福岡市で土地を売る流れ|測量・境界・更地にするかの判断
執筆・監修:野上俊彦株式会社おもいで不動産 代表取締役/宅地建物取引士
執筆・監修:野上俊彦代表取締役/宅地建物取引士相続した土地や、使っていない土地を売ろうとして最初に止まるのが「何から手をつけるか」です。
マンションなら管理規約と管理費の書類、戸建てなら建物の状態から話が始まります。
土地はそこが違い、売り出す前に調べることが3つあります。
境界が確認できているか、接している道が建築基準法上の道路か、上下水道が引き込まれているか。
この3つで、売り出せる価格も、買える人の幅も変わってきます。
当社は福岡市博多区千代で土地の売却の仲介をしていて、境界の確認だけのご相談も受けています。
この記事で説明するのは、6段階の流れ、測量をどこまでやるか、古家付きで売るか更地にするか、福岡市のどの窓口で何が取れるかの4つ。
2. 土地の査定は、何を根拠に出しますか?
3. 境界と測量は、売り出す前にどこまでやりますか?
4. 古家付きのまま売るか、更地にするか、どう決めますか?
5. 福岡市で確かめる窓口は、どこですか?
福岡市で土地を売る流れは、どんな順番ですか?
査定、調査、媒介契約、売り出し、売買契約、決済・引渡しの6段階で進みます。
売却全体の手順は売却の流れ(全11ステップ)にまとめていて、土地で中身が変わるのは2段目の調査です。
古い家が建ったままの土地であれば、解体せずに出す道もあり、価格の見方は戸建て・古家付き土地の買取の記事で分けました。
6つの段階と、期間の目安
当社が土地の売却でお見せしている目安が、次の表です。
| 段階 | やること | 期間の目安 |
|---|---|---|
| 1. 査定 | 価格とその根拠を出す | 1〜2週間 |
| 2. 調査 | 境界・道路・用途地域・上下水道を確かめる | 2週間〜2か月 |
| 3. 媒介契約 | 売り方と売り出し価格を決める | 1日 |
| 4. 売り出し | 広告・問い合わせ・現地のご案内 | 1〜6か月 |
| 5. 売買契約 | 条件の確定と手付金の受領 | 1日 |
| 6. 決済・引渡し | 残代金・登記・書類の引渡し | 契約から1〜2か月 |
幅がいちばん大きいのは2段目で、確定測量が入るかどうかで1か月以上動きます。
測量が要らない土地なら、査定から売り出しまで2週間で進むこともあるからです。
逆に境界の立ち会いが必要だと、売り出しは2か月先。
6段目の決済では、残代金の受領と登記の手続きのほかに、現地で境界標の位置を買主と一緒に確かめます。
越境が残っている場合は、将来どうするかを書いた覚書もこの日に取り交わすのが普通です。
建物の鍵の受け渡しが無いぶん、土地の決済は測量図と境界の資料を渡す場になります。
マンション・戸建てと違うのは、売り出す前の調査
マンションの売却では、価格の根拠が同じ建物の過去の成約事例で足りる場合も多くあります。
土地で先に片づけるのは、隣の土地と接する線がどこかという問題と、その土地に何が建てられるかという問題の2つ。
どちらも売り出したあとに分かると、価格の引き下げか、契約が白紙に戻る原因になります。
急いで飛ばすほど、あとの工程で止まる確率が上がるという順番です。
土地でそろえる書類は、建物があるときより少ない
登記事項証明書、公図、測量図、固定資産税の納税通知書、本人確認の書類。
建物が無ければ建築確認済証や設計図書が要らないので、戸建てよりそろえる枚数は減ります。
そのかわり測量図と境界の資料の重みが増すので、見つからないときは早めに言ってください。
種類ごとの一覧は売却に必要な書類に載せています。
売り出している間に、土地の持ち主がやること
空いている土地は、草が伸びるだけで「手の入っていない土地」に見えます。
現地を見に来た方が最初に受ける印象なので、売り出す前と夏場は草を刈っておいてください。
当社は媒介をお受けした土地を定期的に見に行き、写真でご報告しています。
ごみの不法投棄や、隣から物が置かれている状態も、早く気づけば直せるからです。
土地の査定は、何を根拠に出しますか?
近い場所の成約事例の㎡単価に、その土地の間口・形・接道・用途地域の条件を足し引きして出します。
区によって、㎡単価は4倍以上ひらきます
当社は福岡市の売却相場に、区ごとの土地の中央値を載せています。
直近8四半期の取引で、土地の㎡単価の中央値は西区が13万円、中央区が60万円でした。
同じ福岡市内で4.6倍の差があり、総額の中央値も西区3,100万円から中央区1億2,500万円まで並びます。
自分の区の数字を先に見ておくと、出てきた査定額が高いのか安いのかを自分で判断できます。
なお中央値なので、間口が狭い土地や旗竿の土地はここから下がる前提で読んでください。
もう一つ見ておきたいのが、同じ期間の取引の件数です。
土地の取引件数は、東区228件に対して城南区96件と2倍以上ひらいていました。
件数が少ない区は似た条件の事例が見つかりにくく、1件の事例に引っ張られた査定額が出やすくなります。
城南区の土地はまさにそこで、当社も価格の根拠を1件ずつ照らし合わせてからお出ししています。
根拠として挙げられた事例が何件あるのか、そこを聞いてみてください。
件数が少ない区では、隣の区や近い沿線の事例まで広げて見たほうが実態に近づきます。
用途地域で、建てられるものが変わります
同じ広さでも、低層住居専用地域なら2階建ての住宅、商業地域なら店舗や共同住宅が建ちます。
買う人の幅が変わるので、用途地域は価格に直接ひびく条件です。
福岡市の用途地域は「福岡市Webまっぷ」の都市計画情報マップで調べられます。
ただし用途地域や建ぺい率の境目にある土地は地図だけでは判断しにくく、市も窓口での確認をすすめています。
1つの土地に2つの用途地域がまたがる場合、建てられる規模の計算そのものが変わるからです。
接している道が、建築基準法上の道路かどうか
家を建てるには、幅4m以上の道路に2m以上接していることが原則です。
見た目が道でも建築基準法上の道路でなければ、その土地に建物は建てられません。
私道や位置指定道路は福岡市の道路台帳の対象外で、建築指導課に確認する扱いになっています。
当社が土地の査定でいちばん先に確かめているのも、この接道です。
接道が足りない土地は、買主が住宅ローンを組めず、現金で買える方だけが相手になります。
出典:福岡市 道路台帳
境界と測量は、売り出す前にどこまでやりますか?
まず自分で境界標を見て、無い場合や隣との食い違いがある場合に確定測量を検討します。
自分で見るのは、境界標・塀・越境の3つ
土地の角に、金属のプレートかコンクリートの杭が入っていないかを見てください。
次に見るのは、塀やフェンスが境界線の上に立っているのか、どちらかの敷地の中に入っているのか。
最後に、隣の屋根や雨どい、樹木の枝がこちらへ出ていないかを確かめます。
越境したまま売れるかどうかは境界の説明義務と裁判例にまとめました。
確定測量を頼むかどうかの判断
境界確定測量の費用は40〜60万円程度で、期間は1〜3か月みておきます。
隣接地に市道や水路が含まれると、官民の境界の立ち会いを待つ時間が加わるためです。
要るかどうかの判断軸は確定測量は必要か、費用と期間の内訳は確定測量の費用と期間にあります。
手元に測量図が1枚も無い場合、先に見るのは法務局で取れる図面です(法務局で取れる図面)。
頼むなら媒介契約の直後がよく、売り出しと測量を同時に走らせれば待ち時間が重なりません。
古家付きのまま売るか、更地にするか、どう決めますか?
決め手は費用ではなく、その土地を買うのが誰かという見込みです。
解体費は、30坪の木造で150〜240万円ほど
木造戸建ての解体費は1坪5〜8万円、30坪なら150〜240万円が目安です。
西区の土地の中央値3,100万円で売れたとすると、240万円は8%前後にあたります。
アスベストの事前調査が義務になってから、見積りは上がる方向で動いてきました。
井戸・浄化槽・古いブロック塀が残っていると、その撤去がさらに積まれます。
坪単価の内訳と注意点は実家の解体費用はいくらをご覧ください。
更地にすると、翌年度の固定資産税が上がります
住宅が建っている土地は、1戸あたり200㎡までの部分の課税標準が評価額の6分の1になります。
200㎡を超える部分は3分の1で、都市計画税はそれぞれ3分の1と3分の2です。
建物を取り壊すとこの特例から外れるので、1月1日に更地だった土地は、その年度の税額が上がります。
売れるまでの期間が長引けば、解体の費用に加えてこの差額も売主の負担。
解体を約束する前に、買う人の顔を見る
自分で家を建てる方なら更地のほうが選びやすく、解体費を売主が持つ意味があります。
一方、建物を直して使う方や事業者が買うなら、解体はそのまま無駄な出費。
当社には買いたい方の条件を購入希望者の条件一覧として登録いただいているので、更地を探している方がいるかどうかを先に確かめられます。
古家付きで売り出して反応を見てから決めるほうが、損の出にくい順番です。
契約書で「更地渡し」と約束したあとでは、やめる選択ができません。
古家付きで売る場合も、家財をそのまま残してよいかは契約書に書き分けます。
「現況で引渡し」と「残置物は売主が撤去」は別の約束なので、どちらにするかを先に決めておく必要があります。
福岡市で確かめる窓口は、どこですか?
用途地域は住宅都市みどり局、道路台帳と下水道は道路下水道局、水道は水道局で、3つとも別です。
用途地域は、Webまっぷと都市計画課
まず福岡市Webまっぷの都市計画情報マップで、地図から当たりをつけます。
境目にあたる土地は、住宅都市みどり局の都市計画課で図面と合わせて確認してください。
区役所などの窓口では、5千分の1または2千5百分の1の都市計画決定概要図を買えます。
道路台帳は本庁、区役所でもその区の分が見られます
道路の幅員が分かる道路台帳平面図は、道路下水道局の路政課で閲覧できます。
閲覧は無料で、コピーは1枚10円。
各区役所の維持管理課または管理調整課でも、その区の平面図を見られます。
繰り返しになりますが、位置指定道路など建築基準法上の道路は台帳の対象外です。
上下水道は、水道局のウェブ公開と下水道管理課
水道は「水道管埋設情報ウェブ公開サービス」で、福岡市Webまっぷから配水管と給水管の位置を見られます。
公開されているのは不動産の調査に使う300mm以下の配水管と、給水管の位置と引き込み口径です。
下水道台帳は、道路下水道局の下水道管理課で閲覧し、必要なところを印刷できます。
どの窓口で何が取れるかは福岡市7区の手続き窓口ガイドに一覧にしてあります。
農地や市街化調整区域の土地は、ここに農業委員会や開発の窓口が加わるので、先に当社へお知らせください。
出典:福岡市 下水道台帳の閲覧
調べる順番を決めてから動く
窓口が3つに分かれているので、1日で回るなら本庁の課を先にします。
当社が媒介をお受けした土地では、この調査は当社の担当が代わりに回ります。
売主が1日かけて3か所を回らなくても、結果だけ受け取れる形です。
売ると決める前でも、無料査定のご依頼のときに接道と用途地域だけ先に調べてお渡しできます。
どこから手をつけるか迷っている方は、15分無料相談で土地の場所と広さだけ教えてください。
当社は公益社団法人福岡県宅地建物取引業協会の会員で、登記は司法書士、税額の判断は提携する税理士が担当します。
