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一棟・収益物件公開 2026.11.08

金利が上がると一棟の売却はどうなる?買主の融資と価格

野上俊彦執筆・監修:野上俊彦株式会社おもいで不動産 代表取締役/宅地建物取引士
野上俊彦執筆・監修:野上俊彦代表取締役/宅地建物取引士

一棟アパートや一棟ビルをお持ちで、金利のニュースを見て売却の時期を気にされている方に向けた記事です。

先にお伝えしておくと、この記事に「今が売り時」「これから価格が下がる」といった見通しは書きません。

将来の金利や価格を断定して売却を勧めることは、宅地建物取引業法47条の2が禁じる断定的判断の提供にあたります。

書くのは仕組みだけです。

一棟ものの買主は、自宅を買う人と違って、ほとんどが融資を前提に検討します。

その融資の条件が動くと、買主が出せる金額や、検討に残る買主の数が変わることがあります。

仕組みを知っておくと、査定書に出てきた数字の意味や、売主の側で先にできる準備が見えてきます。

なお当社は福岡市博多区の売却専門で、一棟ものの取扱実績はまだありません。

この記事は公的な資料と計算だけで組んでいます。

目次1. 金利が上がると、一棟の買主の何が変わりますか
2. 買主が借りられる額は、どう決まっているのですか
3. 現金で買う人と、融資を使う人はどう違いますか
4. 売主の側で、先にできることは何ですか
5. 福岡市の一棟を売るとき、何から確かめますか

金利が上がると、一棟の買主の何が変わりますか

毎月の返済額が増えるという点です。

同じ家賃収入で返せる借入額が小さくなるため、買主が出せる金額の上限も動きます。

自宅を買う人の予算が動く話は金利上昇と買主の予算に書いたので、こちらは収益物件の側だけを見ます。

借入1億円で金利が1%動くと、返済額はどれだけ変わるか

以下は仮の計算例で、実際の金利の水準を示すものではありません。

借入1億円・期間30年・元利均等返済として、金利だけを変えて計算します。

表は横にスクロールして確認できます。

金利毎月の返済額年間の返済額
1.0%約321,600円約386万円
1.5%約345,100円約414万円
2.0%約369,600円約444万円

1.0%から2.0%へ1ポイント動くと、年間の返済額は約58万円増える計算になります。

家賃収入が年1,000万円の物件なら、収入の約6%にあたる金額が返済に回る形です。

借入額が大きいほど、同じ1ポイントの差が効いてきます。

家賃収入のうち、返済に回る割合で見る

金利そのものより、家賃収入のうち何割が返済に回るかで見たほうが自分の物件に当てはめやすくなります。

先の仮の例を、家賃収入が年1,000万円の物件に当てはめてみましょう。

表は横にスクロールして確認できます。

金利(借入1億円・30年)年間の返済額家賃収入に対する割合
1.0%約386万円約39%
1.5%約414万円約41%
2.0%約444万円約44%

この割合が上がるほど、空室が出たときや修繕が重なったときの余裕が減ります。

買主が価格の交渉に入る理由は、たいていこの余裕の幅の話です。

どこまでを経費として見込むかで割合は変わるため、同じ物件でも買主ごとに判断が分かれます。

返済が増えると、手元に残る額が薄くなる

買主が見ているのは、家賃収入そのものではありません。

家賃収入から、管理費・修繕費・固定資産税・保険料・空室分を引き、さらに返済を引いた残りを見ています。

返済が年58万円増えると、その分だけ残りが減ります。

残りが薄いと感じた買主は、価格の交渉に入るか、別の物件へ移るかを選びます。

表面利回りと実質利回りの差がここに出てくるので、表面利回りと実質利回りの違いも見ておいてください。

買主が借りられる額は、どう決まっているのですか

物件の収入と、買主自身の資金や属性の両方で決まります。

自宅のローンのように、年収から機械的に上限が出るものではありません。

金融機関ごとに見方が違うので、同じ物件でも買主によって上限が変わります。

家賃収入から返済と経費を引いた余りを見る

収益物件の融資では、その物件の収入で返済が回るかどうかが判断の軸になります。

家賃収入から経費を引いた残りが、返済額をどれだけ上回っているか。

この余裕の幅が小さい物件は、借入の額が抑えられたり、自己資金を多く求められたりします。

どの程度の余裕を求めるかは金融機関ごとに違い、公表されている一律の基準はありません。

建物の構造と築年数が、借入の期間に関わる

建物の構造によって、国税庁が定める法定耐用年数が違います。

住宅用の建物では、鉄骨鉄筋コンクリート造と鉄筋コンクリート造が47年です。

骨格材の肉厚が4mmを超える金属造は34年、木造・合成樹脂造は22年と定められています。

この年数は減価償却の計算に使うものですが、買主が組める借入の期間を考えるときにも参照されます。

残りの年数が短い物件は、借入の期間も短くなりやすく、その分だけ毎月の返済額が増えます。

先の例と同じ借入1億円・金利1.0%でも、期間が20年なら毎月の返済額は約459,900円。

30年の約321,600円と比べて、月に約14万円の差が出ます。

つまり金利よりも、借入期間のほうが返済額に大きく響く場面があります。

出典:国税庁 主な減価償却資産の耐用年数表

金融機関によって上限が違うので、買主ごとに違う

同じ一棟を同じ価格で検討していても、A社で借りる買主とB社で借りる買主では、出せる金額が揃いません。

売主から見ると「高い金額を出せる買主がどれだけ検討に残るか」という話になります。

そのため、買主を広く探すことと、買主の融資の見通しを早い段階で確かめることの両方が必要です。

当社は売主側の仲介として入り、囲い込みをしません。

買主側に別の不動産会社が付くこともあります。

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現金で買う人と、融資を使う人はどう違いますか

決済までの日数と、契約が流れるリスクが違います。

金額だけを見て買主を選ぶと、この差を見落としかねません。

融資特約が付くかどうか

融資を使う買主の契約には、通常は融資特約が付きます。

審査が通らなかった場合に、買主が契約を白紙解除できるという取り決めです。

金利や審査の条件が動く時期には、この特約が実際に使われる可能性も上がります。

売主としては、特約の期限をいつに設定するかが判断のポイントになります。

特約の期限を長く取ると、売主は売れるかどうか分からない状態で待つことになります。

逆に短くしすぎれば、審査が間に合わずに買主が降りる可能性が上がるでしょう。

買主の金融機関がどこで、審査にどれくらいかかる見込みなのかを、契約の前に確かめておいてください。

契約前に取り交わす書類の役割は買付証明書・秘密保持・DDとは?にまとめました。

決済までの日数の違い

現金の買主なら、審査の期間が不要なので決済までが短くなります。

一方で、現金で一棟を買える買主の数は、融資を使う買主よりも限られます。

価格を下げてでも早く決めたいのか、時間をかけて融資を使う買主を探すのか。

この選択が、金利の話といちばん直接つながるところです。

日数を左右するのは、審査に出す資料が揃っているかと、買主の金融機関の進み方です。

売主の側で資料を先に揃えておくほど、この日数は短くなりやすくなります。

買取を選んだ場合に価格がどう変わるかは収益物件の買取はなぜ安い?で比べられます。

売主の側で、先にできることは何ですか

買主の銀行が最初に見る資料を、先に揃えておくことです。

資料が欠けていると、審査が止まったり、借入の期間が短く見積もられたりするのです。

銀行が見る資料を先に揃える

一棟の融資審査では、建物と賃貸の実態を示す資料が必要になります。

  • レントロール(各室の賃料・契約期間・敷金の一覧)
  • 各室の賃貸借契約書
  • 修繕の履歴と、直近の修繕の見積書
  • 確認済証・検査済証・建築時の図面
  • 土地の測量図と境界の資料

検査済証が見つからない物件では、建物の適法性の確認に時間がかかります。

古い建物で書類が揃わない場合の進め方は旧耐震の一棟ビルの売却に書きました。

再発行できる書類と、できない書類の区別を先に付けておくと段取りが組めます。

確認済証や検査済証は、台帳の記載事項証明書で代わりを取れる場合もあるでしょう。

測量図が古いまま残っている土地では、境界の確認からやり直すことになりかねません。

情報を誰にどの順で出すか決めておく

一棟の売却では、賃料や修繕の履歴といった情報をどこまで出すかを売主が決められます。

入居者やテナントに売却を知られたくないという事情があれば、公開の範囲を絞った打診から始める形も取れます。

ただし範囲を絞れば、検討する買主の数が減るのは道理です。

融資の条件が動く時期には、この絞り込みが「買える買主が1社も残らない」という結果につながることもあります。

公開の範囲と買主の数は、どちらかを選ぶ話として最初に決めておいてください。

どの種類の会社に頼むかで出せる買主の層も変わるため、一棟の売却はどこに頼む?に違いを整理しています。

福岡市の保有コストも並べて見る

売るかどうかを考えるときは、持ち続けた場合の費用も並べてください。

福岡市の市税条例では、固定資産税の税率が1.4%、都市計画税の税率が0.3%と定められています。

都市計画税がかかるのは、毎年1月1日現在で市街化区域内に土地・家屋を所有している場合です。

納期は年4回で、福岡市は第1期が4月、第2期が7月、第3期が12月、第4期が翌年2月という区切りになっています。

令和8年度の納期限は、第1期が4月30日、第2期が7月31日、第3期が12月28日、第4期が3月1日です。

12月と2月に納期が来るので、年末年始の資金計画に入れておくと慌てずに済みます。

期別の税額は、年税額を4で割り、1,000円未満の端数をすべて第1期に合算して決まります。

第1期だけ少し高く見えるのはこのためで、計算を間違えているわけではありません。

売却の年は、引渡し日で日割り精算するのが通常の取り扱いです。

どちらが何期分を負担するかは契約で決めるので、契約書の精算の条項を必ず読んでください。

出典:福岡市 市税の納期

福岡市の一棟を売るとき、何から確かめますか

自分の物件の価格帯に、どれくらいの取引があるかです。

買主の数が限られる価格帯なら、金利の動きが検討者の数に与える影響も大きくなります。

価格帯ごとの取引の量を見る

福岡市内の一棟ものが年に何件売買され、どの価格帯に集まっているかは、国交省の取引データから数えられます。

その集計は福岡市の一棟もの取引は年何件?に置きました。

区ごとの違いや、築年数と構造の分かれ方もそちらで確かめられます。

一棟ビルなら、同じ地域でどれだけの事務所が空いているかも、買主の判断に関わります。

福岡市のオフィス空室率の見方は福岡市のオフィス空室率の読み方にまとめました。

査定書の数字の出どころを確かめる

収益物件の査定は、自宅の査定とは計算の仕方が違います。

どの方法でいくらと出したのか、前提にした数字は何かを聞いてください。

3つの査定方法の違いは収益物件の査定方法3つにまとめています。

当サイトの手取りの試算ページは自宅の売却を前提にしているので、一棟ものには使えません。

一棟の売却で当社が何をどこまで担うかは、福岡市の一棟ビル・一棟マンション売却のページにまとめました。

税額の判断や、法人名義か個人名義かで有利不利が変わる部分は税理士の仕事です。

当社は連携している税理士・司法書士へおつなぎするところまでをお手伝いします。

所在地・構造・築年・現在の賃料の一覧をお送りいただければ、資料の揃い具合と進め方の見通しをお返しします。

一棟の査定は無料査定のご依頼からお受けしています。

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この記事の目次1. 金利が上がると、一棟の買主の何が変わりますか
2. 買主が借りられる額は、どう決まっているのですか
3. 現金で買う人と、融資を使う人はどう違いますか
4. 売主の側で、先にできることは何ですか
5. 福岡市の一棟を売るとき、何から確かめますか
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