前住んでいた家屋も、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売れば対象に入ります。
敷地だけが単独で対象になるわけではありません。
家屋が立っているか、立っていた土地であることが前提になっているのです。
「原則」と書くのは、取り壊し後の例外があるから
家屋を取り壊したあとに敷地だけを売る形は、国税庁が認めています。
ただし条件が付いていて、その条件に「貸駐車場などその他の用に供していないこと」が入っています。
つまり、取り壊しの直後なら使えて、貸し始めると使えなくなる。
特例が消えるのは、売った日ではなく貸した日なのです。
この順番はよく誤解されています。
売るときに書類を揃えれば間に合うと考えていると、もう戻せない段階に入っています。
家を壊したあと、特例を残すには何を守りますか?
2つの期限を同時に満たし、そのあいだ土地を貸さないことです。
国税庁が示している形を並べます。
- その敷地の譲渡契約が、家屋を取り壊した日から1年以内に締結されていること
- 家屋を取り壊してから譲渡契約を結ぶ日まで、その敷地を貸駐車場などその他の用に供していないこと
- 住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
期限は2つ重なっている
1年以内という期限と、3年目の年末という期限は別のものです。
両方を満たさないと特例に乗りません。
住まなくなってから2年半たって家を壊した場合、残り時間は3年目の年末までしかありません。
1年あると思って動くと、間に合わなくなるのです。
逆に、住まなくなってすぐ壊したなら、1年以内という期限のほうが先に来ます。
「貸駐車場など」は、収入の額で判断されない
月々いくら入っていたかは、要件の文面に出てきません。
1台分を近所の方に月5,000円で貸していた場合でも、貸駐車場に供したという事実は残ります。
看板を出していたか、精算機を置いたか、舗装したかも関係ありません。
見られているのは、他人に使わせたかどうかの1点です。
月極の契約者が付いている状態での売り方は月極駐車場を売るときの解約予告|契約者にはいつ知らせる?にまとめました。
更地のまま置くのが、いちばん安全
特例を使って売るつもりなら、取り壊したあとは貸さずに置きます。
草が伸びる、不法投棄が増える、近隣から苦情が来るといった負担は確かに出ます。
それでも、1年のあいだ我慢して売るのと、貸して特例を失うのを並べたとき、金額の差は小さくありません。
3,000万円の控除がそのまま効く取引なら、長期譲渡の20.315%で600万円以上の差になる計算です。
更地にして売るか、駐車場のまま売るかの判断は駐車場の土地は更地にして売る?そのまま売る?に分けて書いています。
草刈りや不法投棄の片付けだけを外に頼む形も取れます。
貸さずに手入れだけ入れるなら、貸駐車場に供したことにはなりません。
なお、いったん貸したあとに契約者を解約しても、要件は元に戻りません。
文面が見ているのは「供していないこと」なので、過去に供した事実は消えないためです。
すでに貸している土地は、特例が無い前提で手取りを組み立て直すほうが現実的です。
自宅の敷地の一部を駐車場にしている場合は?
自分や家族の車を置いているだけなら、他人に貸していることにはなりません。
住んでいる家屋の敷地として、一体で使っている土地だと見る余地が残るでしょう。
一方で、同じ敷地の一部を他人に貸していると、その部分は居住用から外れていきます。
自分の車を置いている分は「貸付け」ではない
自宅の横に車を2台止めている形は、福岡市の戸建てでごく普通に見られます。
この部分は、生活のために敷地を使っているだけです。
家屋と一体の敷地として扱われるかどうかは、形状や利用の実態で判断されます。
線引きが微妙なときは、売る前に税務署か税理士に当てて、書面で確かめておいてください。
一部を他人に貸していると、そこは分けて計算される
敷地の半分を月極で貸し、残り半分に自宅が立っている土地を売る場合、居住用として扱われるのは自宅の部分です。
貸している部分は、特例の外で計算されます。
どこで分けるかは面積や利用の状況によるため、ここも税理士の領域になります。
当社がお手伝いできるのは、どの資料を揃えれば判断ができるかの整理までです。
相続した実家を駐車場にしてから売ると、どうなりますか?
相続空き家の3,000万円控除から外れてしまいます。
この特例の要件に「相続の時から譲渡の時まで、事業の用、貸付けの用または居住の用に供されていたことがないこと」という一文が入っているためです。
家を壊して駐車場として貸した時点で、貸付けの用に供したことになります。
要件は重なっている
相続空き家の特例で押さえるところは、おおむね次のとおりです。
- 1981年5月31日以前に建築された家屋であること
- 区分所有建物(マンション)は対象外
- 相続の時から譲渡の時まで、事業・貸付け・居住に供されていないこと
- 売った金額が1億円以下であること
- 相続の開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
このうち3つ目が、駐車場にしたときに崩れる要件です。
残りの4つを全部満たしていても、ここ1つで特例に乗れません。
相続人が3人以上だと、控除額は2,000万円
2024年1月1日以後の譲渡では、家屋と敷地を相続または遺贈で取得した相続人が3人以上の場合、控除額が2,000万円になります。
兄弟3人で実家を相続した形は、福岡でも珍しくありません。
その場合、1人あたりの控除は3,000万円ではなく2,000万円で考えることになります。
期限の数え方は空き家3,000万円控除の期限|相続から3年目の年末に間に合わせるに書きました。
「とりあえず貸しておく」がいちばん高くつく
相続してから売り先が決まるまで、土地を遊ばせたくないという気持ちは分かります。
ただ、3年目の年末という期限と、貸さないという要件は同時にかかっています。
貸して得られる収入と、失う控除を並べてから決めてください。
月3万円で3年貸せば、入ってくるのは108万円。
控除が効く取引で2,000万円から3,000万円の控除を失うと、長期譲渡の20.315%で数百万円の差が出る計算になります。
どちらが大きいかは、売却価格と取得費で変わってきます。
この比べ方そのものは、税理士に当てる価値があるところです。
特例が使えないと、税はどう変わりますか?
利益にそのまま税率がかかります。
売った年の1月1日時点で所有期間が5年を超えていれば20.315%、5年以下なら39.63%です。
親が買ったときの契約書が見つからないときは、取得費を売却価格の5%で計算することになり、利益が大きく出ます。
当社の簡易計算のページは、自宅を前提にしています
当社サイトの売却シミュレーターは、自宅を売る場合を前提に作ってあります。
居住用の控除や軽減税率を織り込んで計算するため、駐車場として貸していた土地には当てないでください。
数字を出したい段階なら、所有期間と取得費の資料を持って税理士に当てるほうが早いのです。
税額の組み立ては駐車場経営をやめたい|任せる・閉じる・売るの比べ方に計算例を置きました。
固定資産税も、住宅用地の軽減から外れている
家を壊して駐車場にすると、固定資産税のほうも上がります。
福岡市では、住宅1戸あたり200㎡までの部分(小規模住宅用地)の課税標準額が評価額の6分の1になります。
家屋が無くなると、この軽減の対象から外れるのです。
納期は4月、7月、12月、翌年2月の4回です。
売った年も、1月1日時点の所有者に1年分が課税されます。
そのため、年の途中で引き渡すときは買主と日割りで精算することになります。
精算の起算日の決め方は売却年の固定資産税の日割り精算|福岡市の起算日と納期に書きました。
譲渡の特例を失い、固定資産税も上がる。
この2つが同時に起きているのが、跡地を貸している土地の状態です。
売るか、貸し続けるか、迷っているときは
先に決めるのは、特例を使える状態かどうかです。
家を壊した日、住まなくなった日、相続が開始した日、貸し始めた日の4つを並べてください。
この4つの日付だけで、どの特例が残っているかはおおむね読めます。
売ると決めたなら、次は無料査定で価格の目安を出してください。
特例がすでに外れていて、当面は貸しておくという判断もあるでしょう。
当社は駐車場・不動産の管理を承っています。
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